僕達の小さくて大きな森(8)

2020-06-24 07:29:26 | 童話
ある日、僕がテーブルで宿題をしていると、お母さんが梅の木の大きな枝を挿した花瓶をテーブルに置いた。
『倒さないでね。』
『うん、大丈夫だよ、倒さないよ。』
宿題が終ったので片付けをしている時に、エンピツを持った右手が梅の枝に近付いた。
その時、おじいちゃんの大切にしていた盆栽の時と同じように、エンピツがブルブルとなった。
『うわっ。』

僕は急いで友達の家へ行くと、友達も宿題が終っていた。
『大変だ、ブルブルとなったよ。』
『どこで?』
『今度は盆栽ではなく、お母さんが飾った花瓶の梅の枝だよ。』
『本当? 花瓶の梅の枝でもブルブルとなるんだ。』
『早くおいでよ。』
『うん、お母さんに君んちへ行くと言ってくるからね。』
僕達はエンピツを持って花瓶の梅の枝の前にいた。