昨日のブログでは、オーストラリアの老齢年金(Age pension)は、税金で賄われているので、掛け金を納付する必要がなく、10年の移住歴があれば、独身者は年に290万円、カップルなら437万円支給されます。(ただし、金融資産がたくさんあると減らされる。)
87歳まで生きたと仮定すると、受給額の合計が独身者で5千万円以上。カップルの場合は1億3千万円以上をオーストラリア政府から支給されるので、本当に信じられない位オイシい話なのです。
日本で国民年金の受給資格のある皆さんがオーストラリアに10年以上移住した場合は、日本の国民年金とオーストラリアの老齢年金の両方を貰うことが出来ますから、、、素晴らしいですね。(僕は若い時に日本を飛び出したので、国民年金の受給資格がありません。)
昨日の記事でブログの閲覧数が急上昇したので、今日はオーストラリアの厚生年金についてお話しします。オーストラリアの厚生年金はスーパーアニュエーション(Superannuation)といって、日本語では確定拠出型年金と言われます。
この厚生年金は雇用主が雇用者の給料とは別に、給料の11パーセント相当の金額(2025年には12パーセントに上がります。)を雇用者の為にスーパーアニュエーションの基金に積み立てる義務があります。そして、雇用者も自分の給料から何パーセントかをその基金に積み立てる事が出来るのです。この何パーセントかというのは雇用者が自分で決められて、0パーセントの人もいれば、30パーセントを積み立てる人もいます。
多くの人が自主的に給料から基金に積み立てるする理由は、節税効果です。給料で所得税が引かれてしまう前に所得の一部を基金に積み立てられるので、所得税を節税出来るのです。基金に積み立てる場合、スーパーアニュエーション税がかかるのですが、税率は15%と所得税よりも低いのです。
オーストラリアの高額所得者の所得税の最高税率は例えば年収が18万豪ドル(千八百万円)以上の所得についてはは45%の所得税を取られまから、税引き前にスーパーアニュエーションの基金に所得を移動させるれば、15%の税金だけで済むのです。
但し、スーパーアニュエーション基金に積み立てる金額で15%の税金で済むのには上限があって、雇用主と雇用者の加算した積み立ての上限は2024年度は27500ドル(275万円)です。
雇用者はスーパーアニュエーションの基金で資金を運用して雇用者が60歳以降、積み立てて運用したた金額を受け取ることが出来ます。受け取り方も様々で一括で受け取ることも出来るし、年に総額の4%以上から1パーセント刻みで受け取ることも出来ます。60歳になっても仕事を続けていれば、そのまま積み立て運用を継続して、例えば65歳で退職してから受け取ることもできるし、60歳以降も、厚生年金を受け取りながら、働いて退職するまで積み立運用することが出来ます。
貯金とは違ってスーパーアニュエーションは基金で運用するので、年に依って運用益は違いますし、リスク耐用度に依っても違いますが、標準リスクの場合、平均して積み立ての7%くらいの複利で増えていきます。7%の複利といえば、10年で約2倍、20年で4倍、30年で8倍、40歳で16倍になりますから、、、例えば22歳で働き始めた会社員が40年後の62歳でリタイアする頃には、巨額の積み立て金と運用益が手に入るのです。
しかも、引き落とすのは数パーセントで、後は継続して運用するのが普通ですから、、、一定以上の資金がある人は運用益の方が引き落とし額より多いですから、リタイヤ後は年々厚生年金が増えていくことが多いのです。
雇用者および退職者は、この基金にオンラインでアクセスが出来て、積み立てて運用している金額が現在いくらになっているのか、いつでもチェックが出来るだけでなく、その運用方法も自分のリスク耐用度に応じて株式などリスク(危険度)の高いものから国債や現金などリスクが低いものまで選べます。
日本の厚生年金と大きく違うところは他にもあって、日本の厚生年金は本人が死亡した場合、厚生年金の受給資格はなくなりますが、(代わりに遺族年金が支払われる場合があります。)オーストラリアの厚生年金は「節税効果が高く、運用できる老後に備える投資貯金」ですから、本人が死亡した場合は遺族がそっくりそのまま受け取ることが出来ます。
厚生年金の積立金が少なくなってきても心配は要りません。昨日のブログでも書いた通り、オーストラリアでは十分に生活が可能な老齢年金が貰えますから、、、オーストラリアの厚生年金(スーパーアニュエーション)を受け取りながら、老齢年金も一部、或いは満額受け取ることが出来るからです。
厚生年金を積み立てる理由、スーパー税率が所得税と比べて優遇されている理由、それはオーストラリア政府が国民には老齢年金に頼らないで、出来るだけ経済的に自立して欲しいとの考えがあるからです。つまり財政の負担になってほしくないと考えるからです。
国民としても老齢年金は基本的な生活をするには十分だが、大きな乗用車を夫婦で2台保有して、毎年1回か2回、2週間の海外旅行へ出掛けて、週に一回は映画やコンサートと外食に出掛けられる様な、比較的裕福な生活をする為には十分な老後の資金が必要ですから、厚生年金をしっかり積み立てて老後に備える必要があるのです。
日本では手取りの給料から生活資金を差し引いた残りの余剰資金は銀行に貯金するのが普通だと思いますが、オーストラリアでは、不動産や株式などに投資して資産を運用している人が多くいます。パーティーなどで人が集まると、不動産投資や株投資が話題になることも多くて、経済や税制、法律、相続の事など勉強になることは多いです。(日本では、飲み会などで人が集まっても、投資や貯金の話はタブーで、あまりしませんよね?)
ということで、今日はオーストラリアの厚生年金の話でした。なお、早期リタイアの方法に興味がある読者の皆さんは、このブログの投資や早期退職、海外移住のカテゴリーも是非ご覧下さい。為になるヒントが見つかるかも知れません。
それでは、明日も、このブログでお会いしましょう。