走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

危険な仕事ぶり?

2019年09月05日 | 仕事
私がメサドンと言う麻薬を高容量処方している彼が救急室を訪れた。転んで打ち所が悪かったから。怪我自体は大したことなかったが、救急医が注目するのはメサドンの処方量。尿検査で違法薬物のフェンタニルも陽性となれば尚更。救急医のリポートを読む限り私が彼の違法薬物使用を知らずにメサドンを大量処方していると決めつけているような感じを受ける。

もちろん知っている。知っているから何度も薬物依存の専門医に相談しながらメサドンを処方してきた。長年にわたる麻薬依存と加齢による関節痛で麻薬依存治療として処方しているメサドンを服用しても違法薬物を断つ事が出来ないのだ。????となる人が多いと思う。ハームリダクションの論で処方をしているのだ。

そんな事をつゆ知らない救急医はきっと私のカレッジに電話を入れるだろうな。

Poor Practice

水準に満たない危険な仕事ぶりという事。所謂通報と言うやつです。そしてカレッジから捜査が始まるだろうな、、、と頭をよぎる。しかし大丈夫。Poor Practiceなんてしていない。やらなければならない事は全てしているし、きちんと記録もしている。突っ込まれるところはどこにもない。堂々としていれば良いんだ。

で、同じ救急室で働くナースプラクティショナー(NP)から電話をもらう。彼を診察する前に(難しい患者だからと救急医に押し付けられた) 貴方から直接情報収集をしたいからと。もちろんメサドンの事も聞かれた。私の返答を聞いて安心した声で話す。そうよ、美加がPoor Practiceなんてするはずないよね、と。

あーやっぱり疑われていたんだ。

こんな事があるからメサドン処方に関わりたくない、、、って医師やNPが後を絶たない。でも患者には必要なんです。私がハームリダクションの目的で処方しなければ彼は違法薬物にもっと手を出して死ぬ可能性が高いですから。

患者中心のケアはここにも生きています。



古株に育つ木

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。