楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

通貨を考える

2010-12-02 08:47:17 | Weblog
 これからの貨幣を考える上で交換機能に重点を置いた通貨を考えなければならないが、通貨を考えたとき最近気になっていることがあったので書いてみたい。それはユーロ圏の通貨のことである。

 11月28日朝日朝刊に出ていた記事から引用。
見出しは「好況ドイツ賃上げ続く」
ロンドン=有田哲文
 ドイツの産業界で賃上げ機運が高まっている。電気大手シーメンスは今月上旬、総額3億1千万ユーロ(約350億円)を使って従業員に特別金を払うと発表した。一人最高1千ユーロ(約11万円)程度だが、2・7パーセントの賃上げも同時に認めた。自動車大手ポルシェも25日、2・7パーセントの賃上げを表明した。

 後押ししているのは空前の景気回復だ。独ifo経済研究所は24日、景況感指数が11月は「2006~07年の好況期を上回った」と発表した。
高齢化に伴い「企業は人材を維持するのに賢明だ」(独エコノミスト)との面もある。
独DPA通信は24日、フォンデアライエン労働社会相が、外国人労働者を増やすかどうか判断するために実体調査を始めると伝えた。

 ここから何が考えられるか、この反面ユーロ圏に属しているギリシャは、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などからの1100億ユーロの支援について、返済期限を2021年に6年間延長することを明らかにした。一方で、返済金利を5.5%から5.8%に引き上げた。

 これが経済圏として統合したユーロ圏の実体である。

 1国1通貨であるならば、例えば東京の経済活況地域と北海道などの経済低迷地域は、東京だけ好況に浮かれ賃上げなどできないはずであるし、また政治的な配慮から景気低迷地域を救済していく政策を採らなくてはならないはずである。

 経済圏として各国が寄り集まったユーロ圏。
なぜドイツが好況を呈しているのか、それは外国為替という貨幣の使われ方で経済に問題を抱えているギリシャ、アイルランドが引きずり下ろしたかたちでユーロ通貨の値下がりから、工業国としてのドイツは輸出が攻勢になっているに過ぎない。

 もしドイツがマルク建ての輸出であるならば、円高と同じようにマルク高となっていただろうし、今回のような賃上げなどできるはずがないと考えるが。またギリシャ、アイルランドがユーロ圏に属していなければ自国通貨安から今回のような危機には追い込まれなかったのではないだろうか。

 通貨を考える上では国の寄り合い所帯である域内通貨は考え物である。
つまりはユーロという通貨を一つにするような経済圏は、問題を抱え失敗するということになるようである。

1. ユーロ安による輸出好調なドイツの状況 - るいネット