ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

KOSRAE上水道改善プロジェクト

2009-07-19 19:00:32 | コスラエ州
コスラエ州には千数十軒の家があり、各家庭には公共ダムからパイプが引かれています。年間200から240インチの豊富な降雨のため水不足の心配は殆ど無く、蛇口を開けっ放しにすることも多く節水することはありません。それは、水道料金を支払う必要がないためでもあります。しかし、コスラエ州政府の意向によりコスラエにおける上水道の状況が大きく変わろうとしています。
2004年、州政府はAsian Development Bank(ADB)に上水道改善プロジェクトのためのローンの申請を行い、調査が開始されました。12ある公共ダムの全ては、河川の途中に簡易的な堰を設け貯水しているだけで、塩素処理する施設も無く、河川水がそのまま供給されています。Sanitationによる水質調査の結果によると基準を超えるE.Coli(糞便による水の汚染の指標とされる細菌)が検出され、飲料用には適していません。豪雨時には上流からの土砂が混じることで著しく濁り、各自治体の判断により断水することが度々あります。
また、適切にメンテナンスがされていないため、ダムに土砂が堆積し貯水量が減少したことによる水圧低下や、パイプの劣化による水漏れにより末端家庭への安定した水の供給が行われていません。
そこで、現存するダムの改善、塩素処理施設・貯水施設の建設、パイプなどの供給ラインの取替え、各家庭へのメーターの設置、管轄組織の設立が必要になり、そのためのコストは、Mutante Water System(Tafunsak) $2,300,000、Utwe Water System(Utwe) $840,000、Walung Water System(Walung) $790,000、合計『$3,930,000』(日本\で約 4億円)との見積もりがGlobal Works Consultants(GWC)によりなされました。その後、進展のないまま2008年Project Implementation Assistance(PIA) Consultantsにより再度調査が行われ、コストの合計は$3,930,000から『$5,370,000』(日本\で約 5億円)に修正されました。これらのコストにはLelu、Malem自治区及び州都TofolのWater Systemは含まれておらず、これらの改善のためにはADBではなくUnited States Department of Agriculture (USDA)へのローンの申請が行われました。ADBが100%ローンであるのに対し、USDAは25%ローン、75%交付金になります。しかしUSDAとの折り合いが付かず、2009年USコンパクトマネーによる資金援助の交渉が開始されました。
いずれにしても、上水道改善プロジェクトが実施されることになれば、これまで無料だった水道料金は有料化されます。そのためには住民への十分な説明や理解・協力が不可欠です。

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