レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

『左組通信』復活計画[32]『LL』復刻(5)LL6 1995年秋号-週刊ヒッキイ第671号

2024-09-26 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第671号(Vol.20 no.16/No.671) 2024/9/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」



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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第671号(Vol.20 no.16/No.671) 2024/9/21
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『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」
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 今回はまた、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』
 の復刻で、ホームページに公開していたページのコピーです。



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ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (5)
 
   (内容紹介)LL6 1995(平成7)年 秋号

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*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL6 概要

(A5版8ページ)

前説 The Compliments of the Fall Issue道を切り開こう!
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―私の簡単“左利き判別法”
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その6Left-handed tools & goods
―左利き用万年筆の使い心地良さ!
左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編
―『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
 社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
―ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果



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LL6 1995(平成7)年 秋号
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A5版8ページ

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前説 The Compliments of the Summer Issue
道を切り開こう!
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今年の始めに関西を襲った阪神淡路大震災の直後に、痛切に感じたのは、
一本の鉄道の、一本の道路の持つ役割の重要さ、大切さということ。
一本の鉄道が、一本の道路がいかに多くの人を、物を運んでいるか。
そして、そのつながりが人の心をも繋いでいる。
ただ単に生物的レベルで生きる糧を与えているだけでなく、
人に勇気を、希望を、夢を、愛を与えている。
道がつながっている! 通れる道がある! ということが、
人の気持ちにゆとりを与えることができるのだ。
今私は、その“道”を作ろうとしている。
左利きの人々に、愛と勇気と希望と夢を与えてくれる、
そういう“道”を!
いつの日にか、この道も立派な大道になるだろう!
その日を夢見て、Keep on working!


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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―私の簡単“左利き判別法”
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「あっ、あの人左利きや」とわかるのは、まず一番は、字を書くとき、
次に食事のとき――といったところでしょう。
しかし、これでは小さいときに“矯正”を受けた人は見抜けない。
字を書いたり、箸を使ったりするときに右手を使う左利きの人は
少なくない。
やはり刃物を使う、あるいはその他のいろいろな道具を使うときの様子を
見ないとわからない。
もしくは、スポーツをするとき――たとえば野球で言えば、
キャッチボールやバッティング、サッカーのボールを蹴る足、
テニスのラケットを持つ手、ゴルフのクラブを構えるときなど…。

今回ご紹介するのは、町を歩いているときに使える、
私の発見した“左利き判別法”で、
それは、〈自転車に乗っている人〉の見分け方である。
前回の「左利きの生活/こんな道具が不満です!」で書いたように、
自転車というものも右利き用に設計された道具である。
 左側から乗るときに邪魔にならないように右側にチェーンがある。
 右利きの人は手だけでなく、利き足も右の場合が多く、
 そういう人は左足で体重を支え、右足で作業をする。
 すなわち、左足はペダルにかけて、右足で地を蹴るか、
 ペダルをこいでスタートする。
 左手は常にハンドルに置き、
 いつでも主ブレーキである後輪ブレーキがかけられる。
 右手は状況により、ベルを鳴らしたり、前輪ブレーキをかけたりする。

――では、その乗り方による判別法とは:
① 物を持っている場合は、たいてい利き手で持っている。
左利きの人は、左手に。
② 惰力で走るときは、体重を支える軸足を伸ばして、
利き足の膝を曲げ、次の動きに備えている人が多い。
左利きの人なら、左足を曲げ、右足を伸ばす。

あなたはどんなときに、
「あっ、この人は左利きやぁ」と気付きましたか? 
あなたの発見した“左利き判別法”を教えてください。


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左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか? その6
Left-handed tools & goods―左利き用万年筆の使い心地良さ!
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 いつごろだったか学校で、ペン習字の時間というのがあった。
鉄製のペン先をペン軸にさして、インクをつけて書くのだが、
このときはとにかくたいへんな目にあった記憶がある。
なにしろ、ペン先が紙にひっかかって書けたものじゃない!
 右利きの人は、ペン先を引いて書くので問題はないようだが、
左利きの場合はペン先を押していくので、
紙にペン先を突き刺すような形になる。
しかし、気軽に人に相談できるタイプではなかったし、
先生にどうすればいいのか訊けるような積極的なほうではなかったので、
左利きの私のためにいい方法を教えてくれる人はいなかった。

 左で書く生徒のために、個別に書き方を指導する先生はいなかった。

 初めて手にした万年筆は、安物ではあったが、
やはり本物の万年筆だけあって、鉄製のペン先とは違って、
書き味には格段の差があり、さほど引っ掛かることもなく、書けた
と記憶している。
 残念ながら、これはいつのまにかなくしてしまった。
 二本目は、日記を書くなら万年筆、と考えて二十代に手に入れた物で、
今も使っている“パイロット”の14金のペン先のもの。
 しかし、これもはじめはうまく書けず、力を入れて
ペン先をつぶすようにして、やっと書けるようになった。
ところが、いつしかボールペンやフェルトペンに変わってしまった。
というのも、インクの乾くのを待たなければならない、水に弱い、
等の理由もあるが、やはり書きにくさ、というのが底にはあったようだ。

 今回、左利き用の万年筆を購入してみた。
 ペン先が左下がりにカットされていて、
左手で構えると紙面にピタッと沿い、いかにも書きやすい。
スムーズな滑りで、縦線が太目のやわらかな文字が書け、
予想以上に気持ち良く、ついつい使いたくなってしまう!
 まるで、新しいおもちゃを手にした子供のように、
楽しくて仕方がない毎日である。

パーカー・フライター45CT 万年筆(左利き用)
 左利き用のニブ(ペン先が左下がりにカットされている)なので、
ひっかからずにスムーズに書ける。
Parker Flighter 45 CT fountain pen/ANYTHING LEFT-HANDED



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左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編
―『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
 社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
 1993年3月30日初版第一刷発行(1993/3/1) 原著©1988
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 この作品は、アガサ・クリスティ・ファン・クラブの会長、
数藤康雄氏よりご紹介いただいたものです。
左利きが重要なポイントとなっています。

 左利きと右利きの人が共存している理想的な世界――
それはどんなものか想像してみてください。たとえば、こんな風景――。

 左利きと右利きの恋人たち――後に夫婦となる――は
ひとつのパレットをはさんでキャンバスを並べ、絵を描いている…。
 もし彼らが右利き同士だったら、
それぞれに別々のパレットを置いて描くことになる。
しかし、彼らはそれぞれ右利きと左利き。
パレットを挟んで、右側に左利き、左側に右利きの人がすわり、
ひとつのパレットから、同じ絵の具で、ひとつの風景を描く…。
 
 この本のなかで重要な役割を持っているのが、
そのような彼らが描いたそれぞれの絵。
仲のよい彼らは同じ手法をマスターし、描いたそれぞれの絵は、
微妙な視点のずれ――角度の異なった一組の絵をうみだした。
 彼らが手放した数枚の絵は、のちに名画として高く評価され、
財産としても一角のものであった。
 ところが、お金に困った主人公が
お祖母さんの絵を鑑定家に見せたところ、
なんとその絵は世界に数枚しかないという、
その高名な画家の手になるものだという。
離婚の危機に陥っている主人公は、
この鑑定家の女性とともにお祖母さんを訪ねるが…。

 その画家の数少ない実物を持つギャングのボスとの間で、
お祖母さんの絵をめぐってのコンゲーム…。
お祖母さんの絵は、本物か否か? 
お祖母さんを殺した犯人は誰か? というミステリ小説。


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<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果
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THE LEFT-HANDERS’ CLUB SURVEY 1994(翻訳:レフティやすお)

 イギリスのロンドンにある左利き用品専門店、
エニシング・レフトハンデッドの顧客と店を結ぶべく、
1990年にスタートしたザ・レフトハンターズ・クラブは、
現在千五百人を超える会員を持ち、年に四回の会報を出している。
 1994年6月に行われた会員に対する詳細な調査は、
会員自身の個人的、あるいは家族の歴史、
それぞれの特質・考え方にまで及び、左利きの人にとって重要なこと、
なやみの原因となる事柄を明らかにさせる、というねらいがあった。
 現在までに回答を寄せた263名の人たちは、全国的に見て、
年齢・性別・家族の状況など、典型的な左利きの人々である。
調査の結果は、左利きの人とその家族の体験に基づく主観的な意見と、
左利きに対する実際にある言外の意味とを教えてくれる。
 私たちは、この調査結果に啓発的なものと、魅惑的なものを発見した。
そして、私たちの継続的な活動において、
左利きの人に対する良き認識と考察のために、
それらを正しく用いるつもりである。

 調査の結果と結論は、下に示すとおりである。

◎ どちらの手を使いますか? Which hand do left-handers use?

(左手/左側の割合 %)
・字を書く、絵を描く           100%
・ハサミで切る               82%
・髪の毛をブラッシングする、とかす 98%
・歯を磨くとき、歯ブラシを持つ       97% 
・フォークなしで、ナイフを使う       92%
・フォークとともに、ナイフを使う      27%
・スプーンだけを使う           100%
・片手でボールを投げる           90%
・テニスのラケットを握る          92%
・ふたを回して開ける            88%
・ボールを蹴る               82%
・片目で見る(望遠鏡など)         76%
・(よく聞き取るために)耳に手をかざす   78%
________________________________________

「左利き」で食べる人のパーセンテージが低いのは、
以前の調査と一致する。
 左利きの人は、スプーンであろうとフォークであろうと、
常に首尾一貫して同じ手で食事をしている。
右利きの人は一致しない。
彼らはどの道具を使うかによって、手を使い分けている。


◎ 会員は書字(手書き)の際にどのような問題を持っているのか?
 Did members have problems with handwriting?

・カギ状の記号を書くとき、ペンの頭を中心に手をねじる
  ページを横切ってペンを引く           13%
・机に対して、斜め右に傾ける            63%
・自分のからだを斜め右に向ける           40%
・書いているうちに、時々書いたものが汚れてしまう  69%
・自分の書く姿勢が窮屈なことに気付く        29%
・あなたの書き方や姿勢が、書くスピードを鈍らせる
  たとえば、ノートを取るとき           38%
________________________________________

左利きの人の最大の問題は、書くことだが、
それはインクがスムーズに流れる左利き用の万年筆を使うことで、
書くのに適した姿勢と用紙を置く位置を工夫することで、解決できる。
もし、先生たちがこのことに気付いていたら、
左利きの子供たちの生活は、もっと楽になるに違いない。


◎ 左利きの人は学校でどんな問題を持っていますか?
Did left-handers have any problems at school?

60%の人―広い年代にわたって。全体的に見ると、
 サポートのないこと、あるいは少ないことに集約される。

代表的な意見は
・訴えた後で、父親が先生と話し合った。
・違いやむずかしさを感じた。
・誰もが、頭が悪いと思った。
・左利きの先生からだけ。

64%―書き方を習うときの困難さ
・悪夢! 汚れる/覆い隠す、書くことはいつも問題になる。
・先生は右利きに変えるように試みさせる。
・ペンとインクを使わなければならなくなるまでは、楽しんだ。
・左手を使うのと、汚すのとで、定規が耳に。
・校長が言うことには、私のペットのクモの方がきれいに書ける。

17%―いつかは左利きであることをやめさせようとした。
15%―左利きとは直接関係ないけれど、
多少話すことに問題を持っていた。


◎ 左利きの人が左利きに結び付けて考える特質
Attributes that left-handers think relate to their handedness

44%の回答―右利きの人より有利だと考えていること:
 適応性/順応性、論理的思考、創造性/独創性、
 (数字・文字を)逆から数えたり、読んだりできる、絵を描く、
 ドライブ(ギアが左側)、空間認識に優れている、計算に優れている、
 なにごとにも向いていて偏見がない、記憶がよい。

スポーツで有利といわれているもの:
  ボクシング、クリケット、テニス、バドミントン、フェンシング、
射撃、ラウンダーズ、野球。


◎ 右利きの人は左利きの家族をどのように考えているか?
 What do right-handers think of their left-handed family?

54%の回答――彼らが見た左利きの人たちの困難さ:
・缶切り、小切手帳、切ること、台所用品、書くこと、電話、カメラ、
  裁縫、ビンを開ける。
・礼儀正しく食べない。
・さまざまな運動の技法を教えてもらえない。
・彼らの書いたものは読めない。

30%の回答――左利きは、日常の仕事において、行いが不器用で、
  動きがぎこちない。
・不器用だ、しかしそれはまちがった道具を使っているから。
・ほとんどの仕事でへたくそ、すべてのことに自信のなさと
  内気さが現れている。
・少し変わった意見:「彼女が引っ越すとき、損をする」
・         「彼女の左足が内側に向くと、時々倒れる」

6%の回答――左利きは有利だ:
・いくつかのスポーツで。
・彼らは順応性が高い。
・空間的作業や創造性に優れている。


◎ 左利きの人は自分自身のことをどのように見ているか?
 What do left-handers see themselves?

56%の回答――左利きは平均より知能が高い。
39%の回答――平均より不器用で動作がぎこちない。
51%の回答――平均より創造力があり、芸術的である。
________________________________________

左利きは知能が高い、と示す調査があった。
しかしそれは一般的に受け入れられていない。
七人(三%)の人たちは、MENSAのメンバーだという。
これは、MENSAに加入できる率、人口の二%よりわずかに高い。
しかし、彼らのメンバーの間では、左利きの記録を取っていない。
(*MENSA/知能テスト上位二%の人々のクラブ)


◎ 左利きに関係がある事故 Accidents related to left-handedness

19%の回答――明確に左利きに起因すると考えられる事故の詳細:
・メータースタンプ器に左前腕をとられた。
・パンをスライスするときに指を切った。
・体育教師を投げ槍で危うく殺しかけた。
・(右側に注ぎ口のある)シチュー鍋から熱い液体を注ぐときに
 やけどをした。
・学校の木工作業でノコギリで事故を起こした。


◎ 仕事での左利き Left-handers at work

・回答者は、例外的ではない集団をして、広い分野の職業に存在する。
  八%は教師。
・左利きの人が仕事において好きなこと:
  ひとびととふれあうこと、創造的思考、問題を解くこと、
  計画を立てること、実用的な仕事、数字に関する見積もり・予測。
・彼らが嫌う仕事:事務処理、繰り返しの多い仕事、訓練、
  型にはまった仕事、役所仕事、書類整理。


◎ 左利きの人が期待している改良点
Improvements that left-handers would like to see

・右利きの人からの思いやりをもう少し。
・もっと教師に左利きに関する認識と教育を。
・世間一般の人が、左利きは不器用だ、と考えないこと。
・少数意見「おやまあ、あなたは左利きですか、お気の毒に」

左利きバージョンが欲しいもの、具体的に:
 小切手帳、カメラ、ビデオカメラ、自転車のベル、絵のパレット、
 ライフル銃、コンピューターのキーボード・マウス、アイロン、
 計量カップ、会議机、調理器(左手で開くオーブン)、
 クロスワード(ヒントが右側に書かれている)、手すり(両側に)、
 ガスストーブの調節つまみ、芝刈り機、ワードプロセッサー、
 ペッパー/ソルト・ミル、ミシン、キャッシュマシン、
 充分な長さの紐がついたカウンターのペン、
 セガ・メガドライブのコントロール・パッド、スーツケースの引き手。
________________________________________

これらのうちのいくつかは、実現が難しい。
しかし、わがクラブでは左利きのニーズをよく考慮するように、
デザイナーや製作者に対してキャンペーンを続けていく。
財政的に実行可能な限り、
特別に製作した各種の左利きバージョンの道具を確保する。
クラブの会報”The left-hander”を通して、左利き並びに、
潜在的な問題を軽減させることができるものに対する認識を
引き続き高めていく。

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――次回は、

 「LL7 1995-96(平成7-8)年 冬号」

を紹介する予定です。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」と題して、今回も全紹介です。

「<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果」は、私自身の翻訳という素人の仕事ですので、誤訳も多々あるかと思われます。
それでも、それなりに言わんとする意味はご理解いただけるかと思います。

30年前の調査ではありますが、それぞれに貴重な内容の情報で、現代にも通じる部分があります。
多くの方に知ってほしい情報でした。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
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日清チキンラーメンひよこちゃんは左利き?

2024-09-17 | 左利き
日清のチキンラーメンひよこちゃんのカレンダーの9月の分を見て、ふと気付いたのです。

なんとカップヌードルを食べるときに、フォークを左手に持っているではありません。
向かって右側の手?に持っていますからね。


(画像:日清食品2024年ひよこちゃんカレンダー――9月カップヌードルを左手に持ったフォークで食べるひよこちゃん)

ほかのを見てみたら、残っている分では、6月のカレーメシを食べるときに、スプーンを左手に持っていました。


(画像:日清食品2024年ひよこちゃんカレンダー――6月カレーメシを左手に持ったスプーンで食べるひよこちゃん)

これは、「ひよこちゃんは左利き」ということでしょう!

テレビかなにかで見た「おとなのひよこちゃん」(?)は、右手で食べてたような記憶があります。
そちらは別人なのでしょうか。

少なくともかわいい方のひよこちゃん(?)は、ここで見た限り「左利き」のようです。


 ●日清食品のテレビCMには左利きのタレントさんが多かった

思えば日清食品は、過去のテレビCMで、多くの左利きのタレントさんを起用してきました。

世間的にはまだまだ左利きが忌避されていた1970年代後半から、山城新伍さんと川谷拓三さんとコンビを組んだ「どん兵衛」CMでの「左手箸」の共演がありました。

私はこのCMを見て大いに勇気を与えられたものでした。
他の左利きの人たちも同様だったのではないか、と想像します。

*参照:2009.8.16
8月14日「どん兵衛」CM等で活躍の山城新伍さん(70歳)死去
「新生活」版

その後も、上の記事の中にも書いていますように、普段は右利きだけれど食べるときは左利き・左手箸の国分太一さんが長らくチキンラーメンのCMに出演されていました。

他にも日清のCMには、小池栄子さん等も出演していたかと思います。


*参照:
・2023.11.18
『左組通信』復活計画(25)左利き自分史年表(2)1972-1979―世界が間違っている-週刊ヒッキイ第653号

1977(昭和52)23歳
(TV CM)日清食品「どん兵衛」 テレビCM始まる
 「きつねうどんから おあげとったら何になると思う」…
 「ただの素うどん」出演:山城新吾、川谷拓三
――左利きコンビが左手にお箸を持って「どん兵衛」を食べるCMは
とても好ましく、左手箸の左利きの人に大いに勇気を与えた。
日清食品「どん兵衛きつね」――
「どん兵衛」はヒットした。最大の要因はテレビCMだった。山城新伍と川谷拓三のひょうきんコンビのCMが人気を呼び、売り上げが急上昇したのである。小品を擬人化したどん兵衛というネーミングがあったからこそ、あのかけ合い漫才のCM世界が生まれたのだと思う。山城新伍の突っ込みと川谷拓三のぼけ具合が絶妙だった。
 / 発売二年目の一九七七(昭和五十二)年に売り上げ数量が一億食を超えた。きつねうどんの発祥の地は大阪である。根強いうどん人気もあってか、その年の二月の調査で、西日本ではカップヌードルを抜き第一位になってしまった。もちろんしばらくして巻き返しにあったが、一瞬でもカップヌードルの牙城を崩したのはすごいことだった。...
》p.78
――『カップヌードルをぶっつぶせ!――創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀』安藤宏基(あんどう・こうき) 中央公論新社 2009.10.7
「第2章 創業者とうまく付き合う方法/パッケージ戦力第二弾。ドンブリ型容器の「どん兵衛きつね」がヒット。「どんくさくてもいい」。社内の猛反対を押し切って商品名に。」より

・2023.12.16
『左組通信』復活計画(26)左利き自分史年表(3)1980-1990―左利き用品に目覚めるまで-週刊ヒッキイ第655号

1980(昭和55)26歳
4/5(映画)『ミスターどん兵衛』山城新吾企画・製作・脚本・監督・主演、共演川谷拓三、他
――山城新吾と川谷拓三の日清どん兵衛のCMがヒットし、映画に。


(画像:映画『ミスターどん兵衛』山城新吾企画・製作・脚本・監督・主演、共演川谷拓三、他 のポスター)

*CMキャラクター関連記事:
2008.3.3
左手書字するドナルドは左利き?
(「新生活」版)



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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
日清チキンラーメンひよこちゃんは左利き?
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楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)-週刊ヒッキイ第670号

2024-09-08 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第670号(Vol.20 no.15/No.670) 2024/9/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」


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  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第670号(Vol.20 no.15/No.670) 2024/9/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」
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 前号は、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見に
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論する第2回目でした。

 今回はその続きといいますか、最終的な結論――
 根本的な理由に基づく反論です。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆
 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}
- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(3)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由(再々載)

ネットで調べた「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言で、
左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

今回も改めて、それらのご意見――
「左利きでも右弾きを薦める人たちの理由」
についてまとめたものを書いておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?


 ●「左利きでも右弾き」に対するそもそもの理由

最後に、総合的な反論です。
といいますか、左弾きが認められない理由ですね。

これを説明しておきましょう。

以前少し書いていますが、簡単に言えば、左利き差別といいますか、
左利き否定の思想によるものです。

 ・・・

前回、前々回とそれぞれの反論を書いてきました。
それぞれ理屈は合っていると思います。

ただ「そもそもの理由」というものがあったのですね。

そして、実はそれ自体が大いなる誤りなのだ、という事実が、
実は最も重要なポイントなのです。

「左利きでも右弾き」を推奨するそもそもの理由とは?

それは、左利きそのものが否定されるべき事だった、という事実です。

左利きが否定される社会にあって、
「左利きですから左弾きで」
などという発言は認められるはずがありません。

「左利きは悪」だったのです。
左利きは直すべき悪習、悪癖だったのです!

ヴァイオリンの生まれたヨーロッパに於いても、です。

ヨーロッパ社会での
ヴァイオリン演奏で右弾きしか認められなかったのは、
ヨーロッパ社会では、古くから左利きは否定されていたから、です。


 ●十六世紀のヨーロッパ社会

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第661号(Vol.20 no.6/No.661) 2024/4/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(19)
 梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』からヴァイオリンの歴史」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.4.6
楽器における左利きの世界(19)梶野絵奈『日本のヴァイオリン史』から
-週刊ヒッキイ第661号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/04/post-4c5b1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a8bf813a7ec9e953053fb9ef3067c3df

でも紹介しましたように、

梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』
(青弓社 2022/9/26)


によりますと、

 《ヴァイオリンの起源については諸説あるが、
  イタリアでヴァイオリンの原形が十六世紀に生み出されたというのが
  定説になっている。》「はじめに」p.21

「十六世紀に生み出された」ヴァイオリンですが、
この十六世紀という時代は、
「左利きに対する抑圧が始まった」時期でもあったのです。

6月末に出版されました左利きの本の新刊、
ヨーロッパ(主にフランス)での左利き差別(と賞賛)の歴史を描いた
左利きの著者と訳者による左利き本

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27


この本は、
左利きでもヴァイオリンを右弾きすることが当然とされる根拠の一つ
といいますか、
そもそもの最大原因は、「左利きを認めない社会であった」
ということを証明する本、といっていいものです。


「第二部/第8章 虐げられた左利き」に、

 《左利きに対する抑圧が近代に始まったのは、ほぼ確かなようである。
  日常生活のおもな行動に左手を用いることがタブーとなったのは、
  十六世紀後半からである。》p.110

とあります。続けて、

 《やがてこのタブーは、より広い社会階層にも少しずつ適用され、
  ほとんどすべての人に共通した礼儀作法の規則と化していった。
  こうして左利きは、罰せられるべき違反者となったのである。》
pp.110-111

というのです。

こういう社会情勢の中で、
ヴァイオリンの演奏に於いて、左手で弓を持ち、左弾きする
というような行為が許される訳がありません。


なにしろ、このヴァイオリンという楽器は、
西洋の芸術音楽で中心的な役割を果たしている楽器でもあるのですから。

左利き自体が否定される状況で、主に上流階級で演奏される
芸術音楽の主役であるヴァイオリンを習う時に、
左利きですから左弾きで、という要望が認められるはずがありません。

そもそも日常生活でも左手使いが認められないのですから、
楽器の演奏が認められるとは考えられません。

もちろん、一般庶民の趣味的な演奏なら別でしょうが、
学校であったり、教会であったりといった場では不可能でしょう。


 ●公教育による右利きの規範化

これらについては、

第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.1
楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から-週刊ヒッキイ第665号
23:45 2024/05/29
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-ba1399.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b6f52c7e9db04cfc74b96d89909df32

でも、

--
ヨーロッパでも、日本と同じように左利きは差別されてきました。
認められるようになったのは、日本と同じように第二次大戦後のこと。

昔から左利きの子供たちは、親や学校の先生など大人たちから
「矯正」の名の下に、字を書く等の“人間的”な行為に関しては、
右使いに転換させられてきたのです。
--

と書いています。

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』の
「第二部/第7章 不寛容のはじまり」には、

 《学校はつねに左利きに対抗するためのもっとも有効な手段の
  ひとつであった。というのも学校は、利き手のいかんにかかわらず、
  右手で書くことを子供たちに義務づけていたからである。
  こうして何世紀にもわたり、文盲――
  これはとくに農村社会に見られ、下層階級に特徴的な弊害である
  ――は、いわば左利きのもっとも安全な隠れ所となっていた。》
 p.106

といい、十八世紀の証言によりますと、
田舎には左利きの農民が何人もいて、それは、教育の乱用によって、
生まれつきの性質が歪められていなかったからだ、と。

 《ところが、十九世紀を通して公教育が大幅に進展すると、
  やがてあらゆる改装の人々が、
  学校の文明化と徹底した規範化の動きに巻き込まれることになる。
  一八八二年、フランスで初等教育が義務化されると、
  すべての左利きの子供たちが、社会階層や家柄にかかわりなく、
  いっさい例外なしに右利きの支配下に置かれ、平等という
  名のもとに、生まれつきの性行を放棄するように命じられる。
  当時のある証言は、
  こうした「右利きの規範化」を国民に推し進めるうえで、
  公教育が果たした重要な役割を明らかにしている。》p.107

といいます。

 《したがって十九世紀後半には、公教育の大衆化によって
  右利きが圧倒的な覇権を握る。》p.107

 《一世紀も経たないうちに、(略)一九一九年に、
  左利きが生まれつきの性質を運よくそのまま保ち続けることは
  「きわめて珍しい例外」だと、述べている。その間に、
  ブルジョワ的道徳観の支配や初等教育の強制力が、
  左利きを制圧してしまったのである。》p.109

とあります。


 ●刷り込まれた規範

こういう社会に於いて、単なるお遊びや下層階級の慰みとしての
楽器演奏なら左弾きも許されたかも知れません。

しかし、上流階級のたしなみや教育の一巻としての、
あるいは中流以下においても、同様な意味での器楽演奏となりますと、
左利きだからといっても左弾きが許されることはなかったでしょう。

ゆえに、ヴァイオリンの左弾きは、
こういうふうに左利きが差別される状況下では、
あり得ないことだったでしょう。

その規範が現代でも生き残っているのではないでしょうか。
すくなくとも、クラシックの音楽を勉強してきたような人たちには、
「右弾きが正しい演奏法である」と刷り込まれているのでしょう。


 ●左利きの権利として、左利きに対応した楽器を!

第二次大戦後、すでに80年が過ぎようとしています。

アメリカでは、1920年代に左利きの右利きへの強制的な「転換」は、
多くの弊害があるという研究が発表され、徐々に改善されてきた、
といいます。

ヨーロッパ社会は、もう少し閉鎖的で新しい考えがなかなか浸透せず、
アメリカの影響を強く受けるようになる戦後になって
ようやくその方向に進み出した、という状況だったようです。

その辺はまたいずれ検討してみたいと思います。


とにかく、現代においては左利きは生来の一つの性質であり、
否定されるものではないという考えが、確定しています。

左利きの権利として、左利きに対応した道具類の必要性は
認められてきています。

音楽の世界においても、楽器においても、
一日も早くこの常識が通用する世界に変わって欲しいものです。

ギター類だけでなく、その他のあらゆる楽器において、
左利き対応の楽器が製作販売され、
初心者に左弾きを教育できる世界になってほしいものです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」と題して、今回も全紹介です。

現代においてもヴァイオリンの左弾きが薦められていないのは、要するに、他の左利きの場合と同じで、単純に昔から「左利きが否定され、抑圧されてきた」というだけの話です。

しかし、今はもうそういう時代ではないのです。
素直に左利きの人の思いを受け止めて、左用を準備する社会になってほしいものです。

難しい話ではなく、意識の変革だけの問題です。

古くさい常識は捨てて、新しい時代にふさわしい考え方を持つようにしたいものです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)-週刊ヒッキイ第670号
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『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』8月17日第三土曜日発行分夏休みのお知らせ

2024-08-19 | 左利き
左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』8月17日第三土曜日発行分夏休みのお知らせ の(号外)です。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(号外)「8月17日第三土曜日発行分 夏休みのお知らせ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 本来は、

 「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]
 『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」

 をお届けする予定でしたが、パリ・オリンピックや、
 (これは例年のことではありますが、)8月13日の
 「国際左利きの日」もありました。

*参照:
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.8.13
8月13日は49回目の「国際左利きの日」INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY
──始まりは1976年アメリカ
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/08/post-2af44d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/0c08203a44b3c0b279250570c69aa9d2


(画像:Googleでの英語「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の検索結果2件目の英語版 WikipediaのInternational Lefthanders Dayの該当部分-2024.8.11)

(画像:1993年11・12月号~1996年3・4月号 定期購読していた、アメリカ・カンザス州トピカのディーン R. キャンベルによって設立された「Lefthanders International」発行の隔月刊の雑誌「Lefthander Magazine」から、チェアマンのキャンベルさん)


また、わが東大阪市でも、
 8月1日には過去最高と並ぶ、最高気温38℃を記録するなど、
 連日35℃を超える猛暑が続いています。

 勝手ながら一回お休みをいただき、
 次号は、来月第一土曜日発行 とさせていただきます。

 あしからずご了承ください。

 では簡単ですが、この辺で。


 ちなみに、もう一つの、読書メルマガ

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
 https://www.mag2.com/m/0000257388.html(まぐまぐ!)

 8月15日号もお休みをいただきました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』8月17日第三土曜日発行分夏休みのお知らせ
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8月13日は49回目の「国際左利きの日」INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY――始まりは1976年アメリカ

2024-08-18 | 左利き
毎年書いていることなのですが、日本語で「国際左利きの日」を検索しますと、日本語版ウィキペディアも含めて上位10件中9件で、

《1992年8月13日、イギリスにある「Left-Handers Club」により》云々

と出てきます。



(画像(1)(2):Googleでの日本語「国際左利きの日」の検索結果上位10件)

一方、英語で「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」を検索しますと、2件目に英語版 WikipediaのInternational Lefthanders Dayが登場し、

《The day was first observed in 1976 by Dean R. Campbell founder of the Left-handers Club. 》

と出ています。
他のサイトでもこの情報を紹介しているところがあります。


(画像:Googleでの英語「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の検索結果2件目の英語版 WikipediaのInternational Lefthanders Dayの該当部分-2024.8.11)

日本語での検索結果とは大違いです。

誤りの諸悪の根源が日本語版ウィキペディアにあるのかどうかは存じませんが、困った状況が続いています。

ただし、日本語版ウィキペディアの「左利きの日」の項目(最終更新 2022年1月11日 (火) 01:35)には、

 《この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
  出典検索?: "左利きの日" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2021年8月)》

との注意書が出ています。
どなたかご協力してやってください。


 ●「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」と「LEFTHANDER MAGAZIN」

英語版Wikipedia等の「1976年キャンベル起源説」に関して――

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第624号(No.624) 2022/8/13
「2022年8月合併号―「8月13日は国際左利きの日」―」
ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』
2022.8.13
2022年8月13日左利きの日INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY合併号-週刊ヒッキイ第624号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/08/post-54feef.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e993c67c3ad6bbfb1ae083afb30873aa

から転記します。

--
 私自身、昔購読していたのが、
 このキャンベルさんがチェアマンをしていた
 「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」という組織が発行する
 「LEFTHANDER MAGAZIN」という左利きの人のための雑誌でした。

 これは、1991(平成3)年3月発行の
 『モノ・マガジン』1991年4月2日号 No.188
 「特集/左を制するものは時代を制す/左利きの商品学」
 (ワールド・フォトプレス)に掲載されていたもので、
 1993(平成5)年に、英語を勉強して連絡を取り、
 定期購読していたものでした(1993年11・12月号~1996年3・4月号)。

 そこには、アメリカでのイベントのリポートなども掲載されていました。

 ちなみに、雑誌で知ったイギリスの左利き用品専門店
 「Anything Left-Handed」の顧客が参加できる、
 前述の「Left-handers Club」の会員になり、
 機関誌「The Left-hander」も定期購読していました
 (1994(平成6)年No.16~1997年10月No.27)。

 もちろん現在、世界的に唯一かもしれない、活動中の
 「lefthandersday」サイト「https://www.lefthandersday.com/」では、
 自身が始めた1992年を起源としています。

 これはあくまでも、先週の<号外>でも書きましたように、
 そちら側の「主張」です。

 本当の歴史的事実は、違います。
--


昨年は、このことをメルマガで「メディアに注文」として書いています。

メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第647号(No.647) 2023/8/12
「8月13日<国際左利きの日>を前に~メディアに注文」

ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』
2023.8.12
8月13日国際左利きの日を前に~メディアに注文-週刊ヒッキイ第647号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/08/post-dd7ed1.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/b11781e6833732e47b64409bf34f9f78

--
 英語の「International Lefthanders Day」
 「International Lefthander's Day」等で検索しますと現れます、
 英語版のWikipediaやその他の左利き系サイトには、

 (私の英語読解力に誤りなければ)
 1976年、アメリカ・カンザス州の州都トピカに開店した
 左利き用品店のオーナー、ご自身左利きである、
 ディーン・キャンベル(Dean R. Campbell)さんが、
 開店一周年を機に左利きの人の会(Lefthanders International)を始め、
 左利きの人の生活向上のために左利き用品の普及を目指し、
 開店記念日にあたる<8月13日>を
 「国際左利きの日」(INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY)という
 記念日に制定したのです。
--


(画像:英語版ウィキペディアの「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の項目冒頭――下線部分:「国際左利きの日」は「レフトハンダー・インターナショナル」の創設者ディーン・R・キャンベルによって1976年に最初の祝祭が行われた-2021.8.13)

(画像:1993年11・12月号~1996年3・4月号 定期購読していた、アメリカ・カンザス州トピカのディーン R. キャンベルによって設立された「Lefthanders International」発行の隔月刊の雑誌「Lefthander Magazine」から、チェアマンのキャンベルさん)


 ●「左利きの日」は単なるトピック?

マスメディアでこの日のことを取り上げてもらえることは、よいことですし、嬉しくは思います。
しかし、その取り上げ方は単なるトピック「今日は何の日?」という物珍しさの話題のみに終始しています。

「左利き」をきっかけに、真剣に多様性についてとか、社会的包摂(しゃかいてきほうせつ ソーシャル・インクルージョン social inclusion――大路直哉著『左利きの言い分』で知った言葉。「社会的排除」に対する言葉)について考察するというような、中身のある報道とはいいにくいものです。

せいぜい左利き用品を二、三点紹介して終わりという感じです。
本気で左利きの問題を正面切って取り上げるという姿勢は見られません。

今私が遅れている左利き用品の分野として、楽器についてメルマガで考えていますが、これに匹敵するような話題が紹介されたという記憶はありません。

本当に左利きの人、それも“覚醒した”左利きの人に取材しているのか、疑問に感じる内容ばかりです。


 ●最近の左利きの本

閑話休題――。

最近、またポツポツと左利きに関する本が出版されるようになっています。

十年一昔という言葉がありますが、十年ごとぐらいに左利きの本が求められるともいわれます。

2020年代に入ってからですと――


【左利き応援本】

◎左利きに関する脳科学・医学系
(1)(2021年)
『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』加藤俊徳/著 ダイヤモンド社 2021/9/29
――左利き・利き側の科学解説書というより、<左利きの脳内科医>による“左利き応援本”というのが本当のところでしょうか。

『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.16
久しぶり?の左利き本近刊『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』
「新生活」版

◎自然科学系
(2,3)マーティン・ガードナー『新版 自然界における左と右』(上下)ちくま学芸文庫 2021年
――1992年、紀伊國屋書店版の文庫化再刊。
 上巻(2)の「第9章 人のからだ/第10章 少数派の左利き」では、左利きについて。左利き友の会を主宰された箱崎総一さんや麻丘めぐみさんのヒット曲「わたしの彼は左きき」について等日本の左利き事情についてもふれている。


◎脳科学・精神医学系
(4)(2022年)
『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN文庫 2022/5/16
――日本の利き手研究の第一人者による、2008年発行のDOJIN選書版の増補文庫版
(旧著)『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20


『レフティやすおのお茶でっせ』2022.2.22
利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』増補版?文庫化4月22日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/02/post-8e1d20.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8dae760debb518e56e255e084c278c10
2022.5.19
利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』加筆・文庫版発売
「新生活」版


◎脳科学・精神医学系
(5)『眠れなくなるほど面白い 図解 左利きの話:特別な感性と選ばれし才能の秘密とを大解明!』八田 武志/監修 日本文芸社 2022/7/29
――八田 武志/著『左対右 きき手大研究』を参考にし、より一般的な疑問等を一項目見開き2ページで簡単に図解・説明した120ページほどの小著。
 「国際左利き日」を、1992年イギリスの「Left-Handers Club」によると説明しているのは、残念!


◎社会科学・人文科学系
(6)『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16
――旧著『見えざる左手』から二十数年、新たに「日本左利き協会」を設立された発起人の一人として、左利きの問題に取り組んだ著作。
 「国際左利き日」については、イギリス「Left-Handers Club」による活動を紹介する箇所の注に、始まりは1976年アメリカのキャンベルさんによると明記している。


『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.20
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』(PHP新書)買いました
16:41 2023/09/23
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-78206b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/740dbc4d5bdd790556aaaefed4dba6d4


◎社会科学・人文科学系
(7)『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
――前半では、ヨーロッパ社会における左利き差別と迫害の歴史を綴る。後半では、時折現れた左利きに好意的な対応を示した時代をも語る。左利きの歴史は、ヨーロッパ社会においても、迫害と解放との狭間で揺れ動きながら徐々に良い方向に変化してきた歴史であった。原著は2008年の第二版。


『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』発売される
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-e66fa0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ac7d7db2ecd5202dfc09793ee5d2d96e


(画像:2021年から2024年にかけて出版された左利きの本および関連本(実用書をのぞく))

【児童書】
2021.10
『ヒミツのひだりききクラブ』キリーロバ・ナージャ/著 古谷萌, 五十嵐淳子/イラスト 文響社 レアキッズのための絵本 2021/10/7
――《親子で多様性について学べる、レアキッズ応援絵本 ちょっとユニークな子どもたちを応援する絵本シリーズ第2弾!》


『レフティやすおのお茶でっせ』2021.10.23
日本初!ひだりききの子どものための絵本『ヒミツのひだりききクラブ』発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/10/post-d45bbd.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/5a4274c1e5c7410468668f35d7a014f1

【実用書】

(1)(2020年)
『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』萩原 季実子/著 アスコム 2020/7/23
――18万部を突破したベストセラー『誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』という右手書き・右利き用のものを左手書き・左利き用に作り直したもの。
 左利きの人向けアドバイスと左手書きに適した右から左への縦書きで段階練習できる「左利き用」の練習帳になっている。


(2021年)
『左利きギター専用! ギターコードブック』ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス 2021/3/14
――筆者未見。《左利きギターをお使いのギタリスト専用コードブック!
 実用的な頻出コードを含め、1080パターンのコードダイアグラムを見やすい大きさで収載!
 ギター初心者はもちろん、お使いのコードブックが見づらく困っていた方にもオススメの一冊です。》


(2023年)
『左利きさんのためのはじめてのかぎ針編み』佐野 純子/著 日東書院本社 2023/7/19
――《手芸好きの左利きさん必携の一冊ができました!
 【左利き専用】かぎ針編み入門書
 編み物を諦めていた左利きの担当編集者が、どうしても編めるようになりたくて作った一冊》


『左利きさんのためのはじめての棒針編み』佐野 純子 日東書院本社 (2023/10/24)
――<左利きさんのためのはじめて編み物>シリーズ第二弾。


『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.11
佐野純子さんの左利き編み物本の第二弾『左利きさんのためのはじめての棒針編み』10月24日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-e43f26.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a8d6067ceae1b5d06f69e2e65d3c82ba

 ・・・

「国際左利きの日」は「左利きの人だけの日」ではありません。
どちらかといいいますと、「左利き以外の人たちの意識を変えて貰うために、左利きの人たちがアピールする日」だと私は思っています。

何事に於いても同じ事ですが、ますは当事者が問題点を世間にアピールし、世間の当事者以外の人たちがそれらについて真剣に考察する、そういうきっかけの記念日であってほしいものです。


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
8月13日は49回目の「国際左利きの日」INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY――始まりは1976年アメリカ

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左利きの鈴木福くん、大好きな広島カープでマエケン体操から入ったサウスポー始球式

2024-08-17 | 左利き
2024年8月12日マツダスタジアムで行われた広島対DeNA戦で、カープ・ファンの左利きでも知られる俳優・鈴木福くんがサウスポー始球式を!
背番号29(FUKU)で、なんとマウンド上でマエケン体操から入り、その投球は見事、ズバリ!

「デイリースポーツ」によりますと、新井監督も絶賛――「福くんはカープのことをずっと応援してくれているからね。またそういう始球式をしてくれた日に良いゲームで勝てて良かったと思います。ナイスボールだったねぇ。きれいなフォームでアウトコースにいい真っすぐね。ナイスボールだったと思います」(テレビインタビューにて)。

福くんは、X(旧ツイッターtwitter)に、《この映像、嬉しくて一日に何回も観ちゃう》と投稿していました。

投稿者: 【公式】カープ県|スカパー!

(画像:広島対DeNA マエケン体操をしてから始球式で投げる鈴木福(撮影・加藤孝規)日刊スポーツより)







*【過去の<サウスポー始球式>】:
・2024.8.48月1日「日本ハム-オリックス」戦でGACKTさんサウスポー始球式
「新生活」版
・2024.4.8元卓球女子五輪メダリスト石川佳純さんがサウスポー始球式
「新生活」版
・2023.9.3西武ライオンズファンの乃木坂46向井葉月さんが左腕で初始球式
「新生活」版
・2022.5.18サウスポー始球式二連発(1)5月14日玉木宏(2)5月15日新川優愛、プロ野球西武-楽天戦で始球式
「新生活」版
・2022.3.21サウスポー“スーパーガール”桃月なしこが始球式で左腕から大暴投
「新生活」版
・2021.11.22左利きの女優・吉高由里子さんが4年ぶりプロ野球日本シリーズ第2戦でサウスポー始球式
「新生活」版
・2021.4.2
左利きの女優・森七菜さんのサウスポー始球式
「新生活」版
・2018.4.19
地元アイドルNegiccoのKaedeさんが左投げで新潟知事の代役始球式
「新生活」版
・2017.10.30
吉高由里子がサウスポーで伸びやか始球式 日本シリーズ第2戦
・2017.6.15
左利きの女優・剛力彩芽さん、四度目の始球式登板も…
・2017.5.26
サッポロビールイメージガール川辺優紀子さんの左利き始球式
・2017.5.7
女優の松井愛莉さんがサウスポー始球式
・2017.5.2
ピンクラインのサウスポー、女優でモデルの新川優愛さんが始球式
・2016.8.17
左利きのSKE48日高優月(ひだかゆづき)が始球式
・2016.7.23
左利きの女優すみれさん左腕で始球式
・2016.6.29
左利きの剛力彩芽さんの3度目の始球式は大暴投: レフティやすおのお茶でっせ
・2016.6.5 AKB48Team8/AKB48TeamB兼任の坂口渚沙さん (画像のみ)
AKB48選抜総選挙、暫定21位倉野尾成美・同53位坂口渚沙はTeam8の左利き
・2016.3.7
左利きのあっちゃん前田敦子の始球式

・2014.8.6 右利きの石原さとみさんの左投げ(撮影で右腕を痛めたということで「サウスポーでやります」と宣言。)
終わったはずのクチコミ「右利き? 左利き?」がまた

・2013.12.4 体操新技「シライ」の白井健三選手
体操新技「シライ」の白井健三選手は左利き
・2011.5.12 『五体不満足』の著者の乙武洋匡さん
乙武洋匡さんのサウスポー始球式
・2004.11.11 アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずき選手
素敵な光景:野口選手の左利きの始球式

*【カテゴリ:<サウスポー始球式>


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
鈴木福くん、大好きな広島カープでマエケン体操から入ったサウスポー始球式

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『左組通信』復活計画(24)左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで-週刊ヒッキイ第651号

2024-08-11 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第651号(No.651) 2023/10/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [24]
レフティやすおの左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第651号(No.651) 2023/10/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [24]
レフティやすおの左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 6月以来の<ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画>
 です。

第644号(No.644) 2023/6/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [23]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(23)「利き手調査」番外
第46回 利き手テストと意識の一致度は?」
2023.6.17
『左組通信』復活計画<左利きプチ・アンケート>(23)
利き手テストとの一致度は?-週刊ヒッキイ第644号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-bc6033.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a6059a8b9461d9268446e06a57459754

 前回までは<左利きプチ・アンケート>を公開してきました。
 利き手テストの類いをずっと続けていました。
 一番興味を持たれるコンテンツといいますか、アンケートでした。

 その後、それ以外のアンケートのなかから、
 比較的人気のものを選んで紹介する予定でした。

 しかし、全64回のなかから適当のものを選ぶのは、結構むずかしく、
 申し訳ないですが、一応終了とさせていただき、
 次のコンテンツを紹介しようと思います。

 『レフティやすおの左組通信』のメイン・コンテンツは、4つ。

 (1)左利き私論――私の左利きについての考えをまとめたもの
 (2)<左利きプチ・アンケート>――前回まで一部を紹介
 (3)左利きphotogallery――以前一部紹介した、私の愛用・愛蔵の
   左利き用品や、前号でも紹介したカメラなどを写真入りで紹介
 (4)レフティやすおの左利き自分史年表――更新停止の2009年頃までの
   社会における左利きにまつわる出来事や自分の体験などの歴史年表
   
 このうちから、(4)左利き自分史年表 を紹介していこうと思います。
 前号で昔の活動について書きましたが、過去のメモと比較しますと、
 記憶の間違いも結構ありました。
 この際、改めてまとめておこうと思います。

 過去のホームページ版に新たに追記しながら、
 現時点での<完全版>を作って行く予定です。


(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き自分史年表」のページ冒頭)

(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生/少年時代 その1」のページ冒頭)

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [24]

  <レフティやすおの左利き自分史年表>(1)
 
  1954-1971―高校卒業まで
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 ●「1954-1971―高校卒業まで
【左利きライフ研究家】レフティやすおの左利き自分史年表-1」

=================================================================
(太文字=西暦(元号)年齢) レフティやすおの出来事 (茶文字=社会の出来事)(青文字=左利き・利き手関連文献
=================================================================

(前史)

1948(昭和23)
(左利きミステリ・短編)「アンゴウ」坂口安吾
初出:『別冊サロン』1948年5月号
(本作収録雑誌・短編集)『ミステリマガジン』2012年1月号(早川書房)
【小特集1/アニメ「UN-GO」】から原作。
『日本探偵小説全集 10 坂口安吾集』(創元推理文庫 1996)より再録
(収録短編集)『古書ミステリー倶楽部II』ミステリー文学資料館/編 光文社文庫 2014/5/13

(関連作品)UN-GO第6話脚本「あまりにも簡単な暗号」會川昇
(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第304号(No.303) 2012/3/17「名作の中の左利き
 ~推理小説編5「アンゴウ」坂口安吾」
2012.3.24
坂口安吾「アンゴウ」名作の中の左利き~推理小説編5~
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii304号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/03/5-hikkii304-66e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9c6612ea005ecae70727661b14446e28

 ・・・

1954(昭和29) 0歳
1/大阪府に生れる。
時期不明
入園前後の時期か、5,6歳のころか、左利きに気付いた両親から右に直すように、左手を使わぬよう、左手の人差し指にやいとをされた(ようだ)。今もひとつ4,5mm程度の跡が残っている。

1959(昭和34) 5歳
(幼稚園時代)左ひじを骨折。しばらくの間(期間不明)三角巾で釣り、左手を使用できない状況に陥るが、左利きは変わらない。

1960(昭和35) 6歳
4/小学校入学。両親が担任の先生に左利きを矯正すべきか相談する。そのままでよいという返答で、以後一切矯正は受けず、現在に至る。

(参照)『レフティやすおのお茶でっせ』
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】
2012.6.11 第1回
●右利きにあらずんば…
※【「左利き(利き手)の矯正」について】
本稿は、無料メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(第39号 2006/7/15 ~ 第112号 2007/12/15)での連載記事「レフティやすおの左利き活動万歳/私にとっての左利き活動」(全19回)に、ホームページ『左利きを考える レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生 少年時代」等の記事を交え、加筆修正したものです。

2012.6.19 第2回 幼少時の記憶から
●昭和30年代の時代風潮
●秋山孝『左手のことば』から
●左手人差し指のやいとの痕
本稿は、メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第39号(No.39) 2006/7/15「私にとっての左利き活動」より、「■レフティやすおの左利き活動万歳■ 私にとっての左利き活動(1)」(隔号掲載)、および『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生 少年時代 その1」を元に、一部加筆修正したものです。

2012.7.5 第3回 利腕を骨折しても…
●利腕を骨折しても…
●簡単に「矯正」できると言うけれど…
●才能と能力
●利き手テストによる分布図
●右岸と左岸との間に架かる橋の上に立つ人
●左右の手の筋運動測定による判別
●左利きの度合い
本稿は、メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第39号(No.39) 2006/7/15「私にとっての左利き活動」より、「■レフティやすおの左利き活動万歳■ 私にとっての左利き活動(1)」(隔号掲載)、および『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生 少年時代 その1」を元に、一部加筆修正したものです。

2012.11.22 第4回 左利きの意識とハサミの話
●左利きの意識
●ハサミは右手用・左手用の二種類
●右手用と左手用のハサミの構造
《今回は、小学校低学年時代だろう?ハサミの思い出を中心に―。》
《「左利き=マイナス」、「左利き=良くないこと」、「左利き=できれば隠しておいた方がいいこと」といった意識は刷り込まれていました。》

1959(昭和34)-1960(昭和35) 5-6歳
(左利きミステリ)『霧の旗』松本清張
――冤罪を受けた男の妹が左利きの犯人を暴こうとする物語。
初出:『婦人公論』1959年7月号~1960年3月号連載
 (1961年3月) 中央公論社刊
『霧の旗』松本清張(新潮文庫 昭和47.1.30発行/平成15.9.10 41刷改版/平成20.7.10 51刷)

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第317号(No.317) 2012/6/16「名作の中の左利き~推理小説編8~『霧の旗』松本清張」
2012.6.21
名作~推理小説編8『霧の旗』松本清張:左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii317号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/06/8-hikkii317-5c5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ea53289cc83c3eb73f0733ab31121f8a

1961(昭和36) 7歳
9/30(左利きミステリ/SF)H・G・ウェルズ「プラトナーの話」宇野利泰訳
――『来たるべき世界の物語』H.G.ウェルズ短篇集〈第1〉 早川書房編集部編 ハヤカワSFシリーズ 収録(別題「プラトナー物語」The Plattner Story (The New Review 1896/4))
  四次元世界に飛び込み戻ってきた男性は右利きから左利きに、内臓を含め身体の左右も反転していた。
「プラットナー先生綺譚」小野寺健訳 『白壁の緑の扉』
  ボルヘス編バベルの図書館8 国書刊行会 1988/9・収録

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第561号(No.561) 2019/12/21「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(38) 小説編:左右反転世界「大喝采」横田順彌」
2019.12.21
右用と左用の違い(38)小説編左右反転世界「大喝采」横田順彌
-左利きで生きるには週刊ヒッキイ561号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2019/12/post-24c855.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/0ba543b6e210a8a6e9f74a3aa7732c50

第565号(No.565) 2020/2/15「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(39)小説編(2) 左右反転で左利きになった人々
(楽しい読書・コラボ編)」
2020.2.15
左右反転小説-左利きになった男(楽しい読書/週刊ヒッキイ・コラボ編)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-386af3.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4f51bd8d9db08cbed1d00af8d1aad595

1963(昭和38)頃か? 9歳?
(小学4年?)親戚のお葬式?での食事の際、左手に箸を持って食べている私に同席の大人の男性が「左利きは頭がおかしい…」といった言葉をかけてきた。それ以来、人前では右手を使えるように、と考えるようになり、ひそかに右手で字を書く練習を始める。
運動会でもらった低学年用みたいで使っていなかった大きな升目のノートを使ってかなりの期間練習し、かたかな、画数の少ない漢字、線の少ないひらがなはかなり書けるようになっていた。
しかし学年が上り、勉強が難しくなると、ノートを取るスピードの問題など時間的制約を感じるようになると、やはり左手でないとついていけなくなってしまい、立ち消えになった。

(参照)『レフティやすおのお茶でっせ』
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】
2012.12.26 第5回 最初の衝撃!
●「ぎっちょ/左ぎっちょ」と「差別」
●最初の衝撃!
●「頭がおかしい」発言によるショック
●親にも言えないこと
●ある決意
●秘密の特訓
●左手書きでも「けっこうきれいな字だ」
●忙しくなれば…
※本稿は、『左利きを考える レフティやすおの左組通信』
「少年時代その1(左利きマイヒストリー・エッセイ)」「最初の衝撃!」を基に書いています。

(小学4年?)習字の授業が始まり、大筆を使う大きな文字は腕全体の動きで書くので、新しい技術として見よう見まねで右手で書く。左利きの児童向けの指導がなかったこともある。素直な子だったから左手での書き方を先生に尋ねることもなかった。ただし、横に名まえを書くときは小筆を使い小さい字で書かねばならないくので、手先の細かい作業はやはり左手でないと不自由なので、左手に持って書いた。
(小学4年?)そろばんの授業があり、これも見よう見まねで右手で行う。

1964(昭和39)? 10歳or11歳?
(小学5年or6年?)家庭科の授業で、裁縫を習う。習字やそろばん同様、見よう見まねで右手で運針をこなす。手先の細かい作業なので左手でやってみようとしたが、いちいち先生の言うことを頭の中で左右を入れ替えてやるのが面倒になりやめる。

1966(昭和41)?12歳?
(中学1年?)ペン習字の時間があり、ペン軸にペン先を差し込む式のペンをインクに浸して書くのだが、左手で書く場合はペン先を紙に押し付けるため、ペン先が固いせいで紙が破れるだけでまったく書けず、おおじょうする。

1967(昭和42)?13歳?
(中学2年?)技術家庭の授業で、製図を習う。T定規を使って線を引くのだが、左手で書こうとすると反対の方から線を引くことになり非常に使いにくいことがわかり、右手で線を引くようにする。

1968(昭和43)14歳
(中学3年)高校受験を控え父兄懇談で工業高校に進むと決まったことを知った数学の担任の先生が、工業高校に上ると左利きではいろいろ不自由なことがあるから右に直したほうがいい、と忠告してくれる。
――その時点では正直よく理解できなかったが、日常左利きであることに不便さは感じていたが、何で直さんならんねん、という気もあって「嫌な先生だ」と感じた。今思うと決して悪い先生ではなく、よく忠告していただいたと思っている。当時はまだ個人でどうにかするしかない時代だったのだ。とにかく利き手についてふれた指導をしてくれた先生はこの人だけだった。忠告はしても具体的に強制的な指導はしなかった。

『左利きの世界』箱崎総一 読売新聞社
――後の〈左利き友の会〉主宰者で精神科医による、日本初の左利き応援本? <“左利き”の旗手>として、戦後『太陽の季節』により文壇の寵児となり、政治家に転身した石原慎太郎さんと芸能界の左利きとして《わが国の映画界で活躍している一家》高田浩吉さんとその娘・高田美和さんを紹介し、高田美和さんの「手記」を掲載。



(参照)
第519号(No.519) 2018/6/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その23―
左利き者の証言から~ 左利き先輩たちの足跡(2)高田美和」
『わが家は父も母もそろって左利きですが、そのせいもあって、私は小学校へ上がる前ごろ、両親から人一倍きびしく、右手を使う特訓を受けましたが、どうしてもうまく行きません。困り果てた両親が、小学校の先生に頼みこんだところ「なおすひつようはありません。また、無理になおすと、どもりになるおそれもありますから」といわれて、両親以上に私もホッとしました。



『レフティやすおのお茶でっせ』2018.6.13
左利き者の証言(2)『左利きの世界』から高田美和
-左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第519号
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/06/2--hikkii519-3e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/706537ad79155a698052c9a3ca1d12cd

1969(昭和44)15歳
(高校1年)工業高校に入学する。製図の時間、ドラフターを使うときはやはり左手で線を引くのはむずかしく、右手で線を引く。数字などは当然左手で書く。
――実習で各種の工作機械を使うようになるが、どれもやはり右利き用に設計されていると実感する。利き手の違いによる違和感を持ち始める。

1969-1972(昭和44-47)?年月不明
?/入学祝いに父に買ってもらった腕時計を当初は左手にするものだという固定観念で、左手にしていたが、字を書くとき邪魔になるせいもあり、いつしか右手にかえる。

1971(昭和46)17歳
精神科医箱崎総一による左利き友の会発足。(1975/1『左利きニュース』42号をもって活動停止)
――この左利き友の会のことは当時新聞でも話題になり、その記事を読んだ記憶がある。興味はあったが参加するところまでは行かなかった。左利きであることを家では公認されていたものの、自分のなかにコンプレックスがあり、それを自ら表明するようで、親に対して申し訳ないような気持ちもあり、そういう思いを人に知られることが嫌だったから。

5/「兄弟」阿刀田高
――双子の兄弟の片割れとの扱いの違いに悩むもう一方の片割れのお話。
初出:東京新聞等 昭和56年(1981)5月31日
(1981) 収録短編集『最期のメッセージ』講談社刊
(収録短編集)『新装版 最期のメッセージ』講談社文庫 2009.1.15

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第291号(No.291) 2011/12/17「名作の中の左利き~推理小説編-3-「兄弟」阿刀田高」
2011.12.29
阿刀田高「兄弟」とLYGP2012:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」291、292号告知
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/12/lygp2012-hikkii.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8067fe3bf2ee0e82e960e5259cc9b509

--高校卒業まで--

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [24]レフティやすおの左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで」と題して、今回も全紹介です。

今回からは予定を変更し、メインのコンテンツの一つである「レフティやすおの左利き自分史年表」の改訂版の第一弾をお送りしています。

過去2号に渡って、私の左利き活動について、その「初心」を紹介しました。
その流れでこういう展開になりました。

従来の年表をそのまま示し、更新停止した2009年以降の追加を入れるという方法もありましたが、この際思い切って更新版を作製することにしました。

今回は、誕生から高校卒業まで、【左利きライフ研究家】の前史といったところでしょうか。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
『左組通信』復活計画(24)左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで-週刊ヒッキイ第651号
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8月1日「日本ハム-オリックス」戦でGACKTさんサウスポー始球式

2024-08-03 | 左利き
2024年8月1日(木)の北海道、エスコンフィールドで行われた「日本ハム-オリックス」戦で、GACKTさんが最初で最後という始球式を見事サウスポーで投球。

マウンド上でGACKTさんは、バッターの日本ハム松本剛選手に向けてボールを突きつけるように示し、投球。
打者に当てないようにと外角に外れましたが、見事ノーバウンドでキャッキャーのミットに。

通常球団側が用意したユニフォームを着用するケースを多いと思われますが、なんとGACKTさんらしい全身黒ずくめの衣装。

年に一度お正月の浜ちゃんが司会の格付け番組ぐらいでしか知らない私のような年配者の持つイメージのGACKTさんそのままでした。






(画像:ファーストピッチセレモニーに登場したGACKT(撮影・中島達哉)((C)デイリースポーツ))

*【過去の<サウスポー始球式>】:

・2024.4.8元卓球女子五輪メダリスト石川佳純さんがサウスポー始球式
「新生活」版
・2023.9.3西武ライオンズファンの乃木坂46向井葉月さんが左腕で初始球式
「新生活」版
・2022.5.18サウスポー始球式二連発(1)5月14日玉木宏(2)5月15日新川優愛、プロ野球西武-楽天戦で始球式
「新生活」版
・2022.3.21サウスポー“スーパーガール”桃月なしこが始球式で左腕から大暴投
「新生活」版
・2021.11.22左利きの女優・吉高由里子さんが4年ぶりプロ野球日本シリーズ第2戦でサウスポー始球式
「新生活」版
・2021.4.2
左利きの女優・森七菜さんのサウスポー始球式
「新生活」版
・2018.4.19
地元アイドルNegiccoのKaedeさんが左投げで新潟知事の代役始球式
「新生活」版
・2017.10.30
吉高由里子がサウスポーで伸びやか始球式 日本シリーズ第2戦
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・2016.3.7
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・2013.12.4 体操新技「シライ」の白井健三選手
体操新技「シライ」の白井健三選手は左利き
・2011.5.12 『五体不満足』の著者の乙武洋匡さん
乙武洋匡さんのサウスポー始球式
・2004.11.11 アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずき選手
素敵な光景:野口選手の左利きの始球式

*【カテゴリ:<サウスポー始球式>

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
8月1日「日本ハム-オリックス」戦でGACKTさんサウスポー始球式
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楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)-週刊ヒッキイ第669号

2024-08-01 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第669号(Vol.20 no.14/No.669) 2024/8/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第669号(Vol.20 no.14/No.669) 2024/8/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」
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 前々号では、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見を紹介しました。
 前回は、
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論する第一回目でした。

 今回はその続きです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(2)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由

ネットで調べた「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言で、
左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

改めて、それらのご意見――「左利きでも右弾きを薦める人たちの理由」
についてまとめたものを書いておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?


前回は、これらの理由のうち、「1.」と「2.」について反論しました。
今回は、「3.」と「4.」についての反論と、
知られていないかも知れない利き手と足の身体的適性に関する反論、
根本的な反論について書いてみます。

では、次にそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。


 ●理由3.への反論=十分な間隔を取ればいい

理由3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、
   左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?


『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973
には、ヴァイオリンに関する記述があり、

「十九 音楽におけるきき手」p.223に、

 《四重奏団なら、右ききの団員に混じって役割を果たすことができる
  であろう。(略)
  視的感覚からいうと調和の取れた姿に見えるというのである。》

右弾きのヴァイオリニストと左弾きのヴァイオリニストがちょうど、
鳥や蝶々が翼を左右に開くように配置されれば、
その左右対称形を「美しい」と感じる人もいるのではないでしょうか。

ヴァイオリニストたちの集団の中に一人だけ逆弾きの人が混じるから、
悪目立ちするのであって、右弾きヴァイオリニストの並びの端に、
左弾きヴァイオリニストが対面するかのように立てば、
違和感は少なくなるのではないでしょうか。

あるいは、同数の左右のヴァイオリニストがいれば、もっと象徴的です。


また「隣の人と弓や腕が当たる」という問題は、
私たち左利きの人のあいだでは昔からいわれてきた問題の一つ、
右手箸と左手箸の問題を想起させます。

食事の際、左手箸の人が混じると、
隣の人(多くは右利きで右手箸)と肘がぶつかるので嫌がられる、
という問題です。

狭い店やカウンターに並んで食事するような場面では、
よく問題となります。

左利きの人たちのあいだでは、こういう事態に陥らないように、
事前に隣の人と肘がぶつかることのない、「左端」の席を確保する、
という人が少なくありません。

しかし、これはあくまでも便宜的なことです。

本来は、「十分な間隔を取ればいい」だけの話ですよね。

楽器演奏の場合、ステージの広さの問題があるかも知れませんが、
よほどの大人数や変則的に狭い舞台で演奏する、
といったケースでない限り、ある程度の余裕はあると思います。

十分な間隔を取るようにすれば解消する問題でしょう。

また、譜面を共有するする際に困るといった意見もありました。
これもそういう演奏家がいると分かれば、「お互いに工夫しあう」、
というのが「人間的な対応」という礼儀作法ではないでしょうか。


*参考文献:
・左利きイギリス人の左利き研究家の著作
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973


 ●理由4.への反論=幼児には利き手がある、胎児にも!?

理由4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?


確かに小さい子供の場合、手の神経もまだ未発達で、
利き手も定かではない、と思われるかもしれません。

しかし、日本における左利きの科学研究の第一人者・八田武志さんの
『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022)
「第7章 きき手はいつ現れ、いつ決まるのか」によりますと、

胎児にも利き手があるという研究者もいるようですが、
まだ胎児の利き手に関しては、信頼できる証拠はない、といいます。

しかし、乳幼児には何らかの利き手がある、と考えられているようです。

 《(略)発達初期に左右機能はないとは考えず、
  若干の左右差の存在を想定する。
  しかし、成熟、つまり生物学的な要因だけでなく、
  それらに加えて個人の環境との関わり方を重視する。》

すなわち

 《(略)ミッチェルらの考えに基づけば、
  (1)7ヶ月の月齢でも把握動作や操作動作に使用手の偏りがあること、
  (2)7ヶ月の時点で見られた手の偏好的な使用は発達につれて
  不変ではなく、強められることになる。(略)》

幼少時すでに利き手という偏りが存在すること、
そして、それらは成長とともに徐々に強められていくのだ、
ということのようです。

おとなが勝手に「利き手はない」と決め付けているだけで、
子供にも利き手という、使用する手の偏りがある、ということです。

 ・・・

育児の本によりますと、古い本ではありますが、
小児科医・松田道夫『定本育児の百科 中 5カ月から1歳6カ月まで』
(岩波文庫 2008/1/16)
「10カ月から11カ月まで/かわったこと:302 左きき」には、

 《人間の右きき、左ききは、うまれつきにきまっているもので、
  左手をよけいに使わせたから左ききになるというものではない。
  この月齢の子が左ききらしいというので、
  左手を使わせないようにすることには、賛成しかねる。
  左手がきき手であろうが、右手がきき手でであろうが、
  その所有者の自由である。(略)》p.397

とあります。

おとなであろうと子供であろうと、自分の手は自分のものであり、
自分の思うように使っていいのです。

右手であろうと左手であろうと、
自分の使いよい方の手(利き手)を使っていいのです。

正論だと思います。

 ・・・

「利き手」という性質を考えるとき、大切なポイントは、
「無意識に使う手はどちらか?」というところです。

意識的に使うケースとはどういうときかといいますと、
要するに「教えられて使う」場合などはまさにそうです。

左利きの人でも、食事の際の箸やスプーンなどは左で、
字を書くのは右、という人がいます。

字を書くのは、ある程度の年齢からですが、
食事を取るのは生まれたときからです。

そこでまずは自然な利き手が先行して、食事の関係は左で、
教えられた字を書く行為は右、となるのでしょう。

箸などは右で字は左といった、逆の人はいないようです。
少なくとも私が今までに出会った人の中にはいませんでしたね。

 ・・・

そういった教えられた行為のケースではなく、
知らず知らずに使っているどちらか一方の手が、
「利き手」と考えられるのです。

本来は、その子の利き手・非利き手に応じた道具を使うのが、
一番良いのです。

それが、その子の能力を最大限に発揮させる方法だからです。

道具がなければ作ってもらう、それが最適解です。

楽器の演奏でも、当然同じことです。

 ・・・

小さい子供を相手にする場合、おとなが右手でやって見せたり、
まわりに右手使いの子供しかいない状況であったり、
そういう環境では、左利きの子でも、
右手使いになってしまうケースが多々あります。

例としましては、元プロ・テニスプレーヤーの伊達公子さんは、
左利きですが右手打ちのプレーヤーでした。

テニスを始めたときにまわりの子供たちが、
みな右手にラケットを持っていたので、
そのまま自分も右手にラケットを持つようになった、と聞いています。

特に日本の子供は、空気を読む、といいますか、
まわりのおとなのようすをよく見ていて、
それに従う、おとなの期待に応えようとする傾向が強い、といいます。

楽器の演奏においても同じことがいえます。
小さい頃からそういう環境におかれますと、
知らず知らずにおとなの教えるままに従う、ということになります。

以前書きました坂本龍一さんの場合も、
幼稚園時代にピアノに触れる機会があった、といいます。

一応これぐらいの年齢なら、彼が左利きだという事実は、
まわりのおとなにも分かっていただろうとは思いますが、
だからといって現状では、ピアノは右利き用しかないので、
当然のごとく、右弾きになったのでしょう。

ヴァイオリンの場合も、現状では基本的には左用の楽器がない、
という状況でしょうから、
よほどのことがない限り、右弾きにならざるを得ない、といえましょう。

左利きの子供の能力と利き手を使うという権利を守って、
その能力を活かすように指導する、という意識がない環境では、
左利きの子供の左弾きは実現しないことになります。

これは、
本人にとってはもちろん、あえて言えば日本の音楽界にとっても、
あたら才能を埋もれさせることになりかねないわけで、
非常にもったいないことであり、残念至極です。


*参考文献:
『左対右 きき手大研究』八田武志 DOJIN文庫 2022

『定本育児の百科 中 5カ月から1歳6カ月まで』松田道夫 岩波文庫
2008/1/16



 ●利き手と軸足の関係

これは私が思いついたことなのですが、
楽器の演奏――特にヴァイオリンの場合では、
「演奏の際の利き手と軸足の関係」という問題があるのでは
ないでしょうか。

案外気付かない人もいるかと思いますので、説明しておきます。

実は、

 左手でヴァイオリン本体を保持するということが、
 右利きの人には重要なポイントになる

と思うのです。

これは、
「利き手」と「利き足/軸足」の関係が重要になってくるからです。

利き手と利き足には相関関係がある、といわれています。

先に挙げた、八田武志『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022)の
「第3章 きき手の諸相」<きき足ときき手――大規模メタ分析>
によりますと、

14万5135人を対象にした調査で、
利き足を「右か左か」の選択肢での分類で、左足利きは12.1%。
「右、左、両方」の三選択肢による分類で、「左、両方の足」を
「非右足利き」と定義した場合は、23.7%。

左手利きの人の60.1%が、左足利き。
右手利きの人の3.2%が、左足利き。

左手利きの割合を一般にいわれている10%程度としますと、
利き手と利き足が一致しない人は、三人に一人ぐらい。

ところが、右手利きの人は、ほとんどが右足利きだ、というのです。
右手でボールを投げる人は、ほとんど右足でボールを蹴る、と。

右足利きの場合、ボールを蹴るシーンを思い浮かべてもらえれば
わかりやすいと思いますが、
右足はボールを蹴る「利き足」=「作用足」で、
反対の左足は体重を支える「軸足」です。

同書の<きき手と軸足の関係は?>には、

 《右手ききの人は左足に重心をかけ、身体運動の軸にしている》p.81

とあります。


 ●ヴァイオリンの演奏と軸足の関係

同書p.78には、自転車に乗るとき、
多くの右利きの人たちは左側から乗る、というように、

 《日常生活ではきき足よりも、
  むしろ軸足の役割を重要視する場合がある》

といいます。

ヴァイオリンの演奏も、右弾きの場合は、
左手でヴァイオリン本体を持ち、弦を押さえる等の作業をこなし、
右手に弓を持ち、これを動かします。

左足に重心をかけて体重を支えていれば、
右手に持つ弓を最大限に動かすことができます。

左手に持つヴァイオリン本体は、安定した左の軸足の側にあり、
左手指のポジショニングもしっかり取れます。

右手・右腕をどれほど大きく動かしても、
体重は左足でしっかり支えられているので、演奏が安定します。

右利きの人は多くは左足が軸足ですので、これは難しくありません。

弓は軽いので、重心をかける足の側で持つ必要はありません。
それよりも右手・右腕を自由に動かせるかどうかの方が重要です。

重心のある側と反対の手に弓を持つと、重心のぶれが少なく、
大きな動作も可能になります。


これが逆ですと、どうなるでしょうか。

左利きの人では通常、多くの人が右足が軸足となり、体重を支えます。

このとき、右手に弓を持ち大きく動かそうとしますと、
重心の位置がぶれ、その身体を支えるのは非常に不安定になります。

弓を右に大きく弾こうと腕を大きく引くと、身体も同じように振れます。
逆に弓を左に押していけば、右足の重心も左に傾き、
左手に持つヴァイオリン本体も不安定になります。

身体が不安定ですと、安定した演奏も難しいでしょう。

 ・・・

右手利きの人の場合、軸足は左足ですので、
ヴァイオリン本体を持つ側に当たります。
大きく右手・右腕を動かしても、ふらつくことはありません。

ヴァイオリン本体を持つ左手は、重心のある左足の側にあり、
安定した演奏が期待できます。

重心という点でも、右利きの人には、右弾きが都合が良いのです。

逆に、

 左弾きのヴァイオリニストは、右足が軸足の人が都合がいい

と考えられます。

しかし左利きの人の中にも、三人に一人ぐらいは右足利きの人がいる、
といいますので、そういう人では重心という観点からいいますと、
左利きでも右弾きに向いているのかも知れません。

左利きの人でも名演奏家がいるというのは、本人の努力だけではなく、
そういう肉体的な適性がプラスに働いている、
という可能性も考えられます。


 ●左利きには基本、左弾きを勧めよう!

左利きの人の場合、右利きの人ほど一様ではありません。

その点が左利きの難しいところで、

 左利き=右利きの反対

と単純に割り切れない点です。

おおむね、左利き=右利きの反対 なのですが、
必ずしもそうではない、という非常にややこしい関係にあります。

成因が関係しているというのがポイントではないか、
と私は考えています。

遺伝性の左利きではなく、病理的左利きといわれる人の場合です。

本来は右利きなのだけれど、何らかの妨げがあって
現象として左利きになっている、というようなケースです。

その場合、単純な右利きの反対として左利きというのでなく、
複雑な経路を経て、左利きになっていると思われます。
そこで、対応がむずかしくなってくるのではないでしょうか。

本当のところは分かりませんけれど。

 ・・・

とにかく、現実のレベルで、現象として現れる左利きには、
様々なケースがあります。

単純には言い切れませんが、楽器の演奏でも、
左利きの人では、やはり左弾きが
本人の能力を最大限に引き出すことができる演奏法ではないか、
と考えられます。

過去の歴史的背景は別にして、これからは
左利きの人が素直に左弾きできる環境を整えてゆくべきだろう、
と考えます。

 ――次回は、「左利きの人でもヴァイオリンでは右弾きを!」
 という意見への反論として、根本的な理由として、
 ヨーロッパ社会での左利き差別に関して考えてみたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」と題して、今回も全紹介です。

左利きの人の楽器演奏――ヴァイオリンの左弾きについて書いてきています。

「左利きの人は左利きのままで」が当たり前になって来ている時代ではありますが、遅れている分野の一つが音楽、楽器の演奏の分野でしょう。

ヴァイオリンは西洋音楽においては、ピアノと並んで楽器の王様的な存在です。
この牙城を落とせば、勝利に大きく近づくのではないかと思います。

前にも言いましたように、最終的には、ピアノまでいければと考えています。
どうなるでしょうか?

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)-週刊ヒッキイ第669号
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『左組通信』復活計画(31)『LL』復刻(4)LL5 1995年夏号-週刊ヒッキイ第668号

2024-07-27 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第668号(Vol.20 no.13/No.668) 2024/7/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」


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第668号(Vol.20 no.13/No.668) 2024/7/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」
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 久しぶりですが、今回はまた、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』
 の復刻で、ホームページに公開していたページのコピーです。


(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』の「レフティーズ・ライフ(LL)再録1・全号目次」のページ冒頭)

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (4)
 
   (内容紹介)LL5 1995(平成7)年 夏号
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL5 概要

LL5 1995(平成7)年 夏号
・ 前説The Compliments of the Summer Issue
 二年目に向けてToward the second year
・ From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ
 (イギリス)より―新たなる希望!THE NEW HOPE!
・ From LHI (Lefthanders International/U.S.A)レフトハンダーズ・
 インターナショナル(アメリカ)より―左利きの人をガッカリさせる
 もの THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!
・ 左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
 ―こんな道具が不満です!
・ 左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その5―あなたは靴派? スリッパ派?―爪切りはさみセット
・ 知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
 Words & Phrase小学館『国語大辞典』より
・ 左利きの本だなぁ その2 激励編The Books on the
  Left-handedness―斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか
 ―左ききの性格分析』KKベストセラーズ/ワニ文庫刊


(画像:【左利きライフ研究家】レフティやすおの紙の時代の活動から・季刊誌『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL5 1995(平成7)年 夏号 1ページ目)

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
LL5 1995(平成7)年 夏号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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前説 The Compliments of the Summer Issue
二年目に向けてToward the second year
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LL5
 1995(平成7)年 夏号
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 世の中には、様々な難問があります。人が生きているかぎり、
尽きることなく、次々と新たな問題が生まれ、消えていく…。
 それらの問題を解決するためには、まず最初に、その問題のなんたるか
を認識しなければなりません。
 あなたの病気が何なのかを知らなければ、治療法は見つかりません。
運がよければ、対処療法で、いつしか直るかもしれません。しかし、根本治療とはなりません。
 社会問題でも同様に、先ずその実態を知らなければなりません。
女性差別問題が、女性だけの問題ではないように、黒人差別問題が
黒人だけの問題でないように、それらは、それぞれの差別される側の
人だけに限られた問題ではないのです。
 左利きの問題もまた同じく、左利きの人だけの問題ではなく、
右利きの人も含めて、全人類の抱えている問題なのです。
 これを機会に、誰のためでもなく、自分自身の問題として、
もう一度考え直していただきたいものです。

 早いもので、二年目に入ります。最初は「自分の思い100%」で、
読者のことも考えず、内容も充分に練ることもなく、
とにかく何かやらなくては、という気持ちでスタートしました。
 しかし、そうして始めてみるとだんだんと欲が出て、ああもしたい、
こうもしたい。こうした方がいいのでは、ああした方がいいのでは、
といろいろ考えるようになりました。
 また、もっと読者に興味や関心を持ってもらう方法はないか、
とも考えるようになりました。
 少しずつ改良を加え、より読みやすく、中身のあるものにしていこう
と、努力しています。
 これからもなにとぞ暖かい目で見守り続けてください。
 そして、いつの日にかこのようなミニコミ誌が不要になる時が来る
ことを心から祈っています。
 輝ける明日のために…


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From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
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 素敵なレフトハンダーズ・デーと、クラブの幸運を祈る!
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新たなる希望!THE NEW HOPE!

 6月28日、イギリスのレフトハンダーズ・クラブから、
三ヶ月に一度の会報“The Left-Hander”No.20が届きました。
 なんと、第一面で私の手紙を紹介しています!
 
 “LL”3/冬号にかんたんな英語の説明をつけたものを同封し、
「日本における左利きの有利さ」として「日本の本は縦書きで、
ページは右から左にめくる」こと、そして「日本語はとても便利で、
縦でも横でも書ける」と指摘しておきました。

 この“LL”を日本版“The Left-Hander”としょうかいし、
私たちの『左組』を、LHC of JAPANとして認め、
声援を送ってくれています。
また、8月13日の“レフトハンダーズ・デー”に、
私とメンバーが参加するのを楽しみにしている、とも書いています。
(実際には、参加できればよいなぁ、と書いたつもりですが…。)

 彼らは、さらに、左利き用品専門店“エニシング・レフトハンデッド”
ALHは日本にフランチャイズ店をオープンしたい、新進の企業家は
連絡してくれ、といっています。
 はたして、日本に左利き用品専門店はできるのでしょうか?
(チャレンジしたいものですね!!)


(画像:LL第5号より「From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―新たなる希望!THE NEW HOPE! 」の冒頭――“The Left-hader”に紹介された「LL」と左組についての記事と『LL』第5号の部分)


(画像:『LL』と手紙を紹介している、1995年6月28日に届いたイギリスのレフトハンダーズ・クラブから三ヶ月に一度発行されている会報“The Left-Hander”No.20の第一面)


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From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より
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 私たちは、“LL”はじめ、
あなたのあらゆる試みが成功を収めることを祈っています。
―Carol Riddle
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左利きの人をガッカリさせるもの
 THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!

日常生活で不便なこと―
・ 自動車AUTOMOBILES:ダッシュボードの設計
(イグニッション・スイッチの配置)
・ キッチンのレイアウト:戸棚・冷蔵庫のドア、
 各種電気製品等の器具類の配置が作業の流れに影響を及ぼす。
・ オフィスのレイアウト:照明、電卓(0、トータルキー)、
 机の配列(ファイル用引き出し等の位置)、電話の位置
・ 組立/生産ラインのレイアウト

台所用品―
・ コルク抜き(コルクスクリュー/ワインオープナー)、缶切り、
 おたま、セレイテッドナイフ、皮むき、芯抜き器、ポットホルダー・ミット、
 計量カップ、ケーキサーバー、アイスクリームすくい、
 グレープフルーツ・ナイフ、へら

家庭用品―
・ アイロン、ドアのノブ、ダスト・ミット
スクール・サプライ(学用品)―
・ ハサミ、スパイラル・ノート、ボールペン、鉛筆、定規、
 カリグラフィー・ペン、机、鉛筆削り

スポーツ用品―
・ 釣竿のリール、ゴルフ・クラブ、スポーツ手袋、野球のグローブ、
 ブーメラン、照準器付の銃

ツール―
・ 動力ノコ、モンキーレンチ、弓ノコ、左官用こて、
 刈り込み用ハサミ、ねじ

その他―
・ 時計、飲用噴水、ベルトのバックル、財布、カメラ、オムツのピン、
 トランプ、楽器、ピンボール・マシン

―LEFTHANDERS INTERNATIONALのキャロル・リドルさんの手紙に
 添えられていたものを紹介させていただきました。
 レフトハンダーズ・インターナショナルは アメリカのカンサス州の
 トペカに本部があり、ディーン・R・キャンベルの元、
 世界で唯一の左利きの人のための雑誌“LEFTHANDERS MAGAZINE”
 (隔月刊、二十年目)を発行している。
 連絡先:P.O.BOX 8249, TOPEKA, KANSAS 66608, U.S.A.


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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
こんな道具が不満です!
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 〔レフトハンダーズ・インターナショナルより〕欄で、左利きの人が
 日常生活で不満に思うものについていろいろ紹介しました。
 また今までにも、この欄であれこれ書いてきましたが、
 他にもいくつか拾ってみましょう。


ヘッドホンステレオ(ウォークマンなど)、ヘッドホン―
 コードが左側の耳元からたれているタイプのもの。
 右手を動かすことの多い右利きの人にとっては、
 コードがじゃまにならず便利かもしれないが、
 左利きには不便この上ない。

ビデオカメラ―
 右側にホルダーが付いていて右手に持って、右目でファインダーを
 のぞきながら撮るように設計されているものが大半。ファインダーの
 問題はなんとかガマンできても、左手に持って操作できないのは、
 致命的。シャープの液晶ビューカムはファインダーの問題はないが、
 各操作は、やはり右手でおこなう。

ワープロ/パソコンのキーボード―
 文字キーなどは、両手で使うように配置されているが、
 それ以外のキー(テンキーその他)は、右側に寄せられていて、
 マウスの接続なども右側になっている。

自転車―
 大部分の左利きの人は、利き足も左足で、左足は作業をする足
 (例えば、ボールを蹴る)、右足は体重を支える軸足。
 そのため、先ず右足をペダルに置いて軸足を固定してから、
 左足をペダルに乗せるのが、左利きの人の乗り方だろう。
 ところが、スタンドが左側になっているため、左側から
 乗り降りしなければならないので不便。鍵も左側に付いている。
 ブレーキは左が後輪、右が前輪。右利きの人は左半身に重心を
 かけているので、左手は常にハンドルに置いており、ブレーキも
 後輪からかけられる。しかし、左利きは逆に前輪からになり、
 やや危険度が増す。自転車のブレーキの主な役割は、後輪ブレーキは
 スピード調整用、前輪ブレーキは緊急停止用であり、後輪からかけて
 前輪も合わせて使う、というのがブレーキの正しい使用法である。
 ベルも右側についている。

 職場にある機械類もまたその多くが、左手は大雑把な仕事、
 右手は微妙かつ重要な仕事を受け持つ傾向にあります。

ボール盤(ドリルで穴を開ける機械)
 ドリルを押し下げるハンドルが右側にあるので、
 微妙な調整も右手でしなければならない。左手は品物を押さえるだけ。

あなたも、身の回りをもう一度、見直してみませんか。


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左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか? その5
 あなたは靴派? スリッパ派?
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〔靴とスリッパ〕―あるいは、靴と靴下の問題―

 靴とスリッパと聞いて、あなたはなにを思い浮かべますか?
「靴には右と左があるが、スリッパには左右の区別はない」
と答えた方は、もうこの続きを読まないで結構です。
すでにもう充分ご理解いただいていると思います。
そのとおり、右用と左用の違いについて考えるときに、
非常にわかりやすい例になると思うのです。

靴―人それぞれの足に合わせたもの。右足用と左足用とで一組。
 機能的、活動的。足を保護し、足の機能を損なわず、
 時にはプラスアルファの能力を引き出す。

スリッパ―左右対称に作られていて、どちらの足にでも合う。
 おおざっぱな大きさで、誰の足にも合う。履いたり脱いだりが簡単。
 非活動的、勝手に脱げてしまったり、駆け足急ぎ足には不適当。

 靴・スリッパともに、長所短所、適材適所がある。それぞれの持つ
特徴を生かして用いれば、これほど便利なものはありません。

 誰でも靴を買うときは、デザインや色、機能だけでなく、
サイズを確かめる。実際に履いてみて自分の足に合うかどうか試してみる
はず。ところがスリッパを買うときは、そこまではしないもの。
 誰も自分の足を靴にあわそうとは考えない。どんな気に入った品でも
サイズが合わないとわかれば、諦めて他のものを探すのがふつう。
 また、靴は値段が高いから、スリッパで済まそう という人は
まずいないでしょう。靴は靴、スリッパはスリッパ!
 ところが、世の中には靴もスリッパも区別しないで、
ごっちゃに考える人がいるのです!
 もちろんこれは比喩です。
(実際に靴とスリッパをごっちゃに履く人はいない―はずです)
 靴とスリッパは使い分けている人でも、それ以外の道具に関しては
どうでしょうか?


〔爪を切るときは、右手で左手、左手で右手!〕

 例えば、爪を切るとき、右利きの人は左手の爪は右手で切れますが、
右手の爪は左手で切らなければなりません。
 最近はハサミで切る人は少ないかもしれませんが、
ハサミで切るときは特に問題になります。これがなかなか難しい。
単に利き手でないため不器用にしか動かないというだけではなく、もっと
ほかに理由があるのでは? と感じている人も少なくないでしょう。
 原因はハサミそのものにあるのです。
 ハサミには、右手用と左手用があるというのは、
今までのこのコーナーで紹介して来ました。
 右足用の靴が右足のために作られているように、
左足用の靴が左足のためにあるように、
右手用のハサミとは右手で使うためのもの、
左手用のハサミは左手で使うためのものなのです。

 残念ながら、この単純な事実を理解していない人が多いのです。
靴やハサミのみならず、多くの道具には、
実は、右(手)用・左(手)用の区別があるのです。
そして、また一部の道具には、スリッパのように、
左右の区別が必要でない品物もあるのです。


〔スリッパで我慢していてはダメ! 自分に合う靴を手に入れよう!〕

 少数派である私たち左利きは、
今まで、多数派を占める右利きの人たちのために作られた、
右用の道具を使うことに慣らされてきました。
それが右利き用の道具であると知って使っていた人は少なく、
大半の人は、何も知らずに不便だと思いつつも「これはこういうものだ」
と思い込んでいたのです。

 道具などとにかく使えればそれでいいじゃないか! という人もいる
でしょう。しかし、名人といわれる人ほど道具を選ぶと言います。
人間が他の動物と異なる点は道具を使うことだとも言います。
道具を作った人のためにも、道具は正しく使い分けてやるべきでしょう。
スリッパはスリッパとして、靴は靴として―。

 スリッパで間に合うときはそれでいい。しかし、靴が必要なときは、
スリッパで我慢せず、靴を手に入れるべきです。

 人は自分にあった靴を履き、活動的に生きる。
 くたびれたときは、スリッパでくつろぐ。

 そんなメリハリをつけた生活を送って行こうではありませんか!


爪切りはさみセット
Set of two nail scissors in leather case /
ANYTHING LEFT-HANDEDより

 右手用と左手用の爪切りハサミがセットになって
 皮のケースに入っている。
 左利きの人のみならず、右利きの人にも便利な一品。


(画像:爪切りはさみセット Set of two nail scissors in leather case / ANYTHING LEFT-HANDEDより)

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知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
 Words & Phrases 小学館『国語大辞典』より
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ひだり―うちわ 左団扇=ひだり―おうぎ 左扇=扇を左手で使うこと。
 転じて、安楽に暮らすこと。また、得意になっているようす。
ひだり―がち 左勝=①左手ばかりを多く使うこと。また左利き。
 ②ひだりきき 左利②=好んで酒を飲むこと。酒に強いこと。
 また、その人。酒飲み。ひだり。
ひだり―がって 左勝手=①茶席で点前畳の左方に客畳があるもの。
 逆勝手。②左膝を立て、右膝をついたすわり方。③左手の方向。
 ④ひだりきき 左利①=右手よりも、左手のよくきくこと。
 また、その人。
ひだりきき 左利=(「ひだりぎき」とも)①右手よりも左手のよくきく
 こと。また、その人。左ぎっちょう。左ぎっちょ。ぎっちょ。ひだり。
 ②(大工や石工などが左手に「鑿(のみ)を持つ手」であるところから
 「飲み手」にかけたという)好んで酒を飲むこと。酒に強いこと。
 また、その人。酒飲み。ひだり。
ひだり―ぎっちょ 左ぎっちょ=(「ひだりぎっちょう」とも)
 ひだりきき 左利①=右手より左手がよくきくこと。また、その人。
ひだり―ざま 左様=正しい道にもとること。不正なこと。
 また、その様。左道(さとう)。
ひだり―とう 左党=左利の仲間。すなわち、酒の好きな人。酒飲み。
 さとう。
ひだり―なわ 左縄=①左よりにした縄。ふつう、縄は右よりにするが、
 注連縄など、吉兆の祭事に用いる縄に、左よりが多く見られる。
 ②物事が逆になること。物事が思うようにならないこと。

―特別に、悪い意味のことばを選んでいるのではないのですが、…。


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左利きの本だなぁ その2 激励編The Books on the Left-handedness
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 斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』
  KKベストセラーズ/ワニ文庫1993年4月刊 ¥480
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(画像:斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』KKベストセラーズ/ワニ文庫1993年4月刊)

 今回は、勉強はちょっと苦手だけど…、というあなたにも
読みやすくて、ためになる、元気の出る本を紹介します。
 
 1987年、MG出版より刊行された『左利きの人の本』を改題した、
文庫版です。

「この本で、少しでも多くの右ききの人たちが、あなたあの隣の、
愛すべき左ききの人たちを見つめ直してくれたらと思います。
そしてもちろん、左ききの人たちが、誇らしげに自分のきき腕を
さし上げてくれたら、私としては望外の喜びです。」

 とあるように、右利きの人たちに対しては左利き問題の啓蒙を促し、
左利きの人たちに対しては激励を与えている。さすが精神科の
お医者さんならではの、著者の体温を感じさせる、あたたかい本。

 右利きの人は気付かない―けれど、左利きの人なら、いつも気に
掛けている、生活のなかの様々な場面での、左利の苦労、不便さ。
その実例を挙げながら、左利きの問題を明らかにし、
また、少数派の左利きだからこそ有利になる場面(主にスポーツ)を、
多くの左利きの有名人の名を上げながら紹介していきます。
 さらに、このような状況のなかで育っていく、左利きの人の性格には、
特有のモノがみられるのでしょうか?
 著者は、利き手が性格を決定するのではなくても、左利きの人を社会が
どう扱うかによって、性格に悪影響を与える可能性のあることを、矯正を
例にとって述べています。
 また、左利きの子どもに対する接し方についても、役立つアドバイスを
与えています。
 左利きの人だけでなく、左利きのお子さんをお持ちの方
――身の回りに左利きの人がいる、という方は、ぜひお読みください。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」と題して、今回も全紹介です。

前回の時も思い出話を書きました。
今回も少し書いておこうかと思います。

当時は今と違い、ネットも一般的ではなく(アメリカでは実用化されていたようで、国内でもパソコン通信というのでしょうか、そういうものはあったようです)、一般人が気軽に世界に向けて発信するということができにくい時代でした。

私はワープロで原稿を書き、作りあげた記事を切り貼りしてA4の紙面を作り、コンビニでコピーして、切ってたたんでホッチキスで留めるという作業をして小冊子を作り、封筒にワープロで印刷した宛名シールを貼って、友人知人、左利き用品メーカーさん等に送るという塩梅でした。

送り先のなかに、アメリカやイギリスの左利きの会もあり、簡単な英語でワンポイント解説のようなものを入れていました。

そのおかげで、本文中にもありますように、イギリスの会報で紹介されるという栄誉に預かりました。
英語が得意ではないので、それ以上の交流はできませんでしたが、紙の時代の一つの勲章だと思っています。

 ・・・

勲章に関していえば、もう一つエピソードを紹介しましょう。

この号で斎藤茂太先生の著作の文庫版『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』を紹介したことを、KKベストセラーズ/ワニ文庫気付で手紙を出しましたところ、斎藤茂太先生からお礼のお葉書をいただきました。

その前に、読書感想と私なりの左利き活動として『LL』を発行している報告の手紙を出し、お葉書をいただいていました。

著名人からこういうお返事をいただいたのは生まれて初めてのことでしたのは、光栄であり、嬉しいかぎりです。


(画像:斎藤茂太先生からいただいたお葉書二点)

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

" target="_blank">『左組通信』復活計画(31)『LL』復刻(4)LL5 1995年夏号-週刊ヒッキイ第668号

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楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)-週刊ヒッキイ第667号

2024-07-10 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第667号(Vol.20 no.12/No.667) 2024/7/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで」


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◎左利きニュース◎

6月末に左利きの歴史本が出ました。

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27


フランス人の著者も、訳者さんも左利きだそうです。
「訳者あとがき」には、
日本で出版された左利き本についても簡単に紹介されています。


日本だけではなく、
諸外国――特に西洋諸国でも左利きが迫害されていた、
という歴史をご存じない人も多いのではないか、という気がします。

改めて、こういう左利きの歴史についても知ってほしいものです。

日本でも左利きに関して、
「迫害」という表現が許される時代になったのかな、
という気がしています。

昔は、私が「左利きの問題」などと周囲の右利きの人たちに訴えても、
「右手を使えば済む問題」と軽くあしらわれたものでしたから。

*参照:
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
発売される
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-e66fa0.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第667号(Vol.20 no.12/No.667) 2024/7/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前号では、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見を紹介しました。
 今回は、
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論していこう、と思います。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(1)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由

前回は「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言のあれこれを
見てきました。

左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

今回は、それぞれのご意見に対して、
私なりの見地からおのおの反論してみよう、と思います。

まずは前回まとめた右弾きを薦める理由についてあげておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?


では、次にそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。


 ●理由1.への反論=なければ作ればいいだけ

理由1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

道具がないというのなら、単純に作ればいいのです。

それが人類の歴史でした。
より便利な生活のために人は色んな道具を作ってきました。

ない、というのなら、作ればいい。
他の左利き用の道具もそうでした。

そういう歴史を私たちは築いてきたのです。

現実に全くないわけではありません。
一部には存在します。




「左用の名器はない」という意見に対しては、
「今はなくても、将来の名器につながるものを作ればいい」
といいましょう。


昔左用(左利き用)のハサミというのは、特注品しかありませんでした。
一部の専門家の人がどうしても必要で、特注で作ってもらっていました。

しかし、そのうち「左用も必要ではないか」と考える人たちが増え、
特に子供用の左用ハサミは必要ではないかと考えるメーカーの人たちが、
これを開発し販売しようと活動し、実用化しました。

今では子供用ハサミにおいては、右用と左用が同一価格で併存するのが、
当たり前のこととなりました。
右用と左用を利き手によって選択する時代となっているのです。


 ●理由2.への反論=利き手と非利き手は役割が違う

理由2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

利き手と非利き手では役割に違いがあります。

『手と脳 増補新装版』久保田競 紀伊国屋書店 2010/12/24
によりますと、

「第7章 利き手と脳」<言語脳と空間認知脳>

p.187《右脳の方が空間関係の認知に優れているだけでなく、
    認知された情報に基づいて手で処理する機能も、
    右脳の方が優れている》

といいます。
右利きの人は右脳-左手で、左利きの人ではその逆が。

ゆえに、利き手でない方の手(非利き手)の方が、
空間情報の処理に優れているのですから、
右弾きヴァイオリンでは、音程や音の調節をするといった、
弦を押さえる「位置」に関する動きに対しては、
「非利き手である左手」を用いる方が有利、と考えられます。

実際に右利きの人では左手で行っています。

 ・・・

左用のヴァイオリンの多くが、
左手の指が使えなくなった人のために作られた、といわれています。

左手の指が使えなくなった人が弓を持ち替えるというのは、
そういう理由からでしょう。

そういう意味で「左手が重要」という考えが生まれてくるのでしょう。

前回、ルドルフ・コーリッシュさんが、

《左手を負傷したため、止むをえず、右手でヴァイオリンを支え、
 左手で弦を動かさなければならなかった。》p.223
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973――「十九 音楽における左きき」

というのも、そういうところでしょう。

以前、同様の理由から左弾きに変えたチェリストの話もありました。

 ・・・

しかし、弦を押さえる手は、基本は非利き手の役割です。
一方、弓を動かす手は、利き手の役割です。


 ●右手の役割と左手の役割

もう一度ヴァイオリンにおける右手と左手の役割を見ておきましょう。


【右手】の役割
[音を出す]要素
・ボウイング:弓を持って、上げ下げして、弦を弾く
・ピッチカート:弓を使わず指で弦を弾く

【左手】の役割
1.[音の調整]要素
・フィンガリング:指使い、運指(音程を作る)
・ポジションチェンジ
・ビブラート
2.ヴァイオリン本体の支持

これぐらいで間違いはないでしょう。


右手と左手、「利き手と非利き手の使い分け」という問題があります。

脳科学者・久保田競さんの『手と脳 増補新装版』
「第7章 利き手と脳」<手を使いわけよう>によりますと、

 《手を使うときには、右と左の特徴を使いわけるほうがいい。》p.197

 《利き手は言語を媒介する機能、言葉で考えたことを実現する機能、
  単純につかむ、つまむ、にぎることから書くことまでの機能に
  使われるべきで、非-利き手は手探り、空間認知、さらにそれを
  手がかりとして実現する機能に使われればよいのである。
  われわれの脳は左右に特殊化されているので、
  それに都合のよいように手を使わなければならない。》p.198

非利き手は《手探り、空間認知、それを手がかりとして実現する機能》と
あり、これはズバリ弦を押さえる手といっていいでしょう。

一方、利き手は《単純につかむ、つまむ、にぎること》=弓を持つ、
《言葉で考えたことを実現する機能》=どのような演奏をするか、
に使うべきだといいます。
これは、まさに弓を持つ手にふさわしい役割でしょう。

 《日本の古典楽器の琴、鼓、三味線などは片手で操作できない楽器で
  ある。利き手で弦をはねるが、非-利き手で音色と音域の調子を
  微妙に変え、調節をつづけねばならず、これをマスターするのは、
  言葉を司る利き手の側ではむずかしく、感覚を司る非-利き手の側に
  おぼえこませなければならない。
  このような楽器の練習に左右の手を使い分けることは、
  専門家にならなくても手の訓練として重要なことである。》pp.198-199

とあります。

手の訓練云々は別にして、演奏に関していいますと、
やはり利き手と非利き手の役割の認識が重要です。

右利きの人にとっての最適な方法=右手に弓、左手にヴァイオリン本体、
は裏返しますと、左利きの人にとっての最悪の選択といえるでしょう。


*参考文献:
『手と脳―脳の働きを高める手』久保田競 紀伊国屋書店 1982(昭和57)4/30
――利き手(作用の手)と非利き手(感覚の手)の役割の違いなど。

『手と脳 増補新装版』久保田競 紀伊国屋書店 2010/12/24
――《【旧版との違い】脳科学の新たな成果をアップデートするとともに、
読みやすいレイアウトに。/第2章、9章は全面的に書き下ろし》


 ●身体に合った道具を!

身体に合った道具に関してもう少し書いてみます。

私にはこういう経験があります。
私は中学生の時から父の買ってきたカメラを使い、
大人になってからも「写るんです」のようなカメラを使ってきました。

また、ソニーの8ミリビデオも使っていました。
これも右手で保持して、カメラのズームや録画などの操作も
みな右手一本で行うものでした。

それらを使っていても、なかなか慣れるということはなく、
常になにかしら違和感を抱いていました。

「隔靴掻痒」という言葉があるように、
まさに靴の上から足をかくような、
「はがゆくもどかしいこと」「思うようにいかず、じれったいこと」
「物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと」という状況です。

あるいは、ガラス越しにものを見るというか、
夾雑物越しにものに触るときのような、
しっくりこないものがありました。

ところが、
左手用カメラ「京セラ・サムライ左手用廉価版 SAMURAI Z2-L」
を買いに行ったとき、初めて触ったのに、
まるでずっと昔から使ってきたかのような、
身体にフィットする操作感がありました。

これだ! と思いました。

あのときの感動は、初めて近視の眼鏡をかけた時の感動と同じように、
忘れられないものがあります。


このカメラは、左手でカメラ本体を握るように保持し
(落とさないように指にかけるストラップが付いています)、
左手の人差し指で、ズーム・レバーの操作や、
シャッター・ボタンを押す操作をします。

自分の好みの構図とシャッター・チャンスを
利き手である左手で操作できるのです。

まさに“自分のために作られたのか!”という印象でした。

毎度お話ししていますように、
これがきっかけとなり、左利きは左利き用の道具を! という、
私の左利き活動が始まったのです。



*参照:京セラ・サムライ左手用廉価版 SAMURAI Z2-L
『レフティやすおのお茶でっせ』
・2004.8.5
今は昔 世界初左手用カメラ、京セラ サムライSAMURAI Z2-L
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2004/08/__samurai_z2l.html
・2020.3.7
2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(2)
その後の30年(1)左手用カメラ-週刊ヒッキイ第566号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/03/post-fe5897.html


二本目の「その後の30年(1)左手用カメラ」にも書いていますように、

 《「慣れたら一緒」なんて嘘です。
  利き手に合わない道具を使うのは、
  靴を左右入れ替えて履くようなものです。》

まあ、靴の左右を入れ替えても「慣れたら一緒」
と言い張る人はいるんでしょうけれど……ね。


 ●<利き手は心につながっている>

このカメラの経験から、
私は利き手にあった道具を使うことを推薦するのです。

私の持論は<利き手は心につながっている>です。
《利き手では、反復練習で身につく作業より、心の作業を!》です。

ヴァイオリンの演奏でいえば、音を発する弓を持つ手こそ主役であり、
心の発現だからです。

音の調整は二義的なことです。
運指が巧みでも、肝心の音を出さないければ、音楽にはなりません。

カメラでいえば、まずはシャッターを押すこと。
ピントの調整ができるだけでは写真にはなりません。
写真を撮れるのは、シャッターを押したときだけです。

 ・・・

以上、ここでいったん区切ります。

次回また、理由3.と4.を取り上げ、
さらにもう一点つけ加えておきたい事柄について説明しましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」と題して、今回も全紹介です。

本来ですと、四つの理由をすべて書くつもりでしたが、思いのほか長くなってしまったので、二階に分割することにしました。

また、冒頭欄外に左利きニュース(左利きの著者と訳者による左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社)を入れています。

実は、この本はヨーロッパ社会でのは左利き迫害の歴史を語るもので、左利きでもヴァイオリンを右弾きすることが当然とされる根拠の一つといいますか、そもそもの最大原因でもある左利きを認めない社会であったことを証明する本、といっていいものです。

ヴァイオリンを左弾きしている例として語られるケースの多くがアメリカでのカントリー・ミュージックの演者であり、ヨーロッパでのオーケストラや正規の楽団などではその例がないという事実は、要するにこのヨーロッパ社会での左利きの認知度によるものだ、ということなのです。

左利きの存在を邪悪視する社会において、その上流社会の趣味である音楽演奏の場で、左弾きの演奏家が認められるはずがありませんからね。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)-週刊ヒッキイ第667号
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新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』発売される

2024-07-05 | 左利き
新たに「左利きの歴史」本が発売されました。

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27


出版社の著者紹介によりますと、著者は1962年生まれの左利きのフランス人で、『左利き事典』(Dictionnaire des gauchers, Imago, 2004)という著書もあり、《フランスでは在野の歴史家として知られ、左利きの歴史をテレビやラジオなどで解説することもある。》とのこと。

副題にもありますように、ヨーロッパ――主にフランスを中心にその周辺国におけるものです。

2008年の第二版の翻訳です。
ちなみに翻訳者さんも左利きだそうです。
「訳者あとがき」に、日本で出版された左利き本についても簡単に紹介されています。


(画像:2021年から2024年にかけて出版された左利きの本および関連本(実用書をのぞく)――
上段左から(1)八田武志『左対右 きき手大研究』DOUJIN文庫 2008年DOUJIN選書の増補文庫版 (2,3)マーティン・ガードナー『新版 自然界における左と右』(上下)ちくま学芸文庫 2021年 1992年紀伊國屋書店版の文庫化再刊
下段左から(4)加藤俊徳1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』ダイヤモンド社 2021年 (5)本書『左利きの歴史』白水社 2024年 (6)大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』PHP新書 2023年)

16年前の本ということになります。

すでにお隣の韓国など世界7カ国で出版されているとか。

日本でも、このような「左利きの迫害の歴史」を描く本が出版される時代になったのですね。

もちろん、過去にも日本で出版された左利き本で、そういう歴史は大なり小なり語られてきました。
しかし、ここまで正面切って「迫害」と表現されることは少なかったように感じます。
そういう意味で、この本が出版されるような社会状況になるまでに掛かった歳月は、16年だったということでしょうか。

昔は、私が「左利きの問題」などと周囲の右利きの人たちに訴えても、「右手を使えば済む問題」と軽くあしらわれたものでしたから。

 ・・・

日本での左利き差別の歴史については、昨年出版されました、日本左利き協会の大路直哉さんの『左利きの言い分』などにもありますように、せいぜいここ数十年前までの日常茶飯事でありました。

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.20
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』(PHP新書)買いました
(「新生活」版)
『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16

外国では、特に西洋は自由と民主主義の国が多いので、日本とは違いかなり早い時期から左利きに関しても、容認されていたのでないか、とお考えの方も少なくないでしょう。
しかし実態は、比較的早くから左利き「矯正」の弊害が知られていたアメリカをのぞきますと、そうでもなかったということがこの本でも明らかになりました。

もちろん、本書「序論」にもありますように、左利き解放の歴史的な流れは、解放へ向けての一方的な流れではなく、寄せては返す波のように、一進一退、比較的いい時期もあればまた悪い時期に戻るといったものでした。

本書は、そういった左利きに対する寛容と非寛容の歴史を描く文化史です。

本書の目次を紹介しましょう。

【目次】
第二版の序文 
序論 
第一部 正しい手と邪悪な手 
第1章 なぜ人類は右利きなのか 
第2章 右手主導の規則 
第3章 左利きによる秩序の転覆 

第二部 軽蔑された左利き 
第4章 左利きという異常性 
第5章 左利きという烙印 
第6章 下等人間の特性 
第7章 不寛容のはじまり 
第8章 虐げられた左利き 

第三部 容認された左利き 
第9章 中世の黄金時代 
第10章 近代の解放にいたる長い道のり 
第11章 二つの右手の神話 

第四部 称賛された左利き 
第12章 左利きの卓越性 
第13章 左利きの巨匠たち 
結論 

付録 
訳者あとがき 
参考文献 
原注 


まだ全巻通読したわけではないのですが、やはり、前半の非寛容(といいますか、迫害)の時代を読むのはつらいものがあります。

「おい、いい加減にしろよ」と怒鳴りたくなるような記述が多々出て参ります。
まあ、それでもこれが現実だったのですから、致し方ないところです。

「第二版の序文」にもありますように、これは

 《左利きの歴史はおそらく第一には右利きの歴史でもあるのだ》p.8

ということです。

ですので、左利きの人のみならず、右利きの人たちもその点をよく理解した上で、ぜひお読みいただきたいものです。

 《左利きの人々の境遇に関心を抱くということは、おそらく彼らを正当に評価すること、とりわけ、われわれの精神的遺産の知られざる側面を問うことを意味する。それは、現在の自分をよりよく理解するために、かつての自分を知ることである。》p.9

といいます。
そして大いなる歴史であれ、小さな歴史であれ、これこそが歴史の正当性だ、と。

歴史書を読むとは、そういうことなのですね。


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』発売される
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[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号

2024-06-20 | 左利き
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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 × × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(9:40 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000171874.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その5回目です。


【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等のミステリの総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』


------------------------------------------------------------------
 1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [ホラー]:ホラー [SF]:SF
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。


━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編>リスト
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降



━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>【海外ミステリ】編

(12)・1891年(イギリス)「ボスコム谷の謎」アーサー・コナン・ドイル (犯)●
『シャーロック・ホームズの冒険』収録
――左利きの犯人 外科医の傷跡証言から。
『シャーロック・ホームズの冒険【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/1/1
《「外科医の検死報告にあった傷の状態は...
 真後ろから殴っているのに、傷は頭の左側にあった。
 ...これはどうみたって左ききの人物の犯行としか考えられない。」》p.175


(13)・1893年(イギリス)「黄色い顔」 アーサー・コナン・ドイル (他)■
『シャーロック・ホームズの回想』収録
――ホームズの留守中に来た依頼人の忘れ物から、左利きだ、と推理。
『シャーロック・ホームズの回想【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/4/12
《「しかも焦げているのはパイプの右側だから、左ききだ。
きみのパイプをランプにかざしてごらんよ。
右ききだから、左側を火にさらすことになるだろう。」》

(参考) ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』深町真理子/訳
創元推理文庫 1991/5/1
――彼はエディンバラ大学医学生時代、外来診療実習生として、
 エディンバラ病院の外科医でもあった恩師ジョーゼフ・ベル博士の
診療室での“講義”で推理法を身につけた。
新しい患者がはいってくると、ベル博士はずばりと言う。―
 「この人は左利きで、靴直し職人だ」それから、それを説明して...
「ズボンのひざ...右側のほうが、左側よりもはるかにすりきれかたが
激しい...底革を打つのに、左手を使っている証拠だよ」

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』
2005.9.17
依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2005/09/post_4893.html
2011.9.24
推理小説と左利き:週刊ヒッキイhikkii278名作の中の左利き
~推理小説編1
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/09/hikkii2781-f03e.html


(14)・1899年クリスマスデイ[1999(アメリカ)]「クリスマスの陰謀」
 エドワード・D・ホック (犯)●
(原題) The Christmas Conspiracy
――ホームズ・パスティーシュ。
 1999年 "More Holmes for the Holidays" 収録
『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』
日暮雅通/他訳 原書房 2012/6/1 (原書)2008
《「でも、執事があの人だということが、どうやってわかったんですか?」
 「左利きだという明らかな事実が...首攻めをしたときも、
  左手を使って...写真でも...左手に銃を持って」》p.204 (日暮雅通/訳)


(15)・1896年(イギリス)「プラットナー先生綺談」H・G・ウェルズ [SF]
――SFファンタジー。四次元世界に飛ばされたのち戻ってきたら、
 右利きから左利きへ肉体の左右が逆転した男の話。
『バベルの図書館8白壁の緑の扉』ボルヘス/編 小野寺健/訳
国書刊行会 1988/9/24 収録
《ゴットフリート・プラットナーの体が解剖学的に左右逆転している
 というくらい厳然たる事実も例がないのだが》p.51
《さいきん右手が左手になってしまったらしい。》p.52

*参照:2020年2月15日
 『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』565号
 『レフティやすおの楽しい読書』264号
左右反転小説-左利きになった男(楽しい読書/週刊ヒッキイ・コラボ編)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-386af3.html


(16)・1904年(アメリカ)「ミス・ペブマーシュ殺人事件」バロネス・オルツィ
 (被)▲
――右手にペンを持った被害者のダイイング・メッセージは……。
(初出)『ロイヤル・マガジン』1904年8月号
(単行本)1905年『ミス・エリオット事件』The Cace of Miss Elliott 収録
『隅の老人[完全版]』バロネス・オルツィ 平山雄一/訳 作品社 2014/1/31 収録
《(召使いの証言)「『奥様の字はいつも読みにくいんですよ。
 左手で書くとこうなってしまうんですねえ』」/
 「『左手だって!!!』と、検視官は息を呑んだ。...
 『だってそうなんですよ!』...『奥様は子供のころに右手に
 ひどい怪我をされて、何もつかめないのを知らなかったんですか?
 指が麻痺してしまったんですよ。インク壺はいつも書き物机の左側に
 置いてあるじゃありませんか。ええ! 奥様は右手では一文字も
 書けないんですよ』」》p.262


(17)・1906年(アメリカ)「余分な指」ジャック・フットレル (犯)●
――左手の人差し指を切り落としてくれと云う依頼を受けた外科医……。
(初出)『サタデー・マガジン』1906年11月25日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一/訳
作品社 2019/7/30
《「この人差し指を」...「第一関節で切断していただきたいのです。...」
 「どうして切り落としたいのですか?」...
 「それは申しあげられませんわ」...
 「先生がお知りになる必要はありません。あなたは外科医、
  私は手術をしてもらいたい。それで十分でしょう」》


(18)・1907年(アメリカ)「壊れたブレスレット」ジャック・フットレル
 (犯)●
――思考機械対賢い娘。住所を書いてといっても、
 左手に鉛筆を持ったまま躊躇する女。
(初出)『サタデー・マガジン』1907年9月8日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一訳
作品社 2019/7/30
《...娘はちょっと手を止め、左手で持った鉛筆の尻で白い歯を叩き
 ながら考えていた。...》《「私、字が下手なんですもの。それに、
 手袋をしているから」...》p.382
《「...彼女は左利きか?」/「いいえ、違います。右利きです。...」》
p.383


(19)・(1909年)(イギリス)「アルミニウムの短剣」オースチン・フリーマン (容)▼
(原題) John Thorndyke's Case
――科学捜査を取り入れたソーンダイク博士探偵譚。左利きの容疑者。
 左後方からの短剣による刺し傷から推理。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「...背中の左側という短剣の位置からみて、
  犯人は左利きにちがいありません。...」》p.279


(20)・1911年(フランス) 「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン (犯)●
(原題) L'ECHARPE DE SOIE ROUGE
――怪盗紳士ルパン(リュパン)もの。ガニマール警部はルパンから
 「犯人は左利きだ」と教えてもらったことで命拾いする。
(初出)『ジュ・セ・トゥ JE SAIS TOUT』誌 79号(1911/08/15)
(単行本)『リュパンの告白』(原著1913)井上勇/訳 創元推理文庫 1966/3/24
(『世界短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫 1961/1/13)
『世界推理短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫・新版改題2018.9.14
「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン 井上勇/訳
《...リュパンが与えた警告を思い出した。プレヴァイユは左ききなのだ。
 左手で捜しているのは、ピストルだ。》p.144


(21)・(1913年)(アメリカ)『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム
 <ファンタジー・童話> (他)■
(原題)Patchwork Girl of Oz
――マンチキンの少年「不運なオジョ」は、13日の金曜日生まれの左利き
『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム 佐藤高子/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977(昭和52)/12/15
《「偉大なる人物の多くは左ききだ」》
《「左ききは、ふつう、両方が使える。右ききはだいたいにおいて
 右しか使えない」》p.309


(22)・(1914年)(イギリス)「ディオニュシオスの銀貨」アーネスト・ブラマ
 (他)■
(原題) The Coin of Dionysius (第一短編集 "Max Carrados" 収録)
――盲人探偵初登場作品、脇役の私立探偵カーライルが左利き。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《カーライル氏の右の袖口にハンカチがはさんであるということは、...
 カーライル氏が左利きである証拠だなどと推論することはしなかった。》
p.25


(23)・1917(1918)年(アメリカ)「藁人形」メルヴィル・デヴィッスン・
 ポースト (犯)●
(原題) The Straw Man (Uncle Abner, Maser of Mystery)
――アメリカ開拓時代のウェスト・ヴァージニアを舞台に、敬虔な
 キリスト教徒(プロテスタント)のアブナー伯父の探偵譚。左利きの犯人
 を、左という言葉を使うことなく(読者に伏せて)追い詰める。
初出不明、『イラストレイテッド・サンディ・マガジン』1917年6月10日号
再録、<EQMM>1959年12月号掲載
【邦訳】『ミステリマガジン』1975年4月号(No.228)掲載 山田辰夫/訳
『アンクル・アブナーの叡知』メルヴィル D.ポースト/著 吉田誠一/訳
ハヤカワ・ミステリ文庫 1976/1/1
――1918年出版の<アブナー>もの短編集(18編収録)の完訳。
『アブナー伯父の事件簿』メルヴィル・デイヴィスン・ポースト 菊池光
/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/1/20
《作者生前の短編集に未収録の作品を全編収めた待望の一巻!全14編収録》
《...人間の体は、奇妙な構造になっている。二つの同じような機構が
中央の胴体に結びつき合っているかのように、二つの面をそなえている
 のだ。右側、つまり、朝日に向かった時に南にある側と、左側、つまり
 北にある側だ。この二つの側面は同等ではない。一方が主導権をもって
 いてその人間を支配しており、困難な仕事に直面すると、人は、主導権
 を有するそのより能率的な側でその仕事に対処する。》 p.177
《「彼はつねに左側の壁を伝って歩いていたのだ。...」
 「なぜなら、主導権をもっているのが左側―つまり、犯人は左利き
 だからだ!》p.178

*参照:『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』
第287号(No.287) 2011/11/19「名作の中の左利き~推理小説編
 -2-「藁人形」M.D.ポースト」
2011.11.24
<アブナー伯父>「藁人形」:週刊ヒッキイhikkii287
名作の中の左利き~推理小説編2
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/11/hikkii2872-da28


(24)・(1918年)(イギリス)「消えた金融業者」オースチン・フリーマン
 [未](被)▲
(単行本)第3短編集"The Great Portrait Mystery"収録
――左利きの被害者。左手の指を死体入れ替わりトリックを破る証拠に
 仕立てようとしているが、今一歩で「左利きミステリ」の未熟児?
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《「死者の左手の第三指に印章付きの指輪をはめていたとマーボットの
 医者は証言しているじゃないか。関節が膠着症の指に指輪をはめる
 わけはないだろう」》p.66


(25)・1924年(イギリス)「夜鶯荘」アガサ・クリスティ [準]左手首のほくろ
 /傷
(原題) Philomel Cottage
(初出)『グランド・マガジン』1924年11月号
――知り合ったばかりの男性と結婚した主人公は、二重結婚で妻を殺した
 男の古い新聞記事を夫の引き出しに見つける。その顔は夫にそっくり、
 左手首にほくろがあるというが、夫の左手首には傷が……。
『世界推理短編傑作集3』江戸川乱歩/編 創元推理文庫 新版改題 2018/12/2
《...その男には、左の手首、手のひらのすぐ下のところにほくろがある
 という事実.../...夫の左の手首、手のひらのすぐ下のところに、
 小さな傷あとがあるのだ。》p.173-174
『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティー 田村 隆一/訳
 ハヤカワ文庫 クリスティー文庫56 2003/12/15


(26)・(1925年)(イギリス)「砂丘の秘密」オースチン・フリーマン (被)▲
(原題) The Puzzle Look
(初出)『ピアスン』誌 単行本(1925年)"The Pazzle Lock"収録
――左利きの被害者。浜辺に残されていた服(左の袖口に油絵の具)と
  道具(パレットナイフの磨り減り方から)から。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「どうして左利き用とわかったんだ?」.../
 「刃のすりへった角度からだよ」》p.340


(27)・(1927)(イギリス)「ポンティング氏のアリバイ」オースチン・
 フリーマン (犯)●
(原題) The Magic Casket  第6短編集
――左利きの犯人。自殺に偽装した首のナイフの傷跡の方向(被害者自身
 の左から右へ)と左利きの犯人の手の動き(相手に向かって右から左へ)
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《...ハンカチを巻きつけた右手にパイプをもって、左手でタバコを
 つめた。不自由なくやってのけるところを見ると左ききらしい。
 マッチも左手でするし、腕時計も右の手首にはめているから、
 この推理はまちがいないようだ。》p.104


(28)・(1927年)(イギリス)「フラットの惨劇」アーネスト・ブラマ [準](被)▲
(原題) The Holloway Flat Tragedy
(1927年)第三短編集"Max Carrados Mystery"収録
――盲人探偵マックス・カラドスもの、「顔のない死体」もの、死体
 入れ替えの証拠作りのため手袋で隠す。被害者の左手指が欠損。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《...彼は手袋をはめたままの左手を上げて、「指が一本ないので、
 こうしていつも手袋をはめているのですよ。...」》p.212


(29)・(1927年)(イギリス)『ビッグ4』The Big Four「11 チェスの問題」
 アガサ・クリスティー (被)▲
――名探偵エルキュール・ポアロものの短編連作風の長編の一章。
 世界的なチェス・プレイヤーの対戦で、3手目に相手が急死する。
 毒物は発見されず、左手に火傷の跡があるだけ。被害者は左利き。
『ビッグ4』アガサ・クリスティー 中村 妙子/訳 ハヤカワ文庫
 クリスティー文庫 2004/3/16
《「彼が左利きだということはどうですか?」/
 「あなたには驚かされます。まるで魔法使いのようですね、ムッシュ・
 ポアロ。どうしてわかったんですか? ええ、ウィルソンは左利き
 でした。事件とはべつに何の関係もありませんがね」》p.175


(30)・(1928)(フランス)「金歯の男」モーリス・ルブラン [準][番外編]
――ルパンがバーネットと称し、探偵社をやっていたときの事件。夜中に
 神父が目撃した、司祭館聖器室の宝物を盗んだ犯人は、左側に金歯。
 しかし、容疑者の金歯は右……。左右の問題。
『バーネット探偵社―ルパン傑作集VII―』モーリス・ルブラン
 堀口大學/訳 新潮文庫 1960/7/1
《「実は金歯ですよ。...二本あるんですが、ただ……。」/...
 「右側にあるんですよ……ところがわしが見たのは、左側なんです。」》
p.97


 ――以上、<ホームズ以後>19世紀末から20世紀初頭まで

 いずれ機会を見て、この続きの「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
 を紹介します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」と題して、今回も全文転載紹介です。

『週刊ヒッキイ』の「編集後記」にも書きましたように、現代編までかければベストでしたが、分量的に無理で、今回はここまでです。

<シャーロック・ホームズのらいヴァルたち>まではなんとか到達しました。
結構な冊数の<ライヴァルもの>を調べたつもりですが、すべてを網羅というのは難しいかと思います。

いよいよ次回は、<1930年代・探偵小説の黄金時代>以降現代まで、に突入です。
いつになるかはわかりませんが、お楽しみに。

今、20点ぐらいは判明しているものがあると思います。
もちろんきちんとした<左利きミステリ>ではないもの――登場人物の妄想であるとか、ラストの一場で登場したり、といったほんの一エピソードだけのものも含めての数字です。

そういう作品も含めても、楽しんでいただける内容になると信じています。
では。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

" target="_blank">[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号

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[コラボ]私の読書論185-<左利きミステリ>第5回海外編(前)ホームズ以前-週刊ヒッキイ第666号

2024-06-18 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第640号 【別冊 編集後記】

第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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 × × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「後編」も見てね! 「後編」はこちらで↓
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』(12:00 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000257388.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/
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 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その5回目です。


【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等のミステリの総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』


------------------------------------------------------------------
 1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [ホラー]:ホラー [SF]:SF
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。


━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編>リスト
 (前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>【海外ミステリ】編

1・紀元前『旧約聖書』「士師記」左利きのエホデ (犯)●
――左利きの暗殺者〈モアブの王エグロン殺し〉
『旧約聖書』「士師記」第3章12-30
第3章
《15 ベニヤミン人ゲラの子なる左手利捷のエホデ是なり
 16 両刃の剣を作らせ...
 21 エホデ左の手を出し右の股より剣を取りてその腹を刺せり》
『文語訳旧約聖書II歴史』岩波文庫 より

【情報源】マイケル・バーズリー『左ききの本』TBS出版会 西山浅次郎訳
 十三章「エホデ――ベンヤミンのジェイムズ・ボンド」より



2・7世紀半ば(中国・唐時代)[1963(アメリカ)]『白夫人の幻』
 ロバート・ファン・ヒューリック (容)▼
――東洋通のオランダの外交官(中国や日本の大使を歴任)による、
 中国歴史ミステリ。大唐帝国全盛期の県知事「狄(ディー)判事」こと、
 狄(ディー)仁傑(レンチェ)が活躍するシリーズもの探偵譚。
 ケガの状況から容疑者は左利きと推理する。
(原題)The Emperor's Pearl (1963)
『白夫人の幻』ロバート・ファン・ヒューリック/著 和爾桃子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2006/7/15


3・1207年(中国・南宋時代)『棠陰比事』桂万栄/編纂 駒田信二/訳
 「9 利手の左右」「10 傷跡の深浅」 (犯)●
――中国の裁判事例集、二話ずつ対比。左利きの犯人による犯罪事例。
 江戸時代「本朝棠陰比事物語」として翻訳され、翻案ものが編まれた
『棠陰比事』岩波文庫 1985/1/16
「9 利手の左右」
《囚人たちに食事をさせてその利手(ききて)を調べたところ、
彼だけが左手で匕(さじ)や箸を使ったので、この男が殴り殺したと...》
「10 傷跡の深浅」
《傷が右臂(ひじ)にあるのが不審であった。
 そこで食事をあたえて利手を調べてみたところ、
 誣告であることが明らかになったのである。》
  平凡社『中国古典文学大系39』より

【情報源】有栖川有栖『ミステリ国の人々』日本経済新聞出版社
「ディー判事――ロバート・ファン・ヒューリック」より
《「この中でただ一人、左利きのお前が犯人だ」
 などという推理が出てくるのだから。》


4・18世紀(アメリカ)「フランクリンの請願書(左手からのお願い)」
 ベンジャミン・フランクリン [番外編]
――政治家で、雷が電気だと照明したことでも知られる経済人・
 フランクリン(左利き説もある)が、常に右手の補完的存在で、
 いつも差別を受けている左手を擁護した小文。
【情報源】バーズリー『左ききの本』TBS出版会 西山浅次郎訳
「教育の監督権を有する関係者に対する請願書」
《「私の不幸な運命に対して情深い配慮を...
 すべての子どもに同等に注意と愛情を...左の手拝」》
【情報源】ブリス、モレラ『左利きの本――右利き社会への挑戦状』
 講談社 草壁焔太訳 “教育を監督主導する人々への嘆願書”
《左手についての...深刻な問題をとりあげ軽いタッチで、
 彼は左利きへの合理的な理解と同情を訴えた。》
【情報源】コレン『左利きは危険がいっぱい』文藝春秋 石山鈴子訳
《左手利き(の彼は)... 左手利きの人々にのしかかるプレッシャーに
 抗議して、「教育を監督する方々へのお願い」
 と題した文章を書いている。》

(参考) 1971(昭和56)年 「兄弟」阿刀田高 [番外編]
――「フランクリンの嘆願書」に類似した内容のショートショート。
 『新装版・最期のメッセージ』阿刀田高 講談社文庫 2009/1/15 より
《...双生児の兄弟、姿形だって真実鏡に映したように
 二人はよく似ていた。》

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2012.7.11
<右手と左手>の立場を語る「兄弟」~
『イソップを知っていますか』阿刀田高
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/07/post-6a7a.html
http://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/f551a7846a67e4408a978fdfdab08d95
2011.12.29
阿刀田高「兄弟」とLYGP2012:メルマガ
「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」291、292号告知
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/12/lygp2012-hikkii.html
http://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8067fe3bf2ee0e82e960e5259cc9b509


5・1841年9月(アメリカ)「悪魔に首を賭けるな 教訓のある話」
 エドガー・アラン・ポー (犯)●?
――習慣によって身の破滅を招く男。原因は、母親固有の具体的欠点で
 あった左利きによる打擲と貧乏だった!
『ポオ短編全集III』野崎孝訳 創元推理文庫 1974/6/28
《彼の母親の肉体的欠陥から生まれたものだ。
 悲しいかな、この女は運悪く左ききだった...
 子供を左から右へひっぱたいたって甲斐ないこと。》


6・1843年6月(アメリカ)「黄金虫」エドガー・アラン・ポー (他)■
――暗号解読宝探し小説。左利きの従僕の左右取り違えで、
 一度は宝探しに失敗するが……。
(初出)『ダラー・ニューズペーパー』1843年6月21日号、28日号 分載
(原題) The Gold-Bug
『ポオ短編全集IV』丸谷才一訳 創元推理文庫 1974/9/27
《「おまえ、自分の右手と左手の区別がつくか?」/
 「...薪を割るのがおらの左手ですだ」/「なるほど、左利きだもんね。
 じゃあ、お前の左の眼は左手と同じ側にあるんだ。」》

*参照:『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第180号(No.180) 2009/5/16
「名作の中の左利き(2)」―その2―『黄金虫』エドガー・アラン・ポー


(7)・1870年7月(フランス)「バティニョールの老人」エミール・
ガボリオ (被)▲
――自分の血で書いた犯人の名と思われるダイイング・メッセージ。
 左手の指に血が付いていたので、予審判事も警察署長も、犯人が誤って
 左手に血を付けて偽装したと判断し、犯人逮捕に辿り着くが……。
「ル・プチ・ジュルナル」(フランス四大日刊紙)1870年7月8日~19日連載
『世界推理短編傑作集6』戸川安宣編 創元推理文庫 2022/2/19
《右手は汚れていない……べっとりと血にまみれていたのは、
 左手の人差指だった。/では、老人は左手で血の文字をかいたのか……
 そんなばかな……》p.36(太田浩一/訳)
《「...おまえが血に浸したのは、死体の左手だったんだよ……」》
《「ビゴローの親父はもともと左利きだったんだよ!」》p.99

(参考) 1892(明治25)年「血の文字」黒岩涙香 (被)▲
――エミール・ガボリオ「バティニョールの老人」の翻案小説。
1892(明治25)年8月刊、小説集『綾にしき』収録
『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
創元推理文庫 1984/12/22
《「...あの老人が左得手(えて)で、筆を持つのは左手だと云う事を
 御存じないと見えますな」》p.107


(8)・1871(イギリス)『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル [番外編]
――ご存知『不思議の国のアリス』の作者による
 鏡のなかの左右反転世界での冒険
『鏡の国のアリス』矢川澄子/訳 金子國義/イラスト 新潮文庫 1994/9/28
《「あの鏡のお家に住んでみる気はない、キティ? 
  あっちでもあんた、ミルクもらえるかしら。
  鏡のなかのミルクなんて、おいしくなさそう――」》

(参考) クリス・マクマナス/著『非対称の起源―偶然か、必然か』帯絵
(大貫 昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006/10/21)



(9)・1881年(ロシア)「左利き トゥーラのやぶにらみの左利きと鋼鉄の蚤の
 話」レスコフ [番外編]
――ミニチュア細工の左利きの職人が、イギリスから持ち帰った軍事上の
 秘密とは……。
『ルーショ』紙1881年第45号、50号、51号掲載
1882年『オリョール報知』紙転載 1884年単行本
『レスコフ作品集1 左利き』岩浅武久/訳 群像社 ロシア名作
ライブラリー 2020/2/28
《「じゃあなぜ左手で従事を着るのですか?」/「彼は左利きで、
 何でも左手でやるのです」》


(10)・19世紀?(アメリカ)(小話)〈玉突屋のおやじ〉マーク・トウェイン
 [番外編]
マーク・トウェイン『ちょっと面白い話』大久保博/編訳 旺文社文庫
1980/1/1 収録
《ひと勝負やるか とおやじ/おれの腕前を見て
 「よし結構。それならおれは左手で突こう」》
《「左手でもそれだけ突けるんだから、右手で突いたら、
 いったいどれだけ突けるんだい?」/「いやあ、だめさ」
 とおやじは言った。/「おれはもともと左ギッチョなんだ」》


(11)・19世紀?(アメリカ)〈多数派〉マーク・トウェイン [番外編]
マーク・トウェイン『ちょっと面白い話』大久保博/編訳 旺文社文庫
1980/1/1 収録
《多数派は常に間違っている/自分が多数派にまわったと知ったら/
 それは必ず行いを改める(か、一息いれて反省する)時だ》

(参考) マーク・トウェインは左利き―
『神々の左手―世界を変えた左利きたちの歴史』エド・ライト/著
スタジオタッククリエイティブ 2009.6


 ――以上、<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで。

 (「後編」では、<ホームズ以後>19世紀末以降
         の諸作品を紹介します。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」と題して、今回も全紹介です。

以前、X(旧Twitter)のまとめ編を基に、総リスト化してみました。
「前・後編」で現代まで、という気持ちでいましたが、残念ながら今回はそこまで届きませんでした。
1920年代まででした。
またいずれ機会を見て、残りの1930年代(探偵小説黄金時代)以降、現代までをお届けしたいと思います。

今回新たに追加した作品は、

(2)・7世紀半ば(中国・唐時代)[1963(アメリカ)]『白夫人の幻』ロバート・ファン・ヒューリック
(7)・1870年7月(フランス)「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ
 (参考) 1892(明治25)年「血の文字」黒岩涙香
(9)・1881年(ロシア)「左利き トゥーラのやぶにらみの左利きと鋼鉄の
蚤の話」レスコフ

ぐらいでした。

15歳から70歳の今日まで56年間に読んだ本は、2800冊程度。
内、広義の「ミステリ」はせいぜい1500程度でしょうか。
しかも、<左利きミステリ>を意識して読むようになったのは、ここ20年ほどで、それ以前に読んだ本はまったく記憶にないものも数多くあります。
あれが抜けてるとか、これを知らないの? といった見落とし作品がいくつもあるかと思います。

特に、近年は読書量も減っており、一方で海外ものの翻訳作品は売れ行きとは反比例で、相変わらずかなりの量が翻訳されています。

追々調べながら追加しておこうと思っています。
ご存知の作品などありましたら、ご教授いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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" target="_blank">[コラボ]私の読書論185-<左利きミステリ>第5回海外編(前)ホームズ以前-週刊ヒッキイ第666号

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楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から-週刊ヒッキイ第665号

2024-06-07 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」
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 前回は、YouTubeヴァイオリン動画

 左利き用バイオリン?! なぜみんな左手でバイオリンを持つのか。
https://youtu.be/1AmkzYXwHuY?si=0GR1mBoVlDkQkwbN
(2022/03/26「達ちゃんねる」13分27秒)

 を紹介しながら、左利きとヴァイオリン演奏について考えてみました。

 今回も、もう一つのYouTubeの動画を紹介しながら、
 左利きとヴァイオリン演奏について考えていこう、
 という予定でしたが、
 ネットで見つけた左利きヴァイオリニストさんの発言を紹介し、
 なぜ左利きでも右用ヴァイオリンで右弾きしなければならないのか、
 という点を見ておきましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   ネットの左利きヴァイオリニストの発言から

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●ヴァイオリンYouTube動画(その2)

今回の動画はこれです↓

解説! 左利き用のバイオリンについて!
全盲のバイオリニスト穴澤雄介が教えます
【左利きの生徒さんを教えた経験談も】
https://youtu.be/d-xrKPRvgEo?si=bR30My4xtn6Rat3S
4:33

2022/09/29 全盲のユーチューバー、音楽家、講演家、
穴澤雄介チャンネル
--
ヴァイオリンやヴィオラに、
果たして左利きのための楽器は存在するのでしょうか?
左利きだけどバイオリンをやってみたい、
そう思っている方へ安心のアドバイス!!
--

というのですけれど……。

結論から書いてしまいますと、
ごくごく常識的?な発言ばかりで、参考にはなりません。

ごくごく簡単にまとめますと――

 《左利き用のヴァイオリンはありません。昔はあったらしいですが。》

 《大勢が並んで演奏することが多いので、
  ひとりだけ左弾きだと、弓がぶつかる、見た目がよくない》

 《左手で弦を押さえるのも、難しいから、左利きが不利とも言えない。》

 《楽器をやっていると、両利きのようになる、
  私も左の方が握力が強い》

――といったところです。
いつも聞かされる台詞といったところですね。


 ●「ツルノリヒロの生活と推理」から

次に、ネットで見つけた左利きヴァイオリンについての記事から
二、三紹介してみましょう。


【ネット記事から(その1)】

ツルノリヒロの生活と推理
アーティスト、ツルノリヒロの気ままな発信基地。

左利き用バイオリン
2012-04-20 20:36:54 | 思いつくままに
https://blog.goo.ne.jp/tsuru-norihiro/e/fcce99fe4f40cbbc34fe6a3425f321cc

ここでも簡単に気になる部分を紹介しておきましょう。

 《チャップリンは左利きで、チェロもバイオリンも、
  特注の楽器を弾いていたらしい。》

――有名人なので、その可能性はありそうですね。

 《今は、左利きの方でも右利きの構えに、
  早くからならされて弾く方が多いので、普通の楽器で良いのだが、》

――小さい頃からやってるから……というやつですね。
「結論」になるのですが、
ヨーロッパでも、日本と同じように左利きは差別されてきました。
認められるようになったのは、日本と同じように第二次大戦後のこと。

昔から左利きの子供たちは、親や学校の先生など大人たちから
「矯正」の名の下に、字を書く等の“人間的”な行為に関しては、
右使いに転換させられてきたのです。

*参考文献:欧米における左利き差別について
・左利きイギリス人の左利き研究家の著作
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)1973
(原著 THE LEFT-HANDED BOOk -An Investigation Into The Sinister
History Of Left-handedness- 1966) ――「序論」他


『右きき世界と左きき人間』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)1972
(原著 Left-handed Man in a Right-handed World, 1970) ――著者の
 主宰する左利きの会会員の便り「第五章 左ききの試練と苦難」他


・左利きアメリカ人の左利きの著作
『左利きの本――右利き社会への挑戦状』ジェームス・ブリス、ジョセフ・モレラ 草壁焔太訳(講談社)1980.12
(原著 The Left-handaers' Handbook) ――「第I部 外国編」


・左利きのドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラスの短編小説
「左ぎっちょクラブ」(1958、『僕の緑の芝生』飯吉光夫訳 小沢書店
 1993/10/1 収録) 
『僕の緑の芝生』
――左利きの青年たちが所属する“出来もしない”のに右手使いに転換
(「矯正」)することを目的としたクラブでの出来事を描く


ヨーロッパのクラシック音楽も、
伝統のある歴史のあるもので、演奏もその教育法も
昔から一つの形ができあがっていたのでしょう。

当然のごとく楽器演奏もまた、左利きの子供たちは、
右使いに「矯正」されてきた、というだけのことです。


 《利き腕を重視して演奏するには、
  バイオリンもチェロも、ボディーの中は左右対称ではないため、
  左利き用の楽器を使わなければならない。》
 《バイオリンとか、チェロは、作られてからすぐ、よりは、
  何十年も時を経て、
  初めてその楽器の持つ音が鳴るようになる。》
 《やはり特注して作ってもらう、と言う事になるのだろう。
  そうなると、なかなかいい音は望めないのだろう、
  だから、左利きでも右利きに矯正され、
  演奏する事になるのかもしれない。》

――この辺のところは、なかなか納得させられます。

楽器の音が練れてくるまでに時間がかかるので、
左利き用の歴史のある名器を見つけるのは難しい。

だから、「名器を演奏したいのなら、左利きの人でも右弾きで!」
という発言には、一理あるなあ、と感心します。

ただ、“名器を育てる”という行き方もあるはずですよね。

 《そういえば昔、
  スイスロマンド管弦楽団のバイオリンに、
  一人だけ左利き用で演奏している楽団員がいたが、
  テレビで見ていて、一人だけみんなと逆に構えているのが目立って、
  とても不思議な気がした事がある。》

――これは、目立ちたい人には魅力的でしょう。
逆に、目立ちたくない人には困ったことでなります。
左利きの人は「人前で目立ちたくない」という控えめな人も多いので、
これは困った事態ですね。


 ●「左利き?のヴァイオリニスト」から

【ネット記事から(その2)】

2017-02-21 23:57:46
左利き?のヴァイオリニスト
https://ameblo.jp/atsukosahara/entry-12248820146.html

佐原敦子(ヴァイオリニスト)さんのブログです。

《ウィーンの素晴らしいヴァイオリニスト、
 ルドルフ・コーリッシュ(1896~1978)》のことを書いておられます。

コーリッシュのYouTube動画

Kolisch String Quartet - Mozart:
https://youtu.be/ILCu3kMHHJc


 《コーリッシュは、一番右側の方です。
  たいてい、1stヴァイオリンは、一番左側ですが、
  弓があたらないように、/右側にいらっしゃいますね。

  私は、このように弾かれている方には
  お会いしたことがありませんが、
  一度、テレビでヨーロッパのオーケストラの中で弾かれている姿を
  観たことがあります。

  反対でも弾けるようになるには、
  顎当てや弦も反対に張ったヴァイオリンがないと練習できません。
  私はウィリアム一台しか持っていないので、上達は難しそうです。》

――とのこと。
左利き左弾きのコーリッシュさんは、他の人と弓があたらないように、
(向かって)「右側」にいると。

左利きの人ならこういうことはよく理解できるでしょう。
私たち日本人の左利きの人たちも、
食事の時には、他の人と肘が当たらないように、「左端」に座ります。

次に、「反対でも弾けるようになるには」反対のヴァイオリンが必要で、
二台目がいるとのこと。

プロでも道具がないとどうにもならない、ということなんですね。

*参照:ルドルフ・コーリッシュ
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973――「十九 音楽における左きき」
に、ヴァイオリンに関しての記述があり、
「ルドルフ・コリシュ」として、彼に関しても記述があります。

 《左手を負傷したため、止むをえず、右手でヴァイオリンを支え、
 左手で弦を動かさなければならなかった。》p.223

それでも四重奏団を結成、1939年の解散まで好評を博した、とあります。

また、これは次回に解説しますが、
四重奏団は、左弾きが入っても位置的、視覚的に美学上有利である、
とも書かれていました。

ちなみに、チャップリンに関しても記述がありました。
これもいずれ紹介しようと思います。


 ●左利き用のヴァイオリンって、そうだったの?

2023年11月2日 2024年1月15日
ヴァイオリンは左利きでも弾ける?左利きのプロ奏者や経験談を紹介
https://moka-violin.com/violin-lefthanded/

によりますと、左利き用のヴァイオリンは、

 《左利き用というより、
  事故や障害などで左手のコントロールが困難な方向けのようです。》

といいます。

まあ、そういうこともあるかと思いますが、
実際に存在するのは事実のようですし、
どのような理由にしろ、存在するということが大事なわけです。

もし、だれもが右用と左用のどちらも試せる状況があって、
どちらでも教えてくれる先生がいるとすれば、
実際に試して自分にとって弾きやすい方を選べるわけで、
それは最高のチョイスになるでしょう。


 ●手の役割と足の役割

ここで、ネット情報から「ヴァイオリンは左右どちらの手も難しい」
(だから、利き手は関係ない)という発言が多いので、
ヴァイオリンにおける両手の役割・仕事をチェックしておきましょう。

【右手】
・ボウイング:弓の上げ下げ
・ピッチカート:弓を使わず指で弦を弾く

【左手】
・フィンガリング:指使い、運指(音程を作る)
・ポジションチェンジ
・ビブラート

詳しい内容については私には理解できていませんが、
何かしらイメージは着くだろうと思います。

もうひとつ、左手の役割としましては、「本体を持つ・支持する」
ということも大きな要素でしょう。

この点も後ほど、検討してみようと思います。


 ●左利きでも不利ではない――「慣れれば一緒」の思想?

結局、右利きのヴァイオリニストのかたも、
左利きのヴァイオリニストのかたも、結論とされているのは――

 ヴァイオリンを弾くとき、右手と左手は役割が異なり、
 それぞれに特殊な動きがあり、どちらも同じくらい重要である。
 そのため、利き手による有利不利はない。

というものです。

先に紹介しました

「ヴァイオリンは左利きでも弾ける?左利きのプロ奏者や経験談を紹介」

には、こうあります。

 《右手の役割は弓を持って弦をこすり、
  音に強弱をつけて音色を表現することです。

  一方左手の主な役割は音程を作ることで、
  正確な位置に素早くしっかりと弦を押さえる必要があります。

  ヴァイオリンを弾くときは右手も左手も同じくらい重要なので、
  左利きだからといって不利になることはありません。》

しかし、これは多くの楽器でも同じようにいう人がいます。

また、他の両手を使う道具や機械、例えばカメラでも、
同じようにいわれています。

一眼の高級カメラの場合は、
右手は、カメラ本体を保持し、構図を決め、
ここぞという瞬間にシャッター・ボタンを押す。
左手は、レンズを支えながら被写体のピントを決める、
といった操作を行います。

そして、実際に使っている左利きの人がいうのは、
(右利き用でも)「慣れれば一緒」です。

しかし、これらのものはみな、両手を使っているといっても、
実は、右手が主役で左手は補助です。

その点も後ほど解説します。


 ●有名な左利きでも右弾きのヴァイオリニストさん

上のサイト記事でも、最後は、日常生活では左利きでも
ヴァイオリンの演奏は右利き用のヴァイオリンで右弾きで有名になった
ヴァイオリニストを紹介しています。

一人目は、古澤巌さん。

 《古澤巌さんは1959年東京都生まれのヴァイオリニストで、
  桐朋学園大学とカーティス音楽院(アメリカペンシルバニア州)を
  卒業しています。/
  3歳の時に保育園の先生から左利きだから習い事をさせた方がいい
  と言われ、ヴァイオリンを始めたそうです。/
  最初は苦労したようですが、努力の甲斐あってか古澤巌さんは
  数々のコンクールで1位を受賞しています。/
  また実力を認められ、ストラディバリウスの名器
  「サン・ロレンツォ」を生涯貸与されています。》


二人目は、千住真理子さん。

 《千住真理子さんは1962年東京都生まれで、慶應義塾大学を卒業して
  から国内外で広く活躍されています。/
  2歳半でヴァイオリンを始めて12歳でNHK交響楽団と共演しデビュー、
  パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞などを果たしています。/
  華々しい経歴を持っていますが、幼少期にヴァイオリンの先生から
  「左利きはヴァイオリニストになれない」
  と言われたことがあるそうです。/
  しかし今や世界で活躍する演奏家として名を馳せているので、
  左利きを理由に諦めなくていいのだと勇気づけられますね。》

とのこと。

古澤巌さんは、《最初は苦労したようですが、努力の甲斐あってか》
著名な名演奏家になれたようです。

千住真理子さんも、《「左利きはヴァイオリニストになれない」
と言われた》にもかかわらず、成功されたようです。

とは言えこれは、「左利きでも右弾きに成功する人もいる」
というだけのことです。


 ●人はそれぞれ偏りの度合いが違う

別に「左利きでも右弾き」を否定する必要は無いのですが、
人にはそれぞれ個性があり、利き手の偏りの度合いも異なります。

以前、<左利きプチ・アンケート>で各種利き手テストを紹介しました。

その結果を大雑把にいえば、利き手に関しては、

多くの片手作業で右手を使う「強い右利き」以外にも、
その裏返しの、多くの片手作業で左手を使う「強い左利き」がいて、
いくつかの項目で左手を使う「弱い右利き」から
その逆のいくつかの項目で右手を使う「弱い左利き」までの、
私が「中間の人」と呼ぶ人たちがいます。

また、利き手以外にも利き足や利き目といった、
左右対称に存在する器官における使用の偏りがあります。

利き手では約90%の人が右手利きといわれますが、
利き足や利き目では右利きが60~70%といわれています。

手の利きと足や目の利き側との相関関係は、60~70%といわれています。
右手利きの人の60~70%は右足利きだ、ということです。

これらの身体全体の偏りを考慮しますと、
右手利きという人でも、左足利きや左目利きの人もいるので、
「中間の人」はかなり存在すると思われます。

そういう人では、右使いに馴染める人――
ヴァイオリンの右弾きに慣れやすい人も当然いるでしょう。

しかし、私のように強度の左利きの場合には、右使いには慣れにくく、
そういう強い左利きの人の場合、
ヴァイオリンの右弾きに関しても慣れるのは難しいと考えられます。


 ●左利きでも右利き用で右弾きを、という理由

色々見てきましたが、総じて言えることは――

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

以上、これぐらいの理由でしょう。

では、次回からそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」と題して、今回も全紹介です。

今回は、「左利きでも右利き用のヴァイオリンで右弾きするのがよい」といったヴァイオリニストたちのご意見を紹介し、その理由とされる事柄をまとめてみました。
次回は、これらの理由に関して私なりの反論を書いてみる予定です。

従来から、左利き幼児の右使いへの転換行為(「矯正」と、正しいことであるかのように、きれい事のような表現がされてきました)がなされていたものですが、それらに反発し、反論してきた日々のことを思い出してしまいます。
まったく同じ状況といっても過言ではありません。

やはり音楽、器楽演奏の世界は遅れているようです。
なんとかしなければなりませんねえ。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から-週刊ヒッキイ第665号
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