WIND BENEATH MY WINGS

震災後、私たちの暮らしの「あるべき姿」を考え中。持続可能で幸せな暮らしを一緒に考えていきませんか?

復職

2011-06-01 11:31:08 | 嬉しい!楽しい!面白い!ワクワク!
ちょっと思うところあり、
過去に「復職」に関して
自分が書いた文章を数件掘り起こしてみました。

こちらは2008年に書いたものです。

これはメディカルケア虎ノ門の五十嵐先生とのことを
書いたものですが、
復職のときのことが細かくかいてあるので
参考になるかも。

*****

私が復職支援には定評のある
同クリニックの評判をききつけ、
勇気を出してメールを送ったのは、
今年の春のことだ。

今の元気な姿からの想像もできないかもしれないが、
私の病歴は長く、症状も複雑だ。

最後に症状が悪化したのは、2006年8月末。

ほとんど何もできないボロボロ状態のところに
今の夫が救出にきて今に至る。
(この話は長くなるので割愛)

その後、妊娠し、長く休職し
そのまま産休に入っていた。

病歴、症状を詳しく書いた上で、
それでもどうしても2007年10月に
復職を目指したい旨を書いた。

すると、
五十嵐先生ご本人から直接丁寧な
お返事をいただいた。

病歴も症状も複雑なので、
やってみないとわからないが、
受け入れてくださるとのこと。

私の心はこれで決まり、
出産後の1ヶ月検診が終わってから、
産科とともに受診していた順天堂医院から、
メディカルケア虎ノ門に転院し、
復職にむけての治療とリハビリを始めた。

一応10月復帰で会社に希望は出していたものの、
当時は、全く先の予測のつかない状態だった。

五十嵐先生にはじめてお会いしたのは、
7月のこと。
なんとなく予想はしていたが、
怖そうな人だった。

そして、テキパキと投薬内容を決定し、
治療計画をやはりテキパキと説明し、
そしてはっきりと、

「無理だったら復職は許可しませんから」

とおっしゃった。

皆さんも経験があると思うが、
こういう怖くてテキパキした人は、
実は信頼できる人だということが多い。

言葉で飾られるよりも、
この人は本当に力を貸してくれる人だと
感じ取ることがある。
そんな感じだ。

「なんだかこの人頼りになりそう・・・」
と思いながら先生のリハビリ計画をメモし
帰路についた。

とりあえず、毎週通うことになり、
「まずは電車に乗る練習をしましょう」
と言われた。

ここでひとつ断っておくと、
パニック障害といえば、
「電車に乗れない」
と言われるくらい、
本の題名になってしまうくらい有名な
この症状(?)だが、

電車に乗れるパニック障害も患者さんも多い。

私自身、倒れる直前には、
普通に電車に乗り、
人混みに出て
普通に仕事をしていた。

しかし症状の急激な悪化により私は、
すべての人と連絡を絶つことになり、
家族以外とは一切接触できない
ようになっていた。
そこからのスタートだった。

****

外出や電車は以前にもリハビリをした経験があるので
2週間ほどで克服できた。
その後も徐々に強度を増やしていく。
「通勤で実際の乗る路線に乗りなさい」
「通勤で乗るラッシュ時に乗ってみなさい」
など、アドバイスは具体的。

そしてできるようになると、
脳トレがはじまった。
「苦手な分野の本を集中して読みなさい」
「新聞の難しそうな記事を読みなさい」
(この時点でリハビリのためにブログをはじめる)

「電車で図書館へ行って、数時間過ごしてみなさい」
というのもあった。

実際に仕事に行くことを想定しての
さまざまな課題が与えられ、
そのバーを徐々にあげていただいた。

そして気がつけば、
復職を数週間後に控え、
私は、
どこへでも、ひとりで行け、
誰とでも会って楽しく話が出来るようになり、
人混みも大丈夫になっていた。

リハビリのためにはじめたブログは、
すっかり趣味となってしまった。

普通、うつ病からの復職される方は、
会社のある、そこの駅に降り立つこと、
会社の門をくぐることにすら
抵抗がある人もいるという。

また復職しても、
すぐにまた状態が悪化して
休むことになる方もおられる。

そんな厳しい現実の中、
私はかなりの余裕をもって
復職の日をむかえることになった。

そして産業医や産業保健に携わる方々、
人事や上司などの暖かい理解により
復職し2ヶ月が順調に過ぎようとしている。

五十嵐先生は終始
淡々、粛々と支えて下さった。
不足の事態が起きても慌てず、
いつでも適切なアドバイスをくれた。

何度も繰り返すが、
五十嵐先生は決して愛想のいい人ではない。
むしろ無愛想だと思う。
そして人相もあまり良くない。

それなのにどうして私をはじめとする
患者はついていくのか?

まず、本当に必要なことを言ってくれること。

そして、知識の量も、ご経験も
豊富でありながら、
決してそこに安住していない人だと思う。

そして、私が属するメディアの人間や
組織の特質をよく理解している。

しかし先生が理解されているのは、
メディアだけではないのだろう。

官公庁、金融、メーカー等なさまざまな業種のことを
理解されているのだと思う。

そしてそれらを理解しているということは、
変遷する社会と企業のあり方を
常に勉強しているということだ。

そう、先生はプロなのだ。

今、日本に、企業のあり方まで含めて、
ビジネスマンのメンタルヘルスを考えられる方が
一体何人いるだろう?

おそらくそんなに多くはないと思う。

企業で多発するうつ病、
そして自殺者の増加を聞くにつけ、
先生のようなプロフェッショナルに
出会えた自分の幸せを感じ、
こうした周囲の努力を無駄にしないためにも、
元気になるべく頑張ろうと思う。