シリアのゴラン高原の石油ビジネスは英国が一国だけで石油利権を持つのか、ユダヤ系の金融資本家
の計らいによりイスラエルに現地での採掘利権の一端を委ねるのか、採掘に関しては現地国のリビア
が自国企業で賄う事でビジネスが成り立つのかの三つ巴の戦いだと思われた。
しかしそこにトンビがお揚げをさらうように米国も口を出してきた。この場合の米国の矛先は伝統的
に米国で石油ビジネスを手掛けるロックフェラー財団では無かった。つまりは伝統的な英米経済相互
関係を無視した行為が当然のように始まってしまった。 それが誰かは知っている人も多いはず。
シリア解放軍としてまたは自由軍として、中身はISILかスンニ派過激派集団なのか良く解らない武装
集団がバクダディに率いられシリアとイラクを削る様に武力紛争を起す。当初の目的はシリアの独裁
政治から市民を解放する正義軍のような触れ込みが広まったが事実は違った。市民を解放するどころ
か反米的なシリアとイラクの国民を困窮させる悪の組織だった。その手口は一般市民が生活する建物
やビルをテロ組織のアジトだと濡れ衣を着せて市民を巻き添えにし攻撃するものだった。情報化社会
が発達した現代においてはブッシュ大統領時代のイラク進攻時のような一応の信用さえも得られずに
自由シリア軍は国際社会の中で徐々にメッキが剥がれ信頼と評判を落した。
シリア国内でのサリン使用疑惑など“アラブの春”と呼ばれるイスラム諸国での民主化運動とは掛け
離れたものだった。
2014年6月ブラジルW杯が開催される中で米国を代表する石油屋のロックフェラー家の一員で、国境な
き医師団に参加していたリチャード・ロックフェラー氏が父親の誕生日を祝った後に自前の飛行機で
帰宅する途中に飛行機事故で死亡する。そして原油価格が大暴落を始めてその半年後の2015年1月には
米国の空爆によってバクダディは重傷を負い死亡したと一度目の死亡説が英国紙から流れた。
万事休すで米国はISILによる中東紛争から手を引くように思えた。原油価格は暴落し米国の石油利権は
目減りしロックフェラー財団は長年に渡り商ってきた化石燃料ビジネスから手を引いた。同時にロシア
のシェールガス・ビジネスも原油価格と相対的に大きく下落し痛み分けだった。しかし往生際悪くもIS
ILによる中東での活動は弱体化しながらも継続していた。ISILによる中東紛争は当初の目的とは大きく
変化してEU諸国へ飛び火するイスラム系の移民問題とテロイズムという別の新たな火種になった。
「アラブの春」としてイスラム諸国で民主化運動が活発化する所から始まったが、ベンガジの米国大使館
襲撃事件を切っ掛けにして中東情勢は米国による軍事工作活動の側面が強くなり、徐々にゴラン高原の石
油利権とは掛け離れて何時しかISILは中東の人々を傷つけるだけとなった時に米国に勝ち目など無くなっ
たと判断して撤退する事が出来なかった。石油利権に目が眩んで周りが見えなくなったある女性政治家の
蛮行の為に米国は本来あるべき石油ビジネスを営む米国ロックフェラー財団を失ってしまった。
一度目の米国の空爆によるバクダディ死亡情報の時にISIL作戦を中止に出来なかった米国の大きな失敗。
英国のガーディアン紙が米国に対して印籠を見せたはずなのだが・・・それでもシリアから石油利権を強
奪しようとした愚かな判断が、大きな傷を作ってしまった。恐らく今後米国は石油ビジネスで大きなチャン
スを掴んで成功する事は難しいだろう。何せロックフェラー財団がオイルマネービジネスを閉じる事は、石
油ビジネスのバックボーンを失うようなものだからだ。 ここ10年来のオイルビジネスは最悪だ。
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