異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

安倍政権は、原発事故を力づくで風化させる ~福島から力づくでホットスポット消した~ 

2014-12-31 03:44:24 | シェアー

安倍政権は、原発事故を力づくで風化させるつもりだ。政府は南相馬市の特定避難勧奨地点を28日付けで解除した。

http://blogos.com/article/102403/より転載

福島から力づくでホットスポット消した安倍政権

「健康被害が出たらアンタたちは責任が取れるのかね?」。藤原保正・大谷(行政)区長は官僚に詰め寄った。=26日、参院会館 写真:筆者=

 総選挙での大勝を受けた安倍政権は、原発事故を力づくで風化させるつもりだ。政府は南相馬市の特定避難勧奨地点を28日付けで解除した。

 特定避難勧奨地点とは警戒区域や計画的避難区域のように面として広がりはなくても、ホットスポットのような高線量の地点。基準は原発事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される地点だ。

 特定勧奨地点に指定されると、避難者は行政から支援を受けることができる。

 南相馬市の一部と伊達市、川内村の一部が指定されていた。伊達市と川内村は放射線量が低減したとしてすでに解除され、南相馬市だけとなっていた。

 21日、南相馬市で政府の現地対策本部による住民説明会で、高木陽介経産副大臣が「28日に解除する」と“宣言”した。一方的だった。

 地元説明会に出席した住民80人が反対一色だったにもかかわらず、だ。

 だまし討ちにもほどがある。26日、参院会館で南相馬市の住民たちが解除の撤回を求めて政府と交渉した。(主催:南相馬・避難勧奨地域の会/南相馬特定避難勧奨地点地区災害対策協議会)

 政府からは内閣府の若手官僚が、わずか2人出席しただけだった。

 内閣府・原子力災害対策本部の清水英路参事官補佐は解除の理由を「線量が20mSv/年以下になったため」と説明した。

 住民たちは猛反論した。「政府は一番低い所を選んで計測しているじゃないか」。政府が計測するのは、除染した直後の庭などだ。山のそばの家庭は除染しても山から放射能が降ってくる。

言葉巧みに追及をかわす内閣府の清水参事官補佐。冷たい目が印象的だった。=26日、参院会館 写真:筆者=

言葉巧みに追及をかわす内閣府の清水参事官補佐。冷たい目が印象的だった。=26日、参院会館 写真:筆者=

 そもそも政府が設定した20mSv/年という基準もデタラメだ。原発作業員の被ばく上限が5年間で100mSvだから、政府は住民に原発作業員の上限を押し付けているのだ。

 住民が実際に浴びている放射能は、原発作業員の上限以上ということになる。

 住民の間から「我々は放射線管理区域に住んでいるんだ」の声が相次いだ。

 住民から「なぜ指定を解除したのか?」と追及されると、清水参事官補佐は「20mSv/年以下であれば健康被害はないから」と答えた。

 計測自体がいい加減。しかも放射線管理区域と同じレベルの放射線量の強要。健康に害がないはずはないことは、中学生にでも分かる。

 指定が解除されれば、東電は補償金を払わなくても済むようになる。住民の健康よりも東電。これが政府の姿勢だ。

 住民の一人が「健康被害が出た場合は我々官僚が責任を持ちます、と念書に署名して下さい」と一片の紙を清水参事官補佐に突き出した。

 参事官補佐は「私の一存では署名できない」と拒否した。

 「なぜ署名できないのか? 健康被害が出ないというのであれば、署名できるじゃないか?」会場は一時騒然となった。 

 「解除を撤回しないのか?」
 「撤回しません」

 清水参事官補佐は露ほども悪びれることなく拒否した。政府の決定はいつでも正しい ― 若き参事官補佐は官僚の無謬性を体現していた。

 きょう(28日)午前0時をもって南相馬市の142地点の特定避難勧奨地点は指定解除された。政府は福島県から「ホットスポット(※)」を消したのだ。

 ◇
 ※
ホットスポットは現に存在するが、政府は認めないという意味。

『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています



【原発】南相馬 28日で全世帯、142地点の指定が解除~住民反対、国押し切る

2014-12-31 03:24:38 | シェアー

河北新報ONLINE NEWShttp://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141222_61012.htmlより転載

<避難勧奨地点>南相馬28日解除へ

28日の指定解除を伝えた高木副大臣=21日、南相馬市原町区
 

 

 国の原子力災害現地対策本部は21日、福島第1原発事故に伴い、放射線量が高いとして指定していた南相馬市の特定避難勧奨地点について、28日に指定を解除することを決めた。指定の152世帯を対象に市内で開いた住民説明会で伝えた。28日午前0時で全世帯、142地点の指定が解除され、福島県内から勧奨地点はなくなる。

◎住民反対、国押し切る
 説明会には住民ら約80人が出席。本部長の高木陽介経済産業副大臣は「空間線量は既に健康影響を考えなくていいレベル。風評被害からの脱却のためにも、総合判断した」と理解を求めた。
 会場からは「農地除染が終わっていない」「避難区域より放射線量は高い」と放射線への不安などから現段階での解除に反対の声が相次いだが、国側が押し切った。
 同席した桜井勝延市長は「最低でも年度内は解除しないよう要請してきたので不本意。国は今後も住民の声を聞く場を設けてほしい」と述べた。
 国は全世帯が指定基準の年間被ばく線量20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト相当)を下回ったとして10月中の解除を検討したが、住民の反発が強く延期。その後、対象世帯の戸別訪問や希望世帯での放射線軽減のための清掃活動を実施してきた。
 国が避難を勧めた勧奨地点は、原発20キロ圏外で局所的に放射線量の高い世帯を指定。大半が避難しており、精神的損害に対する月10万円の慰謝料が支払われている。指定解除で慰謝料の対象から外れるが、解除後3カ月間は支給される。伊達市と福島県川内村は2012年12月に解除され、指定は南相馬市内のみだった。


2014年12月22日月曜日

 


【原発】 2014年日本げんぱつ無責任(トンデモ)発言大賞 結果発表!

2014-12-30 22:43:41 | シェアー

http://www.stopnukes.org/award/より転載

日本げんぱつ無責任(トンデモ)発言大賞

 

2014年日本げんぱつ無責任(トンデモ)発言大賞 結果発表!

ぷんぷんカワンちゃん
私達は忘れません。あなたの無責任発言
核兵器への憧憬と永遠の搾取を夢見る者達により原発は生み出されて来ました。
そこにはウランの採掘から建設、運転、廃棄物処理まで、差別と無責任によって未来にまで敷き詰められています。
3.11東電事故以来、それまでにも増して、居直ったかのようなトンデモ発言、無責任発言の止むことはありません。

そんな中、ともすれば流して忘れていっちゃうそんな発言を、毎年、ランキングを付けて記録していこー!
というのがこの企画です。
2014年12月7日に、2014年の各賞が下記のように決定しました。

特別賞

安倍晋三 首相 2013年9月7日 (日本時間)

影響は同原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている
健康問題には今までも、現在も、将来も問題ないと約束する
(汚染水の)状況は統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。

※国際オリンピック委員会(IOC)総会の最終プレゼンテーションにて発言された内容。
今回の対象期間外の発言ではあるが、国家の最高責任者が国内外に向かって明らかなウソをつくと言う行為により、この国の政府の無責任さを露呈し、その後の無責任発言を誘発させるターニングポイントとなったため、 特別に授与することとした。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0703W_X00C13A9CR8000/
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0703R_X00C13A9MM8000/ 

大賞

再稼動を前提とした一連の無責任五段階発言
東電事故の救済も補償も進んでいない中、再稼動を進めようとする無責任の構造を表した一連の発言を大賞とします。
2014年7月18日 安倍晋三首相

川内(原発)はなんとかしますよ

※福岡市内の日本料理屋で、貫正義九州電力会長ら九州の財界人と会食した際に発言したとされる。
再稼動へと業界、世論を誘導しようとし、その後の無責任発言をリードした。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18024_Y4A710C1EE8000/
http://www.asahi.com/articles/ASG7L74G3G7LUTFK01P.html 

2014年7月16日 田中俊一 原子力規制委員会委員長

安全だということは私は申し上げません

※1.の安倍発言に先立って、原子力規制委員会記者会見における朝日新聞の記者に対する回答。
安全審査ではなく、基準の適合性を審査したものにすぎない、と発言。
さらに「国会でも何でも、何回も答えてきたところです。」と強調した。
http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/h26fy/20140716sokkiroku.pdf 

2014年9月10日 菅義偉 内閣官房長官

原子力規制委員会よって安全性が確保されることが確認をされました

※官房長官記者会見での発言。
基準の適合性が安全性の確保にすりかえられている。
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201409/10_p.html 

2014年11月3日 宮沢洋一 経済産業大臣

安全性が確認された原発の再稼働を進めるのが政府の方針だ

※鹿児島知事を訪問し、川内再稼働への協力要請を行った際の発言。
いつの間にか安全性が確認されたことが既成事実のように語られている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H0P_T01C14A1NN1000/ 

2014年11月7日 伊藤祐一郎 鹿児島知事

再稼働はやむを得ない。政府の再稼働方針を理解する

※鹿児島県議会が、早期の再稼働を求める陳情を採択した当日、記者会見を開き表明された再稼働同意。
このように、この5人の発言者は誰一人として安全性に責任を負うつもりがなく、見事な無責任の連携システムを構築している。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kagoshima/article/125714 



トップ6

2014年11月7日 伊藤祐一郎 鹿児島知事

福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない

※再稼働同意の際の発言。
根拠のないこのような発言が発せられること自体が、事故を招く無責任体質そのものといえる。
http://mainichi.jp/select/news/20141108k0000m040112000c.html 

2014年6月16日 石原伸晃 環境大臣

最後は金目でしょ

※除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり、首相官邸で記者団に対して「最後は金目でしょ」と語った。
15日に大熊町と双葉町で住民説明会が終わったばかりの16日に、菅官房長官に今後の事業日程などを報告したあとで記者団にこの発言をした。
石原氏は幹事長の時代にもいろいろ発言してます。
2011年にイタリアの国民投票で反原発派が勝利したことについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは心情的にはわかる」と述べて批判された。
2012年には報道番組で福島原発を「第一サティアン」と呼んで地元の反発を招いた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1604H_W4A610C1CR8000/ 


2014年9月7日 甘利明 経済再生・TPP担当相

原発再稼働しないと、二酸化炭素の増加で地球の温暖化が進む。デング熱の流行はその結果だ

※NHKの「日曜討論」での発言。
この当時日本で患者が見つかったとさかんに報道されていた熱帯病に無理やり結びつけたもの。
コメントするまでもない。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154113/2 

2014年8月28日 高市早苗 自民党政務調査会長

(国会周辺のデモのために)何時間も仕事にならない状況が続いて、とても電話の
声も聞こえないので、批判を恐れることなく(規制の)議論を進めてまいりたい

※「党ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」の初会合での発言。
ヘイトスピーチとデモの区別が付いていない。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/166280#more-166280
http://www.sankei.com/politics/news/140828/plt1408280014-n1.html 

2014年11月5日 田中俊一 原子力規制委員会委員長

チェルノブイリ原発事故のときのように、石棺という方法もある
(核燃料の搬出は)3ヶ月前にすぐ止めて、その準備をして、容器に少しずつ入れて遠くに運べばできますよ

※記者会見における火山の噴火時の対策についての発言。
いずれも現実性のない発言だが「対策は取れない」と言外に言っているのかも知れない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41134?page=5 

2014年8月4日 石破茂 自民党幹事長

原発再稼働なければ国の未来はない

※神戸市で講演した際の発言。
全文は「世界で一番厳しい基準をクリアした原発は、その地域の方々が納得することを条件に再稼働していかないと、この国の未来はない」
世界で一番厳しい基準じゃないし、地域の方々も納得してないし、未来がないのは、国じゃなくて原子力ムラですね。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014080400769 


ノミネート要項

2014年のノミネートは終了しました。ご協力ありがとうございました。
スケジュール
2014年11月30日:ノミネート締め切り
2014年12月1日~:一次選考、二次選考
2014年12月7日:大賞、入賞発表 市民交流センターひがしよどがわ403号室 17:45~

ノミネート対象
原発に関連して(だいたい)日本語で発せられた無責任な発言。
新聞、雑誌(紙媒体・電子媒体の別は問いません)などの出典で検証可能なもの。
今年(2014年1月以降)に発言されたもの。

ノミネート方法
下記内容をお知らせください。
  1. 無責任発言文言
  2. 発言者名
  3. 発言者肩書き
  4. 発言日
  5. 上記を確認できる出典
    ※紙媒体の場合、写しを添付いただけると助かります。
  6. 推薦者のお名前
  7. 推薦者の住所かメールアドレス
  8. 推薦者のお名前の公開可否
  9. 公開可の場合、推薦者の公開用の名前
    ※ペンネームなどで公開希望の場合にご指定ください
※いただいた内容は本大賞の目的以外には使用しません

送付先
電子メール:award@NonukesAsiaForum.org
郵便:ノーニュークスアジアフォーラム気付
げんぱつのこんなヒドイ無責任発言を忘れて委員会
560-0082 豊中市新千里東町 2-4-D3-1106

ランキング基準
正直いって、ランキングをつけることに話題性以上の意味はありません。
たくさんの人に、「そうだ!なんて無責任なんだ!」といってもらえるような発言を選びたいと思いますが、独断と言われたら返す言葉はありません。

大賞、入賞のお知らせは申し訳ありませんが個別にはいたしません。発表会および本Webページでお知らせさせていただきます。
なお、ご応募いただいても紹介しきれない場合もあります。また大賞、入賞した発言の推薦者への賞品、賞金などは一切ありません。あらかじめご了承ください。

主催
げんぱつのこんなヒドイ無責任発言を忘れて委員会 award@NonukesAsiaForum.org

ビラ ダウンロード
印刷、閲覧用PDF版 20141122_award.pdf
Twitter、Facebook等投稿用画像ファイル 20141122_award.jpg
よしっカワンちゃん



【原発】パン職人が怒りの閉店「子どもを守らない政府や行政、業界に抗議」~東京・西荻窪の廣瀬満雄さん

2014-12-30 22:41:55 | シェアー

http://ameblo.jp/rain37/entry-11970378519.htmlより転載

鈴木博喜

民の声新聞 被曝から子どもを守ろう。民を守ろう。その一念で書き続けます

2014年12月30日(火) 05時34分57秒

パン職人が怒りの閉店「子どもを守らない政府や行政、業界に抗議」~東京・西荻窪の廣瀬満雄さん

テーマ:被曝

「抗議の閉店」。パン職人は苦渋の決断をした。子ども達を被曝から守るために─。福島第一原発事故以降、「ベクレルフリー」を掲げてきた東京・西荻窪のパン店「リスドォル・ミツ」が30日夕、閉店する。子どもたちを逃がさず「食べて応援」「福島は安全」ばかりを強調する国や行政。ベクレル検査もせずに料理を提供する外食産業…。経営者の廣瀬満雄さん(63)は、「店を閉じれば売名行為にもならない。今後もますます脱原発・脱被曝の声をあげていきますよ」と力を込める。


【つきまとった「売名行為」の中傷】

 「政府、行政のやり方が尋常ではないですよ。実に酷い」

 閉店を控えた忙しい最中、廣瀬さんは吐き出すように怒りを口にした。

 「チェルノブイリ基準でいけば、事故のあった原発から半径280km圏内は、強制避難区域にするべきなんだ。もちろん、東京も含まれる。だから福島県全域に鉄条網を張り巡らせて人の出入りを禁じるくらいでいい。それが出来ないのなら、せめて中通りと浜通りの住民を全面的に疎開させるべきなんです」

 地域経済の都合で大人は残らなければいけないのであれば、せめて子どもたちだけでも疎開を。未来を担う子どもたちだけでも被曝の危険から遠ざけたいと常に考えてきたが、実際の施策は逆行している。「国は有名タレントを起用して『食べて応援』などと宣伝する。東電は東電で、汚染水を海に垂れ流している。このままでは国が滅びてしまいますよ。私は左翼ではありません。むしろ愛国主義者なんです」

 汚染が福島だけの問題とは考えていない。「原発事故直後、店舗の雨どいは100μSv/hくらいありました。西荻窪だってホットスポットはあるんです。でも公表されない」。せめて自分が売るパンはきちんと検査をした食材で作りたい。そう考えて取り組んできた。店舗の前には「ベクレルフリー」と大きく表示し、検査結果も掲示した。営業しながら発信し続けるという方法もあるが、何を言っても「結局は、自分のパンを売りたいだけの売名行為ではないか」との誹謗中傷がつきまとう。「物を売っているから正論を言っても叩かれる。自分も宣伝になるのは嫌だから、じゃあ、閉店して退路を断ってものを言おうと考えたんだ。繁盛している最中の閉店はインパクトも強いしね」。

 独りだけの抗議行動は〝焼け石に水〟なのは分かっている。しかし、多くのお客さんでにぎわう店を閉じることで、食にかかわっている者としての想いを世間に伝えたかった。まさにパン職人が命をかけた〝抗議の閉店〟なのだ。
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国や行政への抗議の意味を込めて店を閉じる廣瀬

さん。JR西荻窪駅近くの店舗には、閉店を惜しむ

ファンからの花束が飾られていた


【福島の弟子が悩む〝村八分の恐怖〟】

 福島では、2人の弟子が開業している。電話で話をすると「脱被曝を言いたい。ノンベクレルを掲げたい。でも、そんなことをしたら村八分にされてしまう」と苦悩を打ち明けられる。「もの言えない空気」は年々、濃くなっているという。

 叩かれる相手は同業者であり、食材の業者であり、そして消費者。「福島でいろんな人に話を聴くと、ほとんどの人が『逃げられるものなら逃げたい』という想いを口にする。でも、それを言わず、何事も無かったかのように生活している。国や行政が安全だと言っている以上、そうせざるを得ないんだね」。

 そんな苦悩を知ってか知らずか、大手パンメーカーは食材を検査していないという。「パンの主要食材は小麦粉、牛乳、バター、水、卵です。しかし、どこも検査などしていませんよ」。食材の原産地の表記も無し。それは外食産業や弁当などの中食産業も同じだ。「現状を一番喜んでいるのがバイヤーですよ。国が安全だとお墨付きを与えているから、福島の広大な農地で栽培された野菜を二束三文で買い叩いていく」。
 消費者も、時間の経過とともに原発事故を忘れて行く。「『のど元過ぎれば熱さ忘れる』は良くも悪くも日本人の国民性だけれど、今回はその悪い部分が徹底して出てしまったね」。

 3月には64歳になる。自身にまだ孫はいないが、孫の世代のことが本当に心配だ。子どもたちを守らずして、この国の未来はないと考えるから。実は、米国の友人から「ロスに来ないか」と誘いも受けた。「ミツ、まだ日本にいるのか。あれだけの事故があったのに信じられないよ」と。だが、日本に残って声をあげていく道を選んだ。「福島に住む60歳以上の人々は、もっと腹をくくってものを言って欲しい。自分の孫を守れなくてどうするんですか」。
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外部機関で1ベクレル以下であることを確認した食材

だけを使ってきた。福島でも弟子が開業しているが

「同じことをしたら村八分にされてしまう」と憤る


【妻は賛成。「あなたらしい決断」】

 抗議の閉店は、1年ほど前から考えていた。夏ごろ、想いを妻に伝えたが反対はなかった。「むしろ、賛成をしてくれました。あなたらしい決断ですねって。別に貯えがたくさんあるわけではないけれど、妻は『スーパーのレジ打ちでも何でもやります。生活の心配はいりませんよ』と言ってくれた」と目を細める。

 愛着ある店舗。店名は「輝くユリ」からとった。30日午後5時に幕を閉じる。店舗で配られた挨拶文にはこう、綴られている。「今まで可愛がってくださったお客様に申し訳ない」、「凄く無念であり、残念至極です」。

 通信販売は既に完売。店舗には連日、多くのお客さんが訪れる。「さびしくなるわね」と女性客。店員の女性は「涙が出ちゃうから、閉店の話はしないで」と泣き出しそうな表情になった。

 少しのんびりしたら、腹部に見つかった大動脈瘤の手術が3月に予定されている。7年前には脳梗塞を患っているため手術のリスクは7割と高いが、「残りの3割に賭けたんです。でもね、私の命なんてどうなったって良いんですよ。福島に残っている子どもたちと、その昔、ガス室の前に裸で並ばされていた人々と何が違いますか?。私にできることは何かを考えました。それが反旗を翻すことだったんです」と廣瀬さん。「もし、生きて帰って来られたら、今まで以上にますます声をあげていきますよ」と力強く話した。

(了)

 


思想統制、人格統制、教育格差化……安倍政権の「教育改革」が危険すぎる

2014-12-30 22:17:02 | シェアー

http://lite-ra.com/2014/12/post-745.htmlより転載

思想統制、人格統制、教育格差化……安倍政権の「教育改革」が危険すぎる

2014.12.29
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首相官邸ホームページ「教育再生実行会議」より


 ヤンキー先生こと義家弘介議員は、第一次安倍政権で教育再生会議の委員を、第二次安倍政権で文部科学大臣政務官を務めた、安倍政権が教育政策を進める上で重宝されている人物の1人だ。彼が、高校教科書に採択されていた作家・池澤夏樹「狩猟民の心」(『母なる自然のおっぱい』所収)の記述に噛みついたことをご存知だろうか。

 池澤氏は「桃太郎」の物語を、「あれは一方的な征伐の話だ。鬼は最初から鬼と規定されているのであって、桃太郎一族に害をなしたわけではない(中略)鬼が島を攻撃し、征服し、略奪して戻る。この話には侵略戦争の思想以外のものは何もない」と書いている。これに対して義家議員が「伝統的な日本人なら誰もが唖然とするであろう一方的な思想と見解が公教育で用いる教科書の検定を堂々と通過して、子供たちの元に届けられた、という事実に私は驚きを隠せない」「歴史を超えて語り継いできたお伽噺が侵略思想の権化としてすり替わり、子供たちを巻き込んで展開されていくことなど公教育の現場ではあってはならないことだ」(産経ニュース/10月25日)とした。

 だが、池澤氏の記述は民俗学の解釈では常識といえるものだ。桃から生まれた桃太郎が鬼を征伐するという物語は時代を超えて語り継がれたものではなく、時代や地域によってさまざまなバリエーションがあった口承文芸を、明治期、国威発揚のために今の形に統一してつくりあげたにすぎない。また、その桃太郎の行為については、あの福沢諭吉でさえ「ももたろふはぬすびとともといふべき、わるものなり」と指摘している。

 そういった背景を少しも考慮せずに圧力をかけてくる国会議員の無教養と思想統制の野心には唖然とさせられるが、しかし、そこからは、安倍政権がこれからどのような教育の改革を目論んでいるのか、が見えてくる。

 景気以外の論点を逸らしに逸らした「アベノミクス選挙」で勝利した安倍政権は、改憲や原発再稼動を「選挙で国民の信任を得た」として推し進めていくようだが、教育の分野での暴走にも十分な注視が必要。既報通り、2018年度からは道徳が教科化し、その習得具合が評価対象になる。

 

 藤田英典『安倍「教育改革」はなぜ問題か』(岩波書店)は、安倍政権の教育政策をアベノミクスの「三本の矢」に倣って「五本の矢」にまとめ、警鐘を鳴らす。
1:「教科書改革実行プラン」などの教科書政策に見られる国家主義的な「思想統制」
2:「心のノート」改訂版や「道徳の教科化」に見られる新保守主義的な「人格統制」
3:「小中一貫教育の制度化」などの「学校教育システムの再編」案に見られる新自由主義的な「教育機会の制度的格差化」
4:全国学力テストの学校別結果公表や大学入試改革に見られる成果主義的な「教育統制」
5:教育委員会制度改革により促進されかねない学校現場・教職員の管理主義的な「行政的統制」

 

 これらの教育政策については内閣総理大臣の諮問機関(2000年・教育改革国民会議、2006年・教育再生会議、2013年・教育再生実行会議など)のみで基本路線が決まってしまうため、多様な意見が議論されることはない。会議には有識者が選ばれてはいるものの、著者はその面子について「専門性に疑問があるだけではなく、新自由主義や新保守主義といった特定の思想に与する委員が目立つ」と書く。

 

 委員の面子を確認すると、教育再生会議には小保方晴子をシッポ切りして利権体質を堅持した理化学研究所理事長の野依良治、人様への教育云々の前に自分の店の管理に目を向けるべきだったワタミ社長(当時)の渡邉美樹、教育再生実行会議には、各種の妄言・暴言でお馴染みの作家・曾野綾子(その後退任)や「つくる会」元会長の八木秀次らの名前が並んでいる。

 

 著者が挙げる5項目のうち、最たる懸案事項は「道徳の教科化」だろう。2018年度にも道徳が「教科外の活動」から「特別の教科」に格上げされる。点数や段階評価はつけないものの、記述式で評価が定まることになる。現在、「道徳」の授業に使われている副読本も、教科として定まる以上は、当然だが「教科書検定」を受けることになる。

 

 教科書検定についての見直しを示した「教科書改革実行プラン」では、「政府の統一的な見解や確定した判例がある場合」にはその見解や判例に基づかなければならないとある。第一次安倍政権下で強行採決した教育基本法の改定で、「我が国と郷土を愛する」という文言が加わったことを鑑みれば、これからはその手の愛国心が盛り込まれているものは道徳の教科書に採択されやすくなるし、先の池澤氏のようなテキストは「日本の伝統をないがしろにするもの」として淡々と弾かれていくのかもしれない。

 

「道徳」の教科化について、著者は「児童・生徒や保護者の間に、観察可能である表面的な行動や態度で評価されかねないことへの違和感・不信感や、恣意性に起因する不信感が生じる可能性がある」と警戒する。ましてや、生徒一人一人の「道徳」を評価しなければならなくなる先生は、様々な評価軸で生徒を見つめなければならず、ただでさえ多忙な業務が更に増えることが予想される。加えて、通知表に評価を記載するとなれば、その文言を気にかける親への応対も増えるだろうし、主観に過ぎない文言に端を発するトラブルも生じるだろう。

 それにしても「教育の危機」はこの20年、常套句として繰り返されてきたが、一体何をどう改善したがっているのか。著者はその狙いが透ける典型例として2002年に文科省が策定した「21世紀教育新生プラン:7つの重点戦略」の広報パンフレット「危機に瀕する我が国の教育」にある4つの見出しを挙げる。

1:いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊、少年犯罪
2:個人の尊重を強調し「公」を軽視する傾向
3:行き過ぎた平等主義による子どもの個性・能力に応じた教育の軽視
4:これまでの教育システムが時代や社会の進展から取り残されつつあること

 (1)は言わずもがな解決が必要だろう。(2)は驚くべき文言だ。なんたって、個人を尊重しすぎだから、それよりも公(=愛国心)を重視せよという。極めて露骨だ。(3)はそもそも文章として奇妙。だって(2)で個人の尊重はもういいと書きながら、個性に応じた教育が必要だと書いているのだから。この(3)の本音は別のところにある。個々人に平等に付き合いすぎるあまり、エリートが生まれにくい教育体制が生まれており、これを抜本的に改善したいのだ。著者もこの(3)を「能力主義・新自由主義」的だと分析している。(4)はちっとも具体的ではない。いかにして時代や社会の進展から取り残されているかが見えてこない。

 今年放送された木村拓哉主演の「HERO」はなんと文科省が「道徳教育」をテーマにタイアップしていた。制作発表には下村文科相が出席し、「徹底的に生きるとは何なのかを目指す、すばらしい番組」(朝日新聞・2014年9月18日)と絶賛した。その上でちゃっかり、下村文科相の写真入りの「HERO」のポスターを作成、全国の小中学校に向けて80万枚も配ったという。そのポスターの狙いは、この4月から「心のノート」の改訂版として使われている教材「私たちの道徳」の使用呼びかけだった。

 安倍政権にとって「道徳の教科化」は第一次政権時代から続く悲願。この長期政権の間に、教育改革はじわじわと、個人の尊重よりも我が国と郷土を愛する「公」を尊重せよという方向で突き進んでいく。「教育の危機」を訴え続けてきた成果が遂に実ると意気揚々だが、その勢いにこそ「教育の危機」を感じざるを得ない。
(武田砂鉄)