見たような構図の絵だな、と思われる方が少なくないでしょう。
昨年夏、京都の東福寺を訪ねて、日本画の巨匠・東山魁夷が描いた「東福寺の庭」を僕なりに描いてみました。といっても、もし東山画伯が描いていなければ、僕なんかがこのようなシンプルにとらえた描き方を思いつくはずはないのだから、「サルまね」と言った方が正しいでしょうね。
敷石とウマスギゴケで描かれた市松模様。一見単調なようだけど、しばらく縁側に座って見ていると、石畳の苔が大広間に並べられた座布団のように見え、会議や講話に集まった人たちの緊張感や会話が聞こえてくるようでした。
暑さなどで苔が枯れたのか、あちこちに赤茶けた部分が見えます。せっかくの苔庭なのだから緑色で塗りつぶそうかとも考えましたが、できるだけ忠実に描くことにしました。苔の座布団の分厚さ、敷石の質感をどう出すかも課題でした。
「年暮る」「緑響く」など、どれも見とれてしまう東山作品ですが、「東福寺の庭」はもちろん「道」「二条城の石垣」など、単純化を極めたともいえる画面構成の絵もすごいですね。これから石垣や道も「サルまね」してみたい、と思っています。
正直言って、絵のことには全く興味がなかった少年時代、本で見た「道」の絵に「どうしてこの絵が・・・」と首を傾げていたのですが・・・。<o:p></o:p>