土曜日の午前中は銀座の店で仕事を終え、午後から息子の結婚相手の家族との会食で、せっかく銀座ではなくってソラマチ31階のオシャレなレストランを予約してやってご馳走して、景色も堪能しようと思っておったら、あいにくの雨。
・・・お前らの日ごろの行いが悪いからこうなる・・・
そういうことだった。
気圧のせいか眩暈もちょいと酷かったが、皆さん楽しい時間を過ごせたようで、良かったな~。
酒を呑んでも呑まなくても、賑やかに喋っているのが俺の若い頃からの取柄でもあるから、まんずそうなるのが常。
ということで、昨日はまたまたゆっくりと出発して、甲州アルプスからぶどうの郷のほうへと歩いて来た。
前日に、オシャレなコース料理をナイフとフォークでガチャガチャ食べて、喋るのが忙しくて結局ナニを喰ったのかよく解らないいつもの調子だったから、山で大汗をかいて激辛地獄ラーメンを食べたいという目的もあった。
おのずと、だいたいのコースは決まってしまって、あとは臨機応変適当にといういつもの感じ、まだ冬季閉鎖中の林道が多い山梨の山奥まで車を乗り入れるほうが、大変だった。
普通の登山道には、鹿よけの金網があったりして、それを開けて通り閉めて行くということがあるが、昨日は狭い林道にそれがあり、車を降りて金網を開け、抜けてまた降りて閉めるというメンドクサイこともあった。
荒れ放題、あちこちに落石・倒木、ガードレールの無い高所の未舗装路デコボコ道、対向車が来ればバイクであってもどっちかがバックする羽目になる狭い道、細く落ちそうな朽ちた橋、急こう配の瓦礫の山道をくねくね滑りながら登り、行き止まりに停めてから歩き出した。
山は、登り始める前にこういう難儀な運転をこなせなければ、なかなか日帰りでは愉しめない。
若い頃はテントを担いでということも出来たが、還暦を過ぎるとメンドクサイ。
そもそも生きてること自体が、この頃はメンドクサイ。
ナニを見ても、ナニをやっても、人間の世界のことはチンケな猿芝居。
昨日は登り始めは杉林が主だったから、ひんやりと寒い中をトボトボとひたすらに掛け声かけて登ったが、都会で出てる鼻水や目のかゆみは、相変わらず山ではいっさい無い。
調子の良い嘘ばかり、都会の常識だろう。
空は晴れ渡って、富士山も見えるだろう。
気温はグングン上がっていた。
山では眩暈もおさまってる。
都会の舗装路ばかりを歩いてるよりも大変な道ばかりなのに、なぜか眩暈も起きることも無い。
東京湾に変なモノを注入して、都会の地下で変なことを始めてるから、俺の眩暈は起こってるのではないのか?
そんなことを考えながら、なるべく苦しいと考えないように大汗をかき続けていた。
降りたら、19丁目まである激辛地獄ラーメンは、何丁目を喰うか? 5丁目くらいにしとくか? そんな他愛も無いことばかり考えて、ぜ~ぜ~吐き出しながら登った。
登り始めは、上ばかり見ているとゲッソリするから、足元を見て周囲を見て、なるべく上は見ないように心がける。
山頂が雲の中にあったりすると・・・もう、やめて帰ろうか・・・いつも想う。
そんな感じで1時間も息を切らして大汗かいてトボトボと登っていると、だんだんに良い感じになってくる。
・・・よっしゃ、行ったるで
2時間を過ぎると麻酔でもかかったかのように、身体が勝手に動くようになる。
俺のペースは、いつもそんな感じ。
ガキの頃、水晶の露天掘りや、縄文の石器や土器を掘りに山に入っておった頃と、あんまり変わってない。
人間に会わない山が好きだから、ただただ獣や植物と声を出して会話している。
神々の生態、とも言える。
いつも20キロチョイあるザックを背負って、丁度いいバランス。
頭の中には登ってきた道と、周辺の地形や景色、道の位置が出来上がってくる。
仕事柄もあり、一度通った道は忘れない。
同行者がいると皆驚くほどの記憶力がある。
今朝、ナニを喰ったかを忘れてしまっておっても、山では道を間違えない。
長年の習慣なんだろう。
たとえ間違えたとしても、頭に経験という地図が出来ておるから、別に困らない。
違う道は幾らでもある。
それなら、途中のあそこらへんで、休憩するか? そういうことになる。
山火事の痕を見ながら、そこですでに青い芽を出してる植物のことを考え、体力が余った状態で降りて来た。
時間が早かったから、降りて塩山の塩ノ山でも登っとくか? そう考えて登山靴を履いたまんまで向かったが、車を停める場所がなくって、メンドクサイからやめて店に向かった。
電話したらまだ開店前だったが、どうぞ! というので、気持ちよく向かった。
で、結局、俺が食べたのは梅と大葉のチャーハンと醤油ラーメンと餃子だった。
なんだかな~、山で苦しいことを忘れる為に、自分に嘘をついていたことを反省し、多分また来週も違う嘘をつくことを苦笑いしながら思い、混んでる中央高速は使わずに、甲州街道で上野原まで走って、のんびり高速に乗って戻って来た。
さ~、また朝から夜まで喋りまくっての仕事、メンドクサイこと、この上ない。