中日新聞 2015年1月26日
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http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/01/26/kiji/K20150126009694130.htmlより転載
湯川さん殺害画像 発表12時間前に官邸が入手、期限直後実行か
テレビ番組の出演を終え車に向かう安倍首相=25日午前、東京都千代田区
Photo By 共同
相は直後に開いた関係閣僚会議で「このようなテロ行為は言語道断の許し難い暴挙で、強い憤りを覚える。断固非難する」と表明。後藤さんの解放を求める首相声明も発表するなど、官邸の動きは慌ただしくなった。
画像の信ぴょう性が問われる中、安倍首相はこの日午前、出演したテレビ番組で、湯川さんが殺害されたとみられる写真について「残念ながら信ぴょう性は高いと言わざるを得ない」との認識を示した。オレンジ色の服を着用した後藤さんと湯川さんが、ナイフをかざす黒ずくめの男と一緒に写った画像がネット上に公開されたのは20日午後2時50分。男は「72時間以内」に身代金2億ドル(約236億円)の支払いを要求、政府は期限を23日午後2時50分との見解を示していた。
新たにネット上に流された後藤さんとみられる男性が写った画像は、政府の発表より12時間以上も前の24日午前には後藤さんの妻にも送りつけられており、リミット経過から20時間以内に湯川さんが殺害されていた可能性が出てきた。「思わず息をのんだ」。画像を見た政府関係者が声を潜めて打ち明けた。メール情報は官邸と外務省、警察庁の限られた一部だけで極秘に共有され、画像の信ぴょう性について分析を進めていた。
殺害したとの画像が公開され、一刻も早い解放を願っていた家族にも衝撃が走った。千葉市にある湯川さんの実家で父親の正一さん(74)はこの日午前、報道陣の代表取材に「こういう事態になり心を痛めている。本人でなければ良いと思うが、非常に残念だ」「とうとう来てしまった。気持ちとしては全てが真っ白。それ以上言葉にできない」と声を震わせた。イスラム国とみられるグループからこれまで正一さんに連絡はなく、「うそであればいい」「再会できれば思い切り抱きしめてあげたい」と言葉を詰まらせた。