走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

境界線を越えた越えない その3

2021年11月01日 | 仕事
シリーズ3日目

こんな押し問答をするぐらいなら、彼女の上司と話をするべきだったと後で後悔した。そうすればもっと短い時間で済ませられたかもしれない。相手の立場や気持ちや背景を理解して、その上で自分の意見を考え直す。これは私の良いところだ。しかし諦めが悪いと言うか、頑固者というか、考えを変えることがあっても引く事を知らないのは私の悪い癖。そして平行線が続くと自分の疲弊へ繋がっていく。

話が進まない時に私が考えてしまうこと。

何故理解してもらえないのか?
相手方はどんな視点でこの問題を解こうとしているのか?
同じ目的を持っているのに平行線になる理由。
もしかしたら私の意見は間違い?

いろんな角度から自分の意見の理由を伝えてみた。しかし相手方はプロだから、経験が長いからの一点張りで、その判断に行き着くチェック項目があるのですか?と聞いても答えてくれない。こう言うのが一番困る。しかし彼女の声は自信に満ち、流暢な喋り。一瞬私が間違っている?と揺らいだぐらいだ。

で、平行線のまま電話は終わった。クソ忙しいのに何なんだ!と苦い気持ちと共に。翌日も電話を入れてきた彼女。私はわざと無視した。そうすると長いメッセージが入っていた。謝罪のメッセージだった。境界線を超えて免許保持者に対して要望を突きつけた自分が間違っていたと。きっと上司に指導されたのでしょう。それによって気づくことができたのかも。それとも自分で気づいたのかな?どっちか知らない。だって2度とここからの電話は取らないし、折り返しの電話をするほど暇ではない。

最終的に伝わってよかった、と思うことにしよう。
しかし、あそこまで強く出れる元は何なのか興味は湧く。それほど患者を思い、アドボカシーをしているから?でもね餅は餅屋に任せましょう。それにね説得性のある理由が出てこない時は大概間違えなのよ。平均よりちょっと知識をかじった人が一番面倒くさいって言うけど、本当だよ。

シリーズ終わり。

冒頭写真: 人の気配を感じ停止中。凄い体幹力だわ。



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