先の滋賀県近江八幡市のスケッチ会で、八幡堀から数分の城下町を散策していて目にした古民家の開き戸と板塀を描いてみました。
通りには、豊臣秀次の楽市楽座政策が起源ともされ、国内外で活躍した近江商人の旧家や屋敷が建ち並びます。
これらの古民家の白壁や、火災の延焼から守るうだつ、中二階の壁面に設けられた虫籠のように細い縦格子の「むしご窓」など、絵になる素材がいっぱい。枝ぶりの見事な松を外から見えるように植えた「見越しの松」も魅力的です。
そんな中で絵の素材にこの開き戸と板塀を選んだのは、断続的に降っていた雨がひと休みして、雲間からほんの少し覗いた日差しが染めていたからです。
開き戸の板にも、塀の板にも木目が見えます。板の下部の朽ちたような様子が年代を感じさせます。
もうひとつ、きれいだなと思ったのは板塀に削ったように並んでいる跡。よく見ると、あまり規則性はなさそうです。板のひび割れ防止などのためか、模様なのか分かりません。僕は大工が釿(ちょうな)のような道具で楽しそうに彫ったデザインだと想像しながら筆を進めました。