こちらの本は坂本龍一や白井聡や松岡正剛や水野和夫が絶賛している著作で、ちなみに私は緑の党のヤンググリーンズの勉強会の課題本で、こちらの本「人新世の資本論」を読みました。
内容は今のグローバル化した世界で、かなりSDGsやグリーンニューディール政策を行なっている事例は多いですし、私はそれらは必要な取り組みと思い、もっと増えてほしいです。
しかしこちらの本は現在のグローバル化した資本主義社会では、根本的な途上国や労働者からの搾取による世界的な格差や、経済成長のために環境や人間などが犠牲にならざるおえず、このままでは温暖化の悪化を食い止められないと豊富な実証的なデータから言及しています。
大阪市立大学大学院経済学の斎藤幸平准教授というこちらの本の著者は、その代わりに潤沢な脱経済成長の必要性を言い、コモン(共有地、共有財)を再生させる必要性を書いています。
また強権的なリーダーシップによる「気候ファシズム」ではなく、ボトムアップ型の「脱成長コミニュズム」のあり方の重要性も言います。
またマルクスの書いた資本論をヒントにしていて、するとなにかかつてソ連や中国が失敗した共産主義の、市場経済ではなく国家や官僚による統制で成り立つ計画経済を連想するかもしれません。
しかしマルクスの晩年の思索は、いわゆるそういう共産主義のあり方とは異なるあり方に行き着いていました。
それは生産力至上主義による経済成長ではなく、また科学技術の進歩は否定はしません。
しかし最晩年のマルクスは、17世紀までの多くの地域の入会地でのあり方が住民達による、当事者自身の貧欲さの自制や、富の分配の不公正を生まない様にしたり、外部からの経済への必要な規制による、地域の共有地や共有財を持続可能な形で適切な自由を大切にしながら、共同管理をしていた様なあり方の必要性を考えていました。
それは近年の「社会的共通資本」を提唱した経済学者の宇沢弘文の理論にも重なるあり方です。
またその共有地や共有財をなるべくは国家や市場ではなく、市民が自主的に協力して管理するあり方の必要性も言及しています。
またそのあり方を抽象的な理論だけでなく、数多くの実践例があります。
1日本国内だけでも全国で1000以上の市民による地域に根ざした自然エネルギー事業。
2労働手段を民主化した理念経営をする、スペインでの働く組合員が7万人を超えるモンドラゴン協同組合や、日本の介護、保育、林業、農業、清掃などの事業分野で働く15000人以上の組合員のワーカーズコープなどの事業体。
3フランスの一般の議会とは別に、市民が自らで温暖化への取り組みを話し合い決めるが、普通の議会とも繋がった市民議会。
4スペインのバルセロナの市民主体の自治体による、新自由主義に対抗する脱成長の都市政策「フェアレス シティ」。
5南アフリカの現代のアグリビジネスからの、食糧主権を図る運動。
など具体的なリアルな活動や事業の事例も豊富に掲載されています。
これからの時代は気候変動に向き合うことは不可避ですし、私はこちらの本の内容は深い真実を書いていると思いますし、皆様も読んでみることを強くお勧め致します。