くまきち日記

名古屋に住んでいる、くまきちのたわごと。

もうエリザベート=オク・ジュヒョンではない?

2015-06-24 22:22:56 | 韓国エンタメ










チョ・ジョンウン、‘エリザベート=オク・ジュヒョン’の公式を破った


去る2013年に初演を上げた『エリザベート』はオク・ジュヒョンの真価を確認させた。
オク・ジュヒョンがすなわち‘エリザベート’であり、‘オクエリ’というニックネームを得て一つのイメージを作りあげた。
しかしチョ・ジョンウンのエリザベートもまた これにひけを取らない姿だった。

『エリザベート』は‘エリザベートがハプスブルク王宮に入って死を連れてきた’というオーストリア民話をモチーフに
‘死(トート)’という抽象的概念を擬人化し 独特なキャラクターを誕生させた。
魅惑的な歴史的物語にファンタジーの要素が脚色され 不遇な時代を生きたエリザベートと‘死’というキャラクターが好奇心を刺激する。

劇はエリザベートの旅程をたどっていくほど 少女シシーから華麗な皇后、孤独な中年の物語まで多様な感情が行き来する。
チョ・ジョンウンが表現したエリザベートは こうした変化に富んだ一代記に最適化されたキャスティングだった。

好奇心が旺盛で自由奔放なシシーは 登場から普通ではない。シシーは行列から外れて超越的な存在の‘死’と初めて会うが、
この過程でチョ・ジョンウンが作り出すちょっとした笑いと天真爛漫な少女はかなり印象的だ。
以後チョ・ジョンウンは大公妃ゾフィとの葛藤と夫との関係、息子に向けた母性愛、中年の孤独まで 多くの心的変化を経るが、
どのポジションでもきっちりと自身の役割を全うする。

特に『エリザベート』を代表するナンバー“私は私だけのもの”でのチョ・ジョンウンは感動そのものだ。
チョ・ジョンウンは清らかな歌声と豊かな声量に基づく爆発的できれいな高音で深い余韻を残す。
また自由を渇望する自身の鬱憤をこめて悲鳴をあげるように歌うハイライトは 彼女が置かれた現実の重みをそっくりそのまま観客に伝えて
客席を感動させる。

チョ・ジョンウン以外にもルケニ役イ・ジフンの成長も一目でわかる。彼はいっそう成熟したヴォーカルと特有のとぼけた演技に 
狂気と孤独を自分の色で再解釈して 解説者としてのセリフ伝達も合格点を与える価値がある。
彼は最高の高音を出すナンバー“ミルク”と陽気な雰囲気の“キッチュ”でもその妙味を満喫させる。

だがデビュー作で出た‘死’役にSE7ENはちょっと残念だ。SE7ENはエリザベートに絶え間なく付きまとう‘死’の神秘的な雰囲気と
歌手時代から固めてきた舞台掌握力で劇に緊張感を吹き込む。
しかし歌謡式唱法が多少はじけた感じを与え、爆発的な高音と低音でのセリフ伝達すべて それほど印象的ではない。
また‘死’の天使たちと繰り広げるナンバー“最後の踊り”と ルドルフと悲劇的な運命を共有する“影は長くなって”は
‘死’が最も魅力的に見えるナンバーだが 完璧な自分の時間を持てず残念さを残した。

一方ミュージカル『エリザベート』は6月13日に開幕し 9月6日まで ソウル・漢南洞 ブルースクエア・サムソン電子ホールで公演される。
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