2018.1.26(金)
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ここ数日、大寒気団により滅多に降らない雪が連日吹雪き、寒さが身に堪える。
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自宅前の道路にもうっすらと雪が積もる。年に1度程度の積雪だが、車は大渋滞となる。
しかしこの寒いのに釣友Sは有休を取り、木曜日の夜から高知県の島に釣行に出掛けた。大学の同級生と年2回の定例釣行とのことだが、普通の人ならキャンセル必至だ。Sからのメールによると凍死寸前とのこと。私は炬燵で丸くなっている。
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金曜日の昼は同僚と岩田の『森のぞうすいやさん』に行き、熱い雑炊を食べた。
最近読んだ本。記載するのは今回で9回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。
『虚像の道化師』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年12月10日読了
寸評:警視庁の刑事草薙と同級生で大学教授の物理学者湯川が難事件を解明、解決していくミステリー短編集。7編の短編が収録されているが単純に面白い。
『日の名残り』 カズオ・イシグロ著 ハヤカワepi文庫 評価☆☆☆☆☆ ’17年12月12日読了
寸評:'17年ノーベル賞作家、1989年に本書でその年に出版された最も優れた長編小説に与えられるブッカー賞を受賞。イギリスで最高の権威ある文学賞である。物語はイギリスの上流階級の屋敷の執事の物語である。品格ある執事の道を追及し続けてきた主人公は短い旅に出る。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。過ぎ去りし思い出は輝きを増して胸の中で生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描く大河ドラマである。読みながら嘗てTV放映されたイギリスの大河ドラマ「ダウントン・アビー」がしばしば被ってきた。家人は嘗てこの「日の名残り」のTVドラマを観たことがあると言っていた。
『幕末』 司馬遼太郎著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’17年12月18日読了
寸評:幕末動乱期の暗殺者を主人公にした12篇の短篇群である。歴史はときに血を欲した。好ましくないが暗殺者もその兇手に斃れた死骸も、ともに我々の歴史的遺産であると著者はいう。但し、暗殺者というものが歴史に寄与したかというと、桜田門外の変を除き皆無であるともいう。幕末、志士として非命に斃れた者は、昭和8年「殉難録稿」として宮内省が編纂収録した者だけで2,480余人にのぼる。その主な者は大正期に贈位され、全ては靖国神社に合祀された。幕末の暗殺は政治現象であり、主人公はあくまで政治思想で動き、政治情勢と思想に重点を置き書かれている。しかしながら、歴史的には維新政府は薩長同盟の時から攘夷を捨てている。攘夷は倒幕のための口実に変質していたのだ。著者は暗殺だけは嫌いだと言い続けたようだが、出版社の要望か、1年掛けて書いたという。
『世界の神々がよくわかる本』 造事務所著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年12月20日読了
寸評:ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、インド神話、メソポタミア神話、エジプト神話、クトゥルー神話の主な神々の他、アフリカ、アメリカ、マヤ・アステカの神々等が130柱程度紹介されている。西欧の神話は星座に纏わるものが多く、日本のイザナミ、イザナキに相当するものがゼウスとその多くの妻たちであろう。他では太陽神や月の神、動物神が特に多く、日本の神話同様、邪神等との争いの物語が多い。この本には関係ないが、一説には高天原の神々が世界中に派遣されその国々の神になったという説もある。従って、神々の伝説は何処の国でも似たようなものになったというのだ。またケルト人が日本人の先祖という説もあり中々面白い。
『だまされ上手が生き残る 入門!進化心理学』 石川幹人著 光文社新書 評価☆☆☆ ’17年12月25日読了
寸評:諸般の事情というやつで、本書は読了するのに丸2年要した。進化心理学の基本原理の解説書、所謂入門書である。著者は大学教授だが生徒も完全に理解する者は少ないらしい。大学の教科書は小難しいが、本書はこれでもかなり掘り下げて書いてあるらしい。私にはこじつけや屁理屈に思える事象が、学問になるとこれまた面白くなるから不思議だ。生物進化論の原理を基にして、最上の脳科学の知見も踏まえながら人間心理を探求する分野が進化心理学であると。人間の心の中では様々な機能の単位(モジュール)があり連携して働く。この考え方は心のモジュール性と呼ばれ進化心理学の土台となる理論。狩猟や子供の教育に例えて説明されるが難解である。最初はこの本で言うところの結晶知能によって放り出そうかと思ったが、読み進めていくうちに引き込まれていく。しかし感覚的なことを学問として形態づけるから難しいのだ。私が学生なら恐らく単位は落としているだろう。まあ、要はだまされ上手が生き残ったということだ。
『天使と悪魔がよくわかる本』 造事務所著 PHP文庫 評価☆☆☆ ’17年12月27日読了
寸評:本書は天使篇、悪魔篇でそれぞれ東西世界に於いて各50人程度、聖人と魔導士編で16人、その他エピソード編を含め220名余りの天使と悪魔を紹介している。一般に天使は白い翼をイメージするが、これは宗教画家がギリシャ古代彫刻をヒントに付与したイメージである。古代ペルシャやインドの天使の翼は虹の羽毛を持つ。翼を持った天使は古代エジプト神話の半鳥半人の女神が、ユダヤ教系列(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の天使の原形とされる。天使とは神や仏そのものではなく神の使いである。悪魔とは欧米でも支配的な信仰となっているキリスト教やユダヤ教で悪魔とされている存在のこと。悪魔の特徴は明確に善と対立するもの。悪魔の二元論の発祥はゾロアスター教であり、その出自は大きく分けて2つ。1つはかつて天使として神の下で善のために働いていた者が、神に反逆し悪を信奉する堕天使となったもの。もう1つはユダヤ=キリスト教以外の別の宗教神がキリスト教により悪魔とされたものである。悪魔の姿は動物の体や頭であることが多く、頭や手足など複数あるものが多い。人間の姿に変身することも自在である。
『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』 竹田恒泰著 PHP新書 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月16日読了
寸評:昨年末から重い本に挑戦。本書は帝国憲法を丹念に読み解き、日本国憲法との比較を行いながら日本の在り方や天皇の役割を、定説を根底から覆そうと試みた論文である。小林節慶応大学名誉教授が全国民の書であると絶賛している。が、読まなくても実生活には殆ど影響は無い。日本国憲法成立の法理は三つの学説に収束されるという。「八月革命説」と「改正憲法説」、「憲法無効論」である。現在では「八月革命説」が日本国憲法成立過程の矛盾を説明する論理として圧倒的な支持を得ているが、本書ではその論理を完膚無きまでに打ち破っている。完璧に定説は覆ったと言える。ポツダム宣言の要求、天皇の人間宣言の間違った解釈、輔弼(ほひつ)の法的性質、主権の考え方等々も含め天皇という存在から議論してゆく。日本人必読の書とみた。
『はれ予報特大号1-2』 ㈱しんきんカード著 ㈱しんきんカード 評価☆☆☆☆ ’18年1月17日読了
寸評:副題が「神話の世界を旅する」である。月刊誌であるが毎月貰って読んでいる。特に新年号は神話の世界がテーマになっていたので読んだ。特に目新しいものは無かったが、記紀が大好きな私であるから東漸の理といったところか。
『男の作法』 池波正太郎著 新潮文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年1月18日読了
寸評:この本はもっと若い頃に読みたかったと思う。20代~30代頃読むのが丁度良い。読むと得をする本である。鮨や蕎麦、天婦羅や鰻の食べ方から始まって、ビールの飲み方、いつの間にか話は服装や赤ん坊、母親、香典、日記、浮気、健康の話題に移っていく。それらは非常に有益であり楽しいのである。ダンディーとは、知ったかぶり、通ぶることを避けることだと痛感する。
『プリズム』 百田尚樹著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’18年1月26日読了
寸評:本書は悲恋の物語である。現実的では無いが、解離性同一性障害の患者、つまり多重人格者とその中の一人に恋をしてしまった女の物語である。解離性同一性障害の治療の最終段階では人格統合(平均的には10人程度の多重人格を持つらしい)ということになるが、人は皆、無意識の自分を持っていてこれが表に出ることはない。統合された人格たちはそうした無意識(エス)の世界の中に入ってしまうのか、性格は混ざってしまうのか、或いは深層心理の中に埋没するのか。つまりこの物語は最初から悲恋に終わると解っている。多重人格のその内の一人だけと恋愛することは可能であっても人格統合されれば消えてしまう。絶望的な恋愛である。肉体関係にあってもその行為中に他の人格にすり替わることだってある。すなわち病理そのものであり心の病が生み出した幻影との恋である。
多重人格者の大多数は幼児期に幽体離脱を経験しているという。虐待されている時に自分の魂が肉体から抜け出て、別の人格が本人に成り代わって虐待を受ける。その人格は本人を守るために生み出された人格である。このことにより、悲しみを司る人格や怒りを表す人格など様々な人格が生み出されるようだ。反動形成やペルソナなどは人間は使い分けることができるが、これは多重人格とは違うものだ。
この本を読んでいてまず思い出すのは1970年代の連続婦女暴行と強盗事件のビリー・ミリガンの事件だ。裁判の過程で24人の多重人格者であることが明らかになり衝撃を呼んだ。この事件は多重人格が認められ無罪になったが、現在では多重人格と認められても、おしなべて有罪に傾きつつあるらしい。
【1月26日過去の釣行記録】
・2008年第2埠頭東側、07:00~16:00、中潮、釣果=カレイ4
【この日の釣り情報】
・この日の釣り情報はありません
【旧暦12月10日釣行記録】
・2010年1月24日、櫛ヶ浜港旧防波堤、17:50~20:15、長潮、釣果=小メバル2・小ガレイ1、全リリース
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