50年程前、犬はほぼ放し飼いだった。
街中でも自由に歩き回る犬の姿が珍しくなかったのである。
当然恋愛も自由で或る日飼い犬が子犬を産んでいた等珍しい話ではない。
その場合貰い手を探すが昔は比較的直ぐに見つかる場合が多かった。
番犬として庭先に放したり玄関横に繋ぐ人が多かったからだ。
勿論世話などしない(番犬だから)人の食べ残しに味噌汁を掛けた餌が日常である。
フィラリアの薬も与えないし特に可愛がりもしない。
6年程度で死ぬ犬が多く更新は速かった。番犬は基本的に使い捨てだったからだ。
生まれた子犬の引き取りは先ず雄犬からで雌は貰い手が少なかった。
子供を産むからである。
だから子犬が雌の場合保健所へ直行または河原へ捨てに行くケースがあった。
流石に自分で殺す事はなかった様だ。