そろそろ紅葉が始まっているかと、圓光寺へ。
山号・瑞厳山、開山・三要元佶(閑室)、開基・徳川家康。臨済宗南禅寺派のお寺である。
通常、開山=開基であるが、禅宗では両者を区別し、初代住職を「開山」、財政支援した世俗の者を「開基」と呼ぶらしい。
門には「大本山南禅寺研修道場」の看板。この寺は、家康が1601年伏見に開いた圓光寺学校が元になっている。開山の元佶禅師は、駿府圓光寺の開山だったため、この名がついたのか?学校では書籍を刊行し、その版木活字が、入り口右手の宝物館に収蔵・展示されている。円山応挙作の重文「竹林図屏風」もあった。生命力ある竹は、節の太いしっかりした絵を多く見かけるが、これはまだ細い竹の群生だった。庭の奥に竹林を見つけた。円山応挙も、これを見たのだろうか。
お庭(十牛の庭)は紅葉が始まり、色彩のグラデーションが愉しめた。
写真右の中央になんとなく見えている池は、洛北最古と言われる栖龍池である。龍の栖む池?それほど大きくはなかった。この寺は東山の中腹にあり、かつては寂しい人里離れた土地だったのだろう。秘境を彷彿させる名は、そんなところからついたのではないか。帰りの階段では、市内を一望できる高さに驚いた。非日常が、こんなに身近にある。
坐禅堂では坐禅会、鐘楼では除夜の鐘撞きがあるという。観光客の多い詩仙堂から約3分、訪れる人の少ない庭で水琴窟の音に耳を澄ます静かな時間もあっていい。