千一夜第3章第109夜 最近の読書12

2018-06-09 20:01:20 | 読書

2018.6.9(土)

最近読んだ本。記載するのは今回で12回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

ここ数年、嘗て読んだ本を二度買いすることがある。記憶力の低下もあるが、ここ数年は読書する時にブックカバーを付けたまま読んでいるので、本の表紙や裏表紙の装丁などを見ていないせいもある。20年くらい前までは、読書一覧表を作者別に作成していたが、それ以降は作成していないので解らなくなってしまったし、以前、大工さんに頼んで部屋の周囲に天井から床まで本棚を作ってもらい著者順に並べていたが、それにも収容しきれなくなって近年では読了順に積み上げているせいもある。そろそろリサイクル屋さんにて整理しなければならないかなと思う。

『漁師町ぶらり 釣り人目線の魚と食の旅50』 西潟正人著 講談社+α新書 評価☆☆☆☆ ’18年4月19日読了
寸評:CSスカパーTVの旅チャンネル「漁師町ぶらり」で全国を行脚しながらの行き当たりばったりのレポート集である。著者の数百漁港のぶらり旅で記憶に残った50港を紹介している。海岸線の旅は踏破することが目的では無く、日々の出会いを喜びとするところにあるようだ。大漁でも不漁でも人々は生きているわけで、漁師町があるかぎりぶらり旅は永遠に続くのである。本書では港の歴史や触れ合い、伝統漁法、獲れる魚、魚料理の紹介、また料理方法や料理指南などもあり、後は漁師のぼそぼそとした語り口を聞く。目線が魚と対等であるから魚の気持ちでものを言うことだってあるようだ。

『アガワ随筆傑作選 「聞く力」文庫2』 阿川佐和子著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年4月20日読了
寸評:著者の数多の随筆集からチョイスした50編である。著者のエッセイは殆ど読んでいるので、一度は読んだものばかりであるはずだが、忘れているものが殆どだった。赤ん坊の頃からのエッセイであるが、私がまず驚くのは著者の記憶力の凄さである。私は幼児期の記憶は多少はあるが、赤ん坊の頃の記憶は皆無である。私の友人知人の中にも記憶力の凄いのが2~3人はいるが、彼ら彼女らが中学高校時代のことを話すが、私には殆ど身に覚えの無いことばかりである。記憶力が良くなければエッセイなども書けないのだろうなと思う。著者とは年齢もほぼ同じなのでエッセイを読むと、そうそう、あんなこともあったなあ、こんな物もあったなあと想い出させてくれる。またエッセイなので阿川家のことがふんだんに溢れ出ていて面白い。

『ボックス!』(上)(下) 百田尚樹著 太田出版 評価☆☆☆☆ ’18年4月27日読了
寸評:高校生の少年たちの友情を感動的に描き出したスポーツ青春小説である。主人公はボクシングに関しては天性の才能の持ち主であるが、副主人公のボクシングを始める動機は、イジメられ続け喧嘩に強くなりたいという納得できるものである。高校生活3年間の物語で、最終的に大成するのは副主人公の方である。この小説でアマチュア・ボクシングのルールを初めて知った。危険を伴うスポーツなのでプロとは随分違う。見た目、こっちの勝ちだろうと思っても、判定では逆の方の勝ちになることも多いようだ。判定までいくと相手からダウンを取っていても、アマ・ボクシングでは有効な手数の多い方の勝ちとなるのだ。理不尽な判定のようだがこれがアマ・ボクシングである。監督、顧問、マネージャー、部員等が絡み合って面白く展開する。

『歴代総理の通信簿』 八幡和郎著 PHP文庫 評価☆☆☆☆ ’18年5月8日読了
寸評:大政奉還から王政復古までの2か月は幕藩体制のまま、王政復古の大号令が出され総裁・議定・参与制となる。この時の総裁が有栖川熾仁親王であり形式上の初代宰相は熾仁親王である。その後、三条実美と岩倉具視の輔相制となりさらに太政官制へと移行、そして内閣制度となるが、本書では伊藤博文から安倍晋三(第2次)まで62人の宰相の履歴書を綴り業績評価をしたもの。但し、この評価は政治家としての全人物像からではなく首相在任中のことに限っての評価である。どんな立派な人物だったとか、大臣として立派なことをしたとか、退陣後に活躍したとかは関係ない。そして締めとして、明治憲法の制定により立憲主義政体を実現して以来、民主主義の先進国だったはずの日本だが、三権分立、二院制、地方分権といった多元的民主主義の今日の停滞を嘆く。

『コンビニの買ってはいけない食品、買ってもいい食品』 渡辺雄二著 だいわ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年5月9日読了
寸評:買ってはいけない食品とは、発がん性があったり催奇形性など危険性の高い添加物を含む食品となる。保存料や有機酸調味料、発色剤、着色料、増粘多糖類、過酸化脂質、酸化防止剤、甘味料、漂白剤など合成添加物の大半は有害なものである。具体的に商品名も挙げて有害添加物を指摘しているが、その殆どは我々が日々口にしているものである。これではコンビニ行っても買える物が無くなる。それに対して、コンビニブランド物はセブンイレブンやローソンについては、できるだけ添加物を少なくしているのが特徴でまずまず安全と言えるようだ。添加物表示の見方もマスターしたので今後は良く見ることにする。4時間で読了。

『呪縛 金融腐蝕列島Ⅱ』(上)(下) 高杉良著 徳間文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年5月16日読了
寸評:高杉作品は徹底した取材力にあるから面白い。金融機関が不良債権の山を抱えてのたうつ原因となったのが、バブルによる日本経済の崩壊である。腐蝕したのは銀行、証券、生保などの金融界だけでなく、経済界も産業界も、そして政界、官界も、日本全体が腐蝕、堕落振りも凄まじかった。本書にも登場する大蔵官僚接待の場としての「ノーパンしゃぶしゃぶ」はその象徴であろう。本書のあらすじは、ACB銀行による総会屋への巨額融資、反社会的勢力との癒着などにより銀行幹部7人が逮捕される。銀行再生のために中堅社員4人が立ち上がり新執行部作りに奔走し成し遂げるが・・・・。上下巻1200頁余りを一気に読み切る。

『グラスホッパー』 伊坂幸太郎著 角川文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年5月18日読了
寸評:正統のハードボイルド、殺し屋小説である。主人公は妻を故意に轢き殺した男への復讐のため、中学教師を辞め犯人の父親が経営する非合法な手段で金を稼ぐ会社に派遣社員として就業する。そして復讐の機会を待ったが、妻を殺した男は押し屋と呼ばれる他の殺し屋に殺害される。主人公はその殺し屋の正体を探るため後を追う。一方、自殺専門の殺し屋、ナイフ使いの殺し屋も押し屋を追い始める。3人の殺し屋をそれぞれ主人公のように仕立て(キャラクター主導の小説のよう)、それぞれの思惑の元に3つの物語が進行していくが、3人がある場所に集まり物語は一気に展開していく。ハードボイルド、推理小説には良くある手法だが、知らず知らずのうちに計算しつくされた物語に引き込まれていく。

『日本会議の正体』 青木理著 平凡社新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年5月22日読了
寸評:以前読んだ日本会議の本は安倍政権との繋がりについて書かれていたが、この本では日本会議の成立過程から現在(H16)に至るまでのプロセスや活動内容を詳細に記載している。日本会議に否定的な著者が書いているところも良い。同会議は右派活動団体である谷口雅春氏(故人)主催の生長の家の学生組織「生学連」を母体として「全国学協」「日本青年協議会」「日本協議会」へと発展し、神社庁本庁を頂点とした神道の宗教団体、伊勢神宮、明治神宮などと結びつき民族派の国民運動として活動している。所謂大元は生長の家と明治神宮の二本柱で支えられ、「日本を守る会」「日本を守る国民会議」と合流して日本会議が結成されたのである。所属国会議員は’15年9月時点で281人である。神社本庁も「神道政治連盟」を結成し国会議員304人が参加している。安倍首相を始めとして多くの閣僚が両団体に参加しており、政策も現政権に沿ったものとなっている。正に安倍政権の大応援団であると言っても過言ではあるまい。

『ちゃれんじ?』 東野圭吾著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’18年5月23日読了
寸評:ひょんなことがきっかけでスノーボードを始め、あっという間に虜になった著者、自称「おっさんスノーボーダー」として奮闘、転倒、歓喜など、その道中を綴った爆笑エッセイ集である。私もやってみたくなったが、この歳ではもう無理だろうな。

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆ ’18年5月28日読了
寸評:著者は「小説でしか味わえない物語、文章でしか表現できない映像よりも映像らしい世界を創っていきたい」という強い決意表明をした。本書は5つの物語が1枚の壮大な騙し絵として収斂する。それまでバラバラに進んでいた人物たちの物語が終盤になって綺麗に解体され鮮やかに再構築される。5つの物語で全く別個の人生でありながら、それぞれが意外なところで結びつき、予想もしないところで出会う。確かにこの物語を映像化するのは困難であろうと思う。その意味では著者の思惑通りの展開になっているのかも知れないが、全体を通して私の評価は低い。一気に読み切ったが、ちょっと幅を広げ過ぎの感が大いにあり駄作の部類である。

『重力ピエロ』 伊坂幸太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年5月30日読了
寸評:ここ最近著者の作品を3作読んだが、本書では前2作の作風とは違い、複数の物語を最終的に1か所に集めたりはしていない。但し、前作読んだ「ラッシュライフ」の登場人物である黒澤がこの作品にも重要な人物として再び登場する。ここら辺は面白い設定である。そして出だしの1行と最後の1行が全く同じ文章なのも斬新的である。本書は放火と落書きと遺伝子の物語で、そこにネアンデルタール人とクロマニヨン人の違いや桃太郎の解釈、マラリア療法、古事記のコノハナサクヤヒメ、果てはガンジー語録まで出て来る。登場人物の1人が誰かの語録をしばしば使うのも著者の常套手段である。家族との回想もふんだんに取り入れ、兄弟小説、家族小説でもある。

『徳川三国志』 柴田錬三郎著 文春文庫 評価☆☆☆ ’18年6月1日読了
寸評:久し振りの時代小説である。25歳くらいまでに著者の作品の大半を読んだので30数年ぶりに手に取ったことになる。物語の主な登場人物は由比正雪を中心とした丸橋忠弥、金井半兵衛、楠不伝、天魔の三郎率いる山者集団などの張孔堂一派、松平伊豆守信綱を中核とした将軍家光、柳生但馬守宗矩、十兵衛父子、公儀隠密集団を指揮する服部一夢斎、その弟子鴉の勘兵衛、孫の志乃の信綱一派、紀州大納言頼宣を核とし駿河大納言忠長、根来忍者の頭領幻幽斎、その手下の根来忍群などの頼宣一派、この三派が鼎立し派を競い争いを展開していく。歴史小説に詳しい方は凡その想像はつくだろう。

『静かな生活』 大江健三郎著 講談社文芸文庫 評価☆☆☆☆ ’18年6月7日読了
寸評:大江文学は難解だと言われるが、難解というのは言っている人自身がしっかりした日本人であるからだという。欧米で大江文学が難解という評は殆ど無いらしい。欧米人にとって本当に難解なのは、寅さんやサザエさんらしい。20年振りに著者の本を読んだが、読み始めは確かに小難しく感ぜられ途中で放り出したくなる。入口から精度の高い文体となっているからだろうと思う。さて、物語は、父母が外国に行って留守を障害者の兄とともに守る弟妹という内容である。当初は短篇だったが、語り手である若いマーちゃんが、その娘らしい視点や語り口によって生き続けることになり、結局6作を書き一冊の長編となったもの。知能障害の子を持つ家族小説であり、フィクション化されているとはいえ、著者の長男光氏が副主人公のモデルとなっている、と著者自身が語っている。深く重い内容、そしてさわやかな読書感がある。

【6月9日過去の釣行記録】
・2005年第2埠頭中電前、17:15~19:00、大潮、釣果=キス7・アイナメ1・ギンガメ1
・2007年櫛ヶ浜港防波堤、19:30~00:15、小潮、釣果=メバル6・チヌ3・シマイサキ3・タナゴ1・ワタリガニ1
・2012年櫛ヶ浜港防波堤、19:30~21:00、中潮、釣果=メバル2
・2013年徳山築港、05:10~09:20、大潮、釣果=カレイ1・キス7

【この日の釣り情報】
・2009年東海岸通り、20:30~23:00、大潮、釣果=メバル13
・2010年切戸川河口、19:00~21:00、中潮、釣果=キス15

【旧暦4月26日釣行記録】
・1997年06月01日、日立岸壁前、17:00~21:00、船釣り、若潮、釣果=チヌ1・クロ1

 

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千一夜第3章第99夜 最近の読書11

2018-04-15 17:12:47 | 読書

2018.1.17(金)

最近読んだ本。記載するのは今回で11回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『名探偵の呪縛』 東野圭吾著 講談社文庫 評価☆☆☆ ’18年3月15日読了
寸評:名探偵天下一シリーズ。主人公は作家で若いころは本格推理小説を書いていたが、年齢と共に書かなくなった。主人公は図書館に行き、そこから異次元の世界に紛れ込む。そこは主人公が作った架空の街、奇妙な形の屋敷、複雑な人間関係も本格推理的事件が起きることを前提に創造されたものだったが、主人公は本格推理の呪いを封印した。その封印を解いたのがその街の市長の娘。主人公はその街に知らず知らずの内に導かれ、そこで天下一という探偵となって数々の難事件を解決していくが・・・元は自分が作った世界だった。犯人捜しの推理小説はもう流行らないと言うが・・・。

『ダブル・ファンタジー』(上)・(下) 村山由佳著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月19日読了
寸評:これもジョン・レノンの作品のタイトルから取った著書名である。女性の性欲をテーマに脚本家である女主人公を描いた作品。性欲の強い主人公は幼稚園の頃から自慰行為をしていた女で、臭覚、皮膚感覚が敏感で男の性戯には人一倍煩い。厳しい母親からのトラウマ、仕事、結婚、別居、不倫と捲りめく性を主体として性欲が強い女が求めるものを素直に赤裸々に描いたところが素晴らしい。女の性欲の質は男のそれとは根本的に違う、年齢と共に衰えてというものではない。知的でセックス好きで精神的依存の強い女の物語である。多くの文学賞を受賞した作品である。

『お江と戦国武将の妻たち』 小和田哲男著 角川ソフィア文庫 評価☆☆☆ ’18年3月22日読了
寸評:戦国武将の妻たちの実際に光を当てた書。家の中では夫に対して妻も同等の発言力を有し、女房殿にも知行があったそうである。考えてみればこの時代は大量の後家さんがいただろうから、遺族年金は無いし知行無しでは生活できないからなあ。夫が出陣中は妻が城主を代行し、火の始末や城中警備は妻の仕事だったようだ。夫の留守中に敵が攻めて来た時には、甲冑に身を包み最前線で戦った妻もいる。名将と違わぬ奮戦振りである。武将の娘は政略結婚により実家に情報を送ったりもしていた。また女同士のネットワークでの情報収集や嫁家と実家の仲裁などにも一役買ったようだ。戦国武将の妻も雄姿、知略が必要だった。

『親鸞 第二部激動編』(上)・(下) 五木寛之著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月27日読了
寸評:親鸞3部作の第2部である。京を追放された親鸞親子は妻の故郷である越後に流される。外道院との出会い、飢饉による雨乞いの一大法会などの試練を乗り越え、下巻では関東へと向かう。関東でも多くの念仏者の御同胞を得てやがて念仏は関東一円に広がる。平家滅亡、鎌倉幕府、北条執権、末世に生きるからこそ阿弥陀如来一筋に固く信ずる。信じればその声が聞こえる。しかし目に見えないものを信じるとことは難しい。信が念仏を生み、念仏が信をささえる。そして法然上人という師を失った親鸞は自分自身の念仏を極め教行信証の草稿も纏めた。しかし京では飢饉が打ち続き法然上人の遺教も危うい状況となりつつあり、親鸞は都へのぼる決意をする。第2部はここまでである。

『辞令』 高杉良著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年3月28日読了
寸評:サラリーマンなら誰しも経験する人事異動の際の一場面である。組織と人間の問題を辞令というそのものずばりのモチーフで書いている。物語はファミリー企業と呼ばれる同族会社を舞台に展開される。同族であるから創業者一族が幅を利かしているが、一般社員もボーダー入りは可能である。主人公は過去に取引先からの過分な接待に応じたが、今になって問題化し降格処分を受ける。理不尽な処分に不信を抱き自ら調査に乗り出すが・・・。「なぜあいつが! なぜ俺が!」・・これが人事である。

『古寺社巡りの楽しみ』 瓜生中著 ベスト新書 評価☆☆☆☆ ’18年4月2日読了
寸評:神社編は神社についての基礎知識、神社建築の見方、神社の見どころ、全国神社参拝ガイドからなる。寺院編は寺院についての基礎知識、寺院建築の見方、寺院の見どころ、仏像の種類と見分け方、全国寺院参拝ガイドからなる。基礎知識については仏教の方は知らないことの方が多かった。建築様式については専門的であり難しいが、時代によって改良はあるものの平安・鎌倉時代からのものを今日まで忠実に受け継いでいることは流石である。仏像の種類と見分け方は初めて知ることが多かった。この本は座右の書にしても良いかなと思う。

『吉田松陰と高杉晋作の志』 一坂太郎著 ベスト新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年4月4日読了
寸評:山口県に居ながら両雄の本格的な伝記物は初めて読んだような気がする。机上の学問でなく行動の人だった松陰、ペリー来航を機にイギリスによる中国侵略に危機感を抱き、皇国の存亡を危惧し行動に出る。その志を継いだのが高杉晋作である。上海から戻り、外国による侵略を受けた中国の現状を目の当たりにし、松陰の先見の明をつくづくと思い知らされる。そして攘夷断行のため騎兵隊を組織し過激な活動へと躍り出る。攘夷とは外夷を打ち払い入国を許さないという鎖国論であるが、長州は攘夷を行った後に国を開くという排他主義一辺倒の攘夷論では無かった。要は表もあれば裏もあるということだ。それは兎も角、三方を海に囲まれた長州藩は海防は必須のこと。幕府は当てにならず、自分の身は自分で守らねばならんと、士農工商多くの人民が早くから自覚していた。当時の日本国でこれほどの意識を持った国は無かった。下関で外国船を砲撃したが、その後諸外国が最も信頼できるのは幕府では無く「チョーシュー」「モーリ」であると世界に喧伝している。維新は長州から起こるべくして起こったと思う。維新150年を記念しての一冊である。

『日本の摩訶不思議』 ㈱アントレックス出版著 サプライズBOOK 評価☆☆☆ ’18年4月9日読了
寸評:日本の神話、民話、お伽噺など日本全国で語り継がれた伝説と奇談が満載、実話も含まれており正に摩訶不思議に溢れている。記紀から出た話が多いが、我々が幼児の頃、母親に読んでもらった絵本の話、或いは怪談話など誰もが一度は聞いたことがある話、読んだことがある話であり、我々も後世に伝え遺していかなければならないと思う。

『江戸城・大奥の秘密』 安藤優一郎著 文春新書 評価☆☆☆☆ ’18年4月11日読了
寸評:大奥と言えば徳川将軍家のお世継ぎづくり、子女子を育てる場所でもあったが、奥女中の職階から見て御年寄(最高実力者)ともなると、時の老中と並ぶ権勢を誇ったようだ。大奥は超優遇されていたため、老中が大奥の意に反する政治的な改革を行おうとすれば必ず失脚の憂き目に会う。大奥女中はエリート官僚集団だった訳だ。従って大奥を制する者は天下をも握ることになる。本書では幕末までを政治的なものから奥女中らの生活振り、給金、年金、蓄財等々実例を示して紹介する。

『太公望』 芝豪著 光文社新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年4月12日読了
寸評:太公望と言えば釣り、針の付いていない糸を水に垂らしている姿を思い浮かべる。実在の人物だが資料が乏しいので、その実態は殆ど小説などの創作といったところだろう。「史記」や「竹書紀年」という歴史書に出てくるらしいが、太公望が活躍した時代は紀元前11世紀である。今から3200年も前のことだ。皇紀でも今年が2678年、流石中国4000年である。殷を滅ぼして周を建てた、所謂殷周革命を成した人物である。周王の軍師だけでなく政にも重要なアドバイスを行い、殷を滅ぼす物語であり面白く一気に読んだ。

『輝く夜』 百田尚樹著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年4月13日読了
寸評:著者が小説を書く上で強烈に意識し自身でも表明していることは、希望のある話を書きたいということだ。日頃辛い思いをしている女の子にも夢みたいな報われる日があってもええやないかという発想から、クリスマスイヴ限定の心温まる、そして泣ける短編集が本書である。著者第2作目の本である。お伽噺のようで非常にファンタジックな一夜の面白さである。

【4月15日過去の釣行記録】
・1999年2号ブイ、07:00~16:00、大潮、船釣り、釣果=4人でアジ60
・2012年櫛ヶ浜港防波堤、19:30~21:50、長潮、釣果=メバル18
・2017年徳山築港、06:00~12:20、中潮、釣果=カレイ10・マダイ1・セイゴ1・アイナメ1・キス1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦2月30日釣行記録】
・2001年03月24日、第2埠頭南端、13:30~15:00、大潮、釣果=ボウズ、釣行中M6.4震度5の地震あり
・2015年04月18日、徳山築港、06:00~12:30、大潮、釣果=34cmカレイ2・木っ端ガレイ8・アイナメ1

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千一夜第3章第94夜 最近の読書10

2018-03-14 22:16:57 | 読書

2018.3.14(金) ホワイトデー

 
光市の冠梅園である。2月下旬に訪れた時の写真であり、この時は梅はまだ蕾だった。

今日はホワイトデーだったので、私もご多分に漏れず義理チョコのお返しをした。吉行和子さんのエッセイに「香典返しは止めよう」というのがあり納得したものだが、ホワイトデーは最早行事化しているので無理だろうなあ、お菓子メーカーも黙っちゃいないだろうなあ、と面倒くさがりやのB型は思うのです。

最近読んだ本。記載するのは今回で10回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『バイバイ、ブラックバード』 伊坂幸太郎著 双葉文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月29日読了
寸評:太宰治の未完にして絶筆となった「グッド・バイ」へのオマージュ作品だが、続編というのは難しいので著者なりの作品になったようだ。しかし「グッド・バイ」の影響は多分にある。主人公は五股(女性5人と同時に付き合う)の男で何らかの不始末を起こして、ある組織により<あのバス>に乗る羽目になる。ある組織からはバスに乗せるために女が派遣されるが、その女主人公はモンスター(身長190cm、体重200㎏、金髪)めいた大女、男は連れ去られるまでの2週間で5人の女たちにそれぞれ別れの挨拶をしたいといい、大女と結婚するから分かれてくれという設定で5人の女を巡る。6角関係、或いは7角関係が生み出すどろどろの愛憎の葛藤というものは全くない。著者の作品にはクスっと笑える箇所が幾つかあり、自在な境地を記す何とも痛快な作品である。

『風の中のマリア』 百田直樹著 講談社文庫 評価☆☆☆ ’18年2月6日読了
寸評:オオスズメバチの一生を描いた物語である。一生と言っても寿命は最大でも僅か30日程度だ。科学の本と言って良いくらいだ。ハチの生活を事実に忠実になぞっている。勿論ハチは考えないだろうし、まして帝国(巣)のために一生を捧げるなんて意識していないはずだ。そこが小説だろうが、最後まで読んだらオオスズメバチの一生が、現在の昆虫学で解る限りの詳細を含めて解ってしまうのである。

『銀翼のイカロス』 池井戸潤著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年2月8日読了
寸評:半沢直樹シリーズ4作目である。合併した銀行では対等合併、吸収合併、救済合併などの意識の元、常に旧○○出身という土壌が生まれ、旧出身行の勢力を増長さようとする見当違いな行動を起こすことがしばしばある。金融庁も両行の社員の心の融和に関心が高い。この物語でも倒産寸前の巨大航空会社の再建を巡って、政権交代したばかりの政府が介入してくる。500億円の債権放棄を迫られ、半沢らは抵抗するが何故か行内に賛成派もいる。銀行の方針を決定するその過程で、メガバンクの旧行が合併前に処理すべき不良融資の隠蔽が発覚、借主である大物政治家へと飛び火する。今回も痛快、天下無敵の半沢直樹だ。

『探偵ガリレオ』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年2月20日読了
寸評:警視庁の刑事草薙と同級生で大学教授の物理学者湯川が難事件を解明、解決していくミステリー短編集のシリーズ第1作。5編の短編が収録されているが単純に面白く、化学や物理学の知識も豊富になる。それぞれの短篇は十分に長編化できる作品群である。

『百年泥』 石井游佳著 新潮社 評価☆☆☆☆ ’18年2月21日読了
寸評:第158回芥川賞受賞作。文体はいとうせいこう氏の『想像ラジオ』に似ている。著者はインドのチェンナイ市に在住しており、小説の舞台も同市である。小説の主人公は同市で日本語学校の教師をしているが、100年に一度という大洪水に見舞われる。川の堤防が決壊し市内は土泥で埋まるが、泥の掃除中に泥の中からいろんな物(者)が出てくる。その出てきた物から主人公教師の生い立ちから父のこと、亡き母との想い出、継母のこと、恋愛、結婚、離婚、借金が原因で教師になったことなど回想と現実が入り混じった形式で物語は進展していく。また生徒である世界有数のIT企業の新人たちとの葛藤やカースト、貧富、(生徒の)親の職業、占星術、ヒンドゥーの厳しい習俗等によるインドの若者達の恋愛事情などが生徒を通して語られる。物語の最後で生徒の一人にナンパされるが期待通りの結末、何となく落語の落ちのようでもあり笑えた。この日に購入後、約4時間で読了した。

『「日本の神様」がよくわかる本』 戸部民夫著 PHP文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年2月23日読了
寸評:記紀好きの私としては非常に興味深い本である。日本人は神社の森や鳥居を見れば、そこに神様の存在を意識することができる。日本には八百万の神と呼ばれるようにたくさんの神様がいて、それぞれに違った個性や機能を有している。それが多神教である日本の神様の特徴であり、日本の歴史、文化、日本人の精神史といったものまでがそこに一杯に詰まっていて面白い。本書では八百万の神々の起源、系譜、性格、神格、神徳、御利益、祀られる神社までを詳述している。8章に分類し、人気の高い霊威神、創生と万物生成に関する神々、聖母と純愛の女神、山・水・海に関する神々、農耕生産に関する神々、鉱工業生産に関する神々、諸産業に関する神々、生活・文化・芸能に関する神々を紹介している。読了まで1か月を要した。日本人必読の本である。

『羊と鋼の森』 宮下奈都著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月6日読了
寸評:ピアノ調律師をモチーフとした小説を呼んだのは初めてである。ピアノと音への探求の奥深さに驚いた。高校卒で調律の専門学校を出た主人公、演奏もできない、クラシック音楽に造詣が深いわけでも無い。それでも彼は自分の中に多彩な音とイマージを持っている。チューニングに於いて、「ラ」の音が昔と比べると半音上がっていることなどこの小説を読んで初めて知った。つまり、赤ん坊の産声440ヘルツ(世界共通らしい)の周波数が基本だったのが、現代では444ヘルツにまで高くなっているとのこと。今後益々高くなっていく傾向にあるらしい。私もギターを手にするが、勿論5弦の開放音「ラ」の音からチューニングするがヘルツ数を気にしたことは無い。小説のタイトルの「羊と鋼の森」も羊と鋼はピアノの素材だと知る。ピアノの調律で正しい音、良い音を求めて彷徨う「森」、更には人生を生きることそのもののような深く、美しく、常に迷う危険、傷つく危険をはらんだ世界の「森」、青年の成長物語でもある。我が家のピアノが可哀そうになった。秀作だと思う。

『「古事記」75の神社と神様の物語』 由良弥生著 王様文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月7日読了
寸評:約7カ月掛けて熟読した。古事記の神話に沿って神様が祀ってある神社を紹介していく。神様の系譜も良く解かり、神様の性格から民間信仰として広まるまでの過程も解る。主な神事(お祭りなど)も紹介されており、勅祭(勅命(天皇の命令)によって行われる祭事)社というものが現在16社あるということは初めて知った。また神社の専門用語の解説もあり解かり易い。

『安倍官邸「権力」の正体』 大下英治著 角川新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月8日再読了
寸評:この本は2017年1月に上梓された本だから1年以上前のものである。安倍総理のもと、菅官房長官、3人の官房副長官、補佐官、秘書官等が一枚岩となって職務にあたっているから強い官邸が実現していることは良く解かったが、そのことを踏まえた上で、昨今の働き方改革の挫折や森友学園への国有地売却に関する決裁文書の書き換え報道(朝日の逆襲?)などで綻びも見え隠れし、政局にもなりかねない現状をどう乗り切るのか見物である。安倍政権で憲法改正への道筋を作ったことは評価できるが、構造改革、農協改革、規制改革、また日本の根幹を揺るがす人口問題もある。これらは現政権で解決できる問題ではないと思うが、野党に政権運営能力が無い現状では何とかしなければならないだろう。

『水曜日の朝、午前三時』 蓮見圭一著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年3月12日読了
寸評:最近は著書名で本を選ぶことが多い。特にビートルズのものが多いが、この題名はサイモンとガーファンクルの曲のタイトルである。著者は’59年生まれであるから私とは4つ違い、この歳になると大して違わない。さてさて、物語は45歳で逝った翻訳家で詩人の女主人公が娘のために遺した4巻のテープ、そこに語られていたのは大阪万博のホステスとして働いていた23歳の主人公と外交官として将来を嘱望されていた恋人との燃えるような恋愛だった。その愛について主人公は包み隠さず語りだす。この物語の重要なテーマは差別であるが、それは20年間にも及ぶ密かな愛でもあった。物語の主人公と私は8歳違いだが、私も大阪万博には行っている。洋楽好きの主人公と私の音楽の趣味が殆ど被さっているのも良い。ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ジョーン・バエズなど枚挙に暇がない。なぜか小説のタイトルになっているのにS&Gは出てこない。

『老嬢は今日も上機嫌』 吉行和子著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年3月14日再々読了
寸評:著者(3冊読了)は国際的に有名な女優であり、父エイスケ(1冊読了)、兄淳之介(112冊読了)、妹理恵(3冊読了)は作家、淳之介と理恵は兄弟で芥川賞を受賞している。母は日本初の美容師あぐり(3冊読了)である。NHK朝の連ドラ「あぐり」を見た人も多いことだろう。吉行淳之介は私が文学の師と仰ぐ人である。現在は著者以外の家族はみんな故人であり、母以外はみんな若死にである。この本は家族、女優、舞台、旅行、俳句などが満載のエッセイ集である。著者の書いたエッセイは私の感性にぴったりとあう。やはり同じB型人間だと納得するのである。

【3月14日過去の釣行記録】
・1998年小踏日新製鋼波止場、13:00~16:00、大潮、釣果=カレイ2・タナゴ1
・2008年櫛ヶ浜港防波堤、20:30~22:40、小潮、釣果=メバル12
・2009年晴海埠頭、07:00~08:55、大潮、釣果=ハゼ1
・2009年大島居守海岸、09:20~11:30、大潮、釣果=アイナメ3
・2010年洲鼻港防波堤、06:30~11:40、大潮、釣果=30cmカレイ2・アイナメ1
・2015年徳山築港西側南端、07:40~13:00、小潮、釣果=カレイ1・ハゼ3

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦1月27日釣行記録】
・2008年03月04日、第2埠頭東側、19:30~22:10、中潮、釣果=メバル11
・2009年02月21日、第2埠頭東側、18:30~22:00、中潮、釣果=メバル13
・2016年03月05日、大島大原、06:40~15:10、中潮、釣果=カレイ5・ハゼ1

 

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千一夜第3章第86夜 最近の読書9

2018-01-26 21:19:40 | 読書

2018.1.26(金)

ここ数日、大寒気団により滅多に降らない雪が連日吹雪き、寒さが身に堪える。

自宅前の道路にもうっすらと雪が積もる。年に1度程度の積雪だが、車は大渋滞となる。

しかしこの寒いのに釣友Sは有休を取り、木曜日の夜から高知県の島に釣行に出掛けた。大学の同級生と年2回の定例釣行とのことだが、普通の人ならキャンセル必至だ。Sからのメールによると凍死寸前とのこと。私は炬燵で丸くなっている。

金曜日の昼は同僚と岩田の『森のぞうすいやさん』に行き、熱い雑炊を食べた。

最近読んだ本。記載するのは今回で9回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『虚像の道化師』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年12月10日読了
寸評:警視庁の刑事草薙と同級生で大学教授の物理学者湯川が難事件を解明、解決していくミステリー短編集。7編の短編が収録されているが単純に面白い。

『日の名残り』 カズオ・イシグロ著 ハヤカワepi文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年12月12日読了
寸評:'17年ノーベル賞作家、1989年に本書でその年に出版された最も優れた長編小説に与えられるブッカー賞を受賞。イギリスで最高の権威ある文学賞である。物語はイギリスの上流階級の屋敷の執事の物語である。品格ある執事の道を追及し続けてきた主人公は短い旅に出る。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。過ぎ去りし思い出は輝きを増して胸の中で生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描く大河ドラマである。読みながら嘗てTV放映されたイギリスの大河ドラマ「ダウントン・アビー」がしばしば被ってきた。家人は嘗てこの「日の名残り」のTVドラマを観たことがあると言っていた。

『幕末』 司馬遼太郎著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年12月18日読了
寸評:幕末動乱期の暗殺者を主人公にした12篇の短篇群である。歴史はときに血を欲した。好ましくないが暗殺者もその兇手に斃れた死骸も、ともに我々の歴史的遺産であると著者はいう。但し、暗殺者というものが歴史に寄与したかというと、桜田門外の変を除き皆無であるともいう。幕末、志士として非命に斃れた者は、昭和8年「殉難録稿」として宮内省が編纂収録した者だけで2,480余人にのぼる。その主な者は大正期に贈位され、全ては靖国神社に合祀された。幕末の暗殺は政治現象であり、主人公はあくまで政治思想で動き、政治情勢と思想に重点を置き書かれている。しかしながら、歴史的には維新政府は薩長同盟の時から攘夷を捨てている。攘夷は倒幕のための口実に変質していたのだ。著者は暗殺だけは嫌いだと言い続けたようだが、出版社の要望か、1年掛けて書いたという。

『世界の神々がよくわかる本』 造事務所著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年12月20日読了
寸評:ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、インド神話、メソポタミア神話、エジプト神話、クトゥルー神話の主な神々の他、アフリカ、アメリカ、マヤ・アステカの神々等が130柱程度紹介されている。西欧の神話は星座に纏わるものが多く、日本のイザナミ、イザナキに相当するものがゼウスとその多くの妻たちであろう。他では太陽神や月の神、動物神が特に多く、日本の神話同様、邪神等との争いの物語が多い。この本には関係ないが、一説には高天原の神々が世界中に派遣されその国々の神になったという説もある。従って、神々の伝説は何処の国でも似たようなものになったというのだ。またケルト人が日本人の先祖という説もあり中々面白い。

『だまされ上手が生き残る 入門!進化心理学』 石川幹人著 光文社新書 評価☆☆☆ ’17年12月25日読了
寸評:諸般の事情というやつで、本書は読了するのに丸2年要した。進化心理学の基本原理の解説書、所謂入門書である。著者は大学教授だが生徒も完全に理解する者は少ないらしい。大学の教科書は小難しいが、本書はこれでもかなり掘り下げて書いてあるらしい。私にはこじつけや屁理屈に思える事象が、学問になるとこれまた面白くなるから不思議だ。生物進化論の原理を基にして、最上の脳科学の知見も踏まえながら人間心理を探求する分野が進化心理学であると。人間の心の中では様々な機能の単位(モジュール)があり連携して働く。この考え方は心のモジュール性と呼ばれ進化心理学の土台となる理論。狩猟や子供の教育に例えて説明されるが難解である。最初はこの本で言うところの結晶知能によって放り出そうかと思ったが、読み進めていくうちに引き込まれていく。しかし感覚的なことを学問として形態づけるから難しいのだ。私が学生なら恐らく単位は落としているだろう。まあ、要はだまされ上手が生き残ったということだ。

『天使と悪魔がよくわかる本』 造事務所著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年12月27日読了
寸評:本書は天使篇、悪魔篇でそれぞれ東西世界に於いて各50人程度、聖人と魔導士編で16人、その他エピソード編を含め220名余りの天使と悪魔を紹介している。一般に天使は白い翼をイメージするが、これは宗教画家がギリシャ古代彫刻をヒントに付与したイメージである。古代ペルシャやインドの天使の翼は虹の羽毛を持つ。翼を持った天使は古代エジプト神話の半鳥半人の女神が、ユダヤ教系列(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の天使の原形とされる。天使とは神や仏そのものではなく神の使いである。悪魔とは欧米でも支配的な信仰となっているキリスト教やユダヤ教で悪魔とされている存在のこと。悪魔の特徴は明確に善と対立するもの。悪魔の二元論の発祥はゾロアスター教であり、その出自は大きく分けて2つ。1つはかつて天使として神の下で善のために働いていた者が、神に反逆し悪を信奉する堕天使となったもの。もう1つはユダヤ=キリスト教以外の別の宗教神がキリスト教により悪魔とされたものである。悪魔の姿は動物の体や頭であることが多く、頭や手足など複数あるものが多い。人間の姿に変身することも自在である。

『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』 竹田恒泰著 PHP新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月16日読了
寸評:昨年末から重い本に挑戦。本書は帝国憲法を丹念に読み解き、日本国憲法との比較を行いながら日本の在り方や天皇の役割を、定説を根底から覆そうと試みた論文である。小林節慶応大学名誉教授が全国民の書であると絶賛している。が、読まなくても実生活には殆ど影響は無い。日本国憲法成立の法理は三つの学説に収束されるという。「八月革命説」と「改正憲法説」、「憲法無効論」である。現在では「八月革命説」が日本国憲法成立過程の矛盾を説明する論理として圧倒的な支持を得ているが、本書ではその論理を完膚無きまでに打ち破っている。完璧に定説は覆ったと言える。ポツダム宣言の要求、天皇の人間宣言の間違った解釈、輔弼(ほひつ)の法的性質、主権の考え方等々も含め天皇という存在から議論してゆく。日本人必読の書とみた。

『はれ予報特大号1-2』 ㈱しんきんカード著 ㈱しんきんカード 評価☆☆☆☆ ’18年1月17日読了
寸評:副題が「神話の世界を旅する」である。月刊誌であるが毎月貰って読んでいる。特に新年号は神話の世界がテーマになっていたので読んだ。特に目新しいものは無かったが、記紀が大好きな私であるから東漸の理といったところか。

『男の作法』 池波正太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月18日読了
寸評:この本はもっと若い頃に読みたかったと思う。20代~30代頃読むのが丁度良い。読むと得をする本である。鮨や蕎麦、天婦羅や鰻の食べ方から始まって、ビールの飲み方、いつの間にか話は服装や赤ん坊、母親、香典、日記、浮気、健康の話題に移っていく。それらは非常に有益であり楽しいのである。ダンディーとは、知ったかぶり、通ぶることを避けることだと痛感する。 

『プリズム』 百田尚樹著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’18年1月26日読了
寸評:本書は悲恋の物語である。現実的では無いが、解離性同一性障害の患者、つまり多重人格者とその中の一人に恋をしてしまった女の物語である。解離性同一性障害の治療の最終段階では人格統合(平均的には10人程度の多重人格を持つらしい)ということになるが、人は皆、無意識の自分を持っていてこれが表に出ることはない。統合された人格たちはそうした無意識(エス)の世界の中に入ってしまうのか、性格は混ざってしまうのか、或いは深層心理の中に埋没するのか。つまりこの物語は最初から悲恋に終わると解っている。多重人格のその内の一人だけと恋愛することは可能であっても人格統合されれば消えてしまう。絶望的な恋愛である。肉体関係にあってもその行為中に他の人格にすり替わることだってある。すなわち病理そのものであり心の病が生み出した幻影との恋である。
多重人格者の大多数は幼児期に幽体離脱を経験しているという。虐待されている時に自分の魂が肉体から抜け出て、別の人格が本人に成り代わって虐待を受ける。その人格は本人を守るために生み出された人格である。このことにより、悲しみを司る人格や怒りを表す人格など様々な人格が生み出されるようだ。反動形成やペルソナなどは人間は使い分けることができるが、これは多重人格とは違うものだ。
この本を読んでいてまず思い出すのは1970年代の連続婦女暴行と強盗事件のビリー・ミリガンの事件だ。裁判の過程で24人の多重人格者であることが明らかになり衝撃を呼んだ。この事件は多重人格が認められ無罪になったが、現在では多重人格と認められても、おしなべて有罪に傾きつつあるらしい。

【1月26日過去の釣行記録】
・2008年第2埠頭東側、07:00~16:00、中潮、釣果=カレイ4

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

【旧暦12月10日釣行記録】
・2010年1月24日、櫛ヶ浜港旧防波堤、17:50~20:15、長潮、釣果=小メバル2・小ガレイ1、全リリース

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千一夜第3章第77夜 最近の読書8

2017-12-13 00:02:26 | 読書

2017.12.13(水)

光市虹ケ浜東側海岸より天気の穏やかな日に撮影したもの。中央付近に笠戸大橋が見える。

11日の陽落ちから今冬の初雪を見た。初めは霙だったが暫くするとはっきりした雪になった。それでも湿気を多く含んでおり積もるような雪ではなかった。12日の昼間も塵のような雪が強風に乗って舞っていた。喫煙は屋外と決まっているため、寒さのため少し吸っただけで屋内へと急ぐ。そのため煙草吸いは度々外へ出る嵌めになるのだ。お蔭で風邪をひきそうだ。

現在の勤務地は光市の虹ケ浜に近いのだが、昼の休憩時には海岸に出てみることも多い。最近は風が強く白波が立っているので釣り船の船影は見えない。昨日、大先輩OBのI氏が電話してきて、16日の土曜日に笠佐島周辺でハマチを釣りに行こうと誘いがあった。久しぶりの誘いなので一も二もなく了解したが、問題は風であろう。船釣りなので強風だと中止になる確率が高いが・・・。

最近読んだ本。記載するのは今回で8回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『掏摸(すり)』 中村文則著 光文社新書河出文庫 評価☆☆☆☆ ’17年10月12日読了
寸評:大江健三郎賞受賞作。アメリカを始め世界各国で翻訳され、’12年には「ウオール・ストリート・ジャーナル」で世界ベスト10の小説にも選ばれる。天才掏摸士が主人公。社会の底辺で蠢く闇社会のアウトローたち、政財界の闇、フィクサーとなる最悪の男と再会し、その男の描いた通りの人生をたどる。運命を信じるか?そんな中でも行きずりの母子と出会い、少年の将来を自分と重ね合わせ何とか更生させようと試みる。この掏摸士の顛末は死を以って終わると思われたが、実は著者が解説で自らこの作品の続編を紹介している。この解説はいただけない。

『日本よ、咲き誇れ』 安倍晋三・百田尚樹共著 WAC文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月12日読了
寸評:10月11日発行の著書であるから、10月10日公示、同22日投開票の第48回衆議院選挙を睨んでの発行であることは間違いない。首相とベストセラー作家のコラボであるから、この時季相当のインパクトがある。5章からなり、第1章は2012年の両者の対談、第2章も2013年の両者の対談、第3章は百田の著書について両者の対談、第4章は2012年と2013年の百田の安倍晋三論、第5章は2017年までの安倍総理の講演録からなる。

中国の領海侵犯と恫喝、北朝鮮のミサイル・核問題、中国・韓国が仕掛ける悪辣な歴史戦などこれらを乗り切らねば日本の未来はない。これらの重要諸問題を解決に導くことができるのは安倍首相をおいて他にはいない。今回の総選挙で与党が過半数を獲得すれば一気に9条改憲の機運が高まるのだが・・・。購入後一気に読了した。

『誰も書けなかった日本のタブー』 10人共著 宝島文庫 評価☆☆☆ ’17年10月18日読了
寸評:週刊誌報道の詳細版か。’6年7月及び’8年9月号の別冊宝島から平成日本タブー大全からの抜粋で増補、改訂されたもの。興行のタブー(吉本興業人脈の正体)、マル暴のタブー、菊のタブー、宗教のタブー、政治のタブー、食品のタブー、性のタブーなど掲載。私は食品のタブーに一番興味を魅かれた。

『手紙』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年10月20日読了
寸評:鬱に陥りそうな非情に重い話である。強盗殺人犯の弟という運命が立ちはだかる。同僚など他人は露骨な差別を態度に示すのは道徳に反することだと思っているが、差別されて当然、本当は皆関わりたく無いのだ。犯罪者は自分の家族の社会性をも殺す覚悟を持たなければならない。そのことを示すためにも差別は必要であろう。犯罪加害者の家族を真正面から描く重い話である。この話はジョン・レノンの暗殺が根底にあるとのことだ。

『ラバー・ソウル』 井上夢人著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月25日読了
寸評:人から忌避されてしまうほどの異様な風貌の男の、異常な執着と歪んだ恋サスペンス。程度の差はあるけど、男は誰でも自分の好きな女性に近付いてくる他の男を敵視する。勿論、敵視したってそれを表には出さないし、普通はせいぜい嫉妬するぐらいだ。でも、異常なヤツだとその感情に抑制が利かない。彼女に近付く男をみんな排除しようとする。さらに、その行動を正当化するために、危害を加えようとしている男から彼女を守ってやっているんだと思い込む。こういう状況の中、変質者の異常な精神構造を持ったストーカーによる殺人事件が起こる。ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」に沿って事件は展開していき、事件の順を追って供述調書の形式で語られる。つまり事件が起こった後から書き始められたものである。アルバム最後の「ラン・フォー・ユア・ライフ」は、「他の男と一緒にいるお前を見せられるぐらいなら、死んで貰った方がマシだ」「逃げられるものなら逃げな。一生逃げ続けりゃいい」などという暗示的な歌で閉じられる。3つの殺人事件の結末、それは大どんでん返しで終わる。

『春の雪』 三島由紀夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’17年11月2日読了
寸評:「豊饒の海」四部作の第1作、日露戦争後の明治末という我が国の現代史の分水嶺ともいうべき時点から描き始められる。「春の海」は皇族を含む貴族の悲恋ロマンス物語である。解説からすると一種の大河小説の試みだと書いてある。四部作が緻密に計算され尽くしていると書かれているが、まだ1作目を読んだだけなので先のことは解らない。三島文学はとにかく凝った描写が多いし、現在では使われていないような言葉も多くでてくるので非常に読み辛い。特に最終章では因陀羅網(いんだらもう)の話になるが、難しくて理解できない。

『奔馬』 三島由紀夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’17年11月13日読了
寸評:四部作「豊饒の海」の第二部、この四部作は転生の物語だと著者は云う(輪廻は必ず転生であるが、転生必ずしも輪廻とは云えない)。始めが明治時代で第二部は昭和初期の右翼のテロリストの物語。第一部の「春の雪」は白木の墓標から始められているのに対して第二部の冒頭は裁判所である。
第一部の主人公がこの「奔馬」では職業右翼の息子として生まれ変わる。第一部の登場人物が年齢を重ね醜さばかりを加算していく。美しさは若者の特権として描かれている。
副主人公である本多が、第一部では純情な書生だった飯沼が財界から金を貰って大所帯を張る職業右翼に変貌するが、第二部では飯沼の息子勲が主人公だが、勲は第一部の主人公侯爵家の息子松枝清顕の転生である。勲は「神風連史話」に心酔し、昭和の神風連を志す。2.26、5.15を経てクーデター、テロ集団を組織するが、同志を集め決起する寸前で密告により計画はあえなく潰える。
「太陽の、・・・日の出の断崖の上で、昇る日輪を排しながら、・・・輝く海を見下ろしながら、けだかい松の樹の根方で、・・・自刃することです」 勲の決意であるが、後年の著者の自決を匂わせる。「奔馬」の最終行である「正に刀を腹へ突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に赫奕と昇った」はあまりにも名高い。

『暁の寺』 三島由紀夫著 新潮文庫 評価☆☆☆ ’17年11月20日読了
寸評:「暁の寺」は「豊饒の海」全4巻の中の第3巻である。所謂「起・承・転・結」 の構成を踏んで発想されるまさしく「転」の位置に立つ。昭和45年7月に上梓され、著者の割腹自刃のほぼ半年前である。著者が死を決意したのは「暁の寺」を完結するまでの期間であったように思われる。
この作品の第1部は西洋の輪廻転生説を基に展開する。小乗仏教に始まり、インド哲学、ヌマの法典、ヒンズー教聖都ベナレス、シャクティ信仰、ヴィシュヌ神の十変化、ディオニュソス神、オルペウス教、ピュタゴラス教、アビダルマ教、大蔵教、そして大乗仏教の中核阿頼耶識へと展開し唯識思想の世界に打ちのめされるが、著者はその実在を垣間見たようだ。このことが180頁にも及んで詳述されるが難しくて良く解らない。
第2部からは「奔馬」の続編らしくなる。第2巻までの副主人公だった本多が主人公となる。本多は今や三島その人であった様にも思われる。著者が命を懸けて書き上げた心血を注いだ作品と言って良いだろう。

『天人五衰』 三島由紀夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’17年11月28日読了
寸評:「豊饒の海」完結編である。永年の懸案だった「豊饒の海」全4巻を約1か月掛けて読み切った。この第4巻でも主人公は変わるが、第1巻から登場する周りの人物は変わらない。この巻でも本多が主人公と肩を並べる。本多の老齢と近づく死の兆候と共に物語は展開してゆき破局を迎える。全巻通しての風景描写などは滅亡の主題を形成する。しかし観点を変えてみれば生々流転して止むことのない自然の営為だ。また、生きることは老いることであり、老いることこそ生きることだと結論付ける。「我があるから不滅が生じない」という仏教の論理は、数学的に正確だとも言う。
著者は「絶対的一回的人生というものを、一人一人の主人公は送っていく。それが最終的には唯識論哲学の大きな相対主義の中に溶かし込まれて、いづれも涅槃の中に入るという小説である」という。
三島はこの原稿を書き終えた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決する。この小説を通して自刃に至る深層心理を読み解こうと試みるが、私には難しすぎて解らない。輪廻転生には諸条件があるが、三島は輪廻転生して何処に行ったのか。
著者の全ての著書を読んだ訳ではないが、これにて三島由紀夫は終わりにしたい。

『忘れられた巨人』 カズオ・イシグロ著 早川epi文庫 評価☆☆☆☆ ’17年12月1日読了
寸評:’17年のノーベル文学賞受賞作家。著者の著書は初読である。著者はデビューから一貫して「記憶」というテーマにこだわってきたようだ。本書は5~6世紀のイギリスが舞台、霧によって視界と思考が不明瞭な世界、記憶もまた片っ端から失っていく。主人公は自分自身を取り戻すため身命を賭して冒険に出る。主人公の老夫婦に付き従う内に、真実に向き合うことの気高さと大切さに気付かされる。記憶を巡る物語とは人間探求そのものである。本書は童話のようであり「カエルの楽園」を思い出した。

『阿川佐和子のこの人に会いたい9』 阿川佐和子著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年12月5日読了
寸評:連載1000回を超える「週刊文春」の看板対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」傑作選第9弾。2011~12年にかけての24名の著名人との対談を文庫化したもの。著者の事前準備もさることながら、それに裏打ちされた巧みな話術で対談相手から臨機応変に様々な事柄を引き出して展開していく。笑いあり、涙ありの名対談集である。最早、対談の名手と言われた吉行淳之介を凌駕する。

【12月13日過去の釣行記録】
・2008年笠佐島周辺、06:30~13:30、大潮、船釣り、釣果=ヤズ5・カサゴ1
・2009年粭島小瀬戸、18:50~21:30、中潮、釣果=メバル4・アジ3
・2014年華徳山築港、06:30~10:30、小潮、釣果=ボウズ

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦10月26日釣行記録】
・2005年11月27日、大島居守、夜、若潮、釣果=メバル3
・2005年11月27日、新日鉄波止場、昼間、若潮、釣果=カレイ1
・2006年12月16日、華西南端防波堤、18:00~20:00、若潮、釣果=メバル14
・2008年11月23日、晴海埠頭、18:10~21:10、若潮、釣果=メバル5・アジ6
・2009年12月12日、笠佐島周辺、06:30~14:30、若潮、釣果=ハマチボウズ・メバル1

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千一夜第3章第67夜 第48回衆議院選挙投票を前に緊急投稿

2017-10-14 10:09:49 | 読書

2017.10.14(土)

第48回衆議院選挙に向けて有権者諸氏に是非読んで欲しい本を紹介。特に浮動票諸氏、野党支持諸氏には読んでいただきたい。日本の将来を決定付ける選挙です。良く考えて投票しましょう。

『カエルの楽園』 百田尚樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月10日読了 再投稿
寸評:ひょっとすると、10月10日公示、10月22日投票の衆議院選挙に合わせて発売された本かも知れない。余りにタイミングが良すぎる。この本は寓話の形を取りながら、日本国の本質をえぐり出した名著であり予言書である。読み始めればすぐに現代の日本社会、そして安全保障をテーマにした物語だと言うことが解る。物語はカエルの社会に例え、日・中・韓・米が入り乱れる。何より怖ろしいことは、この寓話が現在、我々の目の前で少しずつ現実になりつつあることだ。勿論、この寓話は別の読み方もできるが、著者の謂わんとしていることは、9条の改憲が出来なければ日々高まる中国や北朝鮮の脅威に対して、日本は国民の命と安全を守ることが困難であると言いたいのだろう。本書の結末では、かつて楽園だったナパ^ジュ(JAPANを反対から読む)国が壊滅し、生き残ったカエルたちは食用の奴隷か普通の奴隷にされてしまう。9条を頑なに信奉し、紛争や戦争さえなければ奴隷の平和でも良いと心から思っている。現在、こう思っている日本人の何と多いことか。

『日本よ、咲き誇れ』 安倍晋三・百田尚樹共著 WAC文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月12日読了 新規投稿
寸評:10月11日発行の著書であるから、10月10日公示、同22日投開票の第48回衆議院選挙を睨んでの発行であることは間違いない。首相とベストセラー作家のコラボであるから、この時季相当のインパクトがある。5章からなり、第1章は2012年の両者の対談、第2章も2013年の両者の対談、第3章は百田の著書について両者の対談、第4章は2012年と2013年の百田の安倍晋三論、第5章は2017年までの安倍総理の講演録からなる。

中国の領海侵犯と恫喝、北朝鮮のミサイル・核問題、中国・韓国が仕掛ける悪辣な歴史戦などこれらを乗り切らねば日本の未来はない。これらの重要諸問題を解決に導くことができるのは安倍首相をおいて他にはいない。今回の総選挙で与党が過半数を獲得すれば一気に9条改憲の機運が高まるのだが・・・。購入後一気に読了した。

『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘著 集英社新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年8月25日読了 再投稿
書評:本書は日本会議が設立された歴史的背景と会議の最大の目的である「憲法改正」、安倍政権の諸政策と日本会議の主張や運動、思想や価値観、目指す方向等が一致している安倍政権との繋がりを検証している。先に結論から申し上げると、私は著者の意見とは恐らく対極にあると思われる。
   
日本会議の何が悪いのか?一旦緩急あれば・・・の教育勅語の復活が何故悪いか?世界のどの国から見ても自国を自国民が守るのは当たり前のこと。自民党の憲法改正草案にも揚げ足取りとしか思えないような論評である。先に読んだ「戦争と平和」百田尚樹著とは対極の著書か。

著者は戦史・紛争史の検証・分析の歴史研究家であり、この著書では大東亜戦争時の国家神道・国体思想の批判に徹している。要するに過去の大戦の反省である。確かに戦時下の国体明微運動(「国体の本義」、「臣民の道」は天皇と国民の道を表したもの)は現代には必ずしもそぐわないかも知れないが、精神的・普遍的な伝統文化・精神は守らねばならない。

著者は政治的には日本会議が戦前回帰の懸念ありと警鐘を鳴らしている。では、近年の中韓両国の日本の領土・領海侵略侵犯に対しては手を拱いて遺憾の意を表明するに留まっているが、これで国を守っていけると思っているのか?中国は沖縄までも自国の領土だとうそぶいており、このままでは何れ日本は中国の属国になってしまう。

著者は本当の愛国心云々と言うが、安保条約の下での現状維持が愛国者なのか?勿論、条約は戦争回避の抑止力となるが、抑止力だけでは国は守れない。これは愛国心というよりも寧ろ、「9条教信者」である。

日本会議に否定的な著者は、現憲法下で70年間、平和的な発展、繁栄を維持してきたではないかという。非政治的な文化の維持や存続に関する日本会議の運動には敬意を払うと述べているが、過去の反省のみ(著者の検証・分析力には敬意を払う)で今後どのように国を守っていくのか具体的な将来の展望がないのだ。反省は必要だが批判ばかりでは国は守れない。

自分の考え方に否定的な本を読むのも面白い。長くなったので寸評じゃなく書評としたい。

『戦争と平和』 百田尚樹著 新潮新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年8月18日読了 再投稿
寸評: 3章からなり、第1章は日本人は戦争に向かないのではないかと言うことを、大東亜戦争を振り返り検証、何事にも合理的なアメリカに対して、精神論や縦社会で立ち向かう日本が敵う訳がない。個々の技術的な性能や技術は日本のものが上回っていたものが多いが、何しろ物量面で敵う訳が無い。それとこれは明記しておきたいが、かの大戦は侵略戦争では断じて無いということ。このことは、マッカーサーやパール判事もアメリカ上院で述べている。この本では触れていないが、日教組などは真逆の偏ったことを教えているので、真の教育には悪影響を及ぼす。
第2章は「永遠の0」は戦争賛美小説か?をテーマに出版に至るまでの経緯や出版後の批評などを著者自らが振り返る。
第3章は護憲派に告ぐ!がテーマ。憲法改正について熱く語る。一刻も早く憲法9条を改正した上で、自衛隊を正規の軍隊にしなければならない。専守防衛では国は守れないのだ。そもそも日本国憲法は戦後、GHQの素人軍団25人(弁護士は4人、メンバーには女性タイプライターも居た)により、世界の憲法を寄せ集めて1週間で草案を造ったもの。草案の目的は日本が再び米国の脅威とならないことを確実にするためのもの。当時の作成に携わった人のインタビューでは、「まだそんなものを使っていたの?」である。日本人は物づくりには力を発揮するが、絶対者から押しつけられたものに対しては永遠に絶対なのだ。律儀過ぎる。9条教信者では、ひいては国を滅ぼすことになる。著者は日本会議のメンバーであると思われるが、安倍首相在任中に是非とも憲法改正を成し遂げてもらいたいものだ。

『カエルの楽園が地獄と化す日』 百田尚樹、石平対談 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月17日読了 再投稿
寸評:百田著の「カエルの楽園」は予言の書であると石平、この本の通りに日中関係が進展している。悲しいかな日本のマスコミ(特に朝日新聞、毎日新聞、沖縄2紙)は国民に危機感を持たせないよう懸命。結果、一般人の善良な無知が中国の野望の助けになっている。憲法9条を守ろとしている人たちは客観的に見て中国の国益のために動いている。朝日新聞は日本を辱め貶める中国のスポークスマンであると断定。中国はいづれ尖閣を奪取し、その後は沖縄、そして九州へと進出し、やがて日本は中国に侵略されチベットやモンゴルのようになる。日本を守ろうとすれば戦争になる。戦争はやってはいけないから守ること自体を放棄するか。中国は50年計画で日本を取る戦略だ。個別的、集団的自衛権を早く実行に移せる態勢を整備しなくちゃ。

『愛国論』 田原総一郎、百田尚樹対談 ワニ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月25日読了 再投稿
寸評:「永遠の0」をめぐって、大東亜戦争とはなんだったのか、なぜ自虐史観が蔓延してしまったのか、韓国とどう付き合えばよいか、中国とどう対峙するべきか、朝日新聞は反日なのか、国をあいするとは、以上のテーマについて熱く語る。左翼のイメージの田原と右翼で保守論客のイメージの百田との話が噛み合うのか。非常に面白かった。

『国家戦略からみた靖国問題』 岡崎久彦著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’17年2月10日読了 再投稿
寸評:2000年頃から日本国を辱め貶めている日本国内の反政府左翼勢力である『朝日新聞』の策謀が見事に功を奏し、日韓、日中の歴史問題を蒸し返す。これは三木内閣の頃からおかしくなった。大和民族は和を持って尊しとする民族だから我慢強い。しかし反日に燃える第三国とは距離を置いた方が望ましい。政治と経済を恫喝を交え一緒くたに論ずるような国とはだ。まずは経済面から徐々に撤退していこうではありませんか。そして日本の集団的自衛権は世界的に認められているのだから憲法改正を急ごう。

『大放言』 百田尚樹著 新潮新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年1月18日読了 再投稿
寸評:普段私がやり過ごしている事柄も、作家故の鋭い観察力で世の不条理を暴いて行くのは面白い。各章には納得させられる持論が満載。日本国を辱め貶め悪意に満ちた偏向報道を第一義とする左向きの新聞社は言わずと知れているが、話の前後を無視して一文のみをクローズアップして好き放題書くのは何も新聞社に限ったことでは無い。何故公正で真っ当な報道が出来ないのかなあと改めて実感した次第。著者の言動は国会でも大炎上しているが、今やオフレコも無く記者の前では冗談も言えない風潮になっている。新聞の質も記者の質も落ち嘆かわしい限りである。

【10月14日過去の釣行記録】
・2006年粭島入口、17:00~22:30、小潮、釣果=アオリイカ3
・2012年日本精蝋前桟橋、17:30~18:10、大潮、釣果=アオリイカボウズ
・2012年櫛ヶ浜港防波堤、18:35~20:50、大潮、釣果=小サバ19
・2013年第1埠頭西側、06:40~09:40、長潮、釣果=キス5・メイタ2・メゴチ1

【この日の釣り情報】
・2005年第1埠頭南端東側、昼間、中潮、釣果=アオリイカ15

【旧暦8月25日釣行記録】
・2007年10月05日、第2埠頭東側、18:15~19:15、長潮、釣果=アオリイカボウズ
・2010年10月02日、第2埠頭東側、06:00~10:40、長潮、釣果=キス2
・2013年09月29日、大島大原、17:30~19:30、長潮、釣果=太刀魚ボウズ
・2016年09月25日、大島大原、06:00~10:30、長潮、釣果=カレイ1・キス11・イイダコ1・小ダイ多数

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千一夜第3章第66夜 最近の読書7

2017-10-10 19:51:09 | 読書

2017.10.10(火)

今日は第48回衆議院選挙の公示日(投票日22日)である。それに合わせて読んだ訳ではないが、『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘著や『カエルの楽園』 百田尚樹著は意味深である。投票日までに是非とも『カエルの楽園』はご一読願いたい。

最近読んだ本。記載するのは今回で7回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。最近発見したことだが、このシリーズが意外と好評だということ。これを読んで読書したという方も現れた。

『日本会議 戦前回帰への情念』 山崎雅弘著 集英社新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年8月25日読了
書評:本書は日本会議が設立された歴史的背景と会議の最大の目的である「憲法改正」、安倍政権の諸政策と日本会議の主張や運動、思想や価値観、目指す方向等が一致している安倍政権との繋がりを検証している。先に結論から申し上げると、私は著者の意見とは恐らく対極にあると思われる。
   
日本会議の何が悪いのか?一旦緩急あれば・・・の教育勅語の復活が何故悪いか?世界のどの国から見ても自国を自国民が守るのは当たり前のこと。自民党の憲法改正草案にも揚げ足取りとしか思えないような論評である。先に読んだ「戦争と平和」百田尚樹著とは対極の著書か。

著者は戦史・紛争史の検証・分析の歴史研究家であり、この著書では大東亜戦争時の国家神道・国体思想の批判に徹している。要するに過去の大戦の反省である。確かに戦時下の国体明微運動(「国体の本義」、「臣民の道」は天皇と国民の道を表したもの)は現代には必ずしもそぐわないかも知れないが、精神的・普遍的な伝統文化・精神は守らねばならない。

著者は政治的には日本会議が戦前回帰の懸念ありと警鐘を鳴らしている。では、近年の中韓両国の日本の領土・領海侵略侵犯に対しては手を拱いて遺憾の意を表明するに留まっているが、これで国を守っていけると思っているのか?中国は沖縄までも自国の領土だとうそぶいており、このままでは何れ日本は中国の属国になってしまう。

著者は本当の愛国心云々と言うが、安保条約の下での現状維持が愛国者なのか?勿論、条約は戦争回避の抑止力となるが、抑止力だけでは国は守れない。これは愛国心というよりも寧ろ、「9条教信者」である。

日本会議に否定的な著者は、現憲法下で70年間、平和的な発展、繁栄を維持してきたではないかという。非政治的な文化の維持や存続に関する日本会議の運動には敬意を払うと述べているが、過去の反省のみ(著者の検証・分析力には敬意を払う)で今後どのように国を守っていくのか具体的な将来の展望がないのだ。反省は必要だが批判ばかりでは国は守れない。

自分の考え方に否定的な本を読むのも面白い。長くなったので寸評じゃなく書評としたい。

『ロスジェネの逆襲』 池井戸潤著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年8月31日読了
寸評:半沢直樹シリーズ第3弾、IT企業の敵対的買収において買収会社に1500億円融資した東京中央BK、一方、BKの子会社東京セントラル証券に出向中の半沢直樹が、被買収会社とアドバイザー契約を結び顧客本位の最適なソリューションの提供に奮闘。親会社と子会社が争い、一見利益相反行為に見えるが、BKは融資における初歩的なミスを犯していた。終盤のBKの追加融資を決定するための役員会に乗り込んでの大逆転劇、文句なく面白い。

『永遠の0』 百田尚樹著 講談社文庫 評価☆☆☆ ’17年9月7日読了
寸評:遅ればせながら読んだ。私は明治以降の戦記物は殆ど読まない。いろいろ理由はあるがここでは割愛する。実は私の祖父も大東亜戦争で戦艦「榛名」に乗艦したが、負傷のため早期に退役した。祖父の生前、戦争の話は子供の頃何度も聞かされたものだが、今では殆ど覚えていない。母親からも内地空襲の話は良く聞いたので、もうあまり聞きたくないというのが本音、トラウマになっているのかも知れない。

この本の評論で、戦争を煽った帝国主義を賛美するものだとしばしば目にするが、読了してみて全くそんな感想は抱かなかった。当時の帝国主義の世相の中で史実に基づき、或いは残り少ないゼロ戦搭乗者の生存者の重厚な取材に基づき書かれているため、そういう感想を抱く人が居るのかも知れないが、全く的外れだと言っておきたい。もっと素直に読んでも良い本である。物語の内容については触れないが感動はした。私のような戦争を知らない世代や戦争体験者、その時代に生きた人それぞれである。じっくり読んで欲しい。

『本当は恐い 日本むかし話 秘められた異聞録』 深層心理研究会編 竹書房文庫 評価☆☆☆ ’17年9月8日読了
寸評:昔話は子供に聞かせるおとぎ話であり、物語に形を変えた教訓でもある。同時に語り部たちの夢物語でもあったとされる。童話やおとぎ話はその殆どが子供向けに脚色が施されている。それも親しみやすい表現、解り易い内容に改められ、要所を削除してしまったり子供に聞かせたくない部分も消され、今に伝わる愛される話になっているものが多い。その結果、ストーリー展開はうやむやになり「めでたし、めでたし」という結末のものばかりである。だがそれでは物語からもたらされるはずだった教訓を得ることはできない。表層意識を垣間見る程度である。

本書では物語の原話まで遡るが、それは非人道的、反社会的なタブー話や目を覆いたくなるような残酷性や恐怖感、或いは過度な好色性に満ちていることが多い。だがその原話にこそ人間の性や欲望、願望、残忍さ、自己愛、慈愛、性愛という生命の伊吹、つまり深層心理が潜んでいるという。それを探求していくことで物語に秘められた真実を追求し、作品が持つ本来の魅力をあぶり出そうと試みる本である。ふふ・・何だか若返りの本でもあったな。

『眠れないほどおもしろい 「古代史」の謎』 並木伸一郎著 王様文庫 評価☆☆☆☆ ’17年9月15日読了
寸評:記紀(古事記、日本書紀)を含めた古代史の本は多く読んでいるが、この本では新たな諸説を随分発見した。特に日本人のルーツに関する諸説、また記紀よりも古いとされる封印された日本の古史三書、古伝三書をはじめとする古史古伝の記述など、奇想天外のものも多いがなるほどと納得させられることも多い。古史古伝の中でもスーパースター的な存在と言える「竹内文書」は記紀の原本になったとのことだ。しかし歴史学の立場からはこれらの古史古伝はいづれも「偽書」とされている。今後もっと検証されても良いように思う。

『穴』 小山田浩子著 新潮社 評価☆☆☆☆☆ ’17年9月20日読了
寸評:第150回芥川賞受賞作。著者の作品を初めて読んだ。表題作を含め他2篇の短編が収録されているが、3部作とみて良い。平凡な日常を描いた作品で読み始めはどうということもないが、時折顔を覗せる異界、現実のうつせみから夢の中へとごく自然に移行してはまた現実に戻り、どれが現実なのか解らなくなる。次第に物語の中に引きこまれていき、最後には読者をハッとさせるところが良い。こういう感性を持った作家に久しぶりに出会った。私が純文学において五つ星を付けるのは稀である。秀作である。著者の他の作品も読んでみたい衝動に駆られた。

『日本人が一生使える勉強法』 竹田恒泰著 PHP新書 評価☆☆ ’17年9月22日読了
寸評:「和の精神」に立って書かれた竹田式勉強法、仕事術、成功哲学を解説、自己啓発本である。和の精神とは西洋式とは正反対の日本の価値観に基づく成功哲学である。何のために勉強するのか、自分の人生が豊かになる勉強の実践とは、まずは一分野を徹底的に追求し勉強する。更に次の専門分野へと学問を究める。その過程で総合力と統合力が備わる、徹底した自分磨きが絶対条件であるというような論旨であるが、参考程度に留めたい。

『シャイロックの子供たち』 池井戸潤著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年9月26日読了
寸評:ある銀行の一支店の人間模様を描く。一遍一遍の主人公が違い、独立した短編のようであるが、何時の間にか長編へと変貌していく。融資ノルマに押しつぶされる渉外員、投資信託のコンプラ、出世競争、上司の理不尽さ、女子行員同士のライバル心、格差のある社内恋愛、精神破綻、家族への思い、そんな中で現金紛失事件が起こる。そして不祥事隠し、二転三転する犯人捜し、行員の失踪事件、支店エースの架空融資、行員のギャンブルなどなど銀行内で起こりそうな諸事情が満載されている。事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤を描く、圧巻の金融クライム・ノベルである。

『無頼のススメ』 伊集院静著 新潮新書 評価☆☆☆ ’17年9月28日読了
寸評:無頼とは自分には頼るもの無しということだ。また常に何かに対して、どこかで怒っている人間のことでもある。表に怒りを出さなくても、誰かとつるむのでは無く、自立した個として怒るというのはとても大事なこと。生きている限り戦いは一旦始まったら、とにかく最後まで立っていることが重要である。著者に共感する部分は多々あるが、共感するが故の反感もある。目立つことをするな、人とつるむな、孤を知れ、他人には干渉しない、イデオロギーなど若者が罹りやすい流行病のようなもの、等々の人生教訓書である。何よりも吉行淳之介氏のエピソードが数回出てくるところが良い。

『不道徳教育講座』 三島由紀夫著 角川文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月5日読了
寸評:著者は近代日本文学の第一人者である。純文学に於いて端正な由緒正しい文学を書く。そして厳しく真面目な気難しい芸術至上主義者である。文学を離れたエンターテナーの著者とは全くの別人である。本書は井原西鶴のためしに習って、当時流行の道徳教育をもじって「不道徳教育講座」を開講。昭和33年から週刊誌「明星」に連載されたものであり、女性向大衆週刊誌のためか著者は裃を脱いでふざけている。しかし吉行淳之介、安岡章太郎、遠藤周作らの卓抜で軽いが解放感にあふれたエッセイと並ぶ傑作である。既に60年前の作品であるが、今も決して色褪せていない。

「大いにウソをつくべし」「約束を守るなかれ」「喧嘩の自慢をすべし」「公約を履行するなかれ」「自由と恐怖」等々全69章からなる。これらのことを実践すれば病院送りは間違いない。この書は三島の小説に現れない座談における機智や逆説、笑いが十分に発揮されている。不道徳は真の道徳に並んでいる。しかし、心理分析が得意な三島流思考回路はとても複雑で論旨は哲学的かつ難解な章も多かった。

最終章の「おわり悪ければすべて悪し」では自殺を完全否定しているが、著者は1970年11月、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した。当時私は中学3年生、割腹自決に大変なショックを受け、高校へ入学してから三島文学を読み始めた。とは言え、大学生まででありその後40年近く著書を手に取ることは無かった。著者の未読の著書も多くあり、最近になって三島純文学に触れ直してみようと思った次第。学生時代は吉行淳之介120冊、三島由紀夫は30冊程度の読書だった。

『カエルの楽園』 百田尚樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年10月10日読了
寸評:ひょっとすると、10月10日公示、10月22日投票の衆議院選挙に合わせて発売された本かも知れない。余りにタイミングが良すぎる。この本は寓話の形を取りながら、日本国の本質をえぐり出した名著であり予言書である。読み始めればすぐに現代の日本社会、そして安全保障をテーマにした物語だと言うことが解る。物語はカエルの社会に例え、日・中・韓・米が入り乱れる。何より怖ろしいことは、この寓話が現在、我々の目の前で少しずつ現実になりつつあることだ。勿論、この寓話は別の読み方もできるが、著者の謂わんとしていることは、9条の改憲が出来なければ日々高まる中国や北朝鮮の脅威に対して、日本は国民の命と安全を守ることが困難であると言いたいのだろう。本書の結末では、かつて楽園だったナパ^ジュ(JAPANを反対から読む)国が壊滅し、生き残ったカエルたちは食用の奴隷か普通の奴隷にされてしまう。9条を頑なに信奉し、紛争や戦争さえなければ奴隷の平和でも良いと心から思っている。現在、こう思っている日本人の何と多いことか。

【10月10日過去の釣行記録】
・2005年第2埠頭中電前、11:00~14:30、小潮、釣果=2人でキス25
・2008年南周防大橋下埠頭、19:20~20:55、中潮、釣果=メバル3
・2009年洲鼻港、19:30~21:00、小潮、釣果=アオリイカ1
・2010年洲鼻港防波堤、06:00~11:00、中潮、釣果=キス3・カワハギ13・クロ1
・2011年第2埠頭中電前、06:10~10:10、大潮、釣果=キス7・小ダイ2

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦8月21日釣行記録】
・2008年09月20日、徳山晴海埠頭、19:30~22:37、中潮、釣果=チヌ1・アジ3
・2007年10月01日、室積西の浜漁港、18:10~19:48、中潮、釣果=アオリイカボウズ
・2007年10月01日、ビックモーター沖、19:30~22:00、中潮、釣果=メバル4・アジ8
・2015年10月03日、新川港・落港、05:30~08:40、中潮、釣果=アオリイカボウズ

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千一夜第3章第57夜 最近の読書6

2017-08-19 19:48:02 | 読書

2017.08.19(土)

久し振りに下の娘が1週間程度帰省していたが、今日の午後、東京に帰って行った。長女も毎日のように孫を連れて来ていたが、一気に寂しくなった。まあ、みんな元気であればそれで良い。15時頃から今季初のプールに行った。

今日は同僚が屋代島にメバル釣行すると言っていたが、釣果が気になるなあ。

最近読んだ本。記載するのは今回で6回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『本能寺の変 431年目の真実』 明智憲三郎著 文芸社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年7月6日読了
寸評:目からうろこの本だった。本能寺の変は実は信長と光秀が用意周到に計画した家康暗殺計画だったと言うのだ。当日は家康の警戒を解くためにも少人数の警護しか付けなかった。安土城で家康の饗応役を外されたのも芝居、その直後、秀吉の中国攻めの参謀役として出陣の準備をさせたのも芝居(偽装工作)、当日は本能寺で茶会を催す予定であり、全ては家康を討つための準備だった。ところが、光秀は予定の時間(家康らが到着する時間)を早めて本能寺に到着して信長を討つ。光秀の動機とは・・・・。資料に基づき明快にその謎解きをしていく。恐らくこれが真実だっただろうと納得の書である。

『だましゑ歌麿』 高橋克彦著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年7月12日読了
寸評:主人公を始め登場人物すべてが寛政期の徳川幕府の施策に直接巻き込まれていく物語、これは決して政治的な小説ではなく、一つの殺人事件を発端に犯人を探索していく同心と彼をめぐる様々な人間たち(多くの実在した人物が登場する、主な人物として浮世絵師の歌麿、北斎、松平白河公、長谷川平蔵、南北両町奉行など)、敵対する人間たちが互いに推理や策謀をめぐらせ合って火花を散らし、結末では全ての謎が解明するというミステリーである。非常に面白かった。

『うから はらから』 阿川佐和子著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’17年7月21日読了
寸評:「うから」は親族、同族のこと、「はらから」は同胞、兄弟姉妹の意。古くは万葉集に見られる和語だそうだ。離婚、再婚のみならず元妻、元夫、連子、彼氏、不倫相手など様々な人々を巻き込む長編家族小説。血のつながりなんてなくても、偽家族でも結構楽しくやっていける。まさしく「うから はらから」の展開となる。

『眠れないほどおもしろい雑学の本』 J・アカンバーク著 王様文庫 評価☆☆ ’17年7月24日読了
寸評:子供の頃にみんなが持っていた「なぜ?」と問いかける心に、大人になってもブレーキをかけないで本書が生まれた。本書はマイアミ・ヘラルド紙の日曜版の常設コラムに連載されたものの中から抜粋されたもの。著者が地下の秘密基地から指令を出し、優秀なスタッフを駆使し次々に「なぜ?」を撃破していく。

『ライ麦畑でつかまえて』 J・D・サリンジャー著 村上春樹訳 白水社 評価☆☆☆ ’17年7月28日読了
寸評:1980年12月8日にジョン・レノンがマーク・チャップマンに銃殺された。犯人が持っていたということで話題となったのがこの本である。そのことを私が知ったのは恐らく翌年のことだと思う。その後この本に出会うことが無かったが、先日、36年振りに古本屋で発見し、即購入した次第である。1963年に上梓されたと思われるので、出版後実に54年後に読んだことになる。内容的には思春期の青年の物語で、狭い意味での体制批判、恋愛、友人関係、妄想癖、むかつき、うんざり・・・といったものであるが、レノン殺害と重なりそうな部分は240頁から248頁に出てくる。解説等は著者により禁止されているので全く無い。昔、チャップマンに関する本も数冊読んだはずだが、もうすっかり忘れている。主に精神分析などに使われたように思うが・・・・。

『ジブリアニメで哲学する』 小川仁志著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年8月2日読了
寸評:風の谷のナウシカから風立ちぬまで宮崎長編アニメを取り上げ諸概念を哲学。一見、こじつけにも思えるがなかなかどうして、宮崎監督のモチーフ、風、森、城、海などを哲学、私たちが生きる現実世界の本質を解き明かしていく。

『影裏』 沼田真佑著 文芸春秋 評価☆☆☆ ’17年8月4日読了
寸評:第157回芥川賞、第122回文学界新人賞受賞作。3.11大震災前後の親友との出会いと別れ、出向で移り住んだ岩手、職場で唯一の友を得るが友は中途退社し何時しか疎縁になる。そして3.11の大震災、その友のもう一つの顔にふれることになる。ちょっと読み難い小説だった。

『「天皇機関説」事件』 山崎雅弘著 集英社新書 評価☆☆☆☆☆☆☆ ’17年8月9日読了
寸評:天皇機関説とは統治の主体が天皇にあらずして国家にあり、国家を法人と見做し(国家法人説)天皇をその法人の最高機関と位置付ける、天皇の権力は憲法の制約を受ける。といった立憲君主主義、民主主義、議会主義を美濃部達吉らが唱え、大日本帝国憲法は1935年1月まではその説を採っていたが、同年2月から天皇主権説を唱える右翼や軍部の議員らから天皇は主権者であり統治権は無限であるとし機関説は葬られていく。そして国体明徴運動へと続き、日本の立憲主義は停止、歯止めを失った権力の暴走が2.26事件を誘発させ、そして日本は破局的な戦争へと突き進む。この事件は昭和史の重要な分岐点となる。日本の一般市民が基礎知識として共有しておくべき重要な歴史的事件であり必読。最重要図書の一つである。

『よわむし同心信長 消えた天下人』 早見俊著 コスミック文庫 評価☆☆☆ ’17年8月16日読了
寸評:難い本の後は柔らかい本、織田信長にあこがれる若き南町同心信藤長次郎の頭の中で、織田信長が話しかけてくるようになった。そして難事件を次々に解決していくというストーリー。何も考えずに読めるのが良い。

『戦争と平和』 百田尚樹著 新潮新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年8月18日読了
寸評: 3章からなり、第1章は日本人は戦争に向かないのではないかと言うことを、大東亜戦争を振り返り検証、何事にも合理的なアメリカに対して、精神論や縦社会で立ち向かう日本が敵う訳がない。個々の技術的な性能や技術は日本のものが上回っていたものが多いが、何しろ物量面で敵う訳が無い。それとこれは明記しておきたいが、かの大戦は侵略戦争では断じて無いということ。このことは、マッカーサーやパール判事もアメリカ上院で述べている。この本では触れていないが、日教組などは真逆の偏ったことを教えているので、真の教育には悪影響を及ぼす。
第2章は「永遠の0」は戦争賛美小説か?をテーマに出版に至るまでの経緯や出版後の批評などを著者自らが振り返る。
第3章は護憲派に告ぐ!がテーマ。憲法改正について熱く語る。一刻も早く憲法9条を改正した上で、自衛隊を正規の軍隊にしなければならない。専守防衛では国は守れないのだ。そもそも日本国憲法は戦後、GHQの素人軍団25人(弁護士は4人、メンバーには女性タイプライターも居た)により、世界の憲法を寄せ集めて1週間で草案を造ったもの。草案の目的は日本が再び米国の脅威とならないことを確実にするためのもの。当時の作成に携わった人のインタビューでは、「まだそんなものを使っていたの?」である。日本人は物づくりには力を発揮するが、絶対者から押しつけられたものに対しては永遠に絶対なのだ。律儀過ぎる。9条教信者では、ひいては国を滅ぼすことになる。著者は日本会議のメンバーであると思われるが、安倍首相在任中に是非とも憲法改正を成し遂げてもらいたいものだ。

【8月19日過去の釣行記録】
・1997年笠戸島周辺、13:00~17:00、大潮、船釣り、釣果=キス多数 (一人で船を操舵した初めての日)
・2007年佐合島海水浴場、08:05~15:00、小潮、釣果=キス12・ギザミ15・小マダイ3
・2008年徳山晴海埠頭、06:40~07:25、中潮、釣果=キス15

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません

【旧暦6月28日釣行記録】
・2007年08月10日、櫛ヶ浜港防波堤、22:00~23:40、中潮、釣果=アジ4・キス4・キビレ1・ゴンズイが湧く
・2007年08月10日、華西防波堤南端、18:40~22:00、中潮、釣果=アジ7・メバル2
・2013年08月04日、徳山築港、06:00~09:30、中潮、釣果=キス13・アジ1

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千一夜第3章第48夜 最近の読書5

2017-06-24 17:18:59 | 読書

2017.04.17(金)

梅雨の合間の晴れ(五月晴れ)が暫く続いたが、いよいよ本格的な梅雨になりそうな気配だ。夏場にかけての水不足が心配されているので丁度良いお湿りとなれば良い。私はと言えば晴釣雨読といきたい。

最近読んだ本。記載するのは今回で5回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『小説ヤマト運輸』 高杉良著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’17年4月28日読了
寸評:著者も書いているが、多岐に渡る取材を行っていることは十分に解る。しかし、小説というよりもノンフィクション、ドキュメンタリーのようで社史、回顧録、エピソードの紹介のようであった。とは言え、挿話の俳人斉藤武志(砂上)の話は胸に響いた。また大口便から小口便への特化、三越からの撤退、クール宅急便の開発、労組との葛藤、運輸省との壮烈な闘い、等々著者の言う、読んで元気の出る本だった。

『夢を売る男』 百田尚樹著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年5月1日読了
寸評:著者にしては珍しい文体。自費出版とは少し違うジョイント・プレス(実態は同じ)、素人が本を出版するバニティ・プレス(自尊心と虚栄心満たすための虚栄出版)の需要は多い。そこに目を付けた出版社の営業、プロの文筆家でも殆どの者が消えて行く出版界の中で素人相手に確実に利益を計上していくある出版社のコメディー・タッチの小説。小説ではあるがノンフィクションであろう。

『劇場』 又吉直樹著 新潮社 評価☆☆☆☆ ’17年5月15日読了
寸評:食えない脚本家の恋愛小説、前作「火花」の姉妹作のようだが、内容的にはワンランク・アップしている。主人公は舞台の脚本を書き小劇場で活動を続けるが、評価的にはライバルにも大差をつけられていく。将来の展望が見えないまま、ヒモ生活でずるずると現状維持、彼女は年齢も重ね将来への不安が募る中、主人公は別に部屋を借りる。彼女には気が向いた時に会いに行くようになる。精神的にも衰弱し周囲の友人たちから分かれるように勧められた彼女は、遂に彼女は田舎の親元へと帰っていく。彼女が去ってから彼女の存在の大きさに気付き自虐の念にかられるが・・・。

『一休「禅」の言葉』 境野勝悟著 知的生きかた文庫 評価☆☆ ’17年5月18日読了
寸評:一休が一般庶民のために禅の心を解り易く読み込んで作ったと言われる「道歌」が、全部で600首以上あると言われるが、その内の50首について解説。日頃、「禅」や「歌」に慣れ親しんでいない私には解り易くないが、禅の心、人生訓のようなものである。本は付箋だらけになった。

『フォルトゥナの瞳』 百田尚樹著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年5月23日読了
寸評:人の体の一部が消えて見えるという特殊能力を身に着けた主人公、消えて見える人は後日、或いは数時間後に必ず死亡する運命にある。謂わばローマ神話に出てくる球に乗った運命の女神のフォルトゥナの瞳を持っている。主人公の死の迫る人を救いたいという思いは、無情にも彼を窮地へと追いやる。生死を賭けた衝撃のラストに心震える。愛と運命の物語。久しぶりに一気読みできた。

『怨霊になった天皇』 竹田恒泰著 小学館 評価☆☆☆☆☆ ’17年5月29日読了
寸評:天皇の日本史には表と裏があり、天皇と怨霊は表と裏の関係にある。大魔縁と大魔王、天狗と鬼、魔王と鬼は結託して皇統を呪詛する。崇徳天皇・後鳥羽天皇を経て後醍醐天皇の頃までには怨霊への対処方法は定例化したが、その後は怨霊をを予防する対策が取られるようになる。それはつまり日本本来の姿、「和の国」と言われる所以がここにある。皇族しか怨霊にはならないが、著者も旧皇族であり・・・・。天皇と鬼については関裕二氏を始め多くの歴史史家達が著しているが、皇族の人が書くとまた真実味は増す。非常に面白い本である。

『殿様の左遷・栄転物語』 榎本秋著 朝日新書 評価☆☆☆ ’17年5月31日読了
寸評:関ヶ原の戦いで石田光成ら敵対勢力を打ち破った徳川家康は、光成に味方した大名や中立を維持しようとした大名を次々と処刑・改易・減俸処分にした。これらの処分を受けた大名の数は93家にも及ぶ。また幕府が開かれてから戦の無い世になっても、相続、派閥争いによるお家騒動は枚挙にいとまない。これらに起因した改易も多く行われている。江戸時代における大名人事は、やっていることは現代と差して変わらない。人事のポイントは本人の能力もさることながら、それ以上にコネクションがものをいう。しかし後ろ盾を無くしてしまえば・・・。

『捨てられる銀行2 非産運用』 橋本卓典著 講談社現代新書 評価☆☆☆☆ ’17年6月13日読了
寸評:捨てられる銀行の第2弾、森金融庁長官が進める資産運用の大改革で銀行、証券、生保はどう変わるか?その目玉となるのが顧客本位の業務運営、フィデューシャリー・デューティーの確立と定着である。具体的に資産運用、資産形成におけるフィデューシャリー・デューティーとは、①顧客本位の業務運営に関する方針の策定・公表等②顧客の最善の利益の追求③利益相反の適切な管理④手数料等の明確化⑤重要な情報の分かり易い提供⑥顧客にふさわしいサービスの提供⑦従業員に対する適切な動機づけの枠組み等である。②は株主の反発を買う恐れがあり、③は金融の全ての機能をもつメガバンクでは利益相反を回避するのは相当困難と思われる。しかし時代の価値観が変わったのに、顧客本位のビジネスモデルを構築できない金融機関は競争力を失うということだ。この本はかなり難しかったが、今後の金融庁による銀行等の検査の方向性を示したものである。

『必ずわかる!「〇〇主義」辞典』 吉岡友治著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年6月21日読了
寸評:概念と言葉が境界を越えて絡み合い、それが状況を多面的につくっている様相は複雑怪奇である。正と反が裏で手を結び、とんでもないものに転嫁するなんて弁証法的展開は当たり前である。様々な主張、概念が陰謀を企て、他の主張、他の概念との総合依存、何だか禅問答しているようでもあり、屁理屈の並べ合いのようでもある。非常に哲学的であり難解な本であった。中断もしたが、読了まで4か月半掛かった。

『容疑者Xの献身』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年6月23日読了
寸評:主人公は天才数学者で高校教師、一人娘と暮らす隣人女性に密かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うために完全犯罪を企てる。だが、皮肉にも彼のかつての親友である物理学者がその謎に挑む。警察には絶対に解けない謎、天才同士の同級生であるがゆえに、奇想天外なトリックが解明されていく。著者の本格ミステリーで直木賞受賞作。トリックは凡人の私には思いもよらないものだったが、結末には少々不満が残る作品だった。一気読み必至だ。

『お江戸八百八町三百六十五日』 山田順子著 実業之日本社 評価☆☆☆☆ ’17年6月24日読了
寸評:時代劇の時代考証を仕事にしている著者、大学が私と同窓で2年間は同時に在学していたことになるが面識はない。時代考証は大変な仕事だと思うが、TVドラマ『jinー仁ー』の撮影中に執筆したりでエピソードも面白い。吉原のしきたりや江戸の風俗、江戸食事事情、大江戸版踊る捜査線、幕府崩壊など勉強にもなったし時代劇を楽しむように読んだ。

【6月24日過去の釣行記録】
・2006年第2埠頭東側、07:15~17:15、大潮、釣果=カレイ12・キス7・アイナメ4
・2007年櫛ヶ浜港防波堤、19:45~23:20、長潮、釣果=メバル1・アジ5・チヌ1

【この日の釣り情報】
・2006年庄の浦港、夜、大潮、釣果=メバル8・クロ1

【旧暦閏5月1日釣行記録】
・この日の釣行記録はありません

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千一夜第3章第34夜 最近の読書4

2017-04-26 22:44:59 | 読書

2017.04.26(水)

半島情勢緊迫が続くが、日本が懸念しているほど韓国は騒いでいない。大陸感覚と敷島感覚は違うのだろう。それにしても憲法第9条2項を早く変えなくっちゃ。

最近読んだ本。記載するのは今回で4回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

 『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年3月13日読了
寸評:著者の本はこの本が初めてである。題名(ビートルズの曲名)に引かれて購入したが、著者を知らないのは私だけのようだった。同僚女性や家人も数冊読んでいたし、映画やドラマにもなっているという。女性に人気の作家かも知れない。日本の首相暗殺のストーリーだが、JFKの暗殺事件を重ね合わせている。クロージングが非常に良い。読みながら小さくニヤッと出来るのが良い。

『図解!江戸時代』 歴史ミステリー倶楽部著 三笠書房 評価☆☆☆ ’17年3月16日読了
寸評:江戸時代は幕末を除いて大きな内乱も無く260余年続いた。何故これほどまで長期に渡って平和な時代が現出されたのか。当時の絵図や写真をふんだんに使用して図解。知っているようで知らないことが多いこの時代、面白く読んだ。

『剣と虹 戦国の女領主・井伊直虎』 高殿 円著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年3月27日読了
寸評:井伊直虎物4冊目か。遠州錯乱の時代に一命を賭して井伊家を守り抜いた傑女の人生を描いたものだが、霊感、オカルト的要素をフィクションとして織り込んでいる。井伊直政が徳川家康に語り聞かせるというセッティングで、今日の徳川家があるのは全て井伊直虎のお蔭であるということを説いて行く。悟空がお釈迦様の掌の中で動いているようなものだ。

『たけしの面白科学者図鑑・へんな生き物がいっぱい!』 ビートたけし著 新潮文庫 評価☆☆☆ ’17年3月30日読了
寸評:シロアリからダイオウイカまで、ちょっと変わった生物にまつわる研究をしてきた先生との対談集。何となく知っている動物の生態も研究者によれば実に意外なことだらけで、まるで未知の生物の話を聞いているよう。

『英傑の日本史 激闘織田軍団編』 井沢元彦著 角川文庫 評価☆☆☆ ’17年4月3日読了
寸評:天下の趨勢が激変する戦国乱世、織田信長と共に時代を駆け抜けた武将たちの考えやその行動に迫る。歴史物は勝者が敗者を書き記す。従って勝者に都合良く書かれておりその歴史の虚実に切り込んでいく。著者の本は二桁以上読んでいるが、本書はこれまで読んだ本とちょっと趣が違った。まあ、今迄は古代のものが多かったからか。古代日本史の検証本は他に関裕二氏のものを多く読む。

『鋼のメンタル』 百田尚樹著 新潮新書 評価☆☆☆ ’17年4月7日読了
寸評:他人の目が気になって仕方がない、悪口に落ち込む、すぐにくよくよする、後悔を引きずる、人前であがる・・・でも大丈夫、考え方ひとつで誰でも精神の強さは鍛えられる。著者初の人生論である。即効性抜群の実践的メンタルコントロール術である。

『安倍官邸「権力」の正体』 大下英治著 角川新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月11日読了
寸評:衆参両院で過半数を持ち、1強時代を突き進む安倍政権。強大な権力の源泉は閣僚、党、官僚幹部人事の掌握に加え、再挑戦組の結束力が大きい。とりわけ菅官房長官との相性は抜群とのこと。安倍はカリスマ性こそ薄いが、人望があり、悪党の雰囲気を持たず、情もあり、今や党内でも安倍下ろしの声すら聞こえないとのこと。この機に改憲が出来るか。

『カエルの楽園が地獄と化す日』 百田尚樹、石平対談 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月17日読了
寸評:百田著の「カエルの楽園」は予言の書であると石平、この本の通りに日中関係が進展している。悲しいかな日本のマスコミ(特に朝日新聞、毎日新聞、沖縄2紙)は国民に危機感を持たせないよう懸命。結果、一般人の善良な無知が中国の野望の助けになっている。憲法9条を守ろとしている人たちは客観的に見て中国の国益のために動いている。朝日新聞は日本を辱め貶める中国のスポークスマンであると断定。中国はいづれ尖閣を奪取し、その後は沖縄、そして九州へと進出し、やがて日本は中国に侵略されチベットやモンゴルのようになる。日本を守ろうとすれば戦争になる。戦争はやってはいけないから守ること自体を放棄するか。中国は50年計画で日本を取る戦略だ。個別的、集団的自衛権を早く実行に移せる態勢を整備しなくちゃ。

『鮨 そのほか』 阿川弘之著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月20日読了
寸評:著者の文筆生活を締めくくる最後の一冊。人間の人間らしさを描き出すのが文学の使命、ユーモアを作品の味付け剤程度に考えてはならないこととし、詩情と諧謔に満ちた短編小説、馥郁たる日本語の粋を尽くした随筆類、また、吉行淳之介、遠藤周作を偲ぶ座談会は非常に面白く拝読した。昭和27年頃の文壇の新人は吉行淳之介を中心として第3の新人と呼ばれる。吉行を初めとして安岡章太郎、遠藤周作・・・そして阿川弘之等大半の文士が他界された。星霜移り人は去りである。

『愛国論』 田原総一郎、百田尚樹対談 ワニ文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年4月25日読了
寸評:「永遠の0」をめぐって、大東亜戦争とはなんだったのか、なぜ自虐史観が蔓延してしまったのか、韓国とどう付き合えばよいか、中国とどう対峙するべきか、朝日新聞は反日なのか、国をあいするとは、以上のテーマについて熱く語る。左翼のイメージの田原と右翼で保守論客のイメージの百田との話が噛み合うのか。非常に面白かった。

【4月26日過去の釣行記録】
・1997年西部石油桟橋、13:30~22:30、中潮、釣果=チヌ1
・2008年中電西側岸壁、06:15~14:45、中潮、釣果=カレイ1・アイナメ1
・2008年櫛ヶ浜旧港防波堤・華西岸壁、19:50~21:20、中潮、釣果=メバル3・アジ4
・2009年櫛ヶ浜新港防波堤、19:00~22:15、大潮、釣果=メバル29・アジ5
・2014年徳山築港、05:30~17:20、中潮、釣果=カレイ1

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦4月1日釣行記録】
・2000年05月04日、末武川河口、昼間、大潮、潮干狩り=アサリ大漁
・2000年05月04日、笠戸大城下、昼間、大潮、釣果=ボウズ
・2011年05月03日、洲鼻港防波堤、06:50~12:30、大潮、釣果=カレイ1・メゴチ1R
・2014年04月29日、櫛ヶ浜港防波堤、19:10~21:50、大潮、釣果=メバル12・セイゴ1

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千一夜第3章第23夜 最近の読書3

2017-03-08 11:35:43 | 読書

2017.03.08(水)

今日はMRI検査の予定日である。掛かり付けの病院に行き採血等を済ませ、16時から検査開始で1時間程度の予定。前回(2年前)も40分~1時間程度と言われていたが、検査だけで1時間30分程度掛かったと記憶している。11時からは絶食で、尿を溜めて行かなければならない。この5年間で3回目の検査だが、腰から背中にかけて火傷しそうなほど熱くなるのが適わない。今から憂鬱である。

最近読んだ本、記載するのは今回で3回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『ビートルズは眠らない』 松村雄策著 小学館文庫 評価☆☆☆☆ ’17年1月24日読了
寸評:久し振りのビートルズ本、グループ解散後の4人の足跡を追ったもので非常に懐かしく読んだ。ビートルズは偉大だと言って伝説の中に閉じ込めておくのは勿体無い。今でもリアルな存在として再度出現し輝いていた。私の蔵書にビートルズ関連書籍は50冊以上ある。20代に読んだものが殆どで既に40年近く経っている。何時か読み返してみたいが手元にあるとなかなか実現しない。それに雑誌や新聞のスクラップも山ほどあるがまだ未整理である。読了後、マーチンのギターを取り出して2時間ばかり独演した。フ、フ、フ、どうだ、まいったか。下がれ、下がれ。

『捨てられる銀行』 橋本卓典著 講談社現代新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年1月27日読了
寸評:金融庁による銀行の新しい検査の解説本。銀行に於ける金融庁検査は、ドラマ「半沢直樹」のように実際の現場ではこれに近い、或いはこれ以上の資産査定が繰り広げられてきた。検査は自己資本比率や不良債権比率で計る銀行の健全性に比重を置いていたが、2013年9月、森金融庁長官が個別資産査定を中止の英断。1999年に策定された金融検査マニュアルを廃止し、不良債権処理官庁からの脱却を宣言。今後は地方創生を主眼に人口減少という本質的な危機に備え「企業と経済の成長と資産形成」を検査の最大の目標とした。顧客企業の成長なくして銀行は生き残れない。事業性評価を通じた顧客企業の成長、事業再生を通じた利鞘の改善という好循環のビジネスモデルの構築に繋げることを重視した検査となる。金融庁検査の大改革でありこれに至る経緯や検査の手法等解説。

『雪煙チェイス』 東野圭吾著 実業之日本社文庫 評価☆☆☆☆ ’17年1月30日読了
寸評:殺人事件に巻き込まれた容疑者大学生が、法学部の友人と共にアリバイ証人を探し出すため、黒沢温泉スキー場へ行く。スキー同好会のメンバーに助けられながら、スキー場の監視員にも助けられながら、終盤では刑事にも助けられながらアリバイ証人謎の『女神』を探し出す。著者得意のどんでん返しサスペンス。

『御三家の反逆』 南原幹雄著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’17年2月3日読了
寸評:著者の「御三家」三部作掉尾を飾る力作。三代将軍家光と尾張藩の確執を中心に、尾張藩付家老成瀬が苦悩の末、御三家の反逆、謀反に至るまでを描く。謀反はほぼ成功するが、天皇及び皇太后(和宮)の仲介により、歴史上も一切記録に留めないことで和解する。徳川家三代将軍と叔父や従兄弟等の内紛を尾張藩側から描写する。秀作である。

『正義のセ』 阿川佐和子著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’17年2月6日読了
寸評:これまでは著者のエッセイや対談集を主に読んでいたので久し振りの小説だ。読み始めるとどうしても文章指導をする著者の父である亡き阿川弘之氏のことが頭に浮かんでくる。小説は新人女性検事の泣き笑い奮闘記である。等身大の成長物語になっているようだ。父親の恩師である志賀直哉の志賀の名前を取った登場人物が出るのも何だかほっとする。シリーズ化されている検事小説の第1弾である。

『ウイズ・ザ・ビートルズ』 松村雄策著 小学館文庫 評価☆☆☆☆ ’17年2月7日読了
寸評:『ビートルズは眠らない』を読了後、関連本を3冊予約注文した内の1冊。ビートルズがレコードデビューした1962年から解散した1970年までのアルバム発表順に、著者が愛と情熱を込めてリスペクトしていく。著者の私的体験を織り込んで自在に語るエッセイ集。一気読みした。

『切手をなめると、2㌔カロリー』 唐沢俊一監修 サンマーク文庫 評価☆☆ ’17年2月8日読了
寸評:TV『トリビアの泉』のスーパーバイザーを務めている編者、一生に一度は役立つかもしれない話題のタネ集。純粋に知って楽しい。

『国家戦略からみた靖国問題』 岡崎久彦著 PHP新書 評価☆☆☆☆ ’17年2月10日読了
寸評:2000年頃から日本国を辱め貶めている日本国内の反政府左翼勢力である『朝日新聞』の策謀が見事に功を奏し、日韓、日中の歴史問題を蒸し返す。これは三木内閣の頃からおかしくなった。大和民族は和を持って尊しとする民族だから我慢強い。しかし反日に燃える第三国とは距離を置いた方が望ましい。政治と経済を恫喝を交え一緒くたに論ずるような国とはだ。まずは経済面から徐々に撤退していこうではありませんか。そして日本の集団的自衛権は世界的に認められているのだから憲法改正を急ごう。

『苺畑の午前5時』 松村雄作著 小学館文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年2月10日読了
寸評:著者の自叙伝的青春小説。ビートルズというキーワードをもって普遍的に描かれている。芥川賞を受賞してもおかしく無い秀作である。一気読みした。久し振りにビートルズのレコードを聴きたくなった。

『想像ラジオ』 いとうせいこう著 河出書房新社 評価☆☆☆ ’17年2月14日読了
寸評:2013年芥川賞、三島賞候補作。ポスト3・11の文学。中有(この世にもあの世にもいない状態)イング中の荒唐無稽なシチュエーション。人の死についてどのように考えていけばよいのか、想像すれば死者の声が聞こえるはずだというストレートなメッセージ、これが文学の力か。'13年発行当時、頗る評判が高く、その内読もうと思って今になった。前評判程の感動も無かったが、年齢と共に感受性も衰えるのか。新人賞候補作だが幾分劣る。

『オール・マイ・ラヴィング』 岩瀬成子著 小学館文庫 評価☆☆☆☆ ’17年2月16日読了
寸評:著者は山口県出身で私と同郷である。私より5年先輩だが、著者が中学2年の時、私は小学3年生。この5年の差は大きい。私がビートルズに染まって行ったのが高1であるから、ビートルズも解散直後であった。解散後のメンバーのソロ活動は私と共にあったが、私はリアルタイムでのビートルズは知らないのだ。今ではDVDなどもあり何時でもビートルズの映像も観られるが、高1の時には学校を休んで岩国市までビートルズの映画を見に行ったものだ。

『モンスター』 百田尚樹著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年2月23日読了
寸評:バケモンと呼ばれたほどのブス、ただ醜く生まれただけで彼女は地獄のような日々を送る。短大を卒業した彼女は風俗で働きながら美容整形に金をつぎ込み、見違えるような美女へと変身する。そして故郷に帰りレストランを経営するが、美人の経営者として大評判となる。嘗て彼女を傷つけた男たちは犬のように舌を出しながら欲望を丸出しにして近付いてくる。そして彼女に腹を蹴られてキャンキャンと鳴いて退散する。ざまぁみろだ。これは最下層にいた人間が頂点に登りつめる女の出世物語である。

『スープ・オペラ』 阿川佐和子著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年3月1日読了
寸評:独身女性の家にひょんなことから放浪の老画家と年下の青年の3人が同居を始める。食事当番は必ず1日に1品スープを加えることなどの条項もあり、料理小説でもある。恋愛感情とか特別の感情が付随しない場合でも、あるいは関わった期間がどれほど長くても短くても、それには関係無く、人生にとってかけがえのないものになる奇跡と遭遇するのがこの物語。会話の展開で笑いを堪える箇所が何度もあった。久し振りに読み応えのある小説だった。

『秘密』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆ ’17年3月3日読了
寸評:バス転落事故で妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の身体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。この手の手法の本はこれまでに数冊読んだがそれぞれ趣が違う。この本を読んでいる時に2人の同僚女子社員が、これは映画やドラマになっていて私たちは観たと言っていた。私はドラマなどは観ても殆ど覚えていないので、読了しても観た記憶は無かった。読み進める内に大凡の筋は見えたと思ったが、流石著者である。最後のどんでん返しが待っていた。また『秘密』の本当の意味合いも違っていた。

【3月8日過去の釣行記録】
・1997年笠戸島周辺、06:30~12:00、船釣り、大潮、釣果=3人でメバル50
・2008年第2埠頭東側、06:15~18:15、大潮、釣果=カレイ8・キス3・カサゴ1・タコ1
・2014年徳山築港西側南端防波堤、06:30~15:30、小潮、釣果=カレイ1・ハゼ5・イイダコ1
・2015年今津川河口西側、07:00~15:40、大潮、釣果=36cmマコガレイ1(同行者=イシガレイ1・マコガレイ1)

【この日の釣り情報】
・2008年大島大和、18:30~22:00、大潮、釣果=メバル6
・2016年徳山築港、06:40~17:30、大潮、釣果=木っ端ガレイ5・キス1・ハゼ2・アイナメ1

【旧暦2月11日釣行記録】
・2005年03月20日、奈切大気暴露試験場前、09:00~15:00、若潮、釣果=メゴチ1・ナマコ1
・2009年03月07日、第2埠頭東側、15:15~16:30、若潮、釣果=カレイ3・ナマコ3

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千一夜第3章第14夜 最近の読書

2017-01-18 21:45:36 | 読書

2017.01.18(水)

最近読んだ本。記載するのは今回で2回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『民王』 池井戸潤著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’16年12月9日読了
寸評:政治を舞台に首相をはじめ野党党首など、薬によって親子が入れ替わる(ある意味テロ)というストーリー。(総理大臣の)子供が国会やサミットを何とかこなし、親(総理等政治家)は子供の世界を何とかこなしていく。嘗て映画で男女が入れ替わるものがあったが趣が違う。

『おんな領主 井伊直虎』 渡邊大門著 中径の文庫 評価☆☆☆ ’16年12月16日読了
寸評:’17年の大河ドラマの資料。戦国時代に男の名で家督を継いだ女性の物語。井伊家発展の礎を築いた井伊直虎に関して、歴史的資料の少ない中、客観事実に基づいて類推も含めて解説したもの。尚、現在では直虎は実在の男だったのではないかとの説がある。

『俺の遺言』 野坂昭如著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’16年12月21日読了
寸評:文学は如何に文章を削り表現できるかであると、文豪吉行淳之介氏が書いていたが、その吉行氏や三島由紀夫氏に認められた著者はやはり只者ではない。野坂氏独特の切れ切れの文体は最初は馴染み難いが、読み進めて行く内にその周辺知識を含めて物書きゆえの観察力や風刺力は凄いとしか言いようが無い。本著は週刊文春のコラム連載の中から55編を抜粋収録したものである。秀逸な本である。

『陸王』 池井戸潤著 集英社 評価☆☆☆☆☆ ’16年12月28日読了
寸評:足袋製造100年の老舗が生き残りをかけ、新規事業としてマラソンシューズの開発に挑む。中小企業にとってイノベーションを金融面から支えることが難しく、資金調達に大きな壁が立ちはだかる。世界的な大手スポーツ用品会社の圧力に屈しそうになるが・・・ブランド力も無く全く相手にされない中、長距離選手が使用してくれたために甦る。「結」はやや端折り過ぎの感あり。

『夜蜘蛛』 田中慎弥著 文藝春秋 評価☆☆☆ ’16年12月30日読了
寸評:戦争を体験した父が自らの人生の終焉に自殺を選択する。昭和天皇の葬儀の日、乃木大将のように殉死する。しかしその遺言は息子にとってはいたたまれないもの。明治生まれ男の純朴な精神の結果か、戦後世代には想像もつかない純粋な天皇観、国家観に従ったものか、若い頃自分の子供を中絶させたことも原因のひとつか、心身共に老いて行く父の決断があった。父を死なせてしまった罪悪感か、息子もまた自ら・・・。著者に宛てた手紙形式の作品。一気読みした。

『天才』 石原慎太郎著 幻冬舎 評価☆☆☆☆ ’17年1月5日読了
寸評:ロッキード裁判という日本の司法を歪めた虚構を知りつつそれに荷担した当時の三木首相やトライスターなどという事例よりも遥かに大きな事件の山だった対潜哨戒機P3C問題を無視して逆指揮権を発動し、それになびいた司法関係者こそが売国奴だった。アメリカの策略にまんまと嵌められ日本の最重要指導者が葬られた。当時なら田中角栄無罪である。

『モナ・リザの罠』 西岡文彦著 講談社現代新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年1月6日読了
寸評:製作者レオナルド・ダ・ヴィンチ。モナ・リザの正式名はラ・ジョコンダ。肖像画でも礼拝像でもない当時史上初の人物画。意味不明な美術批評が仕掛ける罠!モデルはなぜ謎になったか?アルプス以北、以南の融合による新感覚。風景画の無かった時代に四分割された異なった風景は彼以外誰も描いたことが無い世界だった。神秘の微笑みを解剖していく。秀作である。

『おんな城主井伊直虎と井伊直政の真実』 蓮見清一創刊 宝島社 評価☆☆☆ ’17年1月9日読了
寸評:’17年の大河ドラマの資料、解説書。

『御三家の犬たち』 南原幹雄著 徳間文庫 評価☆☆☆☆ ’17年1月13日読了
寸評:久し振りの時代物。徳川8代将軍の座をめぐり御三家存亡を賭けた闘いが始まった。御三家筆頭家老達の策謀や御三家に仕える隠密たちが暗躍する。700頁あるが3日で読破。

『強父論』 阿川佐和子著 文藝春秋 評価☆☆☆☆☆ ’17年1月16日読了
寸評:阿川弘之氏については吉行淳之介氏や北杜夫氏らのエッセイに何度も登場し、瞬間湯沸かし器と評されていたのを良く覚えている。瞬間湯沸かし器氏の本は両手までは読んでいないが、娘である著者佐和子氏の本は30冊程度読んでいる。親子関係については理不尽とも思える父親だが、決して口答えは許されない。現在ではこのような父親は存在しないのではないかと思われる、そんな父親の回顧録である。阿川家の先祖は長州で、我が家の4代前は萩からの養子。確証は無いが一説に先祖が繋がっているという・・・・。

『大放言』 百田尚樹著 新潮新書 評価☆☆☆☆☆ ’17年1月18日読了
寸評:普段私がやり過ごしている事柄も、作家故の鋭い観察力で世の不条理を暴いて行くのは面白い。各章には納得させられる持論が満載。日本国を辱め貶め悪意に満ちた偏向報道を第一義とする左向きの新聞社は言わずと知れているが、話の前後を無視して一文のみをクローズアップして好き放題書くのは何も新聞社に限ったことでは無い。何故公正で真っ当な報道が出来ないのかなあと改めて実感した次第。著者の言動は国会でも大炎上しているが、今やオフレコも無く記者の前では冗談も言えない風潮になっている。新聞の質も記者の質も落ち嘆かわしい限りである。

 【1月18日過去の釣行記録】
・2015年徳山築港、06:30~15:20、中潮、釣果=32cmアイナメ・キス1・ハゼ5

【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません。

【旧暦12月21日釣行記録】
・2004年01月12日、新日鉄波止場、05:30~09:00、中潮、釣果=アナゴ1・キス1・ハゼ1・マダコ1
・2007年02月08日、中電西側岸壁、07:30~08:15、中潮、釣果=カレイ1
・2011年01月14日、徳山築港、08:30~13:30、中潮、釣果=カレイ1・アイナメ2・イイダコ5

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千一夜第3章第6夜 読書の秋

2016-12-07 23:32:15 | 読書

2016.12.7(水)

休日は孫の子守、釣行、ギターセッション、プール通い、メダカの世話、読書と何かと忙しいが、読書は短期集中型で2~3ヶ月程度の間に集中して読む。今年の秋の読書シーズンでは下記の通り10、11月で13冊読了した。昨年は9月から20冊程度読了しており今年は少し少ない。

読んだ本を記載するのは初めてであり、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。

『美しい星』 三島由紀夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ 7日で読了
寸評:再読(40年くらい前に初読)。昭和37年に上梓したようだが、この時代にUFO、宇宙人、水爆を関連付けて、しかも純文学に仕立てるなんて凄いとしか言いようが無い。但し難しい語句が多く、簡易な辞書には載っていなくて分厚い辞書を脇に置いて読破した。難解難読で読み応えはあったが少々疲れた。

『初めてのルーブル』 中野京子著 集英社 評価☆☆☆☆☆ 3日で読了
寸評:この本はお勧め本、絵画の解説も史実に則り歴史観も凄い。高校生の時、世界史を専攻していたこともあり非常に面白く読んだ。

『海賊とよばれた男(上)・(下)』 百田尚樹著 講談社 評価☆☆☆☆☆ 6日で読了
寸評:この本は立志伝なので面白くない訳が無い。出光佐三氏の物語であるが、地元に出光興産のコンビナート群もあるので余計に親しんだ。

『女のいない男たち』 村上春樹著 文春文庫 評価☆☆☆ 3日で読了
寸評:短編集だったが、著者は2週間に1編のペースで書き上げるというのがちょっと気に食わない。面白いものと面白くないものが混在。

『炎の経営者』 高杉良著 文春文庫 評価☆☆☆☆ 3日で読了
寸評:この本も立志伝のようなもので高杉作品からすればちょっと異色。日本触媒化学工業の創業者八谷泰造氏の物語である。高杉良と池井戸潤の本に外れは無い。

『眠れないほど面白い『古事記』』 由良弥生著 三笠書房 評価☆☆☆ 眠る前にベッドの中で読む
寸評:古事記物は二桁以上の本を読んでいるので、これといって目新しい記述は無かった。

『雑談力』 百田尚樹著 PHP新書 評価☆☆☆☆ 3日で読了
寸評:雑談力を付けるにはやはり雑学を身に付けなければ駄目。自分が面白いと思う物は他人も面白いものだ。その内容よりも話し方の方が重要であることを実感。

『庶務行員 多加賀主水が許さない』 江上剛著 祥伝社文庫 評価☆☆☆ 2日で読了
寸評:特命を受けた銀行員の極秘調査物だが少々リアリティーに欠ける。但し痛快物であり娯楽的には楽しい。

『スクラップ・アンド・ビルド』 羽田圭介著 文藝春秋 評価 読了するのに足掛け15ヶ月要した
寸評:面白く無く、文字を追っただけ。

『鉄の骨』 池井戸潤著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ 3日で読了
寸評:談合という社会的なテーマを実に鮮やかに一気読み必至のエンターテーメントの中に溶かし込んでいる。

『疾風ロンド』 東野圭吾著 実業之日本社文庫 評価☆☆☆☆☆ 3日で読了
寸評:ミステリー、サスペンスの天才だな。大どんでん返しの連続、本当に最後の1ページまで予断を許さない。

『井伊一族』 相川司著 中公文庫 評価☆☆☆☆ 7日で読了
寸評:来年の大河ドラマの文献 井伊氏千年の系譜は藤原鎌足まで遡る。徳川家臣団では井伊家は外様であるが藤原南家の家系で同族も多く、戦略的観点からも、また家系から親王も輩出しており、名門(貴種)好きの家康や他譜代に認められ徳川四天王として家康家臣団筆頭となる。系図を確認しながら読み進めるため読了に時間が掛かった。

『民王』 池井戸潤著 文春文庫 評価
寸評:読書中

【12月7日過去の釣行記録】
・2013年八島沖、06:30~13:30、中潮、船釣り、釣果=ハマチボウズ

【この日の釣り情報】
・1993年新日鉄波止場、03:00~17:00、中潮、釣果=アイナメ1・キス1・アナゴ12
・2005年大島居守海岸、夜釣り、中潮、釣果=22cmメバル2

【旧暦11月9日釣行記録】
・2005年12月10日、庄の浦港防波堤、16:40~19:30、小潮、釣果=カレイ1・メバル2・キス3・アナゴ3
・2005年12月10日、大島居守海岸、20:00~22:30、小潮、釣果=メバル4
・2008年12月06日、徳山築港魚市場前、06:45~10:30、小潮、釣果=ハゼ5
・2008年12月06日、那智埠頭、19:30~23:00、小潮、釣果=メバル12・サバ1・アジ3・タナゴ1

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