水彩画教室のスケッチ会で、名古屋都心の城下町の一角にある円頓寺(えんどうじ)商店街と四間道(しけみち)を歩いてきました。
ともに商人たちの歴史を留める町並み。以前にも教室でスケッチに来て、その後も個人的に訪れていますが、新しい街づくりに取り組む地元の意気込みを感じています。2回に分けて掲載、1回目は円頓寺商店街です。
円頓寺の商店街は長さ220㍍、幅8㍍のアーケード街。古くから大須、大曾根と並ぶ名古屋の3大商店街のひとつとして繁栄。名古屋城も焼け落ちた名古屋大空襲の被害も比較的少なく、戦後も市民の買い物と憩いの街でした。
しかし、時代の波に押されて激変。大須がさまざまな町おこし策で若者の支持を集め「全国区」に躍り出たのに対し、円頓寺は「シャッター街」に。
かつて走っていた路面電車が廃止され、現在は名古屋駅から900㍍ほど、地下鉄の国際センター駅から500㍍ほどという微妙なアクセスも響いたでしょう。大須商店街が地下鉄駅から地上に出るとすぐ大須観音の境内、という利便さとは随分違いますから。
こんな状況の打破に立ち上がったのが、若い商店主たちでした。
昭和の面影が残る民家や商店を改修。アーケード街は毎日午前11時から午後10時まで歩行者天国に。 ちょっとおしゃれな喫茶店や雑貨店が目につきます。ひょいと横丁に入れば、昭和の色濃い飲み屋小路「円頓寺銀座街」も。
大学生たちも加わり、空き家などを使った映画祭の開催。アクション歌舞伎を楽しみながら商店街で買ったメニューを飲食できる歌舞伎カフェ「NAGOYAZA」は、若者の人気スポットに。そのホームページは、英語版も設けて外国人観光客にも力をいれています。
アーケード出入り口の大通りの交差点では、学生たちの作品である信長、秀吉、家康の3英傑、そしてなぜか水戸黄門のモニュメントも目にしました。
60年以上の伝統がある円頓寺七夕まつりも、商店街が趣向を凝らして楽しさをアップしました。老朽化していたアーケードも50年ぶりに明るくリニューアル。パリの老舗アーケード街「パッサージュ・デ・パノラマ」と姉妹提携し、パリ祭を催したりしています。
それでもまだ、シャッターを下ろしたままの店が少なくありません。パリのパッサージュのいくつかを訪れたことがありますが、賑わいひとつをみても比較になりません。でも、商店街の歴史や心意気は引けをとらないはずです。若い商店主らの知恵と熱意と行動力が続く限り「名古屋のパッサージュ」も夢ではないでしょう。
今回訪れたのは、シーズンオフの平日。今度は賑わう日に訪ねたいと思います。
人気上昇中の歌舞伎カフェ「NAGOYAZA]
なぜか水戸黄門の像も
昭和の色濃い「銀座街」も
アーケード街は歩行者天国
パリ市内のパッサージュ