~ 尾をふらない、木下こう ~
あれは8か月も前だ、5月25日のブログで「謎の歌人・木下こう」を書いたのは。先日の「未来新年会」で初めて木下さんにお会いした。「はんなり」という言葉を思わせる女性である。この1月31日に、大阪市中央区民センターで『体温と雨』の批評会がある。パネリストは吉川宏志、黒瀬珂瀾、大森静佳、司会は横井典子、ぜひ出席したいが、親戚に重く病む人がいて東京を離れられない。
木下こう様
昨日、久しぶりに『体温と雨』をゆっくり読みました。新緑の頃にブログで取り上げなかった魅力的な作品が沢山ありました。その中で特に好きなのは次の2首です。
❤ 寝台のかたへの棚の本の上に腕よりぬきし時計がありぬ
つねに時刻を知らせる時計が傍らにあると安らげませんね。まして腕をくくる時計は。その時計を腕から外し棚の本の上に置い後は、開放的な気分になり貴女は詩歌の森を巡る。
❤ もうあまり尾をふらぬ犬こんなふうに老いてゆくことできるだろうか
できますよ。私は齢とともに尾が短くなり、振りたくても振れなくなりまりしたもの。どうぞ安心して「オバアサン」になってください。あなたの「オバアサンの歌」を楽しめるように私はできるだけ長くこの世に居すわります。どうぞよろしく、ね。 1月26日 松井多絵子
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