古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】
2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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× × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
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今回は、私の発行しているメルマガ
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。
以前も何度か試みましたが、その5回目です。
【過去のコラボ】
■1回目――
ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18
■2回目――
「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a
■3回目――
【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267
■4回目――
<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。
前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96
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★ コラボ企画 ★
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで
× × × × × × × × × × × × × × × ×
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降
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<左利きミステリ>についてです。
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。
その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。
今回は、<海外編>を紹介していきます。
・・・
*<左利きミステリ>とは、
左利きの人が主要登場人物である物語や
左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
ホラー作品等のミステリの総称をいう。
例
国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』
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1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
[未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
[準]:<左利きミステリ>に準ずる
[番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
[ホラー]:ホラー [SF]:SF
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<左利きミステリ>の登場人物・分類表
(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
<左利きミステリ>:<海外編>リスト
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
<左利きミステリ>【海外ミステリ】編
(12)・1891年(イギリス)「ボスコム谷の謎」アーサー・コナン・ドイル (犯)●
『シャーロック・ホームズの冒険』収録
――左利きの犯人 外科医の傷跡証言から。
『シャーロック・ホームズの冒険【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/1/1
《「外科医の検死報告にあった傷の状態は...
真後ろから殴っているのに、傷は頭の左側にあった。
...これはどうみたって左ききの人物の犯行としか考えられない。」》p.175
(13)・1893年(イギリス)「黄色い顔」 アーサー・コナン・ドイル (他)■
『シャーロック・ホームズの回想』収録
――ホームズの留守中に来た依頼人の忘れ物から、左利きだ、と推理。
『シャーロック・ホームズの回想【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/4/12
《「しかも焦げているのはパイプの右側だから、左ききだ。
きみのパイプをランプにかざしてごらんよ。
右ききだから、左側を火にさらすことになるだろう。」》
(参考) ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』深町真理子/訳
創元推理文庫 1991/5/1
――彼はエディンバラ大学医学生時代、外来診療実習生として、
エディンバラ病院の外科医でもあった恩師ジョーゼフ・ベル博士の
診療室での“講義”で推理法を身につけた。
新しい患者がはいってくると、ベル博士はずばりと言う。―
「この人は左利きで、靴直し職人だ」それから、それを説明して...
「ズボンのひざ...右側のほうが、左側よりもはるかにすりきれかたが
激しい...底革を打つのに、左手を使っている証拠だよ」
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』
2005.9.17
依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2005/09/post_4893.html
2011.9.24
推理小説と左利き:週刊ヒッキイhikkii278名作の中の左利き
~推理小説編1
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/09/hikkii2781-f03e.html
(14)・1899年クリスマスデイ[1999(アメリカ)]「クリスマスの陰謀」
エドワード・D・ホック (犯)●
(原題) The Christmas Conspiracy
――ホームズ・パスティーシュ。
1999年 "More Holmes for the Holidays" 収録
『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』
日暮雅通/他訳 原書房 2012/6/1 (原書)2008
《「でも、執事があの人だということが、どうやってわかったんですか?」
「左利きだという明らかな事実が...首攻めをしたときも、
左手を使って...写真でも...左手に銃を持って」》p.204 (日暮雅通/訳)
(15)・1896年(イギリス)「プラットナー先生綺談」H・G・ウェルズ [SF]
――SFファンタジー。四次元世界に飛ばされたのち戻ってきたら、
右利きから左利きへ肉体の左右が逆転した男の話。
『バベルの図書館8白壁の緑の扉』ボルヘス/編 小野寺健/訳
国書刊行会 1988/9/24 収録
《ゴットフリート・プラットナーの体が解剖学的に左右逆転している
というくらい厳然たる事実も例がないのだが》p.51
《さいきん右手が左手になってしまったらしい。》p.52
*参照:2020年2月15日
『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』565号
『レフティやすおの楽しい読書』264号
左右反転小説-左利きになった男(楽しい読書/週刊ヒッキイ・コラボ編)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-386af3.html
(16)・1904年(アメリカ)「ミス・ペブマーシュ殺人事件」バロネス・オルツィ
(被)▲
――右手にペンを持った被害者のダイイング・メッセージは……。
(初出)『ロイヤル・マガジン』1904年8月号
(単行本)1905年『ミス・エリオット事件』The Cace of Miss Elliott 収録
『隅の老人[完全版]』バロネス・オルツィ 平山雄一/訳 作品社 2014/1/31 収録
《(召使いの証言)「『奥様の字はいつも読みにくいんですよ。
左手で書くとこうなってしまうんですねえ』」/
「『左手だって!!!』と、検視官は息を呑んだ。...
『だってそうなんですよ!』...『奥様は子供のころに右手に
ひどい怪我をされて、何もつかめないのを知らなかったんですか?
指が麻痺してしまったんですよ。インク壺はいつも書き物机の左側に
置いてあるじゃありませんか。ええ! 奥様は右手では一文字も
書けないんですよ』」》p.262
(17)・1906年(アメリカ)「余分な指」ジャック・フットレル (犯)●
――左手の人差し指を切り落としてくれと云う依頼を受けた外科医……。
(初出)『サタデー・マガジン』1906年11月25日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一/訳
作品社 2019/7/30
《「この人差し指を」...「第一関節で切断していただきたいのです。...」
「どうして切り落としたいのですか?」...
「それは申しあげられませんわ」...
「先生がお知りになる必要はありません。あなたは外科医、
私は手術をしてもらいたい。それで十分でしょう」》
(18)・1907年(アメリカ)「壊れたブレスレット」ジャック・フットレル
(犯)●
――思考機械対賢い娘。住所を書いてといっても、
左手に鉛筆を持ったまま躊躇する女。
(初出)『サタデー・マガジン』1907年9月8日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一訳
作品社 2019/7/30
《...娘はちょっと手を止め、左手で持った鉛筆の尻で白い歯を叩き
ながら考えていた。...》《「私、字が下手なんですもの。それに、
手袋をしているから」...》p.382
《「...彼女は左利きか?」/「いいえ、違います。右利きです。...」》
p.383
(19)・(1909年)(イギリス)「アルミニウムの短剣」オースチン・フリーマン (容)▼
(原題) John Thorndyke's Case
――科学捜査を取り入れたソーンダイク博士探偵譚。左利きの容疑者。
左後方からの短剣による刺し傷から推理。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「...背中の左側という短剣の位置からみて、
犯人は左利きにちがいありません。...」》p.279
(20)・1911年(フランス) 「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン (犯)●
(原題) L'ECHARPE DE SOIE ROUGE
――怪盗紳士ルパン(リュパン)もの。ガニマール警部はルパンから
「犯人は左利きだ」と教えてもらったことで命拾いする。
(初出)『ジュ・セ・トゥ JE SAIS TOUT』誌 79号(1911/08/15)
(単行本)『リュパンの告白』(原著1913)井上勇/訳 創元推理文庫 1966/3/24
(『世界短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫 1961/1/13)
『世界推理短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫・新版改題2018.9.14
「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン 井上勇/訳
《...リュパンが与えた警告を思い出した。プレヴァイユは左ききなのだ。
左手で捜しているのは、ピストルだ。》p.144
(21)・(1913年)(アメリカ)『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム
<ファンタジー・童話> (他)■
(原題)Patchwork Girl of Oz
――マンチキンの少年「不運なオジョ」は、13日の金曜日生まれの左利き
『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム 佐藤高子/訳
ハヤカワ文庫NV 1977(昭和52)/12/15
《「偉大なる人物の多くは左ききだ」》
《「左ききは、ふつう、両方が使える。右ききはだいたいにおいて
右しか使えない」》p.309
(22)・(1914年)(イギリス)「ディオニュシオスの銀貨」アーネスト・ブラマ
(他)■
(原題) The Coin of Dionysius (第一短編集 "Max Carrados" 収録)
――盲人探偵初登場作品、脇役の私立探偵カーライルが左利き。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《カーライル氏の右の袖口にハンカチがはさんであるということは、...
カーライル氏が左利きである証拠だなどと推論することはしなかった。》
p.25
(23)・1917(1918)年(アメリカ)「藁人形」メルヴィル・デヴィッスン・
ポースト (犯)●
(原題) The Straw Man (Uncle Abner, Maser of Mystery)
――アメリカ開拓時代のウェスト・ヴァージニアを舞台に、敬虔な
キリスト教徒(プロテスタント)のアブナー伯父の探偵譚。左利きの犯人
を、左という言葉を使うことなく(読者に伏せて)追い詰める。
初出不明、『イラストレイテッド・サンディ・マガジン』1917年6月10日号
再録、<EQMM>1959年12月号掲載
【邦訳】『ミステリマガジン』1975年4月号(No.228)掲載 山田辰夫/訳
『アンクル・アブナーの叡知』メルヴィル D.ポースト/著 吉田誠一/訳
ハヤカワ・ミステリ文庫 1976/1/1
――1918年出版の<アブナー>もの短編集(18編収録)の完訳。
『アブナー伯父の事件簿』メルヴィル・デイヴィスン・ポースト 菊池光
/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/1/20
《作者生前の短編集に未収録の作品を全編収めた待望の一巻!全14編収録》
《...人間の体は、奇妙な構造になっている。二つの同じような機構が
中央の胴体に結びつき合っているかのように、二つの面をそなえている
のだ。右側、つまり、朝日に向かった時に南にある側と、左側、つまり
北にある側だ。この二つの側面は同等ではない。一方が主導権をもって
いてその人間を支配しており、困難な仕事に直面すると、人は、主導権
を有するそのより能率的な側でその仕事に対処する。》 p.177
《「彼はつねに左側の壁を伝って歩いていたのだ。...」
「なぜなら、主導権をもっているのが左側―つまり、犯人は左利き
だからだ!》p.178
*参照:『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』
第287号(No.287) 2011/11/19「名作の中の左利き~推理小説編
-2-「藁人形」M.D.ポースト」
2011.11.24
<アブナー伯父>「藁人形」:週刊ヒッキイhikkii287
名作の中の左利き~推理小説編2
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/11/hikkii2872-da28
(24)・(1918年)(イギリス)「消えた金融業者」オースチン・フリーマン
[未](被)▲
(単行本)第3短編集"The Great Portrait Mystery"収録
――左利きの被害者。左手の指を死体入れ替わりトリックを破る証拠に
仕立てようとしているが、今一歩で「左利きミステリ」の未熟児?
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《「死者の左手の第三指に印章付きの指輪をはめていたとマーボットの
医者は証言しているじゃないか。関節が膠着症の指に指輪をはめる
わけはないだろう」》p.66
(25)・1924年(イギリス)「夜鶯荘」アガサ・クリスティ [準]左手首のほくろ
/傷
(原題) Philomel Cottage
(初出)『グランド・マガジン』1924年11月号
――知り合ったばかりの男性と結婚した主人公は、二重結婚で妻を殺した
男の古い新聞記事を夫の引き出しに見つける。その顔は夫にそっくり、
左手首にほくろがあるというが、夫の左手首には傷が……。
『世界推理短編傑作集3』江戸川乱歩/編 創元推理文庫 新版改題 2018/12/2
《...その男には、左の手首、手のひらのすぐ下のところにほくろがある
という事実.../...夫の左の手首、手のひらのすぐ下のところに、
小さな傷あとがあるのだ。》p.173-174
『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティー 田村 隆一/訳
ハヤカワ文庫 クリスティー文庫56 2003/12/15
(26)・(1925年)(イギリス)「砂丘の秘密」オースチン・フリーマン (被)▲
(原題) The Puzzle Look
(初出)『ピアスン』誌 単行本(1925年)"The Pazzle Lock"収録
――左利きの被害者。浜辺に残されていた服(左の袖口に油絵の具)と
道具(パレットナイフの磨り減り方から)から。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「どうして左利き用とわかったんだ?」.../
「刃のすりへった角度からだよ」》p.340
(27)・(1927)(イギリス)「ポンティング氏のアリバイ」オースチン・
フリーマン (犯)●
(原題) The Magic Casket 第6短編集
――左利きの犯人。自殺に偽装した首のナイフの傷跡の方向(被害者自身
の左から右へ)と左利きの犯人の手の動き(相手に向かって右から左へ)
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《...ハンカチを巻きつけた右手にパイプをもって、左手でタバコを
つめた。不自由なくやってのけるところを見ると左ききらしい。
マッチも左手でするし、腕時計も右の手首にはめているから、
この推理はまちがいないようだ。》p.104
(28)・(1927年)(イギリス)「フラットの惨劇」アーネスト・ブラマ [準](被)▲
(原題) The Holloway Flat Tragedy
(1927年)第三短編集"Max Carrados Mystery"収録
――盲人探偵マックス・カラドスもの、「顔のない死体」もの、死体
入れ替えの証拠作りのため手袋で隠す。被害者の左手指が欠損。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《...彼は手袋をはめたままの左手を上げて、「指が一本ないので、
こうしていつも手袋をはめているのですよ。...」》p.212
(29)・(1927年)(イギリス)『ビッグ4』The Big Four「11 チェスの問題」
アガサ・クリスティー (被)▲
――名探偵エルキュール・ポアロものの短編連作風の長編の一章。
世界的なチェス・プレイヤーの対戦で、3手目に相手が急死する。
毒物は発見されず、左手に火傷の跡があるだけ。被害者は左利き。
『ビッグ4』アガサ・クリスティー 中村 妙子/訳 ハヤカワ文庫
クリスティー文庫 2004/3/16
《「彼が左利きだということはどうですか?」/
「あなたには驚かされます。まるで魔法使いのようですね、ムッシュ・
ポアロ。どうしてわかったんですか? ええ、ウィルソンは左利き
でした。事件とはべつに何の関係もありませんがね」》p.175
(30)・(1928)(フランス)「金歯の男」モーリス・ルブラン [準][番外編]
――ルパンがバーネットと称し、探偵社をやっていたときの事件。夜中に
神父が目撃した、司祭館聖器室の宝物を盗んだ犯人は、左側に金歯。
しかし、容疑者の金歯は右……。左右の問題。
『バーネット探偵社―ルパン傑作集VII―』モーリス・ルブラン
堀口大學/訳 新潮文庫 1960/7/1
《「実は金歯ですよ。...二本あるんですが、ただ……。」/...
「右側にあるんですよ……ところがわしが見たのは、左側なんです。」》
p.97
――以上、<ホームズ以後>19世紀末から20世紀初頭まで
いずれ機会を見て、この続きの「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
を紹介します。
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本誌では、
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」と題して、今回も全文転載紹介です。
『週刊ヒッキイ』の「編集後記」にも書きましたように、現代編までかければベストでしたが、分量的に無理で、今回はここまでです。
<シャーロック・ホームズのらいヴァルたち>まではなんとか到達しました。
結構な冊数の<ライヴァルもの>を調べたつもりですが、すべてを網羅というのは難しいかと思います。
いよいよ次回は、<1930年代・探偵小説の黄金時代>以降現代まで、に突入です。
いつになるかはわかりませんが、お楽しみに。
今、20点ぐらいは判明しているものがあると思います。
もちろんきちんとした<左利きミステリ>ではないもの――登場人物の妄想であるとか、ラストの一場で登場したり、といったほんの一エピソードだけのものも含めての数字です。
そういう作品も含めても、楽しんでいただける内容になると信じています。
では。
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
" target="_blank">[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号
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