ab Cuore 

帰国した時ノンポリだった私が見たのは≒無政府状態の日本。
ショック、怒り、希望をこのブログに書きました。

2/21 投稿 MY8e 二卵性双生児、  第2話 虹子の男って 第3話 宗太の女性遍歴 

2025-02-21 12:03:45 | あほ

2/21 投稿 MY8e 
 二卵性双生児、  第2話 虹子の男って



ある昼下がり、虹子がこの家どこから2階に登るのと聞いた。


この家は平屋だよと宗太が言った。

でも外から見ると2階があるわと虹子がさらに言った。


宗太は考えている風だった。

でも、この家を買ったとき、平屋って不動産屋は言ったし

見たときも2階はなかったよ。

でもあの窓は2階に見えるけどと虹子。


どの窓?

台所の上にある窓。

ああ、あれね。 お出でと宗太は虹子を連れて台所に行った。

それから台所の窓の上の戸棚を開けると

中にある窓を見せた。

換気の窓だと思う。

そうなんだ。


虹子は納得したのかそれ以上追及してこなかった。


虹子は留年を取り戻すためにかなり勉強しているようだった。

卒論を提出できなかったそうだ。


日曜日の朝、宗太は虹子は何を勉強しているのと聞いてみた。

フランス文学と虹子はすぐ答えた。

フランス文学って?

ある作家を研究している。でも作品がたくさんなくて難しい。

宗太は虹子がフランスの作家を研究していると意外な返事に

じゃフランス語かなりできるんだと言った。

そんなでもないわ、でも日本訳がないから自分で読むしかないの。

宗太は意外な返事に、それじゃもっとおいしい朝ごはんを用意しようと

思った。


翌週の日曜日、朝食にクロワッサンとカフェ・オウ・レと

ヨーグルトを出した。

クロワッサンはスーパーのパン屋で買ったのだけどレンジで温めた。

虹子がびっくりして、どうしたの、これ?って素っ頓狂な声を出した。

買ったんだよ、作ったんじゃない。


クロワッサン温かいとまたびっくりして言った。

虹子が一生懸命勉強しているから元気づけようと思ってサ。

珍しく、虹子はありがとうと言った。

お父さんみたい。


エと聞き返した。

お父さん、虹子に朝ごはん作るの?

虹子はカフェ・オウ・レにクロワッサンを浸したのを口に押し込みながら

朝ごはんは作らないけど、私の好きなもの知っていて時々買ってくる。


虹子、お父さん好きなんだ。

うん、ああいう繊細なことしてくれる人、あまりいない。

お父さんみたい人と結婚したい?

そこまでは言わない。 お母さんに対して見ていると決して素敵な男ではない。

男って妻に対してと娘に対して同じじゃない。

ヨーグルトの最後の一サジを口に入れそう言った。


宗太はふーんと言いながら聞いていたけど

わかってるよって心の声が言った。


二卵性双生児 第3話 宗太の女性遍歴 



宗太には長い女性遍歴があった。

男の兄弟しかいない家庭で育ったから女は珍しい生き物だった。


でも宗太は男女共学の学校で教育を受けたから女が男と同じように

異性の噂話だけでなく、相当異性に興味を持っていることも知っていた。


それは放課後だった。

授業が終わったけどまだ数人の声が教室の中でした。

高一の時だ。

戸を開けようとして、キンキン声の女子が本当、いやらしいと大きい声で言った。

いやらしい? 戸を開けるのを止めて宗太は聞き耳をたてた。

同級生の大山の話をしていた。


大山は宗太と逆で姉妹しかいない家庭だ。

だから女子に対して興味なんかほとんどなかった。

その大山が普通の男子の知らないことを知っていて、

誰かクラスの女子に何か言ったらしい。


どうも生理ナプキンのことらしい。

大山は姉に聞いたらしいけど、男子が言うべきではなかったようだ。


たちまち大山はいやらしいという噂が立った。


ドアの陰で宗太は興味深々で聞いていた。

それから宗太は少し下がり、あたかも歩いて来たように戸を開けた。


女子たちは会話を止め、一斉に宗太を見た。


その中にえりこがいた。

宗太はえりこが好きだった。

中3で出会い、同じ高校に入って、しかも同級になった。


えりこが宗太を好きかまだ知らない。

宗太はちっと会釈したけど、黙って自分のカバンを持って教室から

出ようとした。


えりこじゃない女子が、藤村君、期末試験どうだった?と声をかけた。

昨日、期末が終わったところだった。

うん? まあまあ。と答えた。

数学は?

宗太は数学が苦手だった。

半分行けばいいかな?

えりこ、100点かもってと聞こえた。

なんでエリコのこと言うんだ?と思ったけど

そう、よかったねと言っただけだった。


宗太は会話を切った。

いつでもそうだ。

会話を続けられない。


そういう気の弱い癖は大人になって嘘みたいに治ってしまった。

それは高三になって急に背が伸びて、母親似だった顔立ちが

宗太をすごくハンサムにしたからだ

兄弟の中で一番ハンサムかもと宗太は思った。

宗太は自身の外観に自信を持ち始めた。


さらにバレンタインデーに宗太の下駄箱や机の引出しに

幾つものチョコレートの箱が入っていた。


それは宗太の自信の裏付けになった。

大学に入ってからは同級生、同窓生だけでなく

道で声をかけられたりした。

よく結構有名な俳優やタレントと間違えられることがあった。


そういう時は宗太は冷静に、クールに、あるいは冷たく対応した。

そのほうが効果絶大なことを宗太はまもなく知ったからだ。


タイプと思っても自分から追わない。

追わせるように仕組む。


虹子に出会ったころ、宗太の外観は若いころほどではなかった。

虹子は宗太の顔立ちなんかに興味を持たなかった。

宗太はあえて虹子が自分を賞賛するようには仕向けなかった。


虹子は年頃の女性としては珍しく男の基準がハンサムかどうかではなかった。


同じ家に住みながら虹子と宗太は朝ごはんのときくらいにしか会うチャンスはなかった。


でも宗太は朝食の用意をすると自分の仕事部屋に行くことのほうが多かったから

出会うとしたら日曜・祝日くらいなもんだった。



ある日曜日宗太はまだ朝食のテーブルにいた。

3杯目のコーヒーを前においていた。


虹子は自分の朝食の前におはようございますと言いながら座った。

今日はクロワッサンではなく、食パンのようなブリオッシュがあった。

これ、ブリオッシュじゃない?!!

と驚いたように虹子が言った。

おや、よくわかったね。

私、フランスに行ったときに食べたことある。

ヘー、フランスに行ったことあるの?

高校の修学旅行で行っただけだけどね。

高校の修学旅行?

ずいぶん豪勢じゃないの!

うん、うちの学校、親がリッチなの多いからね。


卒論は進んでいる?


うん、もう一度フランスに行こうかと思って。

他の作家に変更するのはどう?と宗太が提案した。

でもあの作家好きなのよね。

本でも訳して添付しようかしら?


宗太: それはいいかもしれない。

どうせフランスに行っても大したことみつからないよ。

その作家を研究とか後を継いだ人、いないんでしょ?


そうね、確かに。

本を翻訳する案はいいかもしれないと言うとごちそうさまと

テーブルを立ち、虹子は出かけた。

日曜日の午後、虹子は友達を連れて帰宅した。


男2名、女2名 虹子と計5人。


久しぶりに宗太の家は賑やかだった。


宗太はお茶でも出してやろうか、一瞬思ったけれど

ドア越しに若い人たちの声を聞いていて止めようと思った。


7時前、虹子の友人たちは引き上げた。

虹子はリビングでテレビを見始めた。

宗太が入って行くと、

ねえ、宗太さんは何をやっているの?

と虹子が聞いた。


なにって?

職業よ。

僕、ウーンと宗太は考えた。

職業名なんてあるのかな?

コラムニストとでも言おうかと言ってみた。

書く仕事ね? 小説は書かないの?

宗太は書きたいけど、うまく行かなくてねとうっかり言ってしまった。


虹子は質問しておいてもう聞いてなかった。

ドラマの画面はキスシーンだった。

























































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