山の上のロックの永~い旅(8)

2016-02-15 21:04:03 | 童話
何年か経った時に台風が来た。
山にたくさんの雨が降り、小川の水量が増えて、僕はまた動き出した。

そして、もっと広い川まで滑って来た時、急に水の流れが激しくなってきた。
あっちこっちぶつけながらすこしずつ進んだ。

その時、前の方の川岸や木が見えなくなり、空が見えてきて、急に体がふぁっと浮かんだ。
次の一瞬、下へ下へと体が落ちて行った。

それは、お父さんやお母さんから聞いていた滝だ。
初めて見たし、初めて下へ落ちて行った。

ドボーン、ドスン。

僕は滝壺に落ちてお尻をぶつけた。
その衝撃で体が半分くらいになってしまい、滝壺から飛び出した。
そして、僕の体の仲間がたくさんできたのだ。

『みんな大丈夫かい?』
『大丈夫だよ。』
『大丈夫。』
『元気だよ。』
『一緒に居るよ。』
『僕も元気だよ。』
『良かった、良かった。みんな無事でよかった。』
『この滝壺から出るのに何年かかるかわからないけれど、みんなで海に向かっていこうね。』

今度は広い川の中なので、僕は転がりだして、大きな岩にぶつかった。

『痛いっ。岩にぶつかったので、頭とお尻の角が取れちゃった。』

僕は次々と岩にぶつかりながら転がって行った。
『あれっ、あっちこっちの角が取れちゃったので、段々丸くなってきた。』

そして、取れた角の小石も川の中でコロコロと転がっていた。
『お~い、みんな大丈夫かい?』
『大丈夫だよ。一緒に転がっているからね。』
『だけど、君達の方が小さいから転がるのが速いね。』


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