えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

尾を振らない、木下こう

2015-01-26 08:56:39 | 歌う

          ~ 尾をふらない、木下こう ~

 あれは8か月も前だ、5月25日のブログで「謎の歌人・木下こう」を書いたのは。先日の「未来新年会」で初めて木下さんにお会いした。「はんなり」という言葉を思わせる女性である。この1月31日に、大阪市中央区民センターで『体温と雨』の批評会がある。パネリストは吉川宏志、黒瀬珂瀾、大森静佳、司会は横井典子、ぜひ出席したいが、親戚に重く病む人がいて東京を離れられない。

   木下こう様

 昨日、久しぶりに『体温と雨』をゆっくり読みました。新緑の頃にブログで取り上げなかった魅力的な作品が沢山ありました。その中で特に好きなのは次の2首です。

❤ 寝台のかたへの棚の本の上に腕よりぬきし時計がありぬ

 つねに時刻を知らせる時計が傍らにあると安らげませんね。まして腕をくくる時計は。その時計を腕から外し棚の本の上に置い後は、開放的な気分になり貴女は詩歌の森を巡る。

❤ もうあまり尾をふらぬ犬こんなふうに老いてゆくことできるだろうか

 できますよ。私は齢とともに尾が短くなり、振りたくても振れなくなりまりしたもの。どうぞ安心して「オバアサン」になってください。あなたの「オバアサンの歌」を楽しめるように私はできるだけ長くこの世に居すわります。どうぞよろしく、ね。     1月26日   松井多絵子

        ※      ※      ※      ※      ※

    俳句情報 新刊句集

♦ 対馬康子第4句集 『竟鳴』(きょうめい) 角川学芸出版・本体2700円

           蛍川父待つ方へ母の旅

♦ 『CDブック 春や昔』 「千の風になって」の新井満が、故郷・松山を詠んだ正岡子規の俳    句にメロディーをつけた。新作3曲と朗読を収録。  (学校図書・本体1500円)


大学短歌バトル

2015-01-25 09:07:43 | 歌う

             ▴ 大学短歌バトル ▴

♦ 試合までどこに隠せばいいのやらボクの短歌はそわそわしている   松井多絵子

             ★ 2015大学短歌バトルは3月1日(日)13時~。

    「会場」  KADOKAWA本社ビル内(東京・飯田橋)

    「優勝賞金」  優勝大学=10万円 ゲストによる豪華色紙 準優勝大学=3万円
              最優秀方人・念人=各1万円

               

 < 歌合とは > チームを左右にわけ、一番ごとに歌を詠みあい優劣を競う。

             判者(はんじゃ)・・・審判
             方人(かたうど)・・・歌を提出する者
             念人(おもいびと)・・・自陣の歌を褒め、敵陣の歌の欠点を指摘して
                           議論を有利に導く者。

             ☆ルール☆ (1試合は15分)

  ★ 特別ゲスト 佐佐木幸綱、穂村弘、小島ゆかり、小島なお 司会は岩内敏行 

 平成によみがえる歌合。 大学NO。1はどこかしら。あと1か月後ですよ歌合は。

    

      東風(こち)吹かば動きはじめよ我の身の幾百億の眠れる細胞 

                           1月25日  松井多絵子       

      

 

    


魚の豪邸

2015-01-24 09:12:55 | 歌う

              ~ 魚の豪邸 ~

 葛西水族園回遊型水槽のマグロが急減した。1月19日の私のブログで69匹が8匹になったことを書いが、昨日は3匹だけになったのを新聞で知った。あの大きな水槽に3匹のマグロとは、今日はもうマグロはいないかもしれない。水質に異常はなく寄生虫の影響もない、検査で二匹などからウイルスが検出されたが、衝突で背骨が折れて死んだマグロもいる。飼育には向かない魚らしい。私たちを楽しませるために生かされたマグロたち。

                  魚の豪邸 八首       松井多絵子

         魚たちの客人となり小雨の日われはサカナにかこまれている

         とらふぐが胸のあたりに来ていたり、こころのなかは覗かないでね

         シビレエイに睨まれている電流を放つ魚らし自家発電の

         総身の棘を光らせハリセンボン体まるごと怒りていたり

         いちまいのガラスを通しその胸にふれいし手より去りゆくメバル

         水槽がもし割れたなら非常口どこにあるのか魚のための

         今日もまた魚を食べる気になれず冷蔵庫には鰈の死体

         あの魚は辛かったのだ私をじっと見ていたアラブの鰈

 

    今朝のスーパーのチラシには 天然めばちまぐろ赤身(解凍)100g351円

                          1月24日   松井多絵子


冬の億男

2015-01-23 09:22:19 | 歌う

              ~ 冬の億男 ~

 ✿ バラたちは嘘がお上手 彼のあの成功談は冬バラの言葉   松井多絵子

 いま全国の書店がいちばん売りたい本は川村元気の『億男』 すでに15万部突破、本屋大賞ノミネート、これは1月22日の新聞広告だ。15万部も売れたのか、あるいは15万部の本が印刷されたのか、著者の川村元気さんに聞きたい。昨年5月14日、私はブログで 「川村元気とはその名とミスマッチの優男だ。生まれたときひ弱な児だったので、元気になれとご両親が命名、あるいは、元気になりたいという願いの筆名か」 などと書いた。もし『億男』が本屋大賞にノミネートされているなら、今後の彼から目が離せない。

 「お金と幸せの答えを教えてあげよう」 突如、億万長者となった図書館司書の大冒険。お金のエンタテイメント小説 だそうだ。図書館司書とは地味で真面目な仕事だろう。それが億万長者になる不可思議、ボクでもワタシでもなれそうだと思わせる、定価1400円だから宝くじを何枚か買うようにこの本を買い、結局、川村元気だけが『億男』になるとしたら。

 小説には多くの賞がある。どのようにして「賞」が決められるのか私たちはほとんど知らない。でも、書店員さんが「これはいい小説だ」「たくさんの人に読んで欲しい」と勧めている本だと知ると、読んでみたくなる。八百屋さんで「このホウレンソウ新鮮ですよ。今が食べどき」などと勧められると買ってしまう、身近な人の言葉は安心して受け入れられるのだ。

 川村元気は30代。映画のプロデューサーらしい。広告には映画監督や俳優の言葉が。、

  ♦ 大泉洋 (俳優)  これは子を持つ親にはたまらない物語だ。

  ♦ 岩井俊二 (映画監督)  ポケットのなかにあるお金がとんでもない怪物に、、。

 

  お金という怪物から逃れられない私たち、怪物がいないのはあの世だけかしら。 

                          1月23日    松井多絵子 


歌人が俳人に

2015-01-22 09:01:18 | 歌う

                → 歌人が俳人に →  

           ☂ 傍らにいてくれるなら寒の雨    松井多絵子  

 今朝のNHK朝ドラのマッサンは余市に来ている。ウイスキー造りに最適な場所として長年こだわり続けた余市、積丹半島の余市川の清流、空気や霧が美味しいウイスキー造りに必要らしい。いまNHK俳句第三週の講師・櫂未知子はこの余市の出身。若い頃から短歌を詠んでいた。「音」「玲瓏」「心の花」など短歌の著名な結社に所属していたそうだが、今は俳人として活躍している。短歌から俳句へ移った人、俳句から短歌へ移った人は多い。俳句か短歌か迷いながらのままは私だけではないのだ。私の場合は投稿の結果、打率がよかった短歌に。櫂未知子の俳句は短歌的な情念が作品に生きているように思える。

  ✿ シャーワー浴ぶくちびる汚れたる昼は

 櫂未知子の代表句らしい。世界一短い短詩の俳句に男と女のなまなましい関わりが鮮やかに表現されている。この素材が短歌なら下句は詠みにくい。俳句だから成功したのだ。

  ✿ 春は曙 そろそろ帰ってくれないか

  ✿ 佐渡ヶ島ほど布団を離しけり

 春は曙 、平安時代の気分になっている私は戸惑う。朝になると世話のやける男がお荷物になる作者。生活力のある強い女のホンネだろうかか。面白い、二句目は
佐渡ヶ島が利いている。就寝のときの二人の布団を少し離す。櫂が何歳の頃の句か。

  ✿ 雪まみれにもなる笑ってくれるなら

 こんな句を贈られたら男は喜ぶか、いい気になって威張りだすか、男ごころを試すことのできる句だ、短歌は長すぎるから相手のこころを掴み損なう。殺し文句は短い方が効果があるのだ。櫂未知子の俳句は私にまた浮気をそそのかす。「早く俳人に変わりなさい」と。

                                 1月22日  松井多絵子