楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

通貨が持つ交換機能と保存機能

2010-12-03 09:33:17 | Weblog
  未来社会での通貨を考える上で私なりの色々な考え方がある。
シルビオ・ゲゼルの劣化していく貨幣。ゲゼル自身は地域通貨(正確には国家以外が管理する通貨)には反対し(スタンプ貨幣)国家が責任を持って管理しインフレもデフレもなく流通する通貨制度を理想とした。

 だが現実には地域通貨としてもそれほどの発展を見なかった。ただゲゼルの考え方の根底には通貨に保存機能が働くことを極度に恐れていたためと考えられる。物であれば劣化から免れることはできないが、貨幣は何時までも劣化をしない。その貨幣にスタンプを押し減価させていけば退蔵を防ぎ、流通を促進させるというものであった。

  時間と共にその紙幣の価額が減衰していけば、人は長期保有していけばトランプのババを手元に抱えていることと同じことになる。速くババを手放したいと考えたとしても不思議はない。そこで劣化しないうちに買い物を急ぐ。私が書いたA・Eの関係で考えるなら確実に経済は活性するはずである。

 ただ貨幣のやり取りは物を買うだけにあるわけではない。自己の労働の対価としてでも受け取ることになる。それは減価していく貨幣として受け取るのか、通常流通している貨幣として受け取るのか、私の勉強不足かも知れないが通常流通している貨幣と、減価していく貨幣の二本立てであるならば、私は通常貨幣を受け取ることを選ぶ。

 そこに地域通貨の範囲を超えることのできない問題があると考える。地域通貨として考えたときには、そこには通常流通する政府管理下におかれた貨幣も存在することになる。ボランティア精神として考えるなら減価する貨幣も必要かも知れないが、どちらかを選ぶということでは長続きさせることはできないと思う。

 結論として言える事は減価する貨幣は保存機能の問題点を付きながら、交換機能に言及してしまったということができる。

  これからの通貨を考えるとしたならば、交換機能と保存機能を切り離していく理論を作っていくことだといえる。ただし保存機能に関して、全部を悪ということにはならない。なぜなら経済的発展に必要な投資という行為まで無くすとしたなら社会的混乱は確実なものとなるからだ。



通貨を考える

2010-12-02 08:47:17 | Weblog
 これからの貨幣を考える上で交換機能に重点を置いた通貨を考えなければならないが、通貨を考えたとき最近気になっていることがあったので書いてみたい。それはユーロ圏の通貨のことである。

 11月28日朝日朝刊に出ていた記事から引用。
見出しは「好況ドイツ賃上げ続く」
ロンドン=有田哲文
 ドイツの産業界で賃上げ機運が高まっている。電気大手シーメンスは今月上旬、総額3億1千万ユーロ(約350億円)を使って従業員に特別金を払うと発表した。一人最高1千ユーロ(約11万円)程度だが、2・7パーセントの賃上げも同時に認めた。自動車大手ポルシェも25日、2・7パーセントの賃上げを表明した。

 後押ししているのは空前の景気回復だ。独ifo経済研究所は24日、景況感指数が11月は「2006~07年の好況期を上回った」と発表した。
高齢化に伴い「企業は人材を維持するのに賢明だ」(独エコノミスト)との面もある。
独DPA通信は24日、フォンデアライエン労働社会相が、外国人労働者を増やすかどうか判断するために実体調査を始めると伝えた。

 ここから何が考えられるか、この反面ユーロ圏に属しているギリシャは、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などからの1100億ユーロの支援について、返済期限を2021年に6年間延長することを明らかにした。一方で、返済金利を5.5%から5.8%に引き上げた。

 これが経済圏として統合したユーロ圏の実体である。

 1国1通貨であるならば、例えば東京の経済活況地域と北海道などの経済低迷地域は、東京だけ好況に浮かれ賃上げなどできないはずであるし、また政治的な配慮から景気低迷地域を救済していく政策を採らなくてはならないはずである。

 経済圏として各国が寄り集まったユーロ圏。
なぜドイツが好況を呈しているのか、それは外国為替という貨幣の使われ方で経済に問題を抱えているギリシャ、アイルランドが引きずり下ろしたかたちでユーロ通貨の値下がりから、工業国としてのドイツは輸出が攻勢になっているに過ぎない。

 もしドイツがマルク建ての輸出であるならば、円高と同じようにマルク高となっていただろうし、今回のような賃上げなどできるはずがないと考えるが。またギリシャ、アイルランドがユーロ圏に属していなければ自国通貨安から今回のような危機には追い込まれなかったのではないだろうか。

 通貨を考える上では国の寄り合い所帯である域内通貨は考え物である。
つまりはユーロという通貨を一つにするような経済圏は、問題を抱え失敗するということになるようである。

1. ユーロ安による輸出好調なドイツの状況 - るいネット


資本主義でもなく、社会主義でもなく、貨幣がうまく使われる社会

2010-12-01 05:41:54 | Weblog
 私が現段階で行き着いた先。実践されたものとして、ここに辿りついてしまった。だがこれが貨幣を考える上で全てではないと感じる。なぜならグローバル化された社会では、現在のカネはカネを生ませる道具になっている状況。それらを考えたとき『エンデの遺言』からの出発と、世界に通用する貨幣を考え、多くの人を納得させる通貨を考えていかなければならないと感じる。それが地域通貨の枠を超えて、エンデの夢であった世界が一つの通貨で結ばれるための理論を作らなくてはならないと感じるからだ。

 難しいの一言で言ってしまえばそれで終わってしまう。

 現在の貨幣システム、1国1通貨とユーロ圏のかたちの通貨。どちらにも問題があるとしたなら、どのような通貨が理想の通貨となりえるのだろうか。

 そのようにして考え出された通貨は、インフレを無くしデフレも起こさない、さらに失業者も皆無にしていく通貨政策を考え出していくことでしかない。

 やがてはそのような通貨理論が考え出されて来るはずである。それは時間の問題だと考えるが。

          エンデの遺言
        ~根源からお金を問う~
制作:NHK、NHKエンタープライズ21、グループ現代
このページは、1999年にNHKのBS1で放送された『エンデの遺言 ~根源からお金を問う~』をテキストに起こしたものです。

 1995年8月世界中で愛されたドイツの作家ミハイル・エンデは65歳の生涯を終えました。

上記の文章で始まるNHKスペシャルで放映されえたエンデの遺言。エンデはその中で現代の様々な課題の根源はお金の問題が根底にあるといっている。

         テープはエンデの言葉で始まる。

 私が考えるのはもう一度貨幣を実際になされた仕事や物の実体に対応する価値として位置づけることだということです。
 そのためには、現在の貨幣システムのなにが問題で、何を変えなくてはならないかを皆が真剣に考えなければならないでしょう。
 人類がこの惑星状で今後も生存できるかどうかを決める、決定的な問いだと私は思っています。
 重要なポイントは、例えばパン屋でパンを買う購入代金としてのお金と株式取引所で扱われる資本としてのお金は2つのまったく異なった種類のお金であるという認識です。

 動画ではなく文章化されたものです 
http://www.anti-rothschild.net/material/animation_03.html