なぜだろう(4)

2022-01-29 09:49:41 | 童話
『今度は外のお花でやってみようよ。』
『そうだね、公園へ行ってみようよ。』
『そうしよう。』
『公園のお花さん、お話しできますか?』
『ああ、できるよ。ここで君達が来るのを待っていたよ。』
『公園のお花もお話しができるんだ。』

『ねえお花さん、大人はなぜ君達とお話しができないの?』
『大人の人も子供の頃は、僕達お花とお話しができたんだけれど、大きくなったからお話しができなくなったんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。だけれど、大人の人はそれを知らないの?』
『みんな大きくなると忘れるんだよ。』
『そうなのか。』
『僕達も大きくなったら忘れるのかなぁ。』
『そうだよ、忘れるよ。』
『いやだけれど仕方ないのかな。』
『じゃ、今の内にみんなでいっぱいお話しをしようよ。』
『そうだね。だからいっぱいお話しをしようね。』
『おはよう。学校へいってくるよ。あれっ、玄関の花がしゃべらないや。僕はもう大きくなったのかな。友達の所のお花も、昨日お話しをしなかったと言っていたね。』
『やぁ、おはよう。君んちのお花はお話しをしなくなったの?』
『なぁ~に、お花がお話しをするハズがないじゃないか。』
『えっ、昨日までお花との話しをしていたじゃないか。』
『僕は知らないよ。』

『僕も明日になると、お花とのお話しを忘れてしまうのかなぁ。』
そして次の日、僕もお花とのお話しを忘れてしまった。
だけれど、僕の妹はお花とお話しをしていると言っている。

    おしまい