「デジタルアート展」という写真展を、名古屋市民ギャラリー栄で見てきました。
昨年も拝見しましたが、デジタルアートときいて思い浮かべるデザインアート的な作品だけではなく、思い切った切り口でとらえた写真が多く、絵を描くことを趣味にしている自分も大いに参考になりました。展覧会は22日(日)まで。
主催側の説明によると、初めて展覧会を開いた18年前は、インクジェットプリントが珍しかった時代。しかしパソコンの急速な普及で色やトリミングなど補正や加工が進み、カメラ本体もデジタル化して機能が大きく変化しました。そこで、「デジタルアート」の名を残しながらも、写真本来の撮ることの楽しさを一層追求していこうということのようです。
A1サイズを中心に並ぶ80点余の作品からは、その狙いが伝わってきます。
例えば、道路のゼブラ模様と背後のミラーに映るゼブラを捉えた作品。ミラーのゼブラはデジタル加工したのだろうかと思い近づいて見ましたが、そうではないようです。
仁王像の手だけを捉えた2枚組写真や、寺社の木組みの一端だけを収めた作品も興味深く見ました。デジタル写真その物である湖面に垂れる木の枝と泳ぐ鯉の合成写真も印象的でした。
ところで、これからの写真の世界はどうなっていくのでしょう。主宰者の古井圭介さん(55)に訊ねると、こんな答えが返ってきました。
「ここ2~3年の変化を見ると、どうなっていくのか想像もできません。とにかく『こうあるべき』といった枠はつくらず、自由に写真の魅力を一層追求し、表現していく。ただ発表形式としては立体などではなく、あくまで平面でと考えています」