ビストロ レアール

石川県小松市にある「ビストロ レアール」のシェフがつづるあんなことこんなこと

思い出の注文書 bon de commande

2006年06月12日 | シェフのコラム





フランス語では
良い いい とかで使われるbon

ボン ド コマンデと言うと 注文伝票のこと

初めて厨房に入ったときにはフランス語が聞き取れず

「オーダーが入ったんだな何んて言ってるか分からない」と

そして伝票のさしているところまで行って仕事をしたものです



これがまたなんと読めない分からない

アルファベットの筆記体は一度

紙の上に鉛筆なりボールペンを当てたら

一筆書きなのでグチャグチャフニャフニャ

かろうじて書き始めの

一文字だけ解る かな~~

たぶんNかな~Mかな~この長さはなんとかだろうなー

とか

ひたすら感にたよるしかなかったのですが

慣れとは恐ろしいものでグニャグニャ の筆記体のフランス語も

読めるようになるのです

ここにアップした一枚目の写真読めますか

パティシェの伝票です

38番テーブル

スフレが一つ

チョコレートのグラス(アイスクリーム)が一つ

スフレとグラスの盛り合わせが一つ

この伝票はフランスを代表するロッカージョニーアリデーのテーブルの伝票

ジョニーアリデーは日本で言うところの矢沢 永吉 

永ちゃんと言ったところでしょうか

外見はエルビスプレスリーとシベリアンハスキーをたして二で割った感じ

元 ディスコの女王 シルヴィーヴァルタンの旦那さん


”ダンス ダンス ディスコクイ~~~ン”と言う歌詞に

私もフィーバーして体を揺らしたものです 

あ~~~~

そんな事どうでもよかったですね

そして二枚目は私ですじゃなくって

二枚目の伝票は

私の師 ミッシェル トラマがサントロペに

来たときにアプリコットのローストと

チョコレート スフレとオレンジを

この時初めて オヤジ(敬意を込めて)にご対面~~ん

熊のような巨体と言っても私の身長も186.5センチ体重73キロ

オヤジは90キロ位でしょうか

この時 怖そー 働くのやめようかなーと思ったほど

しかしネームバリューに弱い私

いいやチャレンジ精神旺盛な私?はけっきょく

トラの穴に!

そしてそのトラの穴に待っていたものは

なななんと

ムニュ デセール

ようするに デザートコース

おつまみからデザート?まで

全てデザート

何 書いてんだ私は

デザートつくしのコースですそれも

ご丁寧に7人

オヤジのレストランは二つ星ですが

業界ではデザートは三つ星と評判でした

またこれが手間がかかるは

なんともつらいトラの穴の修行でした



このレシピは

ノルマンディーでティリーに書いてもらったもの

そして

こちらは




私のなぶり書き

厨房で書き込んだのでいい加減に書いておりますが

ちゃんと違うノートに清書してあります

このノートをフランクが見て

フランクの両親や友達 親戚 知り合い 何処へ行っても

マサなんか書いてくれ

”見てよ 綺麗な字だろー”と書かされました


フランス語は

言葉を理解するにも

書くにも

読むにも

慣れるには簡単にいきませんでした