今日の昼前は息子をアルバイト先のカフェに送った後、妻とカフェの周りの新興住宅地を一時間程の散歩してから、近くのショッピングセンターへ買い物に行きました。と言っても僕は妻と一緒に買い物をするとストレスが溜まってしまうので、妻が買い物をしている間、僕はセンター内の店の前のベンチに座ってレジから出てくるのを待っていました。
ガラスのドアからぼんやり外を眺めていると、年配のご婦人が「レシートのチェックをしなきゃ。」と僕にささやいて、隣に座りました。ご婦人はレシートを見ながら、品物の値段に間違いがないか一つ一つチェックし始めたのです。何とまあ几帳面な性格だと、僕は隣で見るともなく見ていて感心してしまいました。
チェックが終わったタイミングで、「いつもそうやってレシートをチェックされるのですか。」と尋ねると、「そうよ。余分にお金を払うのはいやだからね。それにしても野菜の値段、高くなったわよねえ。レタスが一個五豪ドル(450円)よ。」などと物価が高くなった話に始まり、年齢は今年80歳とのこと。化粧をされたのか、皺も殆ど見えなかったので、「お世辞ではなく10歳はお若く見えますよ。」と思わず言ってしまいました。
アイルランドから22歳の時に移民され、病院嫌いだった旦那には十六年前に癌で先立たれて、今は一人暮らしだそう。
料理もすべて自分で作るし、車も一人で運転して買い物に来られていて、体も左膝が少し痛いくらいで至って健康だそう。口を開けて「ほら見て、これ全部自分の歯よ」と綺麗な歯並びの真っ白な歯を見せてくれました。健康でいるコツなどをお聞きした後、最後にお互いの名前を聞いて、「Have a good day! ではよい一日を。」とカートを押してそのご婦人(名前はフランシスさん)はガラスの自動ドアから出て行かれました。10分足らずの会話でしたが、見ず知らずの他人同士が、気軽に話せるのが当たり前の世界がここにはあります。
日本ではショッピングセンターの中のベンチで見ず知らずの他人と、こうした会話ができるでしょうか?
まず有り得ないですよね。見ず知らずの他人が挨拶してきたり、話しかけてきたら、「この人、怪しい人かも、、、。」と頭の中では即座に警戒警報が鳴り響きますよね。ナンパ目的か、新興宗教の勧誘か、新手の悪徳商法かもと身構えてしまいますよね。怖くなって無視するか逃げ出したりしますよね。
肌の色の違う外国人だと、自分とは関係ない別世界の人という感じでしょうか。電車の中で外国人を見かけたなら、「英語で話しかけられたら、どうしよう?英語は出来ないから話しかけられたら困る。」などと距離を保つ人が多いのではないでしょうか。電車が混んでいるのに外国人が座っている隣の席は空いていることがありますよね。日本では見ず知らずの人とは関わらないのが無難。だから友達は同じクラスの人や同じ部活動やサークルの人、同じ職場の同期の人に限られてしまいますよね。
オーストラリアは移民の国なので、いくら白人でも何代か遡るとヨーロッパからの移民であり、本当のオーストラリア人というのは数万年前からこの大陸に住んでいるアボリジニーという原住民だけです。メルボルンでは僕の様な外国生まれの人が人口の4割いると聞いたことがあります。町を歩く人の半分近くが外国から来た人達。見ず知らずの僕の様な外国人に対しても違和感なく接してくれます。
上の写真は今日午後からの散歩の途中で取った新興住宅地です。車の通る道の両側に緑地帯が2メートル程あり、歩道があります。
次の写真は散歩途中のゴルフ場です。ゴルフ場の周りには住宅が建てられていて、グリーンの眺めがいい不動産は値段が高いです。
見出しの写真は住宅を背にして撮ったもので、ゴルフ場の遥か彼方にメルボルンのビジネス街の高層ビル群、左側の水平線の下にはポートフィリップ湾の海が青白く見えます。
今日の散歩の途中に通り過ぎた人は知らない人ばかりでしたが、殆どは、お互いに顔を見てHello! Hi! G'day!などと挨拶をかわせました。
ではまた明日、このページでお会いしましょう!