~ 冬の億男 ~
✿ バラたちは嘘がお上手 彼のあの成功談は冬バラの言葉 松井多絵子
いま全国の書店がいちばん売りたい本は川村元気の『億男』 すでに15万部突破、本屋大賞ノミネート、これは1月22日の新聞広告だ。15万部も売れたのか、あるいは15万部の本が印刷されたのか、著者の川村元気さんに聞きたい。昨年5月14日、私はブログで 「川村元気とはその名とミスマッチの優男だ。生まれたときひ弱な児だったので、元気になれとご両親が命名、あるいは、元気になりたいという願いの筆名か」 などと書いた。もし『億男』が本屋大賞にノミネートされているなら、今後の彼から目が離せない。
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」 突如、億万長者となった図書館司書の大冒険。お金のエンタテイメント小説 だそうだ。図書館司書とは地味で真面目な仕事だろう。それが億万長者になる不可思議、ボクでもワタシでもなれそうだと思わせる、定価1400円だから宝くじを何枚か買うようにこの本を買い、結局、川村元気だけが『億男』になるとしたら。
小説には多くの賞がある。どのようにして「賞」が決められるのか私たちはほとんど知らない。でも、書店員さんが「これはいい小説だ」「たくさんの人に読んで欲しい」と勧めている本だと知ると、読んでみたくなる。八百屋さんで「このホウレンソウ新鮮ですよ。今が食べどき」などと勧められると買ってしまう、身近な人の言葉は安心して受け入れられるのだ。
川村元気は30代。映画のプロデューサーらしい。広告には映画監督や俳優の言葉が。、
♦ 大泉洋 (俳優) これは子を持つ親にはたまらない物語だ。
♦ 岩井俊二 (映画監督) ポケットのなかにあるお金がとんでもない怪物に、、。
お金という怪物から逃れられない私たち、怪物がいないのはあの世だけかしら。
1月23日 松井多絵子