3/7投稿 二卵性双生児、 22話 発泡スチロールの箱
松田典子は彼女の録画したSDを見直していた。
同じところを3回目に見たとき、虹子を呼んでここどこだろう?と聞いた。
そこは洋服をつるしておくビニールのタンスだった。
ビニールのタンスの裏側を覗いた。
宗太のカメラが微妙な位置にあった。
部屋を映しているようで上を向いていた。
松田典子は岡に話してみた。
天井のどこかを映しているのではないかが岡の返事だった。
映していた。
翌日、虹子は松田典子と一緒に帰ってきた。
バイト先近所で出会ったとかだった。
2人は机の前の窓を開けた。
しばらくして、音もなくまず岡が入ってきた。
そして刑事も窓から部屋に入ってきた。
2人は脚立とはしごを持っていた。
それから窓のついていない壁に行くと、脚立に登り、梯子についた太いフックを
天井の梁にひっかけた。
軽い小川刑事が登って行った。
小川は天井板を触っていたけど、1枚引っ張った。
抜けた。 それからもう1枚抜いた。
小川は小さいカバンを首にかけると天井裏に入り込んだ。
死体のあった場所を見つけた。
岡の耳に声が入った。
血液反応もあった。
それから10分ほどして白いロープに縛られた発泡スチロールの箱が降りてきた。
小川も降りて来て、天井の板2枚を元の位置にはめ込んだ。
フックを外し、雑巾みたいので拭くとフックの跡は見えなくなった。
まもなく二人は脚立やはしごはしご、そして箱を持って去った。
10分か15分して虹子と典子の2人はお茶を飲むために台所に行った。
宗太は自分も台所に行きたかった。
ちょっと若い女の子たちとおしゃべりをしたかった。
しかし、宗太の小説が世間に披露されて以来
これまでとは信じがたい仕事の依頼が来始めた。
コラムとかちょっとしたコメントならいい。
でも小説というのはテーマを与えられたからと言って
一両日中に筋書きができあがるものではない。
宗太は仕事に追われて台所でボケーとする間もなかった。
それでも宗太はペンを置くと、虹子の顔を見に行った。
おや、いらっしゃいと宗太は典子に言った。
典子は刑事とは思えない愛想の良さで宗太の小説を褒めた。
文章の巧みなところをそらんじて言って
恋人に言い寄るところなんて真に迫っていていいですね、
宗太さんの体験談じやないですか?
なんて言って、宗太が頬を染めたほどだった。
虹子は典子のうまさに口を開けて見ていた。
典子のあげたそのシーンは
虹子が恋人なんかもし居るなら
こんな風に言い寄られたいと思った数行だった。
あれ、宗太の体験談!!
典子さんはなんの仕事をしているんでか?
と宗太は聞いてしまった。
しがない公務員ですよと典子は答えた。
まず首にならない、定時に帰れるで子供のころから公務員になるつもりでした
とシャアシャアと言った。
そりゃ賢い子ですな、
そう言いながら典子が差し出したコーヒーを宗太は受け取った。
2人ともすごく合うのね、
お付き合いすればいいのにと虹子がアホなことを言いだした。
典子が虹子、私はこう見えても婚約者がいるのよと典子が言った。
そりゃがっかりだ と宗太が言った。
久しぶりにお付き合いしたい女性と思ったのにと宗太が言った。
本心はともかく虹子の心にポタンと冷水が落ちた。
::::::::::::::::::::::::::::::::
二卵性双生児、 23話 宗一郎の話
布団に入って虹子は考えた。
宗太、私のこと好きじゃなかった?
宗太って浮気っぽい?
宗太が・・・・虹子は眠ってしまった。
翌朝虹子が目を覚ましたとき、外はまだ暗かった。
時計は5時過ぎ。
虹子は起き上がると、静かに台所に行った。
そしてお湯を沸かし、コーヒーを飲もうとした。
カップにお湯を注ぎ、残りの熱い湯をポットに入れた。
そのまま椅子に座り、コーヒーをゆっくり飲んだ。
台所の窓からぼんやり外を見ていた。
奥の木の後ろがボーっと明るくなっている。
人影があった。
誰かしらと目を凝らした。
宗太だ。 あんなところで今頃何しているの?
虹子がポットを持って部屋に行こうとしたとき
宗太が台所に入ってきた。
パジャマにカーディガンをかけている。
お、早いじゃないか?
宗太、今起きたの?
そうだよと宗太が言った。
じゃあれは誰だったの? と思ったけど虹子は言うのを止めた。
虹子は布団を隅に寄せ、机に座った。
夕べがカーテンを閉めるのを忘れたんだと思った。
机で2杯目のコーヒーを入れ少しづつ飲んだ。
肩に手がかかった。
声が出ないほど驚いた。
宗太だった。
鍵閉めないなんて無用心だぜ。
入ってこなくてもいいじゃない。
虹子がさびしいんじゃないかと思って
宗太は虹子の首すじに唇をはわせた。
やめて、浮気者と宗太を押しのけた。
浮気者? ちょっと考えた宗太は押し殺した笑い声をあげた。
それから虹子を抱き上げて椅子に座った。
俺がいつ浮気した?と聞いた。
虹子が猫みたいに爪をたてようとするのを感じた宗太は
大きな片手で虹子の両手を握りしめた。
虹子、俺の可愛い虹子 俺のメス猫、俺のおxxx
本気であんなこと思ってないよ
怒るなって、
虹子の頭を宗太が自分の胸に押し付けた。
虹子を抱きしめたまま、虹子って普通の女の子と違うんだ。
すごく理性的で、女の子なのに女の子じゃなくて大好き。
独立していて安心して見ていられるのに
一人ではほっておけないほど危なっかしくて
この矛盾だらけのところがいいんだ。
虹子が頭を上げて宗太をマジマジと見た。
まだ顔を洗ってない虹子は目やにがついていて、
髪は寝癖せでこんがらかっていて夫でもなければ
とても見せられた状態ではなかった。
ね、俺と同棲しないとまた言ってみた。
それとももう恋人いるのかい?
ひょっとして兄貴のこと考えていない?
虹子はハッとした。
虹子は兄貴のタイプじゃないよ、
兄貴はこぎれいな女が好きなんだ。
女優だと、宗太の目が宙を泳いで女優を探した。
会ってもいないのになにがわかるのよ。
兄貴に会って、ふられて、それから俺んとこに来るか?
それは駄目だよ、
兄貴のお古はもう嫌だ。
兄貴って男はまず女は脱がせて見る。
内側もチェックして味わって、それから放り出す。
大抵結論は脱がせる前に出ているのに
それでも脱がせる。
女は巧みな話術とあいつの指先のタッチで脱ぎたくなっちゃう。
あいつは女が妊娠しても気にならない。
女に本当に俺の子って追及して、追及して、女のほうが身を引いてしまう。
時に俺にやるってよこしたこともあった。
別な男がいると、女のダメッジが少ないからね。
その間にアイツは逃げてちゃう。
虹子みたい世間知らずはすぐゴミ箱だよ。
信じてないんだ、俺の話。
俺たち合うと思うんだ。
肉体的にも、心情的にも。
すぐ結婚とは言わない、同棲しようよ。
同棲が嫌なら、結婚でもいいんだ。
松田典子は彼女の録画したSDを見直していた。
同じところを3回目に見たとき、虹子を呼んでここどこだろう?と聞いた。
そこは洋服をつるしておくビニールのタンスだった。
ビニールのタンスの裏側を覗いた。
宗太のカメラが微妙な位置にあった。
部屋を映しているようで上を向いていた。
松田典子は岡に話してみた。
天井のどこかを映しているのではないかが岡の返事だった。
映していた。
翌日、虹子は松田典子と一緒に帰ってきた。
バイト先近所で出会ったとかだった。
2人は机の前の窓を開けた。
しばらくして、音もなくまず岡が入ってきた。
そして刑事も窓から部屋に入ってきた。
2人は脚立とはしごを持っていた。
それから窓のついていない壁に行くと、脚立に登り、梯子についた太いフックを
天井の梁にひっかけた。
軽い小川刑事が登って行った。
小川は天井板を触っていたけど、1枚引っ張った。
抜けた。 それからもう1枚抜いた。
小川は小さいカバンを首にかけると天井裏に入り込んだ。
死体のあった場所を見つけた。
岡の耳に声が入った。
血液反応もあった。
それから10分ほどして白いロープに縛られた発泡スチロールの箱が降りてきた。
小川も降りて来て、天井の板2枚を元の位置にはめ込んだ。
フックを外し、雑巾みたいので拭くとフックの跡は見えなくなった。
まもなく二人は脚立やはしごはしご、そして箱を持って去った。
10分か15分して虹子と典子の2人はお茶を飲むために台所に行った。
宗太は自分も台所に行きたかった。
ちょっと若い女の子たちとおしゃべりをしたかった。
しかし、宗太の小説が世間に披露されて以来
これまでとは信じがたい仕事の依頼が来始めた。
コラムとかちょっとしたコメントならいい。
でも小説というのはテーマを与えられたからと言って
一両日中に筋書きができあがるものではない。
宗太は仕事に追われて台所でボケーとする間もなかった。
それでも宗太はペンを置くと、虹子の顔を見に行った。
おや、いらっしゃいと宗太は典子に言った。
典子は刑事とは思えない愛想の良さで宗太の小説を褒めた。
文章の巧みなところをそらんじて言って
恋人に言い寄るところなんて真に迫っていていいですね、
宗太さんの体験談じやないですか?
なんて言って、宗太が頬を染めたほどだった。
虹子は典子のうまさに口を開けて見ていた。
典子のあげたそのシーンは
虹子が恋人なんかもし居るなら
こんな風に言い寄られたいと思った数行だった。
あれ、宗太の体験談!!
典子さんはなんの仕事をしているんでか?
と宗太は聞いてしまった。
しがない公務員ですよと典子は答えた。
まず首にならない、定時に帰れるで子供のころから公務員になるつもりでした
とシャアシャアと言った。
そりゃ賢い子ですな、
そう言いながら典子が差し出したコーヒーを宗太は受け取った。
2人ともすごく合うのね、
お付き合いすればいいのにと虹子がアホなことを言いだした。
典子が虹子、私はこう見えても婚約者がいるのよと典子が言った。
そりゃがっかりだ と宗太が言った。
久しぶりにお付き合いしたい女性と思ったのにと宗太が言った。
本心はともかく虹子の心にポタンと冷水が落ちた。
::::::::::::::::::::::::::::::::
二卵性双生児、 23話 宗一郎の話
布団に入って虹子は考えた。
宗太、私のこと好きじゃなかった?
宗太って浮気っぽい?
宗太が・・・・虹子は眠ってしまった。
翌朝虹子が目を覚ましたとき、外はまだ暗かった。
時計は5時過ぎ。
虹子は起き上がると、静かに台所に行った。
そしてお湯を沸かし、コーヒーを飲もうとした。
カップにお湯を注ぎ、残りの熱い湯をポットに入れた。
そのまま椅子に座り、コーヒーをゆっくり飲んだ。
台所の窓からぼんやり外を見ていた。
奥の木の後ろがボーっと明るくなっている。
人影があった。
誰かしらと目を凝らした。
宗太だ。 あんなところで今頃何しているの?
虹子がポットを持って部屋に行こうとしたとき
宗太が台所に入ってきた。
パジャマにカーディガンをかけている。
お、早いじゃないか?
宗太、今起きたの?
そうだよと宗太が言った。
じゃあれは誰だったの? と思ったけど虹子は言うのを止めた。
虹子は布団を隅に寄せ、机に座った。
夕べがカーテンを閉めるのを忘れたんだと思った。
机で2杯目のコーヒーを入れ少しづつ飲んだ。
肩に手がかかった。
声が出ないほど驚いた。
宗太だった。
鍵閉めないなんて無用心だぜ。
入ってこなくてもいいじゃない。
虹子がさびしいんじゃないかと思って
宗太は虹子の首すじに唇をはわせた。
やめて、浮気者と宗太を押しのけた。
浮気者? ちょっと考えた宗太は押し殺した笑い声をあげた。
それから虹子を抱き上げて椅子に座った。
俺がいつ浮気した?と聞いた。
虹子が猫みたいに爪をたてようとするのを感じた宗太は
大きな片手で虹子の両手を握りしめた。
虹子、俺の可愛い虹子 俺のメス猫、俺のおxxx
本気であんなこと思ってないよ
怒るなって、
虹子の頭を宗太が自分の胸に押し付けた。
虹子を抱きしめたまま、虹子って普通の女の子と違うんだ。
すごく理性的で、女の子なのに女の子じゃなくて大好き。
独立していて安心して見ていられるのに
一人ではほっておけないほど危なっかしくて
この矛盾だらけのところがいいんだ。
虹子が頭を上げて宗太をマジマジと見た。
まだ顔を洗ってない虹子は目やにがついていて、
髪は寝癖せでこんがらかっていて夫でもなければ
とても見せられた状態ではなかった。
ね、俺と同棲しないとまた言ってみた。
それとももう恋人いるのかい?
ひょっとして兄貴のこと考えていない?
虹子はハッとした。
虹子は兄貴のタイプじゃないよ、
兄貴はこぎれいな女が好きなんだ。
女優だと、宗太の目が宙を泳いで女優を探した。
会ってもいないのになにがわかるのよ。
兄貴に会って、ふられて、それから俺んとこに来るか?
それは駄目だよ、
兄貴のお古はもう嫌だ。
兄貴って男はまず女は脱がせて見る。
内側もチェックして味わって、それから放り出す。
大抵結論は脱がせる前に出ているのに
それでも脱がせる。
女は巧みな話術とあいつの指先のタッチで脱ぎたくなっちゃう。
あいつは女が妊娠しても気にならない。
女に本当に俺の子って追及して、追及して、女のほうが身を引いてしまう。
時に俺にやるってよこしたこともあった。
別な男がいると、女のダメッジが少ないからね。
その間にアイツは逃げてちゃう。
虹子みたい世間知らずはすぐゴミ箱だよ。
信じてないんだ、俺の話。
俺たち合うと思うんだ。
肉体的にも、心情的にも。
すぐ結婚とは言わない、同棲しようよ。
同棲が嫌なら、結婚でもいいんだ。