カタツムリの富士登山(6)

2016-08-24 21:26:20 | 童話
『あ~あっ、よく寝たなぁ。』
僕は、あまり寒くないので目がさめた。

そして、岩の穴の中から外を見ると、雪はほとんど無くなっていた。

『お父さんとお母さん、僕は約束を守って家の中にいたよ。また今日から富士山を登るからね。』

穴の外でお水をタップリ飲んで歩き始めた。
雪の上や、雪解け水の上は冷たいので、乾いている所を歩いて行った。

『ランランラン、ランランラン。』
今度は、僕が歌っても、だれも『ルンルンルン、ルンルンルン。』や『ピッピピピ、ピッピピピ。』と歌ってくれる友達がいません。

『下りる時に、トンボ君やチョウチョさんと一緒に歌えるから、今は僕だけで歌おう。』

そして、僕は何日間も『ランランラン、ランランラン。』と歌いながら登って行った。

また時々寒い日があるので、寒い時は暖そうな岩の穴を探して暖かくなるのを待つことにした。
僕の歩いている所から遠くを見ると、人間が登って行く登山道に、多くの人がリュックを背負って、ツエを持って一列に並んで歩いている。
だけれど僕みたいに歌いながら登っている人はいません。


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