・・・ 男の語らい ・・・
3月になっても寒暖の差に悩まされる。昨日は真冬の寒さだった。でも新宿・紀伊国屋書店7階のトークイベントの会場は初夏。「ふたりの旬の男」の語らいに2時間も耳を傾けていたひとびと。若い女性が多かった。東京のさくらはそろそろ開花の時期になってきた。この時期に昨年末刊行した山田航の✿「桜前線開架宣言」、開花ではない。開架とは辞書によると、「図書館で、書棚を閲覧者に公開し、自分で書架から出して利用させること」 山田航は図書館の本を読みまくった時期があったと語っていた。
山田航は23歳から短歌を作り始め 角川短歌賞、現代短歌評論賞、現代歌人協会賞を受賞している。まだ30代のはじめだ。「あなたは短歌をしていなかったら何をしたか」と聞かれたときに山田航は「自殺していた」と答えたので、ボクは何も云えなくなってしまった。と苦笑しながら穂村弘は昨日語った。
短歌を30年やっているという穂村弘はクールに話す。ゆたかな語彙で自由自在に。山田航は思いつくままにボキボキ話す。ホームランを打つが三振も多いバッターみたいだ。その選手の監督のような穂村弘。クールに見える穂村弘も山田航に刺激されながら新しいことに挑戦しているのか。二人とも北海道出身、わたしは北海道の旅が好き。自然も食べ物も好き。昨日のトークイベントの山田航はじゃがいも、穂村弘はとうもろこし、のような感じだった。ゴメンナサイ。おふたりとも歌も論も私の大先輩なのに。
✿ ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は 穂村弘
✿ 靴紐を結ぶべく身を屈めればすべての場所がスタートライン 山田航
3月13日 松井多絵子