散歩コースの一つに、通るたびに足を止めて見上げる個所があります。そこにあるのは、雑木林の茂みに生るアケビの実です。
宅地化が進む名古屋市郊外のこの地ですが、自然の風景がまだ残っており、アケビの姿は数年前に発見しました。田舎で育った少年時代、毎日のように自宅の裏山へ出かけてアケビを口にしたのを思い出しながら見上げています。
アケビが生っているのは地上から3~5㍍のところ。
少年のころはそばの木に登るか、アケビの蔓を引っ張って手にいれたものですが、さすがに今は見上げるだけ。熟して厚い皮が割れ、中身が無くなった皮だけがぶら下がっているのを見て「ああ、鳥たちが食べたな」と秋の深まりに思いをはせるぐらいです。
ところが、昨年の秋のある日。
アケビの下の地面を見てびっくり。2つに割れたアケビの皮が10数個も転がっていたのです。皮の中身はありません。
カラスの仕業に違いありません。カラスがアケビを落とし、厚い皮を開いて中の実をついばんだようです。
その数日前にアケビを見上げた時には「まだ固いな。皮が割れるのはしばらく先だな」と思っていたのです。でも、カラスはずっと前から狙っていて「自然に割れるより前に食べよう」と考えていたのでしょう。
カラスにしてやられた、というより「さすがカラスだね」と思うしかありませんでした。
今年はどうなるのか、多分同じでしょう。いったん学習したことをカラスが忘れるはずはありませんから。
アケビが生っている茂み