ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

活動報告2 (コスラエ州シニアボランティア、坂根篤)

2013-08-20 19:35:13 | コスラエ州

写真は第一浸出液池から見たコスラエ州トフォール中央埋立場。水面レベルが配管下部にあるので、ごみ汚水の排出、空気の取入がスムーズに行われていることが分かる。写真中央部の配管から取り込まれた空気を場内に供給し、自然通風で写真中央部3本の排気筒等から排出する。
Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.

活動の第一歩は、コスラエ州に日本政府「草の根」援助金で造った福岡方式埋立場の改善提案。
2012年8月1日、報告書を関係先に提出。

I. 報告書は、福岡方式(準好気性)埋立場を説明するところから、インターネットで検索:
日本発の「準好気性埋立構造」(福岡方式)は福岡大学と福岡市の協力により開発された。1973年から3ヵ年にわたって実施された旧厚生省の委託研究の結果「準好気性埋立構造」の基本概念が提案された。そして、福岡市は1975年に建設した埋立地に本構造を採用し、その効果が実証され、1979年の旧厚生省の「最終処分場指針」で標準構造として採用された。1988年マレーシアに初めて「福岡方式」が技術移転されたのを契機に現在、途上国を中心に世界的規模で注目されている。
準好気性埋立構造とは、埋立地の底部に栗石と有孔管からなる浸出水集排水管を設け、浸出水をできるだけ速やかに埋立地の系外へ排除し、埋立廃棄物層に浸出水を滞水させないようにした構造。また、廃棄物の微生物分解に伴って発生した熱で、埋立地内の温度が上昇した結果生じる内部温度と外部温度の差によって熱対流が起こり、空気(酸素)が集排水管の水の流れとは逆方向に埋立地内部へ自然に流入される構造。このため、特別な送風施設が不要で、施工も維持管理も簡易。

II. 次にコスラエ州埋立場の概要調査結果:
コスラエ州の福岡式埋立場概要:
完成:2008年10月
場所:ミクロネシア連邦コスラエ州トフォール地区
建設費用:総額US$127,000.- (草の根援助US$90,900.-、コスラエ州政府予算US$36,100.-)
大きさ:67mL x 30mW x 4mH(排気筒頂上部までの高さ、将来延長予定)
使用期間:15~25年
詳細設計:コスラエ州
建設・監理:コスラエ州
運転管理: コスラエ州
ここで感心したのが、基本概念を学んだだけで、福岡式埋立場の詳細設計、施工管理及び造成をコスラエ州公共事業局の技術者・職員・スーパーバイザー・現場担当者が実行したことである。建設費用が低く抑えられることはもちろん、構造を理解しているので運転管理にも役立っている。もっとも詳細設計をしたのがフィリピン人契約土木建築技術者であったが・・・契約期間は2年、その後更新or新しい技術者と契約。このように、コスラエ州では技術者、医者、等は契約雇用で不足・必要人員を補充している。

III. 続いて現状調査結果。完成した埋立場の運転管理はコスラエ州公共事業局により良好に行われていた。
(現状調査項目及び結果)
1. 埋立場外へのごみ飛散防止:定期的な覆土により防止
2. 埋立場外への悪臭発散防止:同上
3. 火災発生防止:同上
4. 衛生害虫獣の発生防止:同上
5. 門扉・フェンスの点検・補修:良く維持管理されており問題無
6. 表示の保全・書き替え:良く維持管理されており問題無
7. 現地搬入記録状況:しっかり記録されている。記録項目は、①日付、②搬入者名、③搬入車両種類、④主要廃棄物の種類、⑤搬入ごみ量(目測)。
8. 浸出液品質検査:月一回COD、PHを検査している。結果、問題無。PH平均約8(ほぼ中性)、COD平均約30~40ppm(採取場所により異なる)。サンプリング箇所は、①第一浸出液池上部、②第一浸出液池底部、③第二浸出液池、④放流地点のマングローブ。記録は、①日付、②測定場所、③測定時間(開始・終了)、④COD/PH試薬紙変化色、⑤COD/PH数値、⑥温度(気温・水温)。

IV. 最後に、2012年7月コスラエ出張中の長谷山JICA専門家の意見も参考にさせてもらい、5項目の改善提案を行った。
1. 浸出液再循環システムの導入:浸出液をポンプで埋立場に散布することにより水質の改善を図る
2. 水草の育成:浸出液池に水草を育成させることにより水中の有機成分を減少させる
3. 埋立場排気管に尺度記入:排気筒にスケールをペイントすることにより埋立ごみ量、将来埋立できるごみ量が簡単に分かる
4. ごみ計量器:ごみ搬入重量を正確に知ることができる「トラックスケール」の導入
5. 洗車装置:搬入車両・ごみ箱等を埋立場で洗うことができる「洗車装置」の導入
今後改善項目の実施を図る。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿