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9時過ぎに古峰神社の前に着いた。
神社の入り口の反対側にある道路脇の駐車場に車を駐めた。
丁度、林道前日光線のトンネル入り口のすぐ下である。
上には立派なトイレも有る。
トイレに行ったら、和式で少々汚れていた。
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9時25分頃、支度を終えて出発、腰痛なので重い三脚はやめて、ミニ三脚にした。
左側に古峰神社の広大な駐車場が有り、奥に八重桜が咲いていた。
右側にはツツジが咲いていて、見上げると抜けるような青空だった。
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その先の「カーブ14」と書かれたカーブを曲がると、古峰園があり、うす緑色の
若葉に包まれて、盛んに野鳥がさえずっていた。
門が開かれていたが、関係者以外出入り禁ずと書かれている。
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道ばたにチゴユリが咲いてうなだれている
腰が痛くてのぞけない。情けない登山である。
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古峰園の門を過ぎて、カーブを曲がるとすぐ、三枚石新道の入り口がある。
健脚者に限ると書かれているのが面白い。
直登かと思っていたが、よく見ると左に巻くようにして登山道が有るようだ。
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車道歩きの単調さを救ってくれるのは、身も心も若葉に染まりそうな木々の葉と
色鮮やかなヤマブキの花である。
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やがて車道の路肩に数台の車が駐めてあった。
何だろうと思ったら、そこが地蔵岳への登山道の入り口だった。
熊に注意の札も張ってある。サックから北海道で買ってきたヒグマ用の熊鈴
を取り出して結びつける。
これはかなりうるさいが、熊さんとはお会いしたくないものだ。
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右に下るようにして林道を歩き、左に曲がると作業小屋のような建物が見えた。
近づいても誰も居らず、締め切られていた。
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この小屋の前から見上げる山と空が実に清々しい景色であった。
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小屋の脇では、砂防ダムの間の橋を建築中と見え、橋桁が出来ていた。
登山者は、その脇の仮道を通っていく。
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林道には、モミジイチゴとスミレが無数に咲いている。
苺がなったら食い放題だなーとか考えながら歩く。
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石ころ道の林道に嫌気がさしたとき、作業用の道が有った。
どうやらジクザクの林道をショートカットしていそうな気がして、思い切って
その道に踏み込んで行った。
初めての道で、しかも腰痛の身で、こんな事をするのは無謀と言われるだろう。
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最初は踏み跡もしっかりしていたが、いくつかの沢を渡ったりしているうちに
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段々倒木も多くなり、倒木の下をくぐり抜ける時、腰がギクッとして
思わずひやりとした。
携帯電話を見ると電波の柱が二本立っている。
万が一のために、娘の携帯にメールを入れた。
そのうち荒れた沢を渡ったら、踏み跡が無くなっている。
右は地図にも載っているハガタテ平から流れている渓谷であろう。
とすれば左の尾根すじを登れば林道に合流する筈と見当をつけて
少し登ると、林道のカーブミラーが見えた。
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やはり予想通りの林道であった。
しかもここに出たのは正解で、その先の砂防ダムのある角を曲がると
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広い空き地のような場所に出た。
そしてそこから先は、細い林道に変わっている。
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林道の一角に、宇都宮営林署のプレートが有り、昭和58年5月にスギ、ヒノキ、カラマツ
を植林したと記されている樹林帯を登る。
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やがて何本もの倒木が林道に覆い被さっている場所が見えた。
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近寄ってみると、倒木に左方向の矢印と地蔵岳と書かれたプレートがつけられていた。
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左によじ登ると、樹林帯の中を登山道が続いている。
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やがてやや平坦な道になり、山腹を巻いて沢に出たら驚いた。
砂防ダムがものの見事に壊れている。
土砂崩れでも有ったのか、まるで大岩が転がっているように突堤が壊れていた。
その壊れた突堤の上を慎重に渡って対岸に抜ける。
少し水が上を流れているから、増水したら渡れないであろう。
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きつい登りの樹林帯を抜けると、沢沿いの道になりエンゴサクとか
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両側にニリンソウの咲く登山道があり、再び樹林帯を行くと
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あちらこちらにバイケイソウと思われる葉っぱが、無数に生えている湿地が有る。
ハガタテ平の手前はかなりの急登で、しかも曇り空になって薄暗い。
ヒイヒイ良いながら登っていたら、上から年配の登山者がおりてきた。
(自分も年配者なのだが、それは置いといて 笑)
脇によって道を譲り挨拶した。
すると「どちらまで行かれます?」と聞かれたので「とりあえず地蔵岳まで」
と言うと「それなら夕日岳まで行かれた方が良いですよ。夕日岳はアカヤシオが
満開ですよ。」という。
「地蔵岳にはアカヤシオが無いので、頑張って夕日岳まで行ってください。」
と言う
「ありがとうこざいます。」お礼を言って別れた。
満開と聞いてにわかに元気が出た。
我ながら現金な物である。
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やっとハガタテ平にたどり着いた。
時計を見たら、11時56分である。相変わらず鈍足である。
その3に続く