「大名古屋電脳博覧会 2017」
デジタルの技術や表現を駆使して、アートやデザイン、遊びなどを生み出す、といった名古屋の芸術系大学の学生らによるイベント。
タイトルがでかいのは若者らしいノリだとしても、頭が相当柔らかくないと理解できないかなと思いつつ、会場の名古屋市民ギャラリー矢田(地下鉄ナゴヤドーム前矢田駅下車)へ出掛けてきました。10日(日)まで。
参加大学は愛知県立芸術大学、愛知産業大学、名古屋学芸大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学の計5校。メディア系学部・学科の学生らが「地域・つながり・今の旬」のキーワードで作品を展示しています。
会場には投影機やスクリーン、イヤホン、画像などが並びます。何のことやらさっぱり分かりませんので、大学の卒展巡りと同様、思い切って居合わせた学生に声を掛けます。
「これは何ですか」と尋ねた部屋では、バドミントンコートぐらいの床の2カ所に花模様が投影されています。
「花の中に入って体を動かすと、天井のセンサーが反応して花が増えます。多く咲かせて楽しむのです」と女子学生。
――ゲームの世界ですね。
「そうです。私とやってみませんか」
なるほど。向かい合うように立って体を動かすと、互いの「床の庭」の花がはじけるように増えます。花咲か爺さんならぬ「花咲かゲーム」ですね。
色も形も判然としない写真画像を前に、説明を受けました。
「パソコンの検索で何かの画像を出します。次に新たに似たような画像を出して重ねます。同様のことを何度も繰り返し、色も変えたりして重ねます。全く予期せぬ画像になりますが、見る人それぞれが何かを感じます」
近年、現代アートを中心に絵画の世界でも、画像処理による創作をよく耳にします。でも、絵画やCM制作ならまだしも、画像技術が世界を変える力さえ持つと思うと恐ろしくもなりますね。
「仮想アイドル計画」という作品は、目や眉毛、口、前髪、コスチューム、ペンライトなどの画像を用意して、さまざまな自分好みのアイドルがライブする姿を作りだしてもらう遊びのようです。
自分の時々の気持ちを描いた絵や写真をいっぱい貼り付け、入場者に1枚はがして机に置いてもらう作品も。はがした人は、どんな気持ちでその一枚を選んだのでしょう。最終日にはがされた絵や写真を綴って・・・。
デジタルとのかかわりはともかく、兼好法師は徒然草を後に誰かに読んでもらおうと思って書いたわけではない、との説をもとに編み出した作品のようで面白く思いました。
ピント外れの質問や理解もあったでしょうが、きちんと説明してやろうという学生らの意気を感じ、結構楽しめました。