~ 自分への旅土産 ~
☁ さかしまに置き換えにわかに豹となる火山裾野に拾いし石塊 松井多絵子
或る調査によると旅の土産はかならず買う人が74%。誰に買うか ①家族 ②自分 ③職場
の人、④友人 ⑤近所の人 自分への旅土産とは意外だが、私も時々買ってしまう。安いアクセサリーはすぐに身に着けたり、その後の旅で使ったりする。買わないひと26%の理由は買いたいものがない。モノがあふれている今、旅での買い物は荷物になるだけだ。これ以上モノを増やしたくない。すっきりと暮らすには身の回りのモノを少なくしなければならない。
旅土産の1回当たりの金額は①3000円以内が45% ②5000円以内が24% その他は1000円前後だ。旅を楽しみたいのに、買い物に散財する気になれない人たちがいるのは当然だ。私は旅先の海辺で珍しい貝を拾ったり、火山の裾野で小石を拾って持ち帰り、居間の出窓などの鉢植えに添えたりする。見慣れた観葉植物が貝や石で変化する。サボテンに石を添えるとオブジェめいてくる。それを眺めながら珈琲を飲み、旅の思い出にひたる。噴火して流れたマグマが冷えて固まった石、その石をある日、なんとなくさかさまに置き換えてみた。すると石がまるで豹のようになり、わたしを睨みつける豹になった。また置き換えると豹は眠ってしまった。もう何年もサボテンの根元に眠った豹がいる。居間の出窓に。
1月29日 晴天。でも明日の東京は☃らしいです。 松井多絵子