・・・ 臆病な目と鬼の手 ・・・
あれから5年、楽しい5年はあっという間に過ぎる。しかし辛い5年はさぞ長い日々だったであろう。 1月21日の鷲田清一✿「折々のことば」が切実になる。今日は3月10日、
♥ 目は臆病 手は鬼 三陸地方に伝わることば
気仙沼のある魚問屋でのこと。大にぎわいの宴席のあと、下げた食器の山を見てため息をついていると、一家の母がこう言ったという。途方もない量の片付け仕事を前に怖じけているときも、とりあえず手を動かせば存外すんなり事はなる。震災後、すさまじい瓦礫の山を前にしてボランティアの人たちがこの言葉を立証した。「斉吉魚問屋便り」(2013年2月)
海の怒り 五首 松井多絵子
トラックも流れる家もわれの手が掴めそうなりテレビへ寄りゆく
十メートルの津波をおもう電柱の高さの津波の迫りて来るを
海近き二階の家のその屋根に乗り上げし船には人影あらぬ
海の怒りの鎮まりしのち親を子を瓦礫のなかに探すひとびと
はつ夏の高田松原あの昼の海はおっとりしていたけれど
☀朝刊 福島原発事故避難住民に共同調査 「帰れないと思う」 38%
今の気持ちは 「がんばろうと思う」と答えたひとは32%に減り 「怒りが収まらない」は前回の調査よりふえて18%である。
3月10日 松井多絵子