前回の続きを書いてみたい。前に二つの方法があると書いたが、一つは物を買う方法であり、あとの一つは買わせるための貸付となる。銀行及び投資家が庶民に資金(マネー)を貸付け物を買わせる。この場合ドイツ、フランスと違い生産性の低さから生産性の高い国から物を買うことになる。そこで考えられるのはある意味欺いてギリシャ国民に物を買わせたということにならないだろうか。今まで夢であったドイツ製の高級車、そしてフランス製のブランド物、それらがユーロ圏に加入したことにより簡単に手に入るようになった。しかしそこには最初の課題が、如何にユーロ圏の人たちにユーロという通貨を持たせるかということに他ならない。
大量生産した商品を買ってもらうことによって両者の思惑が一致する。一つはユーロ圏に通貨を行き渡らせることであり、もう一つは生産性が高く大量に造りだすことができる工業製品の販売、そこで利を得ていた国及び人たちがいる。
過去の時代の国王が持っていた通貨発行益。それは国王自身が国民に物を作らせ、それを国王の発行した貨幣で国王自身のための消費にあてた。だがそこには発行した通貨を行き渡らせることによって、庶民がその通貨を使い労働と労働の交換を促すという利点もあった。それは国王自身が発行した通貨で、自身も物(宮殿等を造らせ高価な装飾品を購入)を買い、そして庶民の間に行き渡るまでは国民にも喜んでもらえた、ただ最後には自身の物欲にとらわれ行き渡っているにもかかわらず物を購入してしまった。
だがそこには落とし穴があった。刷りすぎたために起こった労働価値以下になった貨幣。そこに待っていたのはインフレであり、経済的混乱であった。そのことで誰が悪いのか、経済的混乱から政治的混乱を招いた国王自身が責任を取らなければならなかった。
結論から先に言えば、現在の通貨発行益は巧妙になっている。発行し、またそれに加担した者「銀行」そして一部の人間がそこで利益を得て、格差を作り出していく。さらに悪いことはインフレを起こさない方法を学習してしまった。つまり市中に充満した貨幣を吸い上げる方法を、それが国債の発行である。そこにはより多くの持てるものと持たざる者の格差がが発生していく。
一部の者が蓄蔵という貨幣の機能を使い、より多くの貨幣を所有していく。過去の王であれば物を購入し、所有し幾ばくかの経済を動かしていた。だが現在の所有方法は物を購入するのではなくカネそのものを所有し、さらに現在の社会だから許されている方法、カネにカネを生ませる方法、税制を彼らの都合の良いやり方で作り出し莫大な富を築いていく。さらにヘッジファンドなる者も現れている。
偏っていくカネの所有、そこには市中の労働と労働の交換に回るべきカネが不足し、デフレ現象が起き失業者が溢れていく。その原因が偏った所有にあることに眼をつぶり、偏った原因の元となったより多くの貨幣所持者からカネを市中に戻す方法として、さらに偏りの原因となる金利をつけた国債と交換させる。
これではいくら経っても偏りはなくならないし、さらに拡大をしていくことになってしまう。