YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

タペット調整で発覚!

2016年06月06日 | YBR125整備

GWの大メンテナンス大会で1箇所だけ確認をしてなかった所がある。
バルブクリアランス、つまりタペット調整をしていなかったのだ。
思い出すと最後に行ったのが約2年前くらいで、走行距離だと3万キロくらいだったかな?
日曜日は午前中が雨で作業できず、午後3時頃にやっと路面が乾いたので調整してみた。

とりあえずサービスマニュアルで正式な方法を再確認。

翻訳してみた。
うちのYBR号は元々クランクを回すための穴(サービスホール)があるので、自作コイン
ドライバーでクランクホールとタイミングホールの蓋を開けた。

スパークプラグをいったん外して無圧縮にし、早速タイミングホールを覗き込みながら
クランクを反時計方向に回してIマークを探す。

左の点火時期マークを過ぎたあたりに単独で印があり、ここがピストンの上死点に相当する。
マグネットローターの磁力の影響でなかなか印に固定できないから、この作業は大嫌い。w

普段はローターのIマークだけで調整してるんだけど、今回は初めてサービスマニュアル
に従ってカムスプロケットの合マークも確認してみたよ。

あれ?なぜかズレてる。w
何度も回して確認してみたけど結果は同じ。
逆に時計回りで回してみても結果は同じだった。

一応、合いマークを合わせてみた。

これがカムシャフトの上死点位置(のはず)。

それではローター側を見てみよう・・・

あれれ? なぜか点火時期の範囲内に戻ってしまった。
カムチェーンの張り具合も確認するが、カムチェーンテンショナーが効いて振れもしない。
試しに逆回転(時計回り)やカムスプロケットボルトで回す方法もやってみたけれど、
結果は同じ位置だった。


おかしいなぁ・・・
GWのカムシャフト確認時には、わざわざ印を付けてカムチェーンの架け間違いが起きない
ようにしたのに、なんでズレてるの?

カムチェーンもバンジーコードで常時張っていたから、ローター側がズレる事は無かった。

プラグホールを覗き込むと、ちゃんとピストンは上死点付近まで上がっている。

とりあえず工場出荷状態であると仮定して、このまま作業を続行する事にしたよ。

吸排気のタペット隙間を測定すると、少し広がっていた。

吸気:基準値 0.08~0.12mm 結果 0.13mm
排気:基準値 0.10~0.14mm 結果 0.14mm

約3~4万キロ走行時でこのくらいしか広がっていなかった。

念の為にタペットアジャスタースクリューの当たり面を確認しておこう。

正常な擦れ跡が付いていた。
タペット隙間を吸気:0.10mm、排気:0.12mmに調整しておく。
ここで先ほどの合いマークのズレの影響を確認してみたけど、調整値に狂いは生じなかった。

さらにどのくらい位置がズレると影響するか、確認してみると・・・
排気側はここまでズレても影響無し。

すごくズレてるのにタペット隙間は同じ。

吸気側はこの位置まで平気。

排気側より少し狭い範囲になった。(いいかげん新しいシックネスゲージを買おう・・・)

実は、これには理由があるのだ。
カムシャフトのカムプロファイル(形状)には吸・排気それぞれのカムの作用範囲以外に、
真円となるベースサークルって領域があり、ここが圧縮上死点の前後にあるわけ。

つまり、合いマークが少しズレただけではタペット隙間の調整値は変わる事が無いのだ。
影響するとすれば、カムスプロケットとマグネットローターの位置関係がズレた場合、
最適な点火時期がズレてしまうくらいである。
ズレる原因は「カムチェーンの伸び」「カムチェーンテンショナーのヘタリ・故障」
「カムスプロケットの摩耗」「カムチェーンの架け位置間違い」「製造精度が極端に悪い」
くらいだろう。

納車から今までの長い年月運用して特に異常な事は起きて居なかったから、調整後に
すべてを元に戻してエンジン始動した。
問題なく始動し、異音もなく、吹け上がりもいつもの感じだった。
タペット隙間を調整した結果、ほんの少しだけカチカチ音は減った気がする。
結局、昨日は試走60m(kmではない)だけして、そのまま日が暮れた。

さて、今日は午後一に歯医者さんへ行ったので、余った時間を使って気になった事を
確認してみたよ。
昨夜、サービスマニュアルの「組み立て」の項目を確認してみたら・・・

やっぱりマグネットローターの合いマークとカムスプロケットの合いマークは一致させる
ようにカムチェーンのスプロケット位置を決めろと指示している。

まさか、新車製造段階でエンジン下請け工場で担当者がヘマをしたのか?
いくらヤマハとは言え、中国生産である。
可能性があるかぎり、確認せねばならない。w

昨日のズレ分をよく観察すると「ひと山」のズレだったので、急いでチェーン位置を
掛け変えてから、カムチェーンテンショナーも組んで張りを確保する。
ローターを何度も回してバルブとピストンの干渉が起きないかチェックする。
大丈夫だ、問題ない。
さっそくエンジン始動・・・普通にかかった。
アクセルをフリッピングすると変化が確認できた。

今まで以上に吹け上がりが早い!
緩慢に動くタコメーターが少し機敏に反応するくらいの変化が起きたよ。
9千回転まで抑えて吹かしても異音も起きない。

早速走りだしてみるとビックリ!
まるでノーマルキャブからビッグキャブに載せ替えたくらいの変化で加速し、パワーも
増した感じ。
小一時間試走に出かけた結果、上り坂でのギアダウン率は減り、加速も忙しくシフト
アップを強いられるまで良く吹け上がる。

今日までの加速やトルク・パワーはいったい何だったんだ?
新車の時からカムチェーンがひと山ズレていたんじゃねーか!w

さすが中国製造、でっかいネタが隠れてたもんだ。

さて、カムチェーンがひと山ズレたところでエンジンってけっこう平気で動いてしまうって
話を、ホンダの横型エンジンをいじり慣れてる人がブログで書いていたのを思い出す。
正常の状態からズレると変化は感じ取りやすいが、最初からズレてる場合はなかなか
感じとれず、そんな物かと思ってしまうわけで、うちのYBRに関してはまさにこれだ。
中国製横型エンジンに特に多いらしく、買ったら即全バラシ確認が当たり前との事だ。w

今回まじめにサービスマニュアルに従って上下二箇所の確認をして本当に良かったよ。

さて、2013年式以降の無印YBRやYB125SP、YX125の場合はどうするか?

クランクホールが省略されてるのでタイミングホールしかない。
回すためにはオイルを抜いてローターカバーを外すんだろうけど、この型式のサービス
マニュアルを閲覧できないので、指定作業方法がわからない。
ただし、セオリーを無視した「手軽な方法」だとカムスプロケットボルトを回して合いマーク
をカムスプロケット、タイミングホールの両方で確認すればOKだと思う。
実際昨日は回転方向、回す場所、それぞれの結果、ズレの確認をやったけど、結果は
すべて同じだった。
カムスプロケットボルトの締め付けトルクは20Nmだから、プラグを付けた圧縮抵抗での
逆回転でも緩む気配はまったく無かったよ。
隙間調整で合いマークがローターの磁力で合わせにくいなら、Iマーク直前のぎりぎり
止まる位置でもかまわない。
ベースサークル域だから問題無いのだ。
どうしても心配なら、オイル抜いてFスプロケカバーとローターカバーを外して作業すれば良い。

タペット調整とカムチェーン位置正常化で、さらに元気になった我がYBR号である。



4 コメント

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バルブクリアランス (ぐろさん)
2016-06-07 13:25:52
ウチのトリッカーも既に60,000km近いところまで来ていますが、ぼちぼちバルブクリアランスの測定をしても良い頃合いかも知れませんねぇ。
セロー250系エンジンのタペット調整のブログはあちこちあって読んでみたところ、20,000kmや40,000km程度では調整の必要は無いみたいですが。
タペット音が目立つようでなければ、特に調整する必要は感じないんですけど、どのくらいのクリアランスになってるか興味はあるんですよね。
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確認だけ (雷太)
2016-06-07 19:44:42
左近のセロー250エンジンって詳しくないのですが、さすがに6万キロだとそろそろ確認くらいはしたほうが
良いでしょうね。
あまり引き延ばすとアジャストスクリューの打面が偏摩耗して、要交換になるかもしれません。
スクリュー自体は安いので買い置きしておいて、確認調整ついでに交換しておくと気分的にもリセット。
事後報告を楽しみにしてます。
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タイミングマークに付いて (SR125)
2020-01-31 11:07:12
はじめまして、最近SR125後期型の中古を購入して登録前のメンテナンスをしています、19000Km走行の車輛なので一通り現状確認と調整を行っていたのでですがバルブクリアランスの調整段階で同じ場面にぶち当たりました、SR125もタイミングチェーンの半駒ずれてました、私もナゼ?と思いましたが雷太さんのブログを呼んでいて12.5PS仕様と10PS仕様の差?等と思ったりしました、パーツリストで違いを探ってみたいと思います、これからもブログ拝見させて頂きますね!
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伸びの可能性 (雷太)
2020-01-31 20:28:44
SR125前期は試乗した事がありますけど、中低速トルクが太くて街乗りが快適な印象でした。
ところで半コマとなるとチェーンの伸びの可能性もあります。
また、わざと半コマずれる様に生産すれば整備書などの再現性を考えると問題になるため、
馬力差は別の箇所で行っていると思います。
チェーンの伸びの可能性が高いと思います。
手間はかかりますが交換してみると良いでしょう。
そのままでも異音や違和感が起きないなら大丈夫かと思いますが気持ち悪いですね。w

台数の少ないSR125ですから大切のお乗りください。
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