風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「メッセージ込められた夕日の油絵=名古屋市民ギャラリー栄で個展」

           

          
                 
  
             

驚きました。敬服しました。
名古屋・栄の市民ギャラリー栄で開かれている個展「夕日の油彩展」を拝見しての率直な感想です。夕日を背景に、70年前の大戦地に思いをはせたり、星条旗や有刺鉄線を描き込んだ、いずれも100号大(162㌢×130・3㌢)の23点。題名をみて、てっきり「幻想的で神秘的な夕日を、多彩でコテコテ塗りしてあるのだろう」程度に思って出かけた自分が恥ずかしくなりました。展覧会は15日(日)まで。

元サラリーマンで、ことし60歳の還暦を迎えた千種区在住の高津伸生さん。
「絵は子どものころから好きでした。しかし、サラリーマンでは思うように描けません。心身とも仕事に疲れたので、定年前に思い切って辞めて、伸び伸び絵が描ける世界に飛び込んだのです」「夕日を選んだのは『もう仕事も終わった。楽しむだけ』ということで・・・」

教室や会派などには所属していません。「上手く描こうとか、こう描かねばならないというのは嫌だから。自分で描きたいように描くのです」
インドネシア、アメリカ、ポルトガル・・・。国内外だけでなく世界のあちこちへ出かけます。その旅も半端じゃないようです。「スペイン北部の巡礼の道へは、毎年のように出かけます。巡礼の宿に泊まって1ヶ月ぐらいかけて歩きます」

旅で出会った夕日をカメラに収め、写真をもとにアレンジして絵にします。
スペインの絵の1枚には、有刺鉄線が入っています。「南米などの国々を植民地化していったスペインの歴史を思ったからです」
サイパン島の夕日には、戦地に残る兵器の残骸と、海に向かって祈る男性の後ろ姿を入れています。
「祈る男性は私です」

「メッセージと言えるような大層なものではありませんが、構図など絵画の基本も勉強していないので、思いついたことを描き込んでいくと、こうなるのです」

今回展示されているのは過去7年間の作品。
「還暦ということで思い切って個展を開いてみました。絵だけでなく、スノボや大型バイクでのツーリング。ハングライダーにも挑戦しています。まだまだこれからです」。まさに還暦が新たなスタート、というわけですね。
  
  

  

  

  






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