1/7 投稿 Piege ピエージュ ある罠の物語 第5話 妻? 娘? 節電?
沢村は貧しい育ちだった。
でもビジネスで成功して、そんな貧しさは忘れてしまった。
自分は贅沢三昧の好き放題をやった。
しかし、使用人や知子にはケチだった。
使用人は給料がよかったから沢村をごまかすようなことはしなかった。
問題は知子だった。
知子には節約精神はなかった。
電気をつけたまま部屋を出るなんて毎回のことで
沢村は毎回注意していた。
沢村は知子の育ちで知子に節約精神のないことをわかっていたけど
おかしなことにこの点では寛大で、
知子をムチするなんて一度もなかった。
ある日沢村は知子をマンションに置いて外出した。
ここは電気がオーバーすると止まるからね、節電に気をつけて
と言い残していた。
知子はよくわからなかった。
寝室で風呂から出るとベッドに横になって眠ってしまった。
寒くなって目を覚ました。
室内が薄暗い。
枕もとの灯りをつけたけどつかない。
起き上がりお遊び室の電気をつけたけどつかない。
つけたままで風呂に入ったのに真っ暗だ。
浴室、トイレと順に見て回った。
つかない。
トイレで小のほうをして水を流したけど流れなかった。
寒い、着る物をどこにおいたか思い出してみた。
この部屋のことはよくわからない。
身つけているのは大きなバスタオルだけだ。
お遊びの部屋は窓がない。
寝室の窓? 厚いカーテンを開けてみたけど外も薄暗い。
停電? 初めて知子は考えた?
暖房のヒーターもわずかに温かいだけだ。
そうだ、沢村がなんか言っていた。
いつ戻るか沢村は言わなかった。
翌日に戻ってきたこともあった。
試しに寝室のドアを開けてみたけど開かない。
知子は寒さに振るえていた。
ベッドの中央に座り毛布を手繰り寄せた。
毛布を体にまいていたけどわずかに温かいだけ。
のりちゃんとつぶやいた。
のりちゃん、帰ってきてと声に出して言った。
ドアが開いた。
灯りがついて沢村紀夫が立っていた。
そーら、やったと言った。
沢村は電源、それから暖房のスイッチを入れ知子を抱きしめた。
電気がないってどういうことかわかった?
知子は涙が流れるのを止められなかった。
うんとうなづいたのが知子の返事だった。
その夜知子はこれまでなかったほど沢村に従順だった。
沢村は知子を愛さないように慎重に知子を扱った。
従順な時の知子は娘だった。
沢村は彼の死後、知子が自由に生きてもいいじゃないかとも考えることもあった。
いっそ、妻は止めて知子と養子縁組にして娘にしてしまおうか?
それにムチだって、娘なら教育上のせっかんとも言える。
しかし、養女でも娘との性行はありえない。
沢村の自問自答は続き、結論は出なかった。
沢村は貧しい育ちだった。
でもビジネスで成功して、そんな貧しさは忘れてしまった。
自分は贅沢三昧の好き放題をやった。
しかし、使用人や知子にはケチだった。
使用人は給料がよかったから沢村をごまかすようなことはしなかった。
問題は知子だった。
知子には節約精神はなかった。
電気をつけたまま部屋を出るなんて毎回のことで
沢村は毎回注意していた。
沢村は知子の育ちで知子に節約精神のないことをわかっていたけど
おかしなことにこの点では寛大で、
知子をムチするなんて一度もなかった。
ある日沢村は知子をマンションに置いて外出した。
ここは電気がオーバーすると止まるからね、節電に気をつけて
と言い残していた。
知子はよくわからなかった。
寝室で風呂から出るとベッドに横になって眠ってしまった。
寒くなって目を覚ました。
室内が薄暗い。
枕もとの灯りをつけたけどつかない。
起き上がりお遊び室の電気をつけたけどつかない。
つけたままで風呂に入ったのに真っ暗だ。
浴室、トイレと順に見て回った。
つかない。
トイレで小のほうをして水を流したけど流れなかった。
寒い、着る物をどこにおいたか思い出してみた。
この部屋のことはよくわからない。
身つけているのは大きなバスタオルだけだ。
お遊びの部屋は窓がない。
寝室の窓? 厚いカーテンを開けてみたけど外も薄暗い。
停電? 初めて知子は考えた?
暖房のヒーターもわずかに温かいだけだ。
そうだ、沢村がなんか言っていた。
いつ戻るか沢村は言わなかった。
翌日に戻ってきたこともあった。
試しに寝室のドアを開けてみたけど開かない。
知子は寒さに振るえていた。
ベッドの中央に座り毛布を手繰り寄せた。
毛布を体にまいていたけどわずかに温かいだけ。
のりちゃんとつぶやいた。
のりちゃん、帰ってきてと声に出して言った。
ドアが開いた。
灯りがついて沢村紀夫が立っていた。
そーら、やったと言った。
沢村は電源、それから暖房のスイッチを入れ知子を抱きしめた。
電気がないってどういうことかわかった?
知子は涙が流れるのを止められなかった。
うんとうなづいたのが知子の返事だった。
その夜知子はこれまでなかったほど沢村に従順だった。
沢村は知子を愛さないように慎重に知子を扱った。
従順な時の知子は娘だった。
沢村は彼の死後、知子が自由に生きてもいいじゃないかとも考えることもあった。
いっそ、妻は止めて知子と養子縁組にして娘にしてしまおうか?
それにムチだって、娘なら教育上のせっかんとも言える。
しかし、養女でも娘との性行はありえない。
沢村の自問自答は続き、結論は出なかった。