ぼちぼち日記

シニアの暮らし方や思い、猫たちのことなどをマイペースで記録しています。

「家族じまい」 著者:桜木紫乃

2021-03-09 20:40:03 | 
自分の娘たちとは関係の整理がついたという安堵感を脇に抱え、さて妹のほうはどうなんだろうと気にかかった。結局別れずにいた亭主とふたり、老い先短い暮らしもいいように見えたが、ひとりにはひとりの、ふたりにはふたりの、角度の違う問題があるだろう。お互いを捨て合うことの出来なかった夫婦は足並みの揃わない老いとどう付き合ってゆくのか

捨てられないと思いこんでいるだけで、家族とは案外あっさりと捨てられるものなのかもしれない。あるいはともに暮らしながらも心はそれぞれが遠い場所に置いて決して重ならない。そんな脆くて、不思議な家族が沢山あるのだろうな、と今更に思う。この本は、若い人ではなく中高年の人に読んでほしい。深い作品だ。
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