「作り過ぎない良さ」
名古屋・栄の名古屋市民ギャラリー栄で開催中の小学生・中学生・高校生たちによる3つの写真展を見て、こんな思いを新たにしました。
学校や近所の広場、商店、工場などで、働く父母や風景にカメラを向け、力まずに撮った作品の数々。僕の頬はゆるみっぱなしでした。展覧会は、いずれも25日(日)まで。
〈第1回市民ギャラリー栄「みんなともだち 子どもの写真展」〉
カルチャーセンターなどでアート作品の創作と取り組む市民の発表の場である、市民ギャラリー栄の主催で、小中学生から作品を募りました。
応募作品は少なめでしたが、カメラ歴の長い大人も「すごいなあ」と唸る写真ばかりです。
水族館で、水槽に顔を近づけた弟とウミガメとの「にらめっこ」。
一緒に出かけたおばさんのサングラス姿に、思わず「かっこういい」と写した作品。
兄弟でフィギュアを並べてつくった「ポケモンの世界」。
近所の生垣に当たる光をとらえた作品。
友だちと自分たちの影を写した「影遊び」と題する写真からは、子どもたちの楽しいやりとりが伝わってきます。
木から枯葉が一斉に舞い落ちるような「ういている葉っぱ」と題する作品のコメント欄には「葉は自分で飛ばしました」。なるほど。
〈第10回アイデム写真コンテスト「はたらくすがた」〉
子どもたちに「働く」ことの素晴らしさ伝えていきたい、と人材総合サービス事業を展開する会社が企画した写真展。全国の小・中・高校生から作品を募り、今回は約7500点が集まったそうです。
作品の多くは身近な人や尊敬する人の働く人姿をとらえています
保育士や訪問介護、スイミングスクールのコーチの母。生まれたばかりの妹を抱っこして仕事の電話をかける母の姿も。
救命救急センターや調理場、自動車会社、作業場などで働く父。養蜂や野菜作り、町工場の祖父。4人もの幼児たちを抱きかかえる保育士、鉄板焼き、肉屋、ラーメン屋で働く人やガラス職人、飾り職人の姿もあります。
いずれの作品にも付けられた「なぜこれを写真にしたのか」「「撮影しての感想」などのコメントに目を通すと、子どもたちの働くことへの眼差しの確かさを知ることができます。
小学生の部グランプリ「60歳のパワーと迫力」
小学生の部準グランプリ「かっこいいおかあさん」
中学生の部グランプリ「蹄鉄師と競走馬」
中学生の部準グランプリ「色水遊び」
高校生の部グランプリ「笑顔の収穫」
高校生の部準グランプリ「思いやり」
〈第29回高校生の写真展〉
愛知県内の高校にある写真部の生徒の成果発表です。ことしは250点余が展示されています。
作品は学校でのシーンだけでなく、家庭での家族やペットのひとこま、近所で撮った風景とさまざま。高校生らしい感性でファインダーをのぞき、シャッターを押していることが伝わってきます。
題名にも、ひとひねりが
廊下を微妙な間隔で並んで歩く2人の男子生徒と女子生徒の写真についた題名は「距離感」。
スマホに夢中の4人友だちにカメラを向けると、3人がVサインをした瞬間をとらえた作品には「無関心でもなし」。毛づくろいするサルたちの写真には「そこもたのむよ」。
題名も立派な作品の要素ですね。
高校生の写真展の会場