☀ 朝日歌壇賞の4人 ☀
2014年の入選歌から、4人の選者が各1首を選んだ第31回朝日歌壇賞、受賞者には賞状と記念品が贈られる。実力と、幸運に恵まれたのは次の4人である。
♦ 荻原慎一郎 (小平市) 馬場あき子選
★ ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる
中学高校時代につらい体験をし、それを乗り越えるべく始めたのが短歌でした。あ
れから13年、三十路になっての授賞です。
<馬場評> 非正規雇用はこれからも増えるだろう。二人の牛丼の語らいに救われる。
♦ 中野麻保 (横浜市) 佐佐木幸綱選
★ 「平和賞」平和を祝う賞でなく平和を願う賞なのだなぁ
いつか、世界中の人々と平和を祝える時が来るのでしょうか。子どもたちを取り
巻く環境が少しでも良くなることを願います。
<佐佐木評> ノーベル平和賞を歌いつつ、平和に遠い世界の現在を浮かび上らせる
♦ 上田結香 (東京都) 高野公彦選
★ 泣き虫の留学生を覚えてる?テムズ川よ子供と来たよ
皆様に感謝します。テレビ朝日のアナウンサーだったこともあり、言葉を大切にと
心がけています。より精進いたします。
<高野選評> ロンドン再訪の喜びを歌っていて、人生の哀しみが漂う。味わい深い
♦ 根来伸之 (境市) 永田和宏選
★ 自らは侵略者だとは言わぬもの誰もが自衛と言って始める
大層喜んでいます。市井の争いも大戦も、自衛を口実に大事に至ります。日本は
戦後最も危ない状況だと思い、投稿しました。
<永田選評> 自衛や国益保護の名のもとに始める戦争。近い将来再びという不安が
朝日歌壇の入選歌は世相を反映したものが多い。今年の受賞者4人も選者の思いの伝わる歌、選者の共感があっての幸運ではないか。受賞者4人はこの欄の熱心な読者でもあろう。私はあまり読まず詠み、投稿し、ボツが続いてイヤになり、朝日歌壇を中退した。
中退の我にまぶしき歌壇かな 1月5日 松井多絵子