みなさん おはようございます。
一昨日、昨日と棋聖戦第1局が行われ河野臨挑戦者が先勝しました。
そこで話題になった手がありましたね。
(黒)井山裕太棋聖 vs (白)河野臨九段
1図 白1のブツカリ
これは今までの人間の常識では悪いとされていて、斬新すぎる新手か!とTwitterなどで話題でしたが
実はMasterがこの前打っていましたね。
2図 (白)Master vs (黒)古力九段
昨日は研究会に行ってみんなと検討しましたが、そこでは
「河野先生もMasterの意図が分かってない」
と豪語するツワモノもいました。
というのは、その碁ではMasterはすぐに白3とハネており、
その時に黒△の位置が悪いから白1が良い手、という訳です。
1図上辺に何も黒石がないときのブツカリはさすがにどうなのという意見が多数でしたね。
私はといえば、数年前からコンピューター囲碁を見ていて、
実はコンピューター囲碁はプロに3、4子の時代からこのような場所はブツカリます
見慣れすぎててブツカリが斬新とは全く思わなかったという(汗)
そもそもコンピューター囲碁は部分感覚はなく、全体を常に優先するので、
人間でいう部分定石の場合は、多くの場合先手を取り大場へ先行します。
3子ぐらいの時代は、「こういう手打ってるからまだまだですね。」なんて暢気に言ってましたが
Masterが打ったらみんな真似する、みたいな。やはり実績は偉大なのか。
何はともあれ、コンピューター囲碁を観戦するときのポイントは
定石うんぬんは取り合えず置いておいて、全体がどうなってるかを見る事です。
3図 黒2のノゾキ! (黒2で黒A白Bの交換の後、黒2とノゾいた碁もあります。)
この時に「白1と一間に受けたら黒2とノゾきが良い手」と丸暗記してしまうとひどい目に合うでしょう。
注目すべきは左下の△の配置です。
4図 黒1カケが絶好
二十数手後の進行ですが、黒1カケが絶好点です。
白△と白2からの左辺の石が凝り形と言っているようです。
恐らくMasterの内部では黒AやBと打つ必要はなく、
黒1とカケられれば、だいたい黒優勢と判断しているのでしょう。
そして黒1に回る公算が高いと見切って3図黒2のノゾキを打ってるはずです。
このような右下一帯が模様の碁になれば
左上△のノゾキもシチョウアタリなどで働く可能性もあり、利かしかもしれません。
さて、そこでお知らせです。
1月22日、29日(日)13時~15時 日本棋院でMasterの解説会を行います。
解説は王銘琬九段、マイケル・レドモンド九段、私の三人です。
参加費は無料!新聞の号外みたいなイメージですね
会場の広さにも限りがありますので、早めの来場をおススメします。
では最後におまけの図を一つ。
5図 極論すれば、白A黒BとなってMasterは形勢有利と喜んでるかもしれません。
私見ですが白1とこちらの位を優先するのが良いのではないでしょうか?
↑こんな感じの意見を解説会ではしゃべる予定です。
常識が破壊されるかもしれませんがぜひいらして下さいm(_ _)m
というか、弱い石もあまり見かけないような印象です。
趙治勲先生が確か、囲碁はシノギだけで勝てるようなことを言ってたと思いますが、もしかして、弱い石を作らないように打つことだけを考えて打てば、AIの碁みたいになりませんかね?