【「おいしい人生」を生きるためには】3997
立命館アジア太平洋大学(APU)学長、出口治明(はるあき)氏の心に響く言葉より…
自分の力で好きなことにチャレンジして、自由に生きていくことが、「おいしい生活」です。
では、どうしたらそんなおいしい生活がおくれるのでしょうか。
生きていくために絶対必要なのは、「衣・食・住」でしたよね。
中でも食事がなければ死んでしまいます。
人生って、ご飯を食べていくことなんですよ。
おもしろいのは、じつはおいしい生活はおいしい料理と同じように考えることができるということです。
少し考えてほしいのですが、おいしい料理を因数分解するとどうなるでしょうか?
一緒に食べる相手も大事かもしれませんが、基本的には「いろいろな食材」があって「上手に料理」すれば、おいしい料理ができますよね。
方程式にすると、「おいしい料理=いろいろないい食材×上手な調理」です。
いい食材があっても、調理が下手だったら台無しです。
いくら調理の上手な人でも、傷んだ食材しかなかったら、おいしい料理をつくることは難しい。
では、おいしい生活を因数分解するとどうなるでしょうか。
「いろいろないい食材」と「上手な調理」を何に置き換えることができるでしょう?
まず、いい食材にあたるのが、「さまざまな知識」です。
そして、調理にあたるのが、その知識を生かすために「自分の頭で考える力」です。
つまり、「おいしい生活=さまざまな知識×自分の頭で考える力」という式で表すことができるのです。
「考える力」というのはどういうことでしょうか?
たとえば、みなさんは、「ラーメン」も「にんじん」も「ムール貝」も知っていますよね。
ですが、ふつうはこの3つを掛け合わせて新しい味のラーメンをつくることを思いつくでしょうか。
これは、僕が創業したライフネット生命という会社の近くにあるラーメン屋さんが、実際に思いついた「ベジソバ」「野菜そば)というメニューです。
7年前、ニンジンをゆでてすりつぶしてとろみのある半液体のピューレにしたものに、ムール貝のスープを使った新しいラーメン「ベジソバ」を売り出したところ、大当たりしたのです。
これは、「知識×考える力」がうまく作用して、新しいものをつくりだした好例です。
店主がベジソバを創作できたのは、食材やラーメンに関する知識をたくさんもっていたからです。
ムール貝を食べたことのない人や、ピューレを知らない人が、ベジソバを思いつくことはないですよね。
頭の中にたくさんの情報や知識がなければ、いくら考えても新しいいいアイデアは生まれてきません。
逆に、知識をどんなに豊富にもっていても、それだけでは新しいものを生み出すことはできません。
豊富な知識を自分の頭の中でいろいろと組み合わせて、それを外に向けて発信する力が必要になります。
つまり、これが「知識×考える力」ということです。
ここで、もう一つ大事なことは、「ラーメン」と「にんじん」と「ムール貝」は、それぞれの間の距離が遠いということです。
ラーメンといえば、チャーシューや玉子を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、「ラーメン」と「チャーシュー」と「玉子」を組み合わせても、ごくふつうのラーメンしかつくることができません。
これらは、それぞれの間の距離が近いので、新しいものを生み出せないのです。
イノベーション(新しいもの)は、既存知(知識)間の距離が遠いほど、おもしろいものが生み出せるという経験則が知られています。
つまり、旺盛な好奇心をもって、幅広い知識を学ぶことが、イノベーション(おいしい生活)には欠かせないのです。
この幅広く学ぶことの重要性をうまく表現した、すばらしい言葉があります。
それは、フランスのファッションデザイナーであるココ・シャネルが晩年に残した、次のような言葉です。
「私のような孤児院で育って学校も出ていない、年をとった無知な女でも、まだ道端に咲いている花の名前を1日に一つぐらいは覚えることができる。
一つ名前を知れば、世界の謎(なぞ)が一つ解けたことになる。
その分だけ、人生と世界は単純になっていく。
だからこそ、人生は楽しく、生きることはすばらしい」
一つ学べば一つ世界の謎が解ける。
だからこそ人生は楽しく、生きることはすばらしい。
いい言葉だと思いませんか?
ココ・シャネルはきっと、毎日学びながら人生をワクワクしながら生きていたのでしょう。
知識は世界を広げてくれます。
しかし、知識を身につけるだけで、人生が豊かになるわけではありません。
それに考える力をかけ合わせる必要があるのです。
ココ・シャネルのように、謎を解き明かしたいという気持ちが大切です。
そして、自分の頭で考え続け、つねに原理原則に立ち返ることで、人生はより豊かなものになっていくのです。
『「おいしい人生」を生きるための授業』PHP研究所
キンコンの西野亮廣氏は、「仕事の広げ方」についてこう書いている。
新卒から入社したリクルートを経て、東京都で民間初の中学校校長になった藤原和博さんの「稼ぐ話」が面白い。
ザックリ説明すると、収入をアップさせるには自分を“レアカード化”する必要がある、と藤原さんは言う。
自分をレアカード化するための話は、「誰でも1万時間かければ『100人に1人』になれる」という“1万時間の法則”から始まるんだけど、「100人に1人」程度では食ってはいけないし、「100人に1人」ばかりが集まったプロの世界で戦って抜きん出ようと思ったら、まあ大変。
そこで藤原さんは、新たに別分野に1万時間投じることを勧めている。
最初に1万時間を投じたAという分野で1位を目指すのではなく、新たに1万時間を投じて「100人に1人」になったBと掛け合わせて、「100分の1×100分の1=1万分の1」になれ、と。
Aに加えてBの能力もある「1万人に1人」になると、まあまあレアカードで、そこそこ食っていける。
乱暴な喩えだけれど、イメージとしては、「お笑い」を1万時間やって、「家電」を1万時間やれば、『アメトーク!』の家電芸人のオファーが舞い込んでくる、みたいな(まあ、そんな単純な話じゃないんだけど。あくまで喩えッス)。
AとBを結ぶ線の上が、その人の需要というわけ。
しかし、とはいえ「1万人に1人」だ。ここで藤原さんは、「さらに別分野に1万時間を投じましょう」と言う。
3つ目(C)に1万時間を投じることで、「100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1」の人になりましょう、と。
A、B、Cの3点を結んでできた三角形の面積が、その人の需要で、この三角形をクレジット(信用)と呼ぶ。
出口氏は、この仕事における三角形のクレジット(面積)のことを、「知識」の距離が遠ければ遠いほど、面白い人生がおくれるという言い方をしている。
レアカードの人材になるためにも、これは必要だ。
またこのことは、商品開発でも同じ。
まるで予想外という、意外や意外という趣味を持っている人が、「面白い人」と言われるのと同じだ。
いくつになっても…
色々な知識を身につけ、考える力を広げていける人でありたい。
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立命館アジア太平洋大学(APU)学長、出口治明(はるあき)氏の心に響く言葉より…
自分の力で好きなことにチャレンジして、自由に生きていくことが、「おいしい生活」です。
では、どうしたらそんなおいしい生活がおくれるのでしょうか。
生きていくために絶対必要なのは、「衣・食・住」でしたよね。
中でも食事がなければ死んでしまいます。
人生って、ご飯を食べていくことなんですよ。
おもしろいのは、じつはおいしい生活はおいしい料理と同じように考えることができるということです。
少し考えてほしいのですが、おいしい料理を因数分解するとどうなるでしょうか?
一緒に食べる相手も大事かもしれませんが、基本的には「いろいろな食材」があって「上手に料理」すれば、おいしい料理ができますよね。
方程式にすると、「おいしい料理=いろいろないい食材×上手な調理」です。
いい食材があっても、調理が下手だったら台無しです。
いくら調理の上手な人でも、傷んだ食材しかなかったら、おいしい料理をつくることは難しい。
では、おいしい生活を因数分解するとどうなるでしょうか。
「いろいろないい食材」と「上手な調理」を何に置き換えることができるでしょう?
まず、いい食材にあたるのが、「さまざまな知識」です。
そして、調理にあたるのが、その知識を生かすために「自分の頭で考える力」です。
つまり、「おいしい生活=さまざまな知識×自分の頭で考える力」という式で表すことができるのです。
「考える力」というのはどういうことでしょうか?
たとえば、みなさんは、「ラーメン」も「にんじん」も「ムール貝」も知っていますよね。
ですが、ふつうはこの3つを掛け合わせて新しい味のラーメンをつくることを思いつくでしょうか。
これは、僕が創業したライフネット生命という会社の近くにあるラーメン屋さんが、実際に思いついた「ベジソバ」「野菜そば)というメニューです。
7年前、ニンジンをゆでてすりつぶしてとろみのある半液体のピューレにしたものに、ムール貝のスープを使った新しいラーメン「ベジソバ」を売り出したところ、大当たりしたのです。
これは、「知識×考える力」がうまく作用して、新しいものをつくりだした好例です。
店主がベジソバを創作できたのは、食材やラーメンに関する知識をたくさんもっていたからです。
ムール貝を食べたことのない人や、ピューレを知らない人が、ベジソバを思いつくことはないですよね。
頭の中にたくさんの情報や知識がなければ、いくら考えても新しいいいアイデアは生まれてきません。
逆に、知識をどんなに豊富にもっていても、それだけでは新しいものを生み出すことはできません。
豊富な知識を自分の頭の中でいろいろと組み合わせて、それを外に向けて発信する力が必要になります。
つまり、これが「知識×考える力」ということです。
ここで、もう一つ大事なことは、「ラーメン」と「にんじん」と「ムール貝」は、それぞれの間の距離が遠いということです。
ラーメンといえば、チャーシューや玉子を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、「ラーメン」と「チャーシュー」と「玉子」を組み合わせても、ごくふつうのラーメンしかつくることができません。
これらは、それぞれの間の距離が近いので、新しいものを生み出せないのです。
イノベーション(新しいもの)は、既存知(知識)間の距離が遠いほど、おもしろいものが生み出せるという経験則が知られています。
つまり、旺盛な好奇心をもって、幅広い知識を学ぶことが、イノベーション(おいしい生活)には欠かせないのです。
この幅広く学ぶことの重要性をうまく表現した、すばらしい言葉があります。
それは、フランスのファッションデザイナーであるココ・シャネルが晩年に残した、次のような言葉です。
「私のような孤児院で育って学校も出ていない、年をとった無知な女でも、まだ道端に咲いている花の名前を1日に一つぐらいは覚えることができる。
一つ名前を知れば、世界の謎(なぞ)が一つ解けたことになる。
その分だけ、人生と世界は単純になっていく。
だからこそ、人生は楽しく、生きることはすばらしい」
一つ学べば一つ世界の謎が解ける。
だからこそ人生は楽しく、生きることはすばらしい。
いい言葉だと思いませんか?
ココ・シャネルはきっと、毎日学びながら人生をワクワクしながら生きていたのでしょう。
知識は世界を広げてくれます。
しかし、知識を身につけるだけで、人生が豊かになるわけではありません。
それに考える力をかけ合わせる必要があるのです。
ココ・シャネルのように、謎を解き明かしたいという気持ちが大切です。
そして、自分の頭で考え続け、つねに原理原則に立ち返ることで、人生はより豊かなものになっていくのです。
『「おいしい人生」を生きるための授業』PHP研究所
キンコンの西野亮廣氏は、「仕事の広げ方」についてこう書いている。
新卒から入社したリクルートを経て、東京都で民間初の中学校校長になった藤原和博さんの「稼ぐ話」が面白い。
ザックリ説明すると、収入をアップさせるには自分を“レアカード化”する必要がある、と藤原さんは言う。
自分をレアカード化するための話は、「誰でも1万時間かければ『100人に1人』になれる」という“1万時間の法則”から始まるんだけど、「100人に1人」程度では食ってはいけないし、「100人に1人」ばかりが集まったプロの世界で戦って抜きん出ようと思ったら、まあ大変。
そこで藤原さんは、新たに別分野に1万時間投じることを勧めている。
最初に1万時間を投じたAという分野で1位を目指すのではなく、新たに1万時間を投じて「100人に1人」になったBと掛け合わせて、「100分の1×100分の1=1万分の1」になれ、と。
Aに加えてBの能力もある「1万人に1人」になると、まあまあレアカードで、そこそこ食っていける。
乱暴な喩えだけれど、イメージとしては、「お笑い」を1万時間やって、「家電」を1万時間やれば、『アメトーク!』の家電芸人のオファーが舞い込んでくる、みたいな(まあ、そんな単純な話じゃないんだけど。あくまで喩えッス)。
AとBを結ぶ線の上が、その人の需要というわけ。
しかし、とはいえ「1万人に1人」だ。ここで藤原さんは、「さらに別分野に1万時間を投じましょう」と言う。
3つ目(C)に1万時間を投じることで、「100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1」の人になりましょう、と。
A、B、Cの3点を結んでできた三角形の面積が、その人の需要で、この三角形をクレジット(信用)と呼ぶ。
出口氏は、この仕事における三角形のクレジット(面積)のことを、「知識」の距離が遠ければ遠いほど、面白い人生がおくれるという言い方をしている。
レアカードの人材になるためにも、これは必要だ。
またこのことは、商品開発でも同じ。
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