・・・ 地球そぞろ歩き ④ ・・・
❤ われはいま黄色い鳩に運ばれて伊豆高原の赤沢卿へ 松井多絵子
近頃は天候不順で「そぞろ歩き」の計画が立てにくい。温泉なら雨でも2月の寒さになってもかまわない。「はとバス」の「赤沢温泉卿日帰りツアー」に申し込む。新宿を9時10分出発する。私ひとり、いや隣には寺山修司がいる。彼の文庫本「ポケットに名言を」と共に一人旅。この本のなかに彼の海についての言葉、著名人の名言も取り上げられている。
♦ 海、それは自分の心をありのままに映し出す鏡だ ハーマン・メルヴィル「白鯨」より
厚木を過ぎるとまだ咲いている桜が目につく。彼方には雪に覆われた富士山が浮きつ沈みつしている。新緑に囲まれた小田原城が見え海が広がる。私の好きな真鶴の海沿いにバスは走る。熱海を通り、伊東マリンタウンで下りて自由昼食。海鮮どんぶりを食べる。
赤沢温泉郷に着いたのは1時すぎ。さきほど食べた海鮮どんぶりは美味しかったがまだ胃を去らず、私はロビーから海を見下ろしていた。そして寺山修司の名言集をひらく。
♦ ・・・だが海だけは終わることがないだろう。終わりなき蒼茫!海死なず、ー「断片」
4階の露天風呂から海を見下ろし、見渡す。いまここに津波が押し寄せたら、などとおもうが 海は静かだ。鈍い青、眠そうな青、しかもこの高原は海抜100mはあるだろう。1時間ほどで温泉を出て又ロビーのソファーで、海原を見下ろしながら寺山修司の言葉を。
♦ 私のなかでLA mer -女性名詞の海が亡ぶとき、私ははじめて 人を愛することを
知るだろう。~どこへでもいいから遠くへ行きたい。遠くへ行けるのは、天才だけだ。
午後4時、黄色い「はと」に乗り赤沢温泉郷を出発。車窓の海はしだいに青を失ってゆく。
なめらかな伊東の海を傷つけて何処へゆくのか夕べの船は
4月17日 松井多絵子
※ 昨日の歩行は5741歩 3.1km 201kal、脂肪燃焼14g